寂々兵さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

寂々兵

寂々兵

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女医の記録(1941年製作の映画)

3.7

医者のない集落に研修で訪れた女医たちの数日間の記録。と聞くと否が応でも上小阿仁村みたいなのを想像してしまいがちなんだが、そこは清水宏、村人たちの物分かりが異様に良く、柔らかく物語が進む。田中絹代と佐分>>続きを読む

オックスフォード連続殺人(2008年製作の映画)

3.1

イグレシア流"屋上の死闘"は本作でも健在でゲラゲラ笑ったが、サスペンスとしては凡庸。引越し早々2人の年上巨乳美人に翻弄されまくってるイライジャ・ウッドが羨ましすぎて血反吐を吐いた。

カリカゾク(2013年製作の映画)

-

登録されてて笑った。スタッフを務めた某短編映画祭にて。細かい部分は覚えてないが、『かしこい狗は吠えずに笑う』にチョイ役で出演していた仁後亜由美がぶっ飛んでて最高だった記憶がある。

さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)

3.5

数十分で作り上げたような表層的なエピソードをちょっとずつ絡ませただけの何ともない映画だが、終盤でマエアツに『月のあかり』を歌わせたのにはグッときた。それに重ねて、各々絡み合った人たちが朝を迎えて別々に>>続きを読む

テリトリー・オブ・ゴッド(2010年製作の映画)

2.4

メガネのオッサンがセックス→犯罪→収監→粛清を繰り返してるだけの凡庸なギャングもの。アンドレス・ルケ・ペレスの『雑魚』という映画があるが、この映画の登場人物たちも雑魚っぷりでは負けてない。史実物に凡庸>>続きを読む

不運(1960年製作の映画)

3.8

とことん不運なオッサンの自叙伝。不運というよりは欲望に忠実すぎたがために引き起こされた必然の不幸で、故に絶妙な悲喜劇と化している。ハチャメチャに面白いが、中盤以降のサイレント喜劇的な動きがちょっとくど>>続きを読む

鉄路の男(1957年製作の映画)

3.8

ハードコアなジジイの最期の矜持。社会派サスペンスとしても秀逸。この老練な映画を26歳が撮ったという事実に畏怖を感じざるを得ない、恐るべし傑作。ポーランド、列車の映画が多くて最高。

ざくろ屋敷 バルザック「人間喜劇」より(2006年製作の映画)

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止め絵かと思ったら微妙に影やら陽の光やらが動いていて痺れる。志賀廣太郎のナレーションが心地良すぎて始終睡魔との戦い。

好奇心は猫を殺す(2006年製作の映画)

3.7

地方都市の高級マンションで発生した奇怪なイタズラが殺人事件に発展していく群像劇、ということで『恐怖分子』みたいなのを作りたかったんでしょ?甘い甘い、と言いたくなってしまうのは否めないが、これはこれで結>>続きを読む

消えたシモン・ヴェルネール(2010年製作の映画)

2.8

生徒の行方不明事件を発端として、学生たちがあれやこれやと妄想を勝手に膨らませていく話。ガス・ヴァン・サントの再来とか言われてるらしいけど、単に『エレファント』を今流行の日常系ミステリに置き換えただけじ>>続きを読む

下宿人(1926年製作の映画)

3.2

言わずもがな面白い。そして誰も脱いだりしないのだが妙にエロい。ヒロインのデイジーちゃん、シルヴィア・シドニーに顔立ちもキャラの立ち位置も似てて、往復ビンタかましたくなるくらいの呑気さ。

予告犯(2015年製作の映画)

2.7

メディアが大衆を扇動する、本当に怖いのは大衆、みたいな話は媒体が大きく変化しているだけでフリッツ・ラングが100年も前にやっているので今更やられても寒いだけ(モンスター映画における「本当に怖いのは人間>>続きを読む

激しい季節(1959年製作の映画)

3.2

身も蓋もないことを言ってしまえばそんなに面白い映画ではない(特に後半)んだが、未亡人役のエレオノラ・ロッシ・ドラゴが素晴らしすぎて釘付けになる。『女性上位時代』がカトリーヌ・スパークを堪能するための映>>続きを読む

ニューローズホテル(1998年製作の映画)

2.8

日本がこうもデタラメに描かれる(それで成立している)映画もそうそうあるもんじゃない。大筋以外はさっぱりワケが分からないが、アーシア・アルジェントの騎乗位が拝めたので概ね満足。

ムーンライティング(1982年製作の映画)

3.8

家をリフォームする合間に万引きしてるだけの映画。ポーランド社会主義の夜明けを労働者で例えた悲喜劇だが、そんなややこしいこと考えんでもめちゃくちゃ面白い。ジェレミー・アイアンズから漂う中間管理職的な悲壮>>続きを読む

23年の沈黙(2010年製作の映画)

3.5

これはなかなか。少女失踪事件を皮切りに昔の事件がフラッシュバックされ、当時と現在の関係者、遺族、犯人、警察が適度に交わっていく。安易にどんでん返しを用意したりせず、またヒントだけを提示して解釈を視聴者>>続きを読む

疑惑(1982年製作の映画)

4.0

これにはたまげた。弁護されている立場の桃井かおりが弁護士の岩下志麻に罵詈雑言を浴びせかけるわ、裁判長に悪態つくわ、法廷に召喚された鹿賀丈史に殴り掛かるわでぶっ飛びすぎ。志麻さんの方も「死刑になれば?」>>続きを読む

砂の器(1974年製作の映画)

3.7

今更語るまでもなく「圧巻」の一言なんだけど、個人的には何かと比較されがちな『飢餓海峡』の方が鬼気迫る傑作。役者の演技も桁違い。丹波哲郎はコートをすり減らしながら真相を追い求める人情刑事の性質じゃないな>>続きを読む

鬼畜(1978年製作の映画)

3.4

現在持て囃されている「天才子役」たちを批判する材料として、よくこの年代の子役の対称的な演技が取り上げられるが、こちらはこちらで「純朴」と持て囃すには棒演技が過ぎて無理がある。虐げられている立場なのにま>>続きを読む

オフィスキラー(1997年製作の映画)

2.6

シリアル・キラー物でもなく、ホラーやコメディ色が出るでもなく、合間に挿入されるドラマも薄っぺらく、オチもカタルシスもないという、こういう中途半端なのが一番困る。キャロル・ケインの変人演技は凄まじいが、>>続きを読む

おやじ男優Z(2013年製作の映画)

2.5

「どん底」と称している割には住むところも妻も友人もあるという、いまいちどん底感に欠けるオッサンたちの話。表層的でくだらないが、昭和の人情喜劇的な趣もあって無下にできない味わい深さがある。映画(フィクシ>>続きを読む

彼らについて(2014年製作の映画)

4.3

縁があって仕事で観たのだが、人生ベスト級のロマンス映画だった。女って怖いねえ、と言いたくなるような紋切型のドロドロ劇、愛憎、嫉妬、悶着一切なし。あくまで台本の存在しないフリーシナリオのように自由恋愛を>>続きを読む

ステップフォード・ワイフ(1975年製作の映画)

3.4

ステップフォードの住民がほんのりと狂っており、引っ越してきた人妻が原因究明に奔走する話。ところどころベルイマンっぽい。ブライアン・フォーブスの手堅く頭の良い(ダラダラした)作りに安心しつつも終盤の超展>>続きを読む

78回転(1985年製作の映画)

-

アコーディオンの優雅な音を背景に、ある物が別の物に変化したり、カメラが引いたら巨大な物の一部だったり、回転したりする。シュヴィツゲベルのアニメーションは視覚的な快楽と遊び心が入り混じった詩情的な作品が>>続きを読む

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

3.4

グエムルの初お目見えのシーン、海からザパーンと出てくるんではなく、白昼の河川敷だか堤防だかの細い道を静かに迫ってくるショットでツカミ大成功。グエムルをアトラクションの一部のように捉えたバスの中からの画>>続きを読む

地獄のモーテル(1980年製作の映画)

3.1

『悪魔のいけにえ』系譜の家族愛ホラー。ゾンビへのオマージュを生身の人間で捧げてしまう大胆さ。旦那を亡くしたばかりの美女が主役の人肉親父に惚れこんで結婚を申し込んだり、全然顔を隠す必要のないシーンであえ>>続きを読む

ディアトロフ・インシデント(2012年製作の映画)

3.2

北野武が狂言回しを務める某番組のトムラウシ山遭難事故の再現VTRに触発されて。あんまり踏み込んだ描写をしてロシアを怒らせないように方向性を随時調整していったら、意外と整合性が取れちまいました、みたいな>>続きを読む

八日目(1996年製作の映画)

1.1

ゴミ。醜悪。人生ワースト級。健常者だろうが障害者だろうが、周りに理解されないからといって堂々と犯罪を犯す・周りに迷惑をかける人間に天使も仏もあるか。それは単なる「傍迷惑なバカ」に過ぎない。柴田剛『おそ>>続きを読む

みんなのしあわせ(2000年製作の映画)

3.7

当人以外にとってはどうでもいい争いを無駄に壮大なスケールで魅せる天才イグレシア。これもたまたま大金を手にしてしまったオバサンが住民の妨害をかいくぐってマンションから脱出するだけの話なのだが、近所のオバ>>続きを読む

ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト(2002年製作の映画)

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ルパン一味の取材を行う記者に対し、次元が5人の邂逅を語るという話。各テレビスペシャルにおいては5人のうち1人のキャラがフォーカスされがちなのに対し、各人各様の生き様が描かれているところが最高に痺れる。>>続きを読む

エゴイスト(2001年製作の映画)

3.2

「大事なものは近くにありすぎて気付かない」というクソベタな教訓を、アンディ・ガルシアが1時間40分かけて色んなことをやりながらようやく認識する話。ミック・ジャガーがとてつもない胡散臭さを始終身にまとっ>>続きを読む

ビリディアナ(1960年製作の映画)

3.6

敬虔な修道女が女たらし、ホームレス、障害者、キチガイなどに絡まれていくうちにみるみる堕ちていく映画。ブニュエルだし、堅苦しい宗教映画かな、と思って臨むと泡を噴く。映画史に残る地獄の饗宴。

ジェーン・バーキン in ヴェルヴェットの森(1973年製作の映画)

3.1

古城、凶暴なオランウータン、不気味な猫、地下通路に蝙蝠、秘密を握っている婆さん、わけありなイケメンと「いかにも」なギミック(ほぼ意味のない)が揃ってる館ホラー。クローズド・サークルでもあるまいに、誰一>>続きを読む

狙撃者(1952年製作の映画)

3.8

女嫌いのオッサンが女性に揶揄されたり叱咤されたりするたびに撃ち殺していくだけの映画。アーサー・フランツの偏執狂ぶり、『10番街の殺人』のジョン・ハートに比肩する常に何かに怯えて孤独で居る佇まいがヤバす>>続きを読む

青春残酷物語(1960年製作の映画)

3.0

満たされない青春のエネルギーを社会へ向け、無関心な社会がそれを無情に捻りつぶす、つまるところ若者にとっては「やることが見つからない」というのが最も残酷だという話。大島渚では12番目くらい。

愛の亡霊(1978年製作の映画)

4.1

野獣にしか見えない藤竜也(37)と女学生にしか見えない吉行和子(42)の淫猥怪談。吉行和子の半端ない色気、セックスアピールが画面を通して匂ってくる。猜疑心漂う村人に対する絶叫、土の臭さと井戸、痴情殺人>>続きを読む