LudovicoMedさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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栗の森のものがたり(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

《朽ちてく時間に閉じ込められた者は死者と遭遇する夢を見る》

このタイトルからは想像もつかない謎のクラクラ感といい、忘れられない観念的ビジュアルでもって難解げな過去と現在の同化をいとも簡潔に体験させて
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ナポレオン(2023年製作の映画)

4.2

《リドリースコットのカタルシスのない超大作から見る救いようのないこの世の暴力性》

定期的に安定感どころかシネフィルの知的心くすぐる洗練されたハリウッド映画を放つリドリースコット。とにかく衰えが見えず
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エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

《残酷な選択肢を突きつける、エクソシスト変則的続編》

首を長くしてどれだけ待ち続けたことか、やっとこさ公開されました。と、思ってるのは俺ぐらいか?もう2年は前くらいにあの『エクソシスト』がブラムハウ
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(2023年製作の映画)

3.1

《たけし軍団的笑いに乗っ取られたアドリブ無法地帯》

「どうも、ジャニー北野川です」と大胆な風刺発言で会見を沸かせた北野武が『アウトレイジ 最終章』から早6年、久々に映画界に帰ってきた。しかも相当な制
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.1

《もしも殺してくる目的の男とあなたが出会ったならば、?》

毎回、精度の高い映画を放つデヴィッドフィンチャーの最新作が到着した。近年『ゴーンガール』『Mank』ときてますます鬼才の風格強まるフィンチャ
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マーベルズ(2023年製作の映画)

1.5

《ドタバタコメディとして堅実な造りではあるが、、、》

『ガーディアンズオブギャラクシー3』が久々に傑作だったMCUだがフェーズ5は映画世界の拡張に力を入れてる印象がある。スペースオペラとはまた別の角
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悪魔の追跡 4Kデジタル・リマスター版(1975年製作の映画)

3.5

《ラスト20分がスゴイ!VSでも残り1時間が退屈》

このインチキくさい邦題と猥雑な香りからお察しの通り如何にもビデオ店員時代のタランティーノが喜んでそうな、70年代の車モノプログラムピクチャーだ。も
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

3.7

《生に喪失した俺を救い出した女との出会い》

コアなサブカルチャーこそ最先端でオシャレと認識された90年代、ミニシアターにもブームが広まったそうでその波に乗っかりヒットを記録した。当時はちょうどニュー
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雨月物語(1953年製作の映画)

3.4

《庶民の自分からしたら耳の痛い怪談版芝浜》

日本が誇る世界の溝口による代表作で、その偉大さは海外での反応がより顕著に盛り上がっている。カイエデュシネマが年間ベスト一位を与え、マーティンスコセッシの胡
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.6

《スコセッシ渾身のビジネス恐怖目線に見る鈍感な加害者》

まるで引退宣言のように終活映画だった『アイリッシュマン』を撮ってなお衰えを感じさせない尺とキャスティングで大長編を完成させた。当然のように楽し
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.0

《紋切り型フル稼働で完成させた今年一スケールのSF超大作》

『ローグワン』以来名前を聞かなくなったギャレスエドワーズが新作を発表した。さして話題になってない様子からこじんまりしたSFかと思ったらとん
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カジノ(1995年製作の映画)

4.7

《欲望に溺れ消えていく者と全てを手に入れたが、欲望が見えない者》

スコセッシの大長編がついに公開にあたり、本作で気分を高めた。映画監督はたびたび新たな文法を開発すると、それをブラッシュアップさせたバ
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.2

《アケルマン時間で覗き見るこれぞ、電波少年的主婦の3日間》

昨年のシャンタルアケルマンのリバイバル特集からというもの、とにかく『ジャンヌディエルマン』の存在感が話題となり再評価の嵐だった。終いには英
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クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

2.2

《特典映像の延長線上ではあるが、サクッと総括には持ってこい》

恐らく『ワンスアポンアタイムインハリウッド』公開直前を記念に作られたと思しきタランティーノドキュメンタリー。彼の偉業の数々は比較的語られ
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死霊館のシスター 呪いの秘密(2023年製作の映画)

2.3

《騒音みたいなジャンプスケアだらけで耳が痛い》

れっきとしたユニバース構想のフランチャイズとして扱いが広まってきた『死霊館』シリーズ。そのスピンオフのパート2となる。どうも当たり外れが多いフランチャ
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.5

《キツい現実に対抗する想像力で救われる事と救われない事》

午前十時の映画祭のプログラムでやっと観ることができた本作。アートハウス映画の傑作として色んなところで名を聞くが、はたしてどんな映画か。
本作
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戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

4.0

《POVのライブ感を極限まで極めた阿鼻叫喚》

かれこれ10周年を迎えた怪奇現象ハンターの番組が劇場版で帰ってきた。「今度のは怖えーぞ」の熱量でお馴染みコワすぎ!シリーズ。もはや恐怖体験以上にまるでこ
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ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.0

《死の気配を感じる恋の予感》

ザッツボーイミーツガールな映画かと思ったらドンドン特異なバランスに崩れていき、そういうノリの後味にしちゃうかあ。
ある意味ミイラ取りがミイラに的発想をこういうボーイミー
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

《メルヘンな世界で蓋を閉じたヘビーな妄念》

予告編の段階では、ミニチュア撮影の世界を箱庭化させたような良くも悪くも平常運転ウェス手数映画を思わすものだった。なんせ『フレンチディスパッチ』でもうやり尽
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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

4.2

《画面、バイブス、物語全てがこれぞヒップホップな映画》

映画館にある公開予定映画用のフリーペーパー?チラシのビジュアルセンスが抜群にカッコよく、どうしようもなく観ておきたかった作品。
というのも印刷
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.1

《子曰く、感情は安っぽい言い訳、フリの方が真実に近い〜恋愛群像劇》

流れる水は同じ水にあらずみたいな『マグノリア』に比べるとかなり、すれ違いざまのドタバタ恋愛簿といった具合に上流や下流から雪崩れ込ん
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ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

《メディアによる誘惑と洗脳》

デヴィッドクローネンバーグの最新作到着を記念して奇怪な大傑作『ビデオドローム』が映画館にやってきたー。クローネンバーグの80年代はどれもギラギラしており驚愕の特殊メイク
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

《内なる混沌に潜り込むクローネンバーグのシン進化論》

鬼才デヴィッドクローネンバーグの待ちに待った最新作が今年ついに公開。カンヌ映画祭コンペ部門でいち早く公開された話題もあって喜びに期待したファンも
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

《夢見る田舎娘の情景がエクスプロイテーションに飲み込まれる歪んだ高揚感》

古き良きホラー映画のオマージュたっぷりに脱構築を試みるタイウェスト監督三部作。プリクエルとしての本作だがこの手の立ち位置はス
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.1

《良い子を寝かしつけるための怖ーいおとぎ話がプロパガンダだったら?》

目を見張る予告編でとんでもないアングラ映画がやってきたな、と要チェックしていた一作。まるでこの世のストップモーションアニメとは思
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(2021年製作の映画)

4.0

《ガイマディンの呪われたフィルム再現に次ぐ100年前を現像プロジェクト》

この世のストップモーションアニメとは思えない『オオカミの家』がアングラ界隈で注目されてる中、それの付録として上映された短編作
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Dominion: Prequel to the Exorcist(原題)(2005年製作の映画)

3.8

《お蔵入りとなった幻のポールシュレイダー版エクソシストプリクエル》

大好きな映画もそのプロットを繰り返して4回目にもなれば分が悪くなり中々擁護できない作品が造られてしまう。『エクソシスト』も例に漏れ
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アンチクライスト(2009年製作の映画)

4.2

《トリアーの精神状態が創り上げたかまってちゃんホラー》

激安レンタル落ちバーゲンで色々購入してきた中、この際じゃないと二度と見返さないであろうトリアー作品もゲット。初見時は当然ながら衝撃だった。不幸
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

《どこまでも否定される純愛が自分自身も毒された時、不安は魂を食い尽くす》

ダグラスサークの『天が許し給うすべて』に惚れ込んで以降ファスビンダーはメロドラマにのめり込み、その路線の代表作とされるらしい
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

5.0

《ヴェロニカフォスが見た想像を絶する病理と現実へ連れ戻そうとする男の世にも珍しい白いフィルムノワール》

通算41本もの映画を制作しついにベルリン映画祭で金熊賞を受賞した本作。生まれて初めて映画をジャ
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バービー(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

《あまりにぶっ飛んだ風刺、ぶっ飛んだスクリューボールコメディで訴える全員の自己肯定》

やっぱり『オッペンハイマー』が観たい!という気持ちでいっぱいだった上映開始前まで。当然、そっちが観れない代わりに
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ミンナのウタ(2023年製作の映画)

3.8

《久々に調子のいい清水崇監督ミンナの夏休みホラー》

日本が世界に誇れるジャンルのJホラーだったはずなのに、現在ではまるで活気がなくなった。一種の流行的にもてはやされてたのもあるために、段々と食傷気味
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

《残酷を理解してない頃の無邪気さほど怖いものはない》

『わたしは最悪。』でアカデミー賞脚本賞をノミネートしたことだけは覚えている脚本家がメガホンを取ったとのサイキックホラー。超能力とか関わり出すとま
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

2.0

《メイキング映像の方が見たい説》

『オッペンハイマー』がBANされてる今年の夏休み洋画はトムクルーズが盛り上げてくれそうだ。なんてお祭りムードに水を差すが如くまさかまさかの本国ストライキ騒動によりフ
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

《何かを待ち続け消費するだけの無限地獄を彷徨うことでしか俺は報われないのか》

『タクシードライバー』の脚本家オッサンでお馴染みポールシュレイダーが今度はムショ上がりのカジノギャンブラーの話を監督した
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

《シンプルで難解、わかりづらくて単純に翻弄してくる極私的大衆向け映画、って毎度のことじゃね》

懐かしの社会現象の夏が帰ってくる。か?引退したはずの宮崎駿が現役復帰してまで創り上げた最新作というこの上
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