やまけさんの映画レビュー・感想・評価

やまけ

やまけ

この世に私の居場所なんてない(2017年製作の映画)

3.3

愚直なまでの真摯さを世界に投げかけた男女が痛い目に遭ったり遭わせたりする映画。楽しく鑑賞しました。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

この作品の特色は、「平山」という鏡に映った自分の姿を見た観客が、自分自身への理解を深められる点にあると思った。

他人との交流や外部からもたらされる刺激を重んじる人は強い拒否感を抱くし、自分の大切なも
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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

3.5

設定は難解なものの、演出面で鳥肌が立つ場面が数えきれないほどあった。内面世界がどうとか言い出すといくらでも続編を作れるしいつでも打ち切りにできるし便利だな。

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.7

「異物を飲み込みたくなる衝動」という突飛な題材とは裏腹に、作品の指し示す先は普遍的なものであるように感じられました。

具体的には、

①他者を「理解できる」と思い込むことの傲慢さ(それが男性側の優越
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バービー(2023年製作の映画)

3.7

私は男性としてこの作品を鑑賞したが、「毎晩ガールズナイトばかりで面白くない」というケンの心情吐露が、現実世界で周縁に追いやられている女性の鏡写しとして大変わかりやすかった。

自分のアイデンティティー
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.8

前作で爆発していたアニメーション表現は健在、むしろさらに加速しているようにも感じられた。

ストーリーに関しては目立った進展はなく、さらなる続編への橋渡しという感じだったので何ともコメントし難いが、大
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アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

クリスチャン・ベイルの迫真の演技によってスーパー名刺バトルのおもしろさが2割増しになっており、プロの仕事のすごさを実感した。

ラストの顧問弁護士の証言が本当なのかどうか、もう少し時間をかけて考えたい
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ビギナーズ(1986年製作の映画)

3.0

軽率、奔放、反骨といった「若者性」を礼賛する映画。その割には登場人物の成長や自省は描かれず、フワフワした雰囲気のまま物語は人種差別へ……(?)

キャラクターの行動原理がいまいち掴みづらい点、各場面間
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ジェシーの言う「期待していたこと」「思いもよらなかったこと」には何が含まれていただろう?
家族のこと、学校でのこと、おじさんと二人で過ごしていること……。

そこに続いて紡がれる言葉が「だから未来なん
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きさらぎ駅(2022年製作の映画)

3.3

なろう系の要素もありつつ各種謀略もありつつで楽しめました。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

『わたしは最悪。』と同じく、他人の人生を覗き見たようなリアルな感覚を味わえる作品。
そして、この人生は決して直線的には見えない。

周りの人全員が通った道だからといって、それが必ずしも自分に実りをもた
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監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影(2020年製作の映画)

3.5

「無料ツールは利用者たちをコンテンツにしている」「利便性ではなく『画面に張りつかせる機能』を追求している」というのが大きな学びでした。

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

3.8

回想と独白を往復するスリリングな展開に夢中になってしまい、エンドロールが始まった途端「うお〜……」と漏らしてしまった。

リビングのテレビで観ても楽しめる映画ってすごいですね。

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

強大な権威を手にしていた人間が瓦解し、転がり落ちるまでの顛末を描いた作品。

「権威で人を動かす」ということを覚えてしまった人は、周りにいるのが自分と同じ人間であるということを(時折)忘れてしまうので
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.6

馴染みのキャラクターしか出てこないので、力を抜いて自然体で楽しめた(キノピオのキャラ付けには「?」が浮かんだが……)。

特に印象的だったのがラストバトルで、あのシーンはもはや特撮ヒーローものと同じ系
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.8

マルチバースの命運を左右する長い戦いを通じて描かれていたのは、「為せば成る」の一点だと感じた。それは例えば、適切に確定申告を行うこと、娘の胸中を知ろうとすること、他人から優しさを学ぶこと、自分が親から>>続きを読む

幾多の北(2021年製作の映画)

1.1

起承転結の「起」だけを60分以上にわたって流し続ける稀有な作品。

舞台設定や登場人物、その行動目的などについては一才提示されず、スチームパンクな雰囲気のどこかで人っぽいなにかが歩いたり光ったりしてい
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骨嚙み(2021年製作の映画)

3.6

絵本のようなあたたかみのある絵柄のアニメーションで、「人の死」に触れた子どもの体験談が語られる。
理由はわからないのに、強烈に脳裏に焼きついている一場面がある。主人公の子は、ここから十数年をかけておじ
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ホッキョクグマすっごくひま(2021年製作の映画)

3.0

『ミニミニポッケの大きな庭で』と比較すると方向性がわかりやすかった。Eテレで朝の時間帯に放送されていそうな楽しい内容。
ただ、映画館で観るものではなかった。

ミニミニポッケの大きな庭で(2022年製作の映画)

1.5

人を食ったような音楽、粗雑なアニメーション、乱雑な言葉の羅列。「演劇部の出し物」という印象を受けた。

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

3.6

「手間のかかったMAD」という感じでした。

ナレーションを使わずにボウイ自身の言葉を軸にして思想の変遷を辿るという構成は、ボウイの精神世界に没入できるとても良い試みだったと思います。

一方で、蔵出
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.5

音楽が持つスピリチュアルな側面を完璧に映像化した作品。
詳しく内容に触れることはしませんが、映画館の大きな画面とスピーカーで体感して大正解でした。テレビやスマホだと「重量」が半減する気がします。

ハウルの動く城(2004年製作の映画)

3.3

ストーリーよりもその場その場での「動き」を楽しむ作品だと思った。城の動き、布の動き、キャラクターの心の動き等、アニメーションの魅力がたくさん詰まっている。

ソングス・フォー・ドレラ 4Kレストア版(1990年製作の映画)

5.0

装飾を廃したミニマルなステージで撮影された、リードとケイル2人きりによるライブ演奏。VU時代の決別以来十数年ぶりの共演ということもあり、重苦しい緊張感が終始場を支配している。

しきりに目線を送って意
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

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私を含めた多くの人は「明るい寓話性」を求めて映画を観るが、そういった要求に真っ向から唾を吐き、凄惨な「現実」を我々に突きつけるのが本作である。

感受性の限界を描く映画にわざわざミュージカルという型を
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.8

原作へのリスペクトがふんだんに感じられる、丁寧な映像化でした。

個人的に最も印象深かったのは、マリコを演じる奈緒の鬼気迫る演技力です。
キャラクターの陰の部分をちょっとした仕草の中に滲ませることがこ
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