ひこくろさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ひこくろ

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クー!キン・ザ・ザ(2013年製作の映画)

3.5

元となっている「不思議惑星キン・ザ・ザ」を観たことがないので、あくまでもこの映画単体の感想で。

基本的な筋は、とてもわかりやすい。
遠い惑星に飛ばされてしまったウラジミールとトリクが、地球に帰ってこ
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

4.1

風俗嬢もスタッフも、この映画に出てくる人はみんな、人として何かが壊れてしまっている。
彼らは壊れているからこそ、この世界に生き、棲み続けている。
それは悲しいとか哀れとかを超えて、どうしようもない現実
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約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

4.1

こんなにも宇宙飛行士たちの素の部分にスポットを当てた映画があっただろうか。
メインは宇宙飛行士に憧れていたサラが、幼い娘と離れ、男たちのチームの中で打ち上げに挑んでいく、という話。
当然、男に舐められ
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.4

女性にとって中絶がどれほど大変で厳しいものなのか、という現実をまざまざと突きつけられた感じがした。
まだ17歳の女子高生・オータムは、妊娠したことを家族にも話せないでいる。
彼女の住んでいる州では、家
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.2

とんでもなく可愛らしい映画だった。

序盤はハイテンポでコメディ的な展開が描かれ、とにかく楽しい。
ほんの少しだけ人よりテンポが早い、という設定が絶妙に効いていて、自然と笑いがこみ上げてくる。
ヤン・
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アノニマス・アニマルズ 動物の惑星(2020年製作の映画)

2.9

人間と動物の関係性が逆転した世界を、一切の台詞も説明もなしに描くという試みは面白い。
不穏な雰囲気も効いていて、不安定なカメラワークや暗い照明などと相まり、ホラー感も満載だ。
ただ、誉められる要素はそ
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マドンナ(2015年製作の映画)

4.5

自分の欲望のままに生きる傲慢な金持ちと、ひたすら虐げられる貧乏人との対比があまりにも強烈。
映画は謎の妊婦「マドンナ」がどんな生き方をしてきたのかを、主人公のムンが探っていくという構成になっているのだ
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薄桜記(1959年製作の映画)

4.3

これは面白い。
忠臣蔵で一番人気があると言われている堀部安兵衛の回想、というところでまずそそられる。
しかも、安兵衛と因縁めいて対する丹下典膳という男が、これまたとても格好いいのがたまらない。
安兵衛
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台風クラブ(1985年製作の映画)

4.4

地域性や時代性でも語れそうな気はするが、たぶん相米監督が描きたかったのは中学生の持つ狂気なんだと思う。
中学三年生という存在は、肉体も精神もどちらもまだまだ子供そのものだ。
けれど、少年少女たちは、性
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魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)

4.4

「記念作品とはファンのためのおまけである」みたいな風潮に風穴を開けてくれるような映画だった。
描かれるのはどこまでも現実的な話。出てくる主人公の三人も、おジャ魔女どれみが好きだったという以外は、ひたす
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花に嵐(2015年製作の映画)

3.4

素人の「僕」が手持ちカメラで写して語る、というドキュメンタリー的な手法と、ミステリーの要素が絶妙に絡み合っているのが面白い。
題材が映画で、舞台が映研ということもあり、いわゆるモキュメンタリ―ものとも
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キラー・メイズ(2017年製作の映画)

4.3

奇抜なアイデアっていうのはこういうことを言うんだろうなあ。
段ボールで作った迷路の中で迷子になってしまった主人公と、助けに向かうヒロインたち。
この時点で、どう考えたってバカバカしい話なんだけど、そこ
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僕らの未来(2011年製作の映画)

4.4

ものすごく切実な映画だと思った。
性同一性障害の女の子にとって、制服を着て学校に行かなきゃいけないってのは屈辱に近いものがあるのだろう。
自分の体が徐々に女性らしくなっていくのだって耐えられないことに
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はっこう(2005年製作の映画)

4.2

こういうスタンスで作られる自主制作映画もあるんだあ、と驚いた。
朗読のようなナレーションから入る静かな出だしに、淡々とした日常の光景が丁寧に綴られていく。
役者さんたちの演技もみな上手く、自主制作なが
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.3

「善悪とは何か」「正義とは何か」にバットマンが悩む、というのは、これまでの作品でもよくあったけど、今回はそれをとことんまで突き詰めたような感じになっていた。
バットマンはヒーローどころか、もはやダーク
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また一緒に寝ようね(2015年製作の映画)

3.0

監督の志向がここまで映画に反映されてしまうんだ、とちょっと驚いた。
この映画に関しては、たぶん、こういうものを描きたいからこういう風に撮ったというものがない。
こう撮れば格好いいでしょ、映画っぽいでし
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夜とケイゴカー(2013年製作の映画)

3.2

成り行き任せでどこに進むのかわからないロードムービー的な面白さはあるけれど、逆を言えばその面白さしかなかった。
出てくる人物はことごとく共感できないし、魅力もほとんど感じない。
物語としても、惹きつけ
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8日で死んだ怪獣の12日の物語(2020年製作の映画)

4.1

現実と虚構の絡み合いが絶妙だな、と感じた。
怪獣とか宇宙人とかが当たり前にいる世界、という前提なんだけど、そこで繰り広げられるのはあくまでも現実的なやり取り。
コロナ禍のなかで人々は、直接会うこともで
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つみきのいえ(2008年製作の映画)

4.3

まるで外国の絵本のような絵柄がとても印象的。
この絵が動いていること自体に、なんとも言えない心地よさがある。

しかも、かなり複雑な世界観を一切の台詞なしに、何の違和感もなく見せているのがすごい。
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銀魂 THE FINAL(2021年製作の映画)

3.5

「銀魂」のファンにはたまらない一作なんだろうなあと思った。
いきなり、これは許されるのかってほどのパロディ(パクリ?)であらすじが語られる悪ノリっぷり。
かと思えば、本編に入ると急にシリアスになり、今
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私は確信する(2018年製作の映画)

4.4

ものすごく刺激的な法廷ミステリー映画だった。
冤罪を晴らすための手掛かりは、警察が見向きもしなかった250時間にも及ぶ通話記録のみ。
主人公のノラはひたすらそれを聴き込んで、事件の真相に迫ろうとする。
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

4.3

ブラジルの映画ってほとんど観たことがないので、とても新鮮だった。
一応、架空の寓話ってことにはなっているけど、たぶん日常の描写とかは現実のブラジルを反映しているのだろう。
料理にハエがたかっていたり、
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

4.4

奇をてらったり、ひねくったりしなくても、丁寧に作り込むことで、王道のミステリーはこんなにも面白くなるんだ、と痛感した。
出だしにポワロの過去を入れたのがまず、とてもいい。
たったこれだけで、下手したら
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DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)

4.3

何の前知識もなく観ていたので、正直、最初はまったく意味がわからなかった。
ソ連が舞台らしいってことはわかるし、主人公が中年ウェイトレスらしいってのもわかる。
でも、それ以上のことがよくわからない。
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選ばなかったみち(2020年製作の映画)

4.2

レオ役のハビエル・パルデムの演技がとにかく素晴らしい。
現代のレオは、認知症を患い、現実がほとんど認識できない。
目には生気がなく、表情も虚ろそのものだ。
一方で、記憶の中のレオは、苦悩を抱えつつもし
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.1

息を呑むっていうのはこういうことを言うんだろう。
コマ撮りとは思えないほど繊細で滑らかな動き。ハリウッド大作顔負けの魅せる構図にアクション。
独特な世界観とオリジナリティ溢れる造詣とも相まって、ここに
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グッバイ、ドン・グリーズ!(2022年製作の映画)

4.4

ものずこくテンポがよくて気持ちのいい映画だった。
特に主人公三人の軽妙な会話が素晴らしく、この三人の掛け合いだけでもずっと聞いていたくなる。
映画のかなり多くの部分は、はちゃめちゃなドタバタコメディで
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テイキング・オブ・デボラ・ローガン(2014年製作の映画)

4.5

いやあ、怖かった。
POV(固定カメラや手持ちカメラなど、誰の視点かを明確にした撮り方)で撮られたモキュメンタリ―(ドキュメンタリーの振りをしたフィクション映画)というのが、「アルツハイマー病のドキュ
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屋根裏の巳已己(2020年製作の映画)

4.1

自主制作映画ならではの、これでもかというぐらいの熱さがとても気持ちよかった。
たぶん監督の寺西涼には、「これ」が撮りたいという確固たる意志があったのだろう。
物語も、台詞も、演技も、撮り方も、音楽も、
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.4

7月26日だけを、年をさかのぼりながら描く、という挑戦的な手法で、なんでもない日々を綴っていくのがすごいなぁと思った。
まるで特別な一日のように思える7月26日だが、主人公の照生の誕生日という以外は何
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.4

元の映画を観ていないので比較はできないんだけど、ミュージカル映画の面白さを再確認させてくれる映画だと感じた。
現代で主流なミュージカル映画は、曲自体の完成度が高かったり、歌うことの必然性がしっかり描か
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無限ファンデーション(2018年製作の映画)

4.2

女子高生ものの映画って、わりと少女から大人の女性へと変わる時の揺らぎとか、滲み出てくる性の匂いとかが描かれることが多いのだけど、この映画は徹底的に「女子高生はまだ子供」を貫いていて、それがとても新鮮だ>>続きを読む

スーパーミキンコリニスタ(2019年製作の映画)

4.3

あまりに痛々しい女の子の姿が、とんでもなくおかしくて、また胸にグッともくる。
まるでいっぱしの女優のように振る舞い、演劇論を語るのに、やっているのはエキストラの仕事ばかり。
先輩風を吹かせて後輩に奢ろ
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僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

4.1

基本的に、ライブ映像とその舞台裏、あとは少しのインタビューだけで構成されているので、ドキュメンタリー映画というよりは、むしろ音楽付きで長い尺のメイキングビデオというほうが近い。

ただ、欅坂46という
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鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)

3.4

原作を読んでないのでわからないが、たぶん元の話は相当に長いんだろうなあと思った。
それを二時間弱に無理やり収めてしまった結果、あちこちに無理が出てきてしまったという感じがすごくする。
短くしたことの主
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エマ、愛の罠(2019年製作の映画)

4.2

何やら意味ありげなオープニングから、展開されるのは不穏な物語。
そこに、妖しげなダンスシーンがかぶさり、得体の知れなさはどんどん加速していく。
のっけから、最高のつかみだった。

何が起こったのか、い
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