シオドマクは、無機質な壁や物がただスクリーンに存在していることが、得体の知れない不安を掻き立てることを教えてくれる。(スコセッシはこの映画好きだろうな)
生粋のシティボーイであるカサヴェテスのセンスが爆発した傑作。スコセッシやウディアレンが描くよりも遥かに鮮烈で正直なニューヨークの肖像であろう。
本気で脚本家とか目指してたらこれ見てすべてを諦めてたと思う。コーエン兄弟恐るべし。
(主人公の頭が完全にイレイザーヘッド)
食卓に垂直落下するシーンが凄すぎる。ストーリーは「ミラーズ・クロッシング」の方が面白いけど。
良い映画(特に冒頭と唐突なワンカット強盗シーン)なんだけど、ボニー&クライドはどうしても性に合わないっぽい。
ラストの「第三の男」オマージュによって物語の真の構図が明らかになる。みんな「第三の男」好きすぎだろ。
追記)「ガラスの鍵」を見てこの映画の良さがしみじみとわかってきた。
ネオ・ノワールという点において、映画としては『ブレード・ランナー』に劣りこそすれ、テーマ上は遥かに卓越した映画。フィルム・ノワールの極北は廃墟と自動機械なのだという一つの答えを示した一作である。
こういうの好きだからなんでもいいんだけど、なんとなく、ウディアレンが描く表層的なスラップスティックとこの手の奥行きある不条理コメディの差異について考えてた。
全体として謎の浮遊感が漂っているのだが、それはスーツ姿に汗だくの主人公が砂漠を歩くシュールなシーン(Cf.『失われた週末』)に最高潮を迎える。そのあと大雨のなかで男が死んでノワールテイストへの急展開か>>続きを読む
これは、「キー・ラーゴ」や「アスファルト・ジャングル」といったモノクロの傑作を撮ったジョン・ヒューストンによる、カラー映画の軽さを逆手に取った軽快なシミュラークルなのであり、それに気づかずに映画の粗さ>>続きを読む
オープニングの幻想的なネオンからして、モノクロのフィルム・ノワールに対する甘美なレクイエムの香りが立ち込め、それをホテルの一室から見下ろすのは、「過去を逃れて」において宿命との壮絶な心中を果たしたロバ>>続きを読む
完璧に空虚なハードボイルドで震える。アルトマンの「ロング・グッドバイ」とともに、もはやハードボイルドが空虚なアイロニーとしてしか成立しえないことを示した作品。(さらに付言しておけば、アルトマンが「ロン>>続きを読む
マーティン・マクドナーらしい愉快な不条理。泥沼になりながらも生きていく人と、それを跳び越えていく人。しかし、それすらも跳び越えてしまうふたつの死体が示す、生きることの戦慄。
大雪なので思い出したようにDVDを借りてきた。改めて見ると、空と地平の境界のない雪原よりも、むしろ駐車場の屋上のカットに戦慄する。一面に降り積もった雪を照らす灯り、そして空を覆い隠すように聳える摩天楼>>続きを読む
期待を見事に裏切るハードロック。Weirdなものは常に恐怖とユーモアの境界線にゆらめくのだ。
タルコフスキーはどうも苦手なのだが、なんとなく思い立ったので鑑賞。無重力のシーンとジャパニーズ・ハイウェイが良い。
つまりは、微睡みながら明け方にファックしろという話なのだ。どうせいつかは死んでしまうのだから。
Cf.『スリーパー』『マルホランド・ドライブ』
カリフォルニアの誘惑。何もかも手遅れな最後に現れる怒涛の悪夢が最高だ。
(どうしても「市民ケーン」は好きになれないが、これは手放しで褒めるしかない。)
チャイナタウンの閉塞感を描き出す上下のカメラワークがキマってるぜ。ハードボイルドとノワールへの愛に満ちた意欲作。
西洋の終着点。だから死んでも海風に連れ戻される。ホテルカリフォルニアのところが一番おもろい。
どれだけ楽しくても、どれだけ悲しくても、人生は回り続ける。ありがとうアルトマン。
すべてガン決まりの傑作ノワール「サムライ」も、ノワールなどというレッテルが意味をなさない快作「賭博師ボブ」の余裕を前にしては、あえなく肩をすくめるだけである。キューブリックが挫折するのも当然だ。
すごい作品だけど、まだ自分がこれ以上の点数をつけられる段階にない。(「ペルソナ」もそうだが「叫びとささやき」とか「マルホランドドライブ」っぽいかも)
冒頭20分とラスト20分が神。ジョン・ヒューストンの映画は人間と正義に対する熱烈な讃歌だと感じているが、本作はそれを西部劇とアメリカに重ね合わせ、しかも砂漠のファンタジーといえるほどのテイストで仕上げ>>続きを読む
おそらく空から化学物質が降ってくる仕掛けやスーパーの棚に挟まれるショットの多用からして(アメリカ現代文学の映画化というところまで!)アルトマンのオマージュであることは間違いないだろう。その上でアルトマ>>続きを読む