たつさんの映画レビュー・感想・評価

たつ

たつ

浮き雲(1996年製作の映画)

4.2

初カウリスマキ。面白い、リストラされた夫と、レストランを買収され解雇された妻の貧困夫婦。組んでいたローンもそのままに職を2人とも失う。

貧しさを描く点でケン・ローチっぽさがあるけれど、そこまで悲壮的
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モダン・タイムス(1936年製作の映画)

4.4

面白い。ネジを捻るだけのルーティンワーク、大量の労働者、自動化されそうな食事。効率至上主義のために非人間と化していく。

病院や刑務所に入っている時間の方が豊か、パンを盗んだ女性と貧しくも慎ましく過ご
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蛇の道(1998年製作の映画)

4.5

再鑑賞。復讐するという目的のために誰もが犠牲となっていく。ウン千回とこの復讐をやっていそうな哀川翔の作業感、壁に張り付けられる「容疑者」全てが堪らない。

復讐に囚われた香川照之と『蜘蛛の瞳』の復讐を
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処女の泉(1960年製作の映画)

4.8

再鑑賞。果たして今作が描いたのは信仰心の強さか、もしくは信仰心の虚無性か。親に寵愛される娘が強姦され殺害される。

オーディンに祈りを捧げるインゲリと、キリスト教への信仰が強い一家。娘の悲劇は異教の呪
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ミシシッピー・バーニング(1988年製作の映画)

4.1

面白い。黒人への差別が強かった60年代南部、黒人と白人が話せばKKKによる報復を受ける。失踪した3人の公民権運動家の調査に北部からやってきたデフォー。

白人が殺し、白人が裁く。黒人に事件が起きようが
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摩天楼(1949年製作の映画)

3.8

自分の建築技術を他者に変えられる盗まれる、権威や技術の独り占めは許しませんよ。という事実に怒る天才建築家って感じなんだけども、まぁ何が言いたいんですかって感じだったな

原爆の子(1952年製作の映画)

4.1

原爆投下から7年後に作られた映画、建物は復興できても被爆した人間の傷は癒えないという原爆が後世にも与える影響を描いている。

大人によってもたらされた破滅の結果と、それとは無関係そうに無邪気で悲しみの
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ある戦慄(1967年製作の映画)

4.5

かなり面白い。夜中のNYの地下鉄、走る密室で様々に問題を抱えた人物達がチンピラ2人に脅されていく不条理。他人の不幸を遠くから眺めるSNS時代を刺すようなテーマ。

事勿れ主義、波風を立てないように生き
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.2

面白い。寝て起きると記憶があやふやで亡くなった妻の名前を呼ぶ老爺、ナチスに家族を殺された友人と自分で存命のナチスの兵士「オットー・ヴァリッシュ」への復讐を計画する。

友人は不自由なために自分1人で旅
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ワイルドバンチ(1969年製作の映画)

4.3

かなり面白い。強盗団ワイルドバンチがメキシコのマパッチ将軍と対立する。単純に独裁者を倒して街を解放する話ではなく、マパッチと共に強盗したりする。

とにかくラストの銃撃戦が白眉。強盗団が仲間のために戦
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可愛い悪魔(1982年製作の映画)

3.8

そこそこ面白い。欲しいものは殺してでも奪う小さい女の子。新婦のベールを欲しがって窓から突き落とす、先生の人形のために先生を川から落とす。

欲がそのまま加害に向かう無邪気なinnocent、和製エスタ
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極道恐怖大劇場 牛頭(2003年製作の映画)

4.3

超面白い。突如として死んだ哀川翔のアニキの死体が突如として消えて、探し回る話だけれど出てくるキャラが滅茶苦茶、話も滅茶苦茶でバカ笑い。

牛の頭の男に顔を舐められ、母乳を搾る女将に、ヤクザ映画だけれど
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

科学の成功によって生まれたのは新たな兵器か、新たな世界か。軍拡の緊張と恐怖によって米国は世界の崩壊の火蓋を切ってしまった。

戦争の抑止力という名目、ソ連やナチスを先越したいという欲求で日本に勝った。
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ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.9

欲望を抑圧し夢と現実の結合を目指すプログラム、3人で島に暮らし夢を共有する。
夢を現実化させるっていう名目から、フロイト的に言えば欲望が夢に現れるわけで結局欲を断ち切れてねぇじゃねえかという。

集団
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攻撃(1956年製作の映画)

4.2

戦争映画にして戦争に向かう軍というある種の社会の恐怖、援軍を送らず下等兵を無駄死にさせる無能な大尉とそれを咎めない大佐。無駄死にした部下たちの復讐を始める。

1956年当時としては米軍は戦争を終わら
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田園に死す(1974年製作の映画)

4.2

面白い。空気入れで太る女性や小人症の男、変なサーカス団がいる田園の町で母親を嫌う少年。という映画監督の過去。過去を映像化することで過去は見世物化・虚構化する。

エロティックで煩雑で奇抜な田舎が虚飾さ
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ヴァンパイア/最期の聖戦(1998年製作の映画)

4.3

面白い。ヴァンパイアハンターズの男たち吸血鬼を殺して打ち上げをしていると、突如として大男の吸血鬼が現れほぼ全滅。

最初のヴァンパイアであるこの大男、蘇った理由は枢機卿が不老不死を願ったから。魔の存在
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.7

アトレイデスの話よりも全然ハルコンネンの話の方が気になる。非常にジョンウィック4と近いような感覚を得た。気に入らんやつは殺しちゃうジョンウィックよりドニーイェンの方が気になる!それと同じです。

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

4.4

かなり面白い。見えない神(創造主)を信じる人間と、自身の神が見えているアンドロイドの生存競争。アンドロイドが禁忌を犯す。

人間が利便性のために作ったアンドロイドがエイリアンを作り新たな神となる。『ブ
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プロメテウス(2012年製作の映画)

4.3

面白いです。人間を創成した創造主と、人間が創成したアンドロイド。もっと言えば神と人間と消費物。神が無責任に創った人間が無責任に物を創る話

人間のエゴイズム、死に瀕するような状況においても科学と発見を
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センチュリアン(1972年製作の映画)

4.5

傑作。街のみんなに嫌われながらも治安を守る警察たち、街は守れるが自分自身や家庭は守れない。勤務の時間で家庭の時間を作れない、逮捕のために肉体は削れてく。

空き巣を捕まえ、虐待された赤んぼを助け、ゲイ
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SF核戦争後の未来・スレッズ(1984年製作の映画)

4.4

凄い。濃密な映像、画面から煙と火の匂いが感じれるほどのリアリティ。イランを巡って米国とソ連が衝突、英国も巻き込まれてしまう。

ニュース音声でイランの状況や米ソの対立が報道される中、誰も耳を傾け無かっ
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エイリアン4(1997年製作の映画)

3.9

面白い。クローン生成されたシガニー・ウィーバー、体内にいたクイーンは子宮を得て新たな生命体を産み出した。エイリアンが人間に近づいてゆく恐怖と、一方でエイリアンと人類の交換可能性が描かれている。

「研
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たたり(1963年製作の映画)

4.0

面白い。丘の上の幽霊屋敷に調査を行う学者。幽霊が出てきたり襲ってくるわけでもなく屋敷自体が怖いという話で、幽霊や超常的なものを信じない学者に現れる不可思議

あまり怖くないけれど、ドアを叩かれて精神面
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冬の光(1962年製作の映画)

4.4

信仰心の脆弱性を描いた傑作。妻に先立たれた牧師の元へ中国が原爆を作るニュースを見て原爆への恐怖を抱えた男とその妻が祈りを求めてやってくる。

妻が死んだことで信仰心に懐疑心を持っていた男にとって、原爆
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ホームワーク(1989年製作の映画)

4.1

面白い。キアロスタミがひたすら子供達の宿題の状況、家庭やアニメについてインタビューするドキュメンタリー。子供への抑圧と教育の実態、親の厳しい態度が見える

テストで点数低かったら叩かれる、高くても褒め
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(1955年製作の映画)

4.3

面白い。聖職者として信仰心の強い村人の元に訪れ、信仰心をダシに使いお金を稼ぐ3人組。ピカソは妻にプレゼントし、オーギュストは娘と映画館へ行く。

ピカソは妻にバレて見限られ捨てられてしまう。オーギュス
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.8

夫を失い子供を持つとあるシングルマザーの日常、芋を蒸かし、息子とご飯を食べ、喫茶店ので珈琲を飲み、男を部屋に招きお金を貰う。

ルーティン的な日常の循環が1つのミスでドミノ倒し的に歪みが生まれていく。
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デモンズ3(1989年製作の映画)

3.8

おもしろかったです。フルチの映画のような支離滅裂感、何が面白いのかよく分からないけど絵面がとにかく面白い。それだけ

ルトガー・ハウアー/危険な愛(1973年製作の映画)

5.0

傑作。物語が進むにつれて「2年前」という字幕と、女を取っかえ引っ変え抱いているルトガー・ハウアーの姿が残酷に感じる。

奔放的で淫靡な2人の純愛、それを支えるのは彼女の父だけ。
死ぬほど愛し合って、急
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傷物語I 鉄血篇(2016年製作の映画)

4.0

面白いけど、ひとつの映画としてのエピソードを作る気がサラサラない気がしましたん

デッドコースター/ファイナル・デスティネーション2(2003年製作の映画)

3.7

面白かったです。ご都合主義的に動き始める不都合な死のギミック。

管理体制甘すぎるだろ!とツッコミたくなる都合の良さだが、都合の良さゆえの不都合。

地の群れ(1970年製作の映画)

4.5

面白い。原爆の落とされた長崎、被爆者部落と被差別部落、朝鮮と日本、米国と日本、被害と加害の互換性が上手く描かれている。

部落差別が根深いムラ社会の不快感と、差別されたものたちの逆襲の恐怖。差別を受け
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ナイト・タイド(1961年製作の映画)

4.0

彼女は人魚かもしれないという疑心暗鬼から、見えないものを信じなかったデニス・ホッパーがどんどん嘘と思いながらも恐怖に狼狽えていく映画。

結末がよくわかんなかったかも

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.2

面白い。愛され庇護される息子としての同一性を捨て、自由に飛びまわるスパイダーマンとして生きる。

別次元のスパイダーマンのコミュニティは犠牲を伴う。自由を抑圧されるならば、責任よりも庇護を望む。家族と
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