クレセントさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

クレセント

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風船(1956年製作の映画)

4.5

村上君から金を受け取る場合、どのくらい要求したものだろうね。勝つ人間のうしろにはいつも負ける者がひかえている。金のある家庭の人間は我々に薄情で、反射(?)の過程が入り組んでいるからわからないがね。都築>>続きを読む

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)

4.4

彼女はようやくビンラディンを追い詰めた。その居所を突き止めたのだ。このことがCIA長官に報告され、その会議に出席することになった。彼女がテーブルの席に着こうとすると上司から言われた。申し訳ないが君は後>>続きを読む

大統領の料理人(2012年製作の映画)

4.2

親愛なる大統領閣下。帰国されてこの手紙を読まれる頃、私は黒いエプロンを外し、官邸を去っています。そう決意したのは任務を十分に果たせなくなったからです。この2年間、喜びと共に仕事に身を捧げました。でも疲>>続きを読む

危険なプロット(2012年製作の映画)

4.0

君に文章の書き方を教えてあげよう。放課後、国語教師はそう言うと一人の生徒に向かって話し始めた。君ね、読者が常に期待するのは、例えば主人公が数々の障害を克服して、どう目的を達成していくかということなんだ>>続きを読む

愛を読むひと(2008年製作の映画)

4.0

マイケルたち法学部の学生はアウシュビッツの裁判を傍聴した。実習の後、授業では教授が解説をした。人は言う。社会を動かすのは道徳だと。でもそれは違う。社会を動かすのは法なのである。アウシュビッツで働いたと>>続きを読む

荒野の決闘(1946年製作の映画)

4.0

別れの一本道。そこでクレメンタインはワイアット・アープを待っていた。言いたいことは沢山あるわ。でもうまく言えない...。ええ、わかっています。この町に残って先生になると聞きましたが。学校の教師よ。それ>>続きを読む

スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

4.4

前代未聞のスクープはいよいよ佳境に入っていた。記事はこの日曜版に掲載される。だが取材を通して疲れ果てた記者たちはそれぞれの思いが交錯していた。高揚する者、慎重を期す者そして過去をさらけ出す者たち。聞い>>続きを読む

マージン・コール(2011年製作の映画)

4.1

明け方ニューヨークの街を高級車が突っ走る。彼のお気に入りのスポーツカーだ。有名な投資会社の彼は部下を助手席に乗せ自嘲気味に言った。この仕事を続けるなら自分の価値を信じろ。高級車に乗って豪邸に住めるんだ>>続きを読む

冷静と情熱のあいだ(2001年製作の映画)

4.0

彼女とはつかの間の愛だった。彼は言った。逢わなければよかった。約束なんかしなければよかった。それを聞いて彼女は涙を浮かべて言った。わたしは良かった。あなたに逢えて良かった。彼女が去ったあと、彼は何げな>>続きを読む

幸せのバランス(2012年製作の映画)

3.9

あのことは一度の過ちだった。そのことを妻に見つかると男は家を出た。妻や2人の子供から苛まれるのが辛かった。男は優しかった。しかしその優しさが彼を苦しめることになった。ただでさえ生活に余裕がなかった彼に>>続きを読む

とらわれて夏(2013年製作の映画)

4.0

あれから時は流れ、立派に成長したヘンリーは”手作りパイ”の店のオーナーになった。あるとき事務所に届いた一通の手紙の封を切った。懐かしいフランクからだった。親愛なるヘンリー。私を覚えているだろうか。共に>>続きを読む

クロワッサンで朝食を(2012年製作の映画)

3.9

彼女たちの住むところはパリのど真ん中。金持で気難しい年老いたフリーダは、家政婦のアンヌと昔通ったカフェに行くことを思いついた。久しぶりに歩くパリの並木道。店のドアを開けると皆が驚いた顔でこちらを向いた>>続きを読む

本当の目的(2015年製作の映画)

4.0

彼女は国境の職員にヤナの身分証を見せた。職員は彼女と写真を見比べた。髪は昨夜ヤナが切ってくれた。眼鏡もヤナが渡してくれた。やがて職員は身分証にスタンプを押すと彼女に渡した。彼女は微笑みそして国境を渡っ>>続きを読む

スリーデイズ(2010年製作の映画)

3.9

刑事は暗い駐車場で考えていた。外は土砂降りの雨だ。何かがおかしかった。だがそれがなんなのか思い出せずにいた。彼女は本当に殺人犯だったのか。彼女は何を言いたかったのか。それが思い出せずにいた。ふとコート>>続きを読む

手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.1

主人公は老人ホームに暮らす90歳になる老人。認知症を患っている。その彼がある目的をもってホームを抜け出た。始まりは平凡な老人ホームドラマ。しかしいろいろなことを教えられたサスペンス映画である。特に銃規>>続きを読む

大統領の恋(2009年製作の映画)

3.5

19世紀末のフランスは共和党のフォール大統領が政権を握っていた。この物語はその大統領が抱える画家の妻との愛憎劇がもとになっており実話となっている。盛んに登場するドレフュスという名前は、当時の政権下にあ>>続きを読む

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)

4.0

ドイツ軍の空爆により突然愛する人を失った。彼女はひとり部屋に閉じこもり泣いていた。もう映画の脚本を書く仕事を辞めるつもりだった。そこに年老いた俳優が勢いよくドアを開けて入ってきた。われわれにチャンスが>>続きを読む

新しい人生のはじめかた(2008年製作の映画)

3.8

彼は外で待っていた。約束を破ったことを詫びるために。彼を見て彼女は驚き怒った。しかし気持ちが落ち着くと話し始めた。簡単に言うとこうよ! 本当は人生あきらめて生きるほうが楽なの。あなたは私の楽な生き方を>>続きを読む

光をくれた人(2016年製作の映画)

4.7

男には身寄りがなかった。戦争が終わり彼は生き残った。しかし若くして両親を失っていた。そして何より生きる勇気を失っていたのだった。

だからだれも行かない島の灯台守の仕事を引き受けた。その孤独が何よりも
>>続きを読む

ヒトラーに屈しなかった国王(2016年製作の映画)

4.3

20世紀においてノルウェーは中立国であり立憲君主国であった。時の国王はデンマークから王子が迎えられた。王子はノルウェーのホーコン七世としてそれから35年君臨することになる。ちなみに立憲君主制の場合、専>>続きを読む

THE PROMISE 君への誓い(2016年製作の映画)

4.0

この物語は史実に基づいて作られたという。20世紀の初頭トルコ共和国がまだオスマン帝国時代に行ったとされるアルメニア人への大虐殺を描いている。主人公の若い3人の男女を通して祖国への愛と互いの友情とを交え>>続きを読む

われらが背きし者(2015年製作の映画)

4.0

彼はようやく本音を吐いた。あんたの人生を台無しにした。なのに何故まだここにいる?私は聞き返した。わからん。しかし何で私を選んだんだ?あの店には他に誰もいなかった。あんたしか居なかったんだよ。二人は打ち>>続きを読む

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.0

この主人公の辣腕女性ロビイストは観念したかのような表情で聴聞会に臨んだ。誰もが彼女の敗北を信じて疑わなかった。彼女は問われるままに重い口を開いた。しかしこれが彼女の究極の一手だったのである。

私はマ
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午後8時の訪問者(2016年製作の映画)

4.2

邦題は昔流行った「夜の訪問者」仕立てにミステリー風にしたかったのであろうが、内容とは趣きが違ってしまった。原題はLa Fille Inconnue (身元)不明な少女である。一人の若い有望な女性医師が>>続きを読む

ザ・レポート(2019年製作の映画)

4.4

米国上院の調査スタッフ、D.ジョーンズは逡巡した。この情報を新聞社に渡すべきかと。彼は確信していた。明らかにCIAはあの911は自分たちの責任であり2度と起こさせてはならないと思っていると。世界一の情>>続きを読む

キャロル(2015年製作の映画)

4.5

鏡の前で髪を梳(と)かしているテレーズ。それを見てキャロルは彼女に近づいた。ハッピーニューイヤー。テレーズもワイングラスを傾けて微笑んだ。ハッピーニューイヤー。夫婦だけの大みそかは一度もないの。主人は>>続きを読む

ニュースの真相(2016年製作の映画)

4.3

2004年アメリカのブッシュ大統領は再選を図るべく真っただ中にあった。その時CBSの女性プロデューサ、メアリー・メイプスはブッシュ大統領の従軍時代の疑惑を追っていた。ある確信が彼女にもたらされた。彼女>>続きを読む

居酒屋兆治(1983年製作の映画)

3.9

店は開店前だった。兆治はいつものように仕込みにかかっていた。ふと背中に人の気配がした。あいすみません。まだ開店前なんです。何気なく振り返った。そして驚いて目を見張った。そこには探していた女が座っていた>>続きを読む

金環蝕(1975年製作の映画)

4.0

石川達三による同名小説を今から45年前、昭和50年に大映が製作し東宝が配給した政界汚職を描いた作品である。内容はともかく、よくもまあこれだけのベテラン俳優たちを集めたもんだとまずは感心した。監督の山本>>続きを読む

疑惑(1982年製作の映画)

4.2

二人の女が酒を飲んでいる。ひとりは弁護士。もうひとりは保険金殺人で無罪判決となった女。先生、保険かけても1年以内に自殺した場合は下りないというのよ。そんなこと初めからわかってるでしょ。あんた弁護士でし>>続きを読む

砂の器(1974年製作の映画)

4.8

担当刑事はようやく探り当てた本浦を訪ねた。この写真の人に心当たりは?それを見て本浦は見る見るうちに体が震えだした。そして唾を飲み込むように言った。知らねえ。すぐに刑事は念を押した。どうなんです。今は立>>続きを読む

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(2015年製作の映画)

4.2

ついにバウワーはアイヒマンを捕らえた。モサドが協力をしたからだ。早速彼をドイツに引き渡す交渉が始まった。バウワーは州政府の首相から呼び出しを受けた。バウワー、申し訳ないがドイツ政府は彼の引き渡し申請を>>続きを読む

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

3.9

夫は言った。僕は出ていく。それが利口なやり方かしらね。妻が横から口を出した。傷つきレイプされた妻が命懸けで戻ったら夫に捨てられるなんて世間が知ったら、あなたは破滅だわ。誰も相手にしないし、私があなたを>>続きを読む

チェンジング・レーン(2002年製作の映画)

3.8

彼の上席弁護士が口を開いた。君が無くしたという委託書にはサインがあった。そうだろ?その権利委託書は全部で8ページだ。ところでここに本人の遺言書にはサインがある。全部で10ページだ。そこでその委託書の後>>続きを読む

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)

4.4

私たちの組織は表向きには存在しない。情報機関の仕事は憲法が許さない領域があるからだ。ゆえに我々は目立たぬようにして、町の雑踏に紛れ込む。情報源は努力して見出す。そのためには彼等の友になり、兄弟や恋人に>>続きを読む

ナイロビの蜂(2005年製作の映画)

4.0

作者は日ごろから園芸を嗜み、心優しい穏やかな”ありきたりの””外交官を主人公に仕立て、それに公然と立ち向かう若くて、美しい女性活動家
にこう言わせた。

貴方は外交官というが、英国は国連を無視して誰の
>>続きを読む