彼は外で待っていた。約束を破ったことを詫びるために。彼を見て彼女は驚き怒った。しかし気持ちが落ち着くと話し始めた。簡単に言うとこうよ！ 本当は人生あきらめて生きるほうが楽なの。あなたは私の楽な生き方を奪おうとしているわ。
その時突然母親からの電話が鳴った。ママ後にして！今大切な話をしているところなの！ それを聞いて彼は言った。君は僕と話したくて後回しに？ そうならもっと嬉しそうな顔をしてくれないかな。彼女は泣き笑いしながら言った。それって出会ったときのセリフね。私たち本当にうまくいくと思う？ まるで見当がつかない。でも頑張る。約束するよ。そして二人はしばらく黙った。彼女は決心したように言った。散歩する？ ふたりは並んで歩き始めた。
突然彼女は立ち止まり履いていたハイヒールを脱いだ。そして彼と腕を組んで歩き出したのだった。そういう彼女の横顔を見て彼は言った。君って本当に僕好みの女性だね。何もかもダメになったときに出会った二人。でもそういう時って何か新しいことが始まるとき。臆病でもいい。恐々（こわごわ）でもいい。とにかく始めて見れば？ この映画はそんなことを言ってくれた。
