ふたつの主観ショット、そして回転。
精神分析と探偵についてはジジェクの『斜めから見る』を読むべし。
映画とはなによりもまず光学的イリュージョンでなければならない。その意味で、リドリー・スコットが人類に『エイリアン』と『ブレードランナー』を残した功績はあまりにも大きい。
クラシカルなファム・ファタールの欲望の崩壊を女の生々しい肉体の崩壊として描いた点は評価せざるをえない。
The World Is Yours
言うまでもないが、ホークスの方がすごい。
全編を通して変態構図と変態編集が冴え渡っているだけに(最大の見せ場であるはずの)演奏シーンの凡庸さが残念すぎる。
あまりにも舐めた顔の登場人物たちを動かすのは、整形の失敗。そしてその顔は永遠に不在(非現前)のままなのである。
三人の女へ直結するように見えるが、おそらくはロング・グッドバイと表裏一体の作品。ガラスの中に閉じ込められるのはまさにマーロウ。
アルトマンとフィッツジェラルド(あとウィリアム・ジェームズ)、彼らのおかげで俺はアメリカを永遠に愛することができる。
レイヤーの重ね合わせでしかないアニメの虚構性を隠すことなく、最高度に使いこなしている。涙が出るほどの完成度だ。
おそらく唯一無二の大傑作だが、画面の魔力にすべてを持っていかれ、内容が何も頭に入ってこない。
あまりにも(大人の)破廉恥な意匠に満ちた駄作すぎて驚愕してしまったが、これは脚本がすべて悪いのだと信じたい。ただひとつ、わからなさをわからなさのままで(破廉恥な意匠抜きで)写しとったのがトロンボーンの>>続きを読む
映画が偶然に映像と音声が合致した仮象でしかないことを自己言及的に暴いてしまう恐るべき作品。(『デジャヴ』のタイムスリップカーチェイスの元ネタは案外これなのかもしれない)
音楽を流さない硬派な演出とは異なり、むしろ音楽を流し続けることによって、アルトマンは映画が虚構の時間であることを見せつけてしまう。
ファム・ファタールのいない『アウト・オブ・ザ・パスト』であり『ギルダ』の純ノワール的変奏。クラブの長回しが冴えている映画は素晴らしい。
30秒フラットの空虚な男たち。実はマイケル・マンはコラテラルしか見たことなかった。
疲れててまともな感想は書けそうにないが、とりあえずロバート・ミッチャムがすごい。
舞台と客席の間をさまよう長回しがすべて。ターはもはや自分がどこにあるのかわからないのである。
(アルトマンがこれを撮っていたら…という想像が膨らむ)
『キッスで殺せ』や『マッキントッシュの男』のように、意味不明な脚本を天才的なセンスでゴリ押しすると悪魔が生まれるという好例。神がかっている。
冒頭の長回しからクライマックス。カレンダーを捲るマシンガンとともに映画は一気に加速する。
スコセッシの根底にあるのは(『タクシー・ドライバー』よりも)『ミーン・ストリート』のデニーロ(そして『沈黙』のキチジロー)であり、人間は皆デニーロなのだ、という。