Ktoさんの映画レビュー・感想・評価

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(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.8

恋に夢をみる文化系男子と、運命を信じないドライで自立した女子が絶望的に噛み合わない恋愛を経て、最終的には脱皮し、鑑賞後は謎の清涼感に包まれる映画。

joy division Tシャツを愛用するトムは
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.3

小津作品としては、会話のテンポが良く、登場人物の性格も皆比較的快活で全体的に明るい作品だと思った。
それ故に、観やすく楽観的な空気が漂っていて楽しい。

そして、それ故に、ラストシーンの印象は重く寂し
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めまい(1958年製作の映画)

4.0

ミステリとしては破綻しているものの、サスペンス映画としては演出が豊かで洗練されていて面白く、傑作だと思う。

と、いうことが成り立つのがヒッチコック映画の凄さであり、映画は多元的な総合芸術なんだなぁと
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.9

芸術作品は、あるレベルから「凄まじい体力と筋力によってのみ越えられる臨界点」が存在していると感じている。

例えばジャズで言うとバディリッチのスティック捌きとか、現在ならサンダーキャットの驚異的な運指
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アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー(2022年製作の映画)

4.3

少年のある夏の記憶を、NASAによる人類初の月面着陸の記憶と重ねながら展開する話。

少年時代の郷愁的な空気に満ちた地元や家族の記憶が楽観的で暖かい。実写ではなくロトスコープならではの高い時代考証性も
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

ある夏休みの父と娘の旅行を丁寧に描きつつ、"死"を連想させるモチーフが繰り返し写されて、どことなく不穏で哀しい空気が流れる。

死の暗示させる表現主義的な映像が随所に挟まれ、最後のシーンでそれが決定的
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.6

とてもローカルな内容、言葉遣い、センスで良かった。

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.8

女性の同性愛映画の言わずと知れた古典名作。
なかなか観れなかったけど、遂に観ることができた…。UNEXT様ありがとう。

とても悲しく美しい映画だった。

男性に頼らず、ファッションデザイナーとして高
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(2023年製作の映画)

4.3

最高に面白い戦国版アウトレイジだった。
エロ+グロ+ナンセンス+北野武流のシュールなユーモアが炸裂しており、原初的な映画的快感を堪能できる最高の体験だった。豪華中年俳優陣によるホモソーシャルな戯れを軸
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秋津温泉(1962年製作の映画)

3.8

岡田茉莉子が美しいだけで、2時間観る価値がある。長門裕之も時代を反映した男らしく、骨がないふらふらな感じでいい。

17年もの歳月を同じ役者で描くのは凄い。初めは新子が周作を看病する立場であったが、東
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街の上で(2019年製作の映画)

3.8

「愛はなんだ」で流行の俳優を起用したベタなサブカル恋愛映画かと思わせて、共感性の欠如した美男子によるトラウマ級のサイコスリラーを描いた今泉監督。

今回は、下北沢を舞台に30代サブカル男の恋愛未満的関
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

見たことない表現が炸裂し続ける、非常に前衛的な芸術映画だった。スパイダーバース、不思議の国のアリス等と同様に、今後アンダーグラウンドなドラッグパーティでアンセム的な映像となると予想する(知らんけど)。>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.8

この時代、このロケーション、この俳優陣でしか創れないという点で、奇跡的な傑作になってる。

SNS時代到来の前夜、コミュニケーションにまだアナログの手触りが残っていた頃。2000年頃の"Tokyo"の
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ピアニスト(2001年製作の映画)

3.5

【感想】
ミヒャエルハネケの中でも最も不快な映画の一つだったし、その不快感に見合う価値を見出せなかった。
イザベルユペールはよくこの役にokしたなと思うけど、それまでのハネケ作でも常連だしとてつもなく
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別れる決心(2022年製作の映画)

5.0

【ひとこと】
洗練された大人の恋愛を描く傑作韓国ノワール

【感想】
●”大人の恋愛もの”として最高品質と思う
「オールドボーイ」や「お嬢さん」でエクストリームな表現を追求してきたパクチャヌク監督が、
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

【ひとこと説明】
5年振りに夫のいない数日間を過ごす女が、何人かの旧友と話すことで「人生、色々なんやなぁ」ってぼんやり感じてそうな映画

【感想】
個人的に初ホン・サンス作品、UNEXTで鑑賞。ホン・
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.4

【ひとこと説明】
2分間のタイムループをしつつ、登場人物達はループせず直線的に進んでいるのでループから頑張って脱出しようとする話

【感想】
主人公だけでなく、旅館にいる全員がループに囚われてドタバタ
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バービー(2023年製作の映画)

4.9

【ひとこと説明】
痛烈な社会批判を散りばめたサウスパーク的基調を備えた、大傑作ドリームポップコメディ

【感想】
●社会批判性を明るい笑いに落とし込む聡明さ
“Toxic masculinity(=有
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パフォーマンス(1970年製作の映画)

3.3

【ひとこと説明】
当時の批評としては最低に近い評価だったけど、同時代の退廃的なセックス・ドラッグ・音楽の空気感を色濃く残しており、カルト映画として後世で再評価されている珍作

【感想】
クリストファー
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怪物(2023年製作の映画)

3.8

【ひとこと説明】
小学校で起きた教師による体罰事件を複数視点から繰り返し展開することで、徐々に事件と周囲の本態が明らかになっていく話。
話の進行に伴って、ジャンル横断的に映画の印象が変わっていくのが凄
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RRR(2022年製作の映画)

4.0

【ひとこと説明】
1920年 英国統治時代のインドを舞台に、二人の男の友情と葛藤と戦いを描いている。
インド映画らしい圧倒的な快活さ、ストーリーの明快さ、テンポの良さで常時エンジンフル回転している様な
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

【ひとこと説明】
小説「君たちはどう生きるか」の主軸である、次の世代への切実なメッセージ性が、徹底的に"ジブリ"的な世界観の中で語られていく映画

恐らく自分も気づいていない細かいメタファーや作品のメ
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gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

3.5

数学の天才の娘が、亡き母の弟(=叔父)と暮らしていく中で、エリート教育に行くべきなのか、”普通の”生活を進めていくべきなのかで(周囲の大人達が)葛藤する話。
周囲の大人が娘の教育方針を巡って争い、終い
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TAR/ター(2022年製作の映画)

5.0

緻密で洗練された完璧な映画だった...。
決して高揚感を煽るようなプロットではない(はずだ)が、鑑賞後の高揚感が凄かった。

“サスペリア(2018)”とか”ノクターナルアニマルズ”の様な、高潔な舞台
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AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

NIKEの世界的人気シューズ”エア・ジョーダン”ができるまでの経緯を描いたノンフィクション映画。

ジョーダンのスター性を参照しながらも、基本的には彼を取り巻く周囲の人達の奮闘やドラマに焦点を当ててい
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

4.5

子育て+介護+仕事の顔と、並行する旧友とのロマンスの顔

一見淡々とした日常に見えるけど、機微を捉えるような繊細な語りのおかげで非常にリッチなドラマになってるのが凄い。し、レアセドゥは最高。

特に介
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タバコは咳の原因になる(2022年製作の映画)

3.9

奇妙なテンポで進むダークコメディ
というかダーク+コメディが目まぐるしく変わる珍作(面白い)

清作の妻(1965年製作の映画)

4.9

狭い村社会でのエリートとカースト最下位者の愛憎劇。

御都合主義で節操のない村民にもてはやされ続けた清作が、自らの没落を経験した後に、ようやくお兼と"真の意味で"愛し合えるという展開。

非道徳的で泥
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.8

古き友人との関係を温め続けていても、価値観やライフステージの違いで昔のように無邪気な関係は維持できないんだよね..。

という、友人関係における諸行無常ぶりを、詩的なテンポで淡々と描いていた。

缶の
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人魚伝説(1984年製作の映画)

4.5

高校生の頃にリピートしていたニルバーナを久しぶりに爆音で聴いた時のような、シンプルで無骨でロックな感性に打ちのめされた感覚になった。

最近の映画群の巧みで計算し尽くされたストーリーテリングに慣れてし
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