ーさんの映画レビュー・感想・評価

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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.8

アニメーションにおける記号表現そのものを物語に組み込み、それを覆すことで話を展開させていく(すごい!)

キャラクターに委ねられた記号・役割がある決定的な場面で入れ替わる。重要なのは、ラストシークエン
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『犬鳴村』恐怖回避ばーじょん 劇場版(2020年製作の映画)

3.5

全く予測できないことに対する不安や緊張が恐怖になるのではあれば、事前に予測可能にしてしまう事でそれを緩和している

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

-ファーストカットでは真上に見上げる視点から森林の木々を捉える
上から下へ沈むように感じられる

-かなり実験的なショットが多い。カメラの位置を意識させている。
1.固定されたカメラに人物が注目し近づ
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血の祝祭日(1963年製作の映画)

3.2

作品内で印象的なのは目元のクローズアップ

ゴア描写や殺人鬼を捉えるショットに意欲を感じる一方で通常の会話劇ではほとんどカメラが動かない

→ 全く同情し難い最悪のサイコキラーであっても明らかに他の人
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エスパー魔美 星空のダンシングドール(1988年製作の映画)

3.6

「僕らが止められるくらいなら、知子さんがとっくに止めているはずじゃないか。」

アニメ版でもそうだが、主人公魔美が自身の超能力によって全てを解決してしまっては何にもならないという原恵一監督の一貫した考
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残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

3.4

ジュラシックパーク(1993)は現代に恐竜を甦らせるというありえない事柄を生物学や物理学を参照し徹底的に推察する事によってあたかも可能であるかのようにみせている。
この作品もそのアプローチに近く、心霊
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他人の顔(1966年製作の映画)

4.1

映画を鑑賞するという態度にとても相応しい作品

-美術や音のコントロールに長けており、特に無音の使い方が上手いと感じた
カクテルパーティ効果とあるように、環境音を巧みに調節しているため自然に人物の会話
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.3

"トムクルーズ"という俳優の持つ特異なキャラクター※によって辛うじて成立している物語

※ミッションインポッシブルシリーズに代表される過激なスタントをトムクルーズ自身が演じる事で単なる演者を超えたキャ
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荒野の決闘(1946年製作の映画)

4.0

冒頭のマッチカット
クライトンが鞭を打った瞬間にカットが切り替わり、主人公の乗った馬を背後から叩いたような印象を持たせている

繰り返し見せるというのは意図があるからで、例えばビルが乗っている馬車の車
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.5

48:20 主人公の青年の顔を正面から捉えたクローズドアップ
目の傾視の表現によって、彼が真に"人間"の味方なのかあるいはドラーグ人の手下なのか、視聴者に問いかけている

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

3.8

-ミカンの汁がガラス越しに女性の顔にしたたる(○射のメタファー)

-見事なラストシーン3人での泥仕合
シン仮面ライダー(2023)で見せたかったのはこういう事では

TUBE チューブ 死の脱出(2020年製作の映画)

3.1

-どのように閉所による圧迫感を演出できるか
 近距離でのショットを多用し視点を限りなく制限する事で閉所を演出する
→ファーストマン(2018)

 極端な俯瞰やナナメアングルから撮られたショットによっ
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メン・イン・ブラック2(2002年製作の映画)

3.5

シリーズ物の宿命だが、1度"卒業"したキャラクターを再び呼び戻すというストーリーを挟まなくてはいけないことで、ある程度描けるストーリーが絞られてしまう。

ただ本作に限っては、シリーズ特有の記憶を無く
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

東京都内のユニークな公衆トイレを使ったシーンが楽しい。
スケルトントイレは不透明な壁が透明になると次の展開が現れるなど映像として上手く使われていた。
個人的には、鍋島松濤公園トイレの壁に貼り付けられた
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

3.8

「署長がお呼びだ。」の後、微動だにしない主人公のカットが5秒ほど続く。この間一部の鑑賞者(特に日本人)は疑問やどぎまぎした感想を持つはず。

この"外し"はテレビではお笑いになるが、映画では狂気になる
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(2023年製作の映画)

3.4

-勢力争いを見せる際に、従来と違い同性愛など身体表現をフルに活用したあたり、自分の中では学びがあった。
-監督がお笑いに精通しているからか、他の映画監督に無い調子があって楽しめる。
-テーマの「首」に
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アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.6

「緊張が弾ける一瞬」「静と動」が表現された階段のシーンが素晴らしい

時計を遠巻きに撮るショット↔秒針の音(乳母車が階段を下る音)
の対比

赤ん坊の煩わしいほどの泣き声も良い

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

3.8

ミュージカルシーン(理想・虚構)と"現実"を語るシーンの暴力的な落差が魅力的

・"ステージ"から落とされるラストシーン

イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.5

360度ぐるぐるカメラを回転させて人物を追うショットが映画を説明していて良かった
単に人物をカメラが追いかけて(フォローして)いるのではなく、カメラに吸い付くように人物がフレームインしてくる為、カメラ
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ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)

3.2

ドキュメンタリー的手法と不安定の演出が全編通して行われている。

ドキュメンタリー的手法

1.ブレを強調するカメラ
2.広角レンズで撮られる映像
3.環境音の強調
4.長回しショット

不安定な演出
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.1

高速で行われるカットの切り替えや構図の変更により視線の変更を余儀なくされるため、とても目が疲れる

四月物語(1998年製作の映画)

4.0

画面一面に降り注ぐ桜の花びらや土砂降りの雨といった舞台やアニメのような過剰な演出も、全て物語上の記号として作用している。
例えば、
傘から滴り落ちる水滴をスローモーションで撮ることで、桜の花びらと重ね
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競泳選手ジャン・タリス(1931年製作の映画)

3.5

-飛び込んだ瞬間にカットを切り替える動きのマッチカット
-逆再生、スローモーション
-マッチトランジション

ロスト・ワールド(1925年製作の映画)

3.5

ドラマ部分と特撮アニメーションを上手く組み合わせて作られているが、やはり人物に比べ恐竜の動きが異質でリアリティが損なわれている。
ターミネーター(1984)のラストはこのストップモーションによる異質さ
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新しき土(1937年製作の映画)

3.4

原節子の顔と、鹿やアヒルなどの動物を交互に映すだけの無茶苦茶なモンタージュで、動物と会話出来る白雪姫的な日本人を演出しているのが笑ってしまった

ロイドの要心無用(1923年製作の映画)

3.9

|素晴らしき映像トリック

-余りにも有名な高層ビルを登るシーン
今を生きる我々が見ても足がすくむ感覚を覚えるのが、このシーンの凄いところだと思う

雪合戦(1896年製作の映画)

3.8

-30秒あまりの短い映像ながら起承転結があり、映画の基礎が詰まっている

-リュミエール特有の斜めの構図

-道の真ん中に大きな仮想のラインが引かれ、演者はそのラインを隔てるようにして雪合戦をしている
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ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

3.8

-山田家族の間の抜けた感じが、カットの間の使い方とキャラクターの動かし方で上手く表現されている(アニメらんま1/2の1話を思い出した)

-極限まで抽象化されたほぼ2等身のキャラクターをリアルで緻密な
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.6

-人物の表情だけでなく、細かな仕草や動作で心情を表現したり、誇張したモノの動きや質感を大胆に描写する事によってアニメーションの世界に実体を与える宮崎監督のアニメーション表現が詰まっている

-吹き出る
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

3.5

自分自身や色々な物事について、天国という別次元の超俯瞰で見通した結果、物凄く当たり前に存在しているモノの尊さに気付いたという話

-物語の大半が青く無機質な舞台で行われるので、打って変わってラストシー
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アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

3.1

-あるコメントで、今作は「アベンジャーズシリーズを全部観てきた人のご褒美」とあって納得した。

-「過去をやり直してもっと良い世界を作る」という手前勝手な考え方は、今実際に"バッドエンド"の世界で懸命
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インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

3.4

この作品は、トイストーリーの思想にとても近い

生きていないモノや目に見えない感情に命を吹き込み具現化する(擬人化)することで、我々がその対象に感情移入できたり適切なコミュニケーションを図る機会を与え
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インクレディブル・ファミリー(2018年製作の映画)

3.4

-現代における子育て問題を反映しており、「手が焼ける赤子(物理)」の子育てに奮闘するMr.インクレディブルはシュールで良かった

-各キャラクターの超能力を駆使して戦うという見せ場は前作でやってしまっ
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ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)

3.2

前作(ニモ)は『通常多くの子供を残す魚がたった1人の子供のために尽くす物語(魚が哺乳類的な価値観を獲得する物語)』であったのに対し

今作は、『記憶力にハンデを抱える主人公ドリーが両親を探す物語』とな
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