待つことに付随するものをフィルムに封じ込めるという野心作と読んだ。それは到底達成不可能な試みだが、若者の特有の無鉄砲さと、唯一無二の観察眼が崩壊を支える。少女に対するが不純とも断定しがたい目線が見えた>>続きを読む
まるでラストピースのように欠落した美意識が返ってその映画の美点となる光景を確かに認めるが、それが映画の良さとして認められるべきなのかという問いに関しては断固として否定するのが僕のスタンスであるというこ>>続きを読む
アホみたいに細いサングラス掛けたやつとか、なんやかんや有難い映画。
教科書のように模範的に安定した面白さが持続するのだが、この種の面白さに公式はあるようで無いので、類い稀なセンスとリズム感をジョン・フ>>続きを読む
風に捲られる本のページの映像を多用とか、誤解の面白さ、音。映画を思い出して文章を書いているだけでまたゲリンの世界に戻りたくなる魔力が確実にある。誰とも共有したく無い静かな悦びを何個も発見できる異空間。
さっぱりとした余韻だけでなく、様々な心地よく無い感情も含む鑑賞直後のいい映画見た感に反して、しばらく経ち自分の中に何も残っていないのに驚き、この映画見たっけとすら思ったのだ…。
普通の人間がそんな多くの命題を同時に扱えるわけがないのだという諦めを受け入れ、彼の滑稽さを演出する底なしのセンス、駄洒落が愛おしく感じてくるはず。
「死んだのか?」「いや故郷に接吻しているだけだ。」と>>続きを読む
誰も着目しないようで実は面白い奴ら。カフェでのキスシーンの謎のスローモーションとか意味不明。この人の説明不可能な意外性が大好きなんだなぁ。だからもっとふざけてる作品がどちらかというと好みではある。
文字通りのオーケストラ・リハーサルという場所にて、フェリーニがこういう風な方法で映画にアプローチするのはかなり意外だったが時は1978年ということでなるほどね、と思ったけど今の僕は脳みそにこの映画のた>>続きを読む
やっぱり「受験」って何か万人を惹きつけるものがあるんだろうな。時間と偏差値というxyグラフ上を上昇し、沈滞する学力の運動自体が映画のように一見みえる、が、運動自体の面白さと映画の面白さは全く別問題であ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ソダーバーグの大好きなテーマの一つである「社会に殺される純粋さ」が今回も一定の観客の胸を締め付ける。「善行を積む人は救われる。」「悪は必ず裁かれる。」といった終末論を持つすべて宗教が提示する命題は現実>>続きを読む
ジャンキーが極論ともとれる自己責任主義に至った経緯。ラリってみているのであろう幻覚や禁断症状の描写がなんとなく気に入らないのが自分自身不思議で興味深い。まあ多分自分にとってドラッグに対しての関心部分は>>続きを読む
おそらくマニヴェル監督が飼っているのだろうか、それとも彼女か仲のいい友達の飼い犬であると思われる名犬スティッキ。
本作ではダミアン・マニヴェル監督短編集において一貫して一つのテーマであった「緩急」が最>>続きを読む
リズムの映画。一定のリズムを刻む彼女の腹筋クランチ運動は、アナログ時計のように単調に眠気を誘うが、電池で動くわけでも無い人間が、しかも女性が、吐息を漏らしながら床を軋ませクランチする姿は(特に腹筋なん>>続きを読む
監督がダンス畑出身ということもあり、ピナ・バウシュのようなコンテンポラリーダンスを彷彿させる動作でほとんどのシーンが占められ、舞台ー観客席との間隔よりかなり、俳優ーカメラの距離が近く、息遣いや体が動き>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
僕が知る最古のメタ・フィルム的な表現かもしれない「彼を哀れに思った脚本家は〜」の文字画面とそれ以降のハッピーエンドな展開が気に入らないという意見もあるらしいが、映画全体を支配する愚直なまでの単純さにあ>>続きを読む
何年も爪切りを怠った両腕からフォースを発したと思えば、ガリ股で棺を自ら運ぶ姿は町の葬式屋のようにみえたりする現代から見ると一貫性のない変に人間的な吸血鬼である。面白いのは明らかに怖がらせようという姿勢>>続きを読む
悪趣味なCGと音楽に引けを取らないほど悪趣味な主人公たちの性癖はクローネンバーグのそれの投影と考えて良いのだろうか。傷口と衝突痕に魅せられ、交通量に比例する性欲とは何事と思いながらそんな変態たちのの感>>続きを読む
都会のカオスにて、11分間たっぷりと眠いぐらい平和に蓄積されていく恐怖分子。眠いぐらい退屈なのが日常というものであり、「日常に溢れる美しさ」とか押し付けがましい美意識を提案はしないが、「まぁ普通に暮ら>>続きを読む
生来の気質か自己防衛のためか、潔癖気味の本帳面さと献身的な優しさで周囲からはは好かれているが自己についての関心が薄かった主人公の「死を受け入れている」スタンスは自分と重なる部分があるかもと思いつつ見て>>続きを読む
男女の身体が入れ替わるということで、スポーツや裁縫などお互いの得意を披露する変わること自体の楽しみというSF的なものから互いに惹かれあっていく恋愛物語への変化がスムーズで巧く、後半の盛り上がりにて純度>>続きを読む
顔面に塗った青色とダイナマイトの黄色と赤色の化合実験映像。「行こう、若さは旅から」ユリイカのゴダール特集で言語の話から旅の話へ変遷してって面白かった。この人の話題転換は本当に謎だけど、それ面白いと思う>>続きを読む
ある結婚の肖像。ある感覚のカサヴェテス流の形容。この普遍的な虚しさを見て、濱口竜介の『ハッピーアワー』の崩れ落ちるキャラクターたちを思い出した。セリフで溢れる長回しによくある失敗してはいけない緊張感が>>続きを読む
蓮見が「一度見たら忘れられない木」と称した冒頭の巨木は確かに神々しさや孤独感を伴った浮遊感などなど様々なイメージをわれわれに喚起させるが、劇中に解釈に困り断定をどうしても避けざるをえない断片が氾濫して>>続きを読む
絵本のように簡潔な形式、現在ー回想ー未来(の予感)。下町な雰囲気にふさわしく易しく、テーマも共闘といった感じでこの映画が今のハリウッドの超大作にも受け継がれている型みたいなものを生み出した感じはするな>>続きを読む
戦後の混乱のなか漂う雲のようにゆったり、鬱蒼に。みんなが気だるそうで、もの哀しそうに拠り所を求める。混乱の種類にも色々、戦後にもいろいろな顔があるんだなぁと。愛の在り処を求め彷徨う女の哀れな姿。
革命の崇高な感情と母の心配。このコントラストがなんとも切ない。クローズアップの生々しい形相が結構本気で怖い。コマ数が少なくて、フィルムも痛んでるのが、映画の物質的な興味深さ。
「50年前の雲が…」は映画好きなら一度は感じたことのある感動であるはず。ゲリンの中に流れる50年前の雲と、ベルタをアレゴリーとする日常、現実。をクソ短い時間で端的に表した映像。
おいしさは、家族、赤い服のディナー、犬のくだり、などなど。ヒロインが移る時に画面のホワイトバランスが100000ぐらい上昇するのに一人でにやけてた。
バスケファンとしてABAがNBAに吸収されたということは知ってはいて、あのアフロのモデルとなった選手とかもなんとなく想像がつくぐらいの予備知識で挑んだ本作。
興味深かったのが、アメリカの映画なのにバス>>続きを読む
柔らかい映像と心地の良い音楽とか、結構今流行ってる感じの先駆けなのではと思わせる部分が多く見られた。問題とタブーとの力の抜けた距離の取り方の提案、が少し参考になると感じた私は、まだ若い。こういう尾びれ>>続きを読む
本作を見てジャンヌダルクの歴史的な人物像、即ち彼女がフランスを救った勇敢な国民的英雄だということを思い出さない人も多いのではないか。劇中でのジャンヌはまるで泣き虫な乙女で、ただ無垢な信仰心が世俗的な聖>>続きを読む
シンゴジラ、あるいはオタク感性と懐古の邂逅。反映する媒体としての映画が評価されたんだなと納得。なぜ私はこんなにも嫌悪しているのか不明。あ、無人在来線爆弾は最高。(ここら辺もオタク趣味なのか)
#カラー&関西弁の小津さん。残暑が続くある夏のある一族。美人揃いすぎるでしょ小早川一家。一家の主人の死と、それを通じての家族の様子を描くが何も起こっていない日常の描写も楽しい。爺ちゃんと孫のかくれんぼ>>続きを読む
『静かなる男』ではなくイニスフリーという土地と人々の肖像であった。明らかに映画自体に対してより村人への関心が上回っており、映像と乖離させられた音は亡霊のよう。外からの視線と村人の視線、そして意味不明な>>続きを読む
世界初のトーキーらしい。映画史における技術的、商業的な観点から語られることの多い本作だが、映画自体にはそれまでのサイレントとの間にどのような断絶があったのだろうか。サイレント映画の初期、原始の観客らは>>続きを読む