oqmrさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

ジャズ・シンガー(1927年製作の映画)

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世界初のトーキーらしい。映画史における技術的、商業的な観点から語られることの多い本作だが、映画自体にはそれまでのサイレントとの間にどのような断絶があったのだろうか。サイレント映画の初期、原始の観客らは>>続きを読む

ピンク・フラミンゴ(1972年製作の映画)

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今年一の登場人物的衝撃。「世界一お下劣な人」の称号を巡る無意味な闘争。ヒッピー文化の一つの枝の極みを見た気がする。ハーモニー・コリンの作品と視覚的要素だけ似ている気がするけどこちらの方が随分とフィクシ>>続きを読む

素敵な歌と舟はゆく(1999年製作の映画)

4.5

人々の交流などありきたりに美しい日常の雰囲気に呑まれて物語を見失うことが多いが、主題が階級闘争であり『ここに幸あり』に引き続き明らかに政治的な本作であるが、イオセリアーニの作品にとって政治は切っても切>>続きを読む

秋日和(1960年製作の映画)

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大好きな『秋刀魚の味』の父親を母親にすり替えたような物語だけど、父と母でこんなにも家族のカタチは変わるものなのか。小津さんを見ていると結婚して子供を産み育て、両親の面倒を見るという伝統的で型にはまった>>続きを読む

ここに幸あり(2006年製作の映画)

4.5

イオセリアーニの画面の中で空回りしている中年の男女や雑音はジャック・タチを思い起こさせる。適当にふざけているように見えてしっかり美しいから困る。『月曜日に乾杯』が理想の旅だとしたら今作は理想の日常また>>続きを読む

ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

4.0

『フランシス・ハ』では自分の将来のキャリアを考え始めた若い女性だったが、本作は映画を完成できない44歳の中年男性。バームバックの独特なカタルシスに(負け組カタルシスとでも呼ぼうか)、毎回どう言葉で表現>>続きを読む

ホース・マネー(2014年製作の映画)

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まさか出生記録が詩になるとは。タルコフスキーほど完成された美しさではなく、カラックスほどカタストロフィックでもない。ペドロ・コスタは独自の廃墟像を作り上げた。やはり「アフリカ」は偉大なんだ。

ジプシーのとき(1989年製作の映画)

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クストリッツァもかなり異形が好きな作家だなぁ。果たしてそれは異形なのか、僕に馴染みのないだけの意外なのか。
池と思われる泉での儀式のシーンが良すぎた。音楽も最高。ぼくの中で彼処がクライマックスだった。
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

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あのヘッドホンジャックを二つにするやつ(名前忘れた)が象徴するように、誰かと音楽や感情、究極的には時間を共有することの素晴らしさを思い出させてくれる若々しい映画だった。「歳をとるとこの真珠の光景はめっ>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.0

舞台と映画ではまず見せ方が違う、映画で舞台を扱うならどうしても舞台を「映画的」に表現しないといけない。結局「無知がもたらす予期せぬ奇跡」が起きる瞬間はほぼ僕たちは見れないし、元バードマンの妄想心理劇な>>続きを読む

M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

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ア相手チームのエースに覚せい剤を打って錯乱させるシーンでちゃんとアルコール消毒させるところで腹よじれるかと思った。ホットリップ、ペインレス(ちゃんと伏線あり)東京ラジオ、すべて好きだった。最高。

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)

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J・K・シモンズは逆に怒鳴ってない姿を見るとこっちが不安になるほどの天性のキレボス役の才能だ笑。日曜にまとめて寝るワーカホリックな社長も好き。あとDVDのパッケージも良い。
ハリウッド映画とタバコ問題
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黄金時代(1930年製作の映画)

4.0

1930年の機能としての音との出会う。昆虫に対して異常に怒る男、ベッドで寝る牛で笑う。コラージュのように自由でつぎはぎのようにエレガント。
「なんかええやん。」って感じか。

この庭に死す(1956年製作の映画)

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屈強で正直な男、善人、聾啞の娘、貪欲な女、誠実で奉仕的な牧師。当たり前だけどそれぞれのキャラクターに意味がある。面白いのが食べ物がない時の方が協力的ということ、ここら辺は「ブルジョワジーの…」でも同>>続きを読む

裸足の季節(2015年製作の映画)

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どうしてもアンゲロプロスの『霧の中の風景』の女の子と重ねてしまう。多分(種類は違うが)映像の美しさと(美しさに種類があるのだろうか?)「性」を意識させる物語の故だろう。保守と自由、それぞれ違う観点から>>続きを読む

火祭り(2006年製作の映画)

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今回それは爆竹の音であったが、ファルハディの映画では常に背景で何か音がしていて、それが登場人物の感情の波のようなものを表現している事が多い。本作において音はこれ以降のファルハディ作品ほど「効果的」であ>>続きを読む

はなればなれに(1964年製作の映画)

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ゴダールは毎回オープニングがいい、観客を映画の世界に引っ張っていくのに全く苦労しない作家だ。けど今回一番目を見張ったのはオープニングかな。新作のスター・ウォーズじゃないけど。

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

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オレンジ色の照明が印象的だったのだけを覚えている。お日様が一年で一番元気な時期の真昼間に観てしまったのは失敗だったな。
光を活かすために全体的に暗い。最近みたので光が印象的だった『ポーラX』の美しいが
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アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

4.0

無謀なほどに意味不明、なのにもこんなにも恍惚としている私。ヘルツォーク自身がインタビューとかを見ていると常識的な人に思えてくるのがまた怖いです。

ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ(1992年製作の映画)

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政治的ドタバタコメディなのでしょうか。それともマフマルバフ流の「映画史」なのでしょうか。
映画史の形式としてはある種斬新なのか?ゴダールのそれはドキュメンタリーの中に組み込み、取り入れたが、本作はフィ
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のんき大将脱線の巻(1949年製作の映画)

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白黒だがトリコロールだけに色を塗る、という実験映画。子供も喜ぶドタバタコメディだがやけに前衛的。スゴイのは音だけじゃないよと。
「モー」とか自転車に取り付けられた鈴の音だけでなんでこんな軽快で楽しいの
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パンと植木鉢(1996年製作の映画)

4.5

中年を迎えた元活動家のモフセン・マフマルバフ監督による極私的な自己内省映画、だと思う。人間も思想も20年経てば変容する。結局は「今の若者は皆んなそんな軟弱なのか!?」に対する全面的な肯定だろう。
「刺
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シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

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『シング・ストリート』と『シング・ストリート 未来へのうた』でどれぐらい来客数が変わるのかという研究をそろそろ真剣にしなくてはならないと思います。
「未来へのうた」とあることで「未来へのうたってなんな
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サイクリスト(1989年製作の映画)

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正直言って表現として面白い部分は本当に少ない。だけど「寝たいけど漕がないといけない」という至ってシンプルな感情はものすごく高い純度で描かれている。「この人を見よ!」的な伝える気持ちの強さ。政治的な社会>>続きを読む

ポーラX(1999年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

森って不思議な場所だなぁ。河瀬直美の『殯の森』の森は人生を取り戻す場所だったが、どうやら本作ではピエールは森にて「この世の嘘」に気づいたらしい。
ピエールにとっての「嘘」は勿論自分がイザベルと出会うま
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デッドマン(1995年製作の映画)

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キアロスタミが「観客を映画館で眠らせたりし、でも夜通し夢中にさせるような映画が好き」と言ってたがジャームッシュは正にそういう映画を作る作家だと思う。デッドマン結構寝ました。けど次見るときは興奮で寝付け>>続きを読む

7本のキャンドル(1994年製作の映画)

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「これでもか」と言うほど出来ることはした。しかし状況は全く改善されない。やり場の無さや諦念が画面の中に漂うのが見える。しかもそれが少年の感情だというのだから、観る者はさらに心を傷める。
何を風刺してい
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パンと詩(1994年製作の映画)

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滑稽に文学を愛する少年と1日を断絶する炎が印象的な作品。
子供を主役に置く映画にとって、「世界をどこまで広げるか」という問題が毎回あるとおもうが、ダルデンヌとかもそうだけど子供を最初から大人の世界に置
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ブロークン・イングリッシュ(2007年製作の映画)

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ジョン・カサヴェテスさんのご息女であられるゾーイ・カサヴェテスさんの長編第1作だそうで。同じく2世監督のソフィア・コッポラさんとも私生活でも仲良しなんだとか。"I'm hungry""がI'm ang>>続きを読む

(1969年製作の映画)

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白黒のネガティヴがイラストレーションのように心地いい印象の影絵のオープニングに反して砂塵舞う田舎村にて展開される謂う所の悲劇には体温があり生々しく、有機的。
小さな共同体で価値のあるものを所有するとい
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