oqmrさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

少年と砂漠のカフェ(2001年製作の映画)

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ベンヤミン謂く「ある芸術の社会的意義が減少すればするほど、公衆の批判的な態度と享受的な態度がお互いに分離する。」らしい。イラン映画には本作のような実際的な、現在進行形の問題を知らしめるという目的がある>>続きを読む

シーリーン(2008年製作の映画)

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この「思いつき」に1時間半の尺は値するのか?という問いに対して、「否」とは言えない。実際退屈を誘うかと問われれば、想定されるほどではないと答える。
 それでも「こんな映画があって良いのか」と劇場の中の
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ホームワーク(1989年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

驚くほど怖がりで、泣き虫な例の男の子について。当たり前のことだが、暗室で大人何名かと、デッカい機材に対峙させられ自分の過失を咎められたら、普通の小学生なら平穏を保つことはまず不可能で、他の子供はよく平>>続きを読む

ヴィクトリア(2015年製作の映画)

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「前編カットなし」と「前編カットなし、なように見えるようにうまいことデジタル加工してカットの継ぎ目を加工された」映画の違いは2017において違いはほぼないように思える。カットがないことが重要じゃなくて>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

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観光客は「部外者」だ、「闖入者」だ。
未だ伝統的な生活を営むクルドの村の珍しい葬式の風景を撮影する為、老婆の死を待つクルーたち。実際誰かが死にそうになると必死に助けを求めれる善良さ、と実際老婆が死ぬと
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世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)

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うーんミュージカルなのに歌のシーンを全部早送りしたくなるという致命的な欠点。歌が始まると映画を止めたくなるぐらい辟易とした。何故だ。歌でキャラクターの感情を表現するより断然普通にしゃべらしたほうが面白>>続きを読む

ピアニスト(2001年製作の映画)

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厳格でありながら娘に依存する母親によって精神を歪められた中年のピアノ教師の情事をハネケのあの静的なカメラで切り取る。ジャケットにもなっている純白のシーンがかなり印象に残った。
あのトイレは白以外では
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ミューズ・アカデミー(2015年製作の映画)

4.5


カフェ「学生」が全てだと思う。ありとあらゆる画面でガラスが鏡となりカメラを想起させる。「そうか、これは撮影されたものなのだな。」と考えずにはいられない。その悟りは幻滅かもしれないし、こんな美しさがこ
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ぼくの伯父さんの休暇(1952年製作の映画)

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完全にミシェル。シオンの影響ではあるが、ジャックタチ作品は音が全てである。雑音をこれほど愛おしく思う映画が他にあるだろうか。特にオバさんの「オー」と驚く声なんか最高過ぎる。そういったタチの音にはどこ
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おいしい生活(2000年製作の映画)

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知的階級と非知的階級。綺麗に二極化された二つの階級どちらにウディアレンは属しているかと言うと明らかに前者であり、後者への優しい眼差しは伺えるのだがどこか距離のあるように感じた。
嫁が後者から前者への
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.5

こんなにも「コテコテ」な映画をまだ自分が消化できるのに驚いた。聞いてはいたのだが、オープニングを見てここまでミュージカルしているのかと少し警戒したのも束の間、そんなことは物語の中盤にもなるともう忘れて>>続きを読む

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)

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アディには自分が生まれる前に殺害された兄がいた。兄の死は母親を深く傷つけ、「兄の代わりに」と自分が生まれたという背景を持つ。そんなアディが 眼鏡を売って生計を立てているという点が映画的に綺麗に纏まりす>>続きを読む

ワルシャワの柔肌(はだ)(1996年製作の映画)

4.0

一見グチャグチャで実際グチャグチャである。しかし滅茶苦茶では無いからここまで格好よく映るんだろう。「シャーマン」とか「魂」とか少し「迷信的」な世界観を持つ女と男が「性」という点で邂逅し、爆発する。それ>>続きを読む

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)

4.0

千人近く殺しておきながら「罪悪感を感じたことはない」と語る自由人の老人は全く殺人者の装いを感じさせずに家族や友人と、ごく普通の老後を送っているように見える。
お洒落が好きで、家族と友人を心から愛して
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出発(1967年製作の映画)

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ジャン・ピエール・レオがそこにいるだけで青春の香いがする。他に観たスコリモフスキ作品が『11ミニッツ』しかないのですごい王道に格好良くて驚いた。しかし実際ハマらなかったのは事実。車の展示会でのシーンが>>続きを読む

セラフィーヌの庭(2008年製作の映画)

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またまた最近自分の中の流行りの「芸術家の伝記映画」。いままで若干数見てきておもうのが映像の質感が「重い」作品が多いなぁと。なにか、ハリウッド的な大袈裟さすら感じるものもある。「虚構」であるのは良いんだ>>続きを読む

皆さま、ごきげんよう(2015年製作の映画)

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作品全体を包括するものというか、串刺しにするものに全く意識が行かない。もう少しわかりやすく表現されていたとしても、随所に挿入されてる洒落た笑いが最高すぎてそんなものに目を留める余裕がない。この魅力は>>続きを読む

そして、私たちは愛に帰る(2007年製作の映画)

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坂口安吾、ショーペンハウアーなど多くの偉大な文筆家が遺してきたように表現において(唯一といっていいほど)大切なのは「言いたいことがあるかどうか」という事、らしい。ファティ・アキンはその点がかなり明確だ>>続きを読む

Tehran Has No More Pomegrenates! (英題)(2007年製作の映画)

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ちょっと『ブエノスアイレス恋愛事情』っぽい、建築の観点から(肩の力を抜いて)語るテヘラン。けど恋愛とか特に扱ってない。割と社会問題に重点を置いた感じ。Aさん一家は5人家族で7畳で住んでいてBさん一家は>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

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最前列の右端の席しか空いていなかったが止むを得ず鑑賞。しかもミニシアターなので画面との距離がとてつもなく近い、が画面の左端が妙に遠く感じるという作品とは全く関係がないが奇妙な映画体験だった。それでもこ>>続きを読む

GANTZ:O(2016年製作の映画)

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日本のアクションアニメの演出の冗長さには昔から慣れない。せっかちだから。子供の頃ドラゴンボールで亀仙人が初めてカメハメハするときに一話分ぐらいの時間をかけたときは見るのやめようかとおもったぐらい。>>続きを読む

アルマーニ(2000年製作の映画)

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いわずと知れたファッション界の「帝王」ジョルジョ・アルマーニ大先生のドキュメンタリー映画となれば観ないわけにはいけないという強迫観念に苛まされ鑑賞に至る。
2000年公開の映画であるが、見た目や動
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ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ(2011年製作の映画)

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フェミニズムがある程度浸透した現代では(こんなこと言ったらもしかしたら怒られるかもしれない)「イームズ」と言ったらチャールズとレイを意味するのは常識だが、始めからそうではなかったんですよという話。取>>続きを読む