バンバンビガロさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

バンバンビガロ

バンバンビガロ

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8 1/2(1963年製作の映画)

4.5

一度見ただけではわかったふりを出来る程度にも理解できていないような作品であった。これは作品が難解であるということよりも意図的な混乱が作品の中に組み込まれていることにあるのだろうと思われる。混乱した人生>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.0

平庫ワカの同名漫画の映画化作品。かなり忠実に実写化された映画であり忠実であるだけにコミックの世界を映画に移し替える時に生じる問題点をほぼそのまま抱え込んでしまっている作品でもある。独白シーンの多さや絶>>続きを読む

メトロポリス(1927年製作の映画)

4.7

サイレント期の名作SF映画というレベルにとどまらず映画史においても破格の映画であることは疑いないと思う。娯楽映画であり社会批評であり前衛芸術でもあるような総合的な作品であり、作品の主題になぞらえるなら>>続きを読む

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(1953年製作の映画)

3.5

スキのない脚本による手堅いつくりのフィルムノワール。序盤は妻を殺された刑事のオーソドックスな復讐劇。途中グロリア・グレアム演じるデビーが主人公バニオンと出会うあたりでストーリーにツイストが生まれて予想>>続きを読む

スピード・レーサー(2008年製作の映画)

4.0

極彩色のサイケデリアによる狂気のトリップムービー。
映画が始まってすぐ回想の中の主人公が街に出るシーン、あまりにもふざけた世界観が示され言葉を失う。期待以上にド派手なレースシーン、大げさな演技、くどい
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馬鹿息子(1920年製作の映画)

3.7

バスターキートンの長編デビュー作となるサイレント映画。おしゃれなオープニングや細かい色使いの変化などに当時の技巧が見られ興味深い。喜劇映画ではあるがギャグをひたすら連打するというタイプではなくストーリ>>続きを読む

ザ・レイド(2011年製作の映画)

3.2

ほとんど最小限の状況説明だけを済ませたらあとは本筋であるマフィアの襲撃に突入しワンシチュエーションでのアクションが繰り広げられる無駄のない構成で、アクションを見せる映画であるという制作側の意思を感じる>>続きを読む

荒武者キートン/キートンの激流危機一髪!(1923年製作の映画)

3.0

ロミオとジュリエット的な確執を抱える2つの家の男女が偶然に出会って恋に落ちるというストーリーの喜劇映画。序盤の列車のシーンはかなり牧歌的なゆっくり目のテンポで笑いの手数もやや物足りないと思った。あまり>>続きを読む

キャノンボール(1980年製作の映画)

2.7

内容的にはちょっと豪華なB級映画という感じでユーモアに関しては完全に賞味期限切れでちょっと不快なところまで行ってる描写もある。ストーリーにも特筆すべきところはないがキャラクターはチームごとの個性がはっ>>続きを読む

ガラスの鍵(1942年製作の映画)

2.8

可もなく不可もないくらいの作品で、ちゃんとしたハードボイルド映画ではあるけれど何か特別な魅力みたいなものは感じなかった。事件を巡る駆け引きや顛末にあまりスリルがなくちょっとぼんやりした印象になってしま>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

エンタメ作品においてリアリティのレベルをどこに置くかということは作品の出来を左右する重要な要素だと思うが開始5分でこの映画におけるそれは著しく低い位置に置かれていることが察せられる。けばけばしい色使い>>続きを読む

キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性(2012年製作の映画)

3.0

ハリウッドのキャスティングディレクターをアンサングヒーローとして描くドキュメンタリー映画。映画史においてかなり重要なポジションながらあまり内実よくわかっていなかったキャスティングに焦点を当てた内容は興>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.2

実に映画的な映画というかかなり古典的な映画の面白さが新鮮なビジュアルで作りこまれている作品という感じがある。絵画的なビジュアルと並んで特徴的なのはテンポの速さで、展開も早ければ会話のスピードも速くピタ>>続きを読む

(1949年製作の映画)

3.9

気合の入った試合シーン、シニカルな脚本、細かな職人技が組み合わさった良作。ストーリーの肝は中年ボクサーである主人公のビルと妻のジュリーのすれ違いにある。夢を諦められず連敗続きでもリングに立ち続けるビル>>続きを読む

教祖誕生(1993年製作の映画)

4.0

シンプルに脚本がよくできていて面白い。宗教の馬鹿馬鹿しさを皮肉りながらユーモアにしていくのと同時に宗教の持っている魔力のようなものもきちんと描けている。単なる風刺的な作品ではなくクライマックスの盛り上>>続きを読む

(1990年製作の映画)

3.8

全8話オムニバス形式でどれも印象に残る色使いでよく構成された画面と晩年の黒澤明の思想が割と直截に反映されたと思われるシンプルなメッセージのストーリーの良作。
特にゴッホの世界を描いた「鴉」に顕著なのだ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

様々な考察ができそうな要素が詰め込まれた現代的な映画だと思うがそのせいか全体の作りが雑になっているように感じる。
序盤は得体のしれない不気味な存在が徐々に忍び寄ってくるという典型的なホラー映画で、少し
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八月の狂詩曲(ラプソディー)(1991年製作の映画)

2.1

黒澤明監督による1991年の映画。
黒澤明が偉大な監督であることに疑いはないが今作に関してははっきり問題のある出来だと思う。序盤の長崎の街を巡るシーンからあまりにもセリフが説明的過ぎて教育用プログラム
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ジャバーウォッキー 4Kレストア版(1977年製作の映画)

3.7

テリー・ギリアムによるファンタジー映画。
映画というよりも長尺の大掛かりなコントという感じで全編にわたってちょっとブラックなギャグの連続。話はかなり王道的というか主人公が流されるがままに様々な事態に巻
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白痴(1951年製作の映画)

4.0

導入部分は文章による説明の多用でほとんどの状況が見込めないまま映画の世界に放り出される感じがあるし、この映画はこういうテーマの物語であるというのを文章で説明してしまうのは映画としては反則に近いと思う。>>続きを読む

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.6

偶然がきっかけで虚偽の熱愛記事によるスキャンダルに見舞われた青年画家が社会正義のために雑誌社を相手取って裁判に訴えるというジャーナリズムの問題を主題とした社会派ドラマ。だと思っていたのだが途中から明ら>>続きを読む

ライトスタッフ(1983年製作の映画)

3.0

3時間を超える長尺、アメリカ初の有人宇宙飛行計画を描く実話に基づいたドラマということでかなり身構えたが、思ったような重厚長大な作品ではなく意外とあっさりみられる映画だった。良くも悪くも人間ドラマに寄り>>続きを読む

スイング・ステート(2020年製作の映画)

2.7

アメリカの政治に関するコメディ映画。
特に事前情報なくタイトルからアメリカの二大政党制についての風刺としてみていたのだがそれにしては風刺の切れが悪い。共和党・民主党の各陣営の描き方もぼんやりしてるし候
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

4.1

90分ワンショット、ノー編集でレストランの舞台裏を描いた作品。全編ワンショットということで技巧的な映画かなと思い見に行ったらストレートに面白い映画だった。全体的にテンポの良い会話の応酬と複数のストーリ>>続きを読む

劇場版 Gのレコンギスタ V 死線を越えて(2022年製作の映画)

3.7

Gのレコンギスタ劇場5作目。
今作は元のストーリの構成上戦闘シーンがメインになっているが、戦闘→小休止→戦闘の流れが続くのでちょっと緩急に欠ける展開になっている。内容に関してもよくできてるとは思うが前
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

フェイクドキュメンタリー形式のホラー映画。
ストーリー自体に特別なツイストがあるわけではないし、ホラー要素も悪霊に取りつかれた女性というかなりクラシカルでベタな内容なのだけれどかなりの恐怖と厭さを味わ
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らせん階段(1946年製作の映画)

3.1

狭いシチュエーション、少ない登場人物の中で声を出せない女性を主人公に展開されるミステリ・サスペンス映画。
障害を持つものを狙う殺人事件が起き、その犯人はだれなのかという映画ではあるが推理要素や意外な犯
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タイムマシン(2002年製作の映画)

2.0

H・G・ウエルズの古典的名作SF小説『タイムマシン』を原作とする映画。監督はH・G・ウエルズの曾孫であるらしいのだが映画の出来ははっきり言って残念。タイムマシンのビジュアルは原作のイメージにかなり近く>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

2.5

バーバラ・ローデン監督・主演のロードムービー。
所謂カルト映画的な作品で一般的な意味で面白い映画でないと思う。作品全体に抑揚が少なく、ちょっとタルコフスキーみたいな時間の使い方をするので眠気を誘う。
>>続きを読む

教育と愛国(2022年製作の映画)

2.8

教育と政治の関係をめぐるドキュメンタリー映画。
新しい教科書を作る会の発足から日本学術会議会員の任命拒否まで、教育と政治の問題にかかわるトピックが網羅的に取り上げられており、教科書の記述をめぐる対立を
>>続きを読む

ムーンフォール(2021年製作の映画)

2.9

ハリウッドの破壊王ことローランド・エメリッヒ監督によるSFディザスター映画。
良くも悪くも予想が裏切られることのないいつもの作風。エメリッヒのディザスター映画は破壊をどれだけ派手に見せることができるか
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

聴覚障碍者の家族を持った少女を描いたドラマ。絵作りや登場人物たちが魅力的でポジティブな余韻の残るいい映画だと思うのだけど、もやもやを感じるところも多い。
特に思うのは、家族と夢の対立を強調するためにあ
>>続きを読む

劇場版 Gのレコンギスタ IV 激闘に叫ぶ愛(2022年製作の映画)

4.0

Gのレコンギスタ劇場版4作目。今作はジット団との抗争がメインとなっており、前作と比べ登場する勢力が整理されているため比較的に話の流れを追いやすい。作劇が独自で理解しにくいところが多いのはTV版から変わ>>続きを読む

エド・ウッド(1994年製作の映画)

3.6

史上最低の映画監督と呼ばれたエド・ウッドの伝記映画。登場人物や作中作の再現度は素晴らしく、よく作りこまれた映画になっている。野心あふれる監督のもとに個性豊かなメンバーが徐々に集まり、ついにあの伝説的作>>続きを読む

湖中の女(1946年製作の映画)

3.0

レイモンド・チャンドラー原作のフィリップ・マーロウシリーズ『湖中の女』の映画化。一人称形式で書かれた小説を、一人称視点で描くという試みは面白いが、奇抜なことをやってやろうという意図が透ける感じの不自然>>続きを読む