oqmrさんの映画レビュー・感想・評価 - 20ページ目

中国女(1967年製作の映画)

4.5

毛沢東と場面が変わる度に衣装を変えるお洒落パリジャン。真っ赤な毛沢東語録がこれほど映えるとは、服好きの友達にオススメしたい。相変わらずの引用の嵐だが個々のイメージは随分ポップな印象。その肖像、思想、音>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.0

圧倒的ラスト。下から上のエンドロールはこのためか。カメラが、まるで自ら見ているものの虜になっているような目つきでいて。僕といえば時間がいつもよりゆっくりと進んでいるような、思い出の夢を見ているような、>>続きを読む

白い花びら(1998年製作の映画)

-

「2人は子供のように幸せだった」で説明できる事が多すぎて驚き。何を付け足しても蛇足だっただろう。あと音楽の饒舌さよ。全て語ってくれる。これは言葉の出る幕はない。

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

-

相変わらず名台詞の連発で満足。カウリスマキが珍しくインテリ知識を披露しているのにも若干驚き。個人的にカウリスマキエッセンスが凝縮された作品だと思う。その空気感を存分に楽しむ。犬の名前がボードレールなの>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代(1994年製作の映画)

-

場面の切り替わりにて、先に文章でオチを説明してしまうのはそれ自体面白いのだが、その言葉がどういう場面で、文脈で使われているかを注視することを観客に強要する。なんでもない言葉だったり、重要な言葉だったり>>続きを読む

ビルマの竪琴(1985年製作の映画)

-

1956年版を借りようと思ってたのだがリメイクを借りてしまった。水島、何処かで見たことあると思ったら普通に中井貴一。
フジテレビ製作とあってか、僕の中ではテレビ放送のレベルに留まる。そう考えればキェロ
>>続きを読む

背徳令嬢(2000年製作の映画)

-

なんだこれ。先日観たギャスパー・ノエが思い出される。カメラをくねくねさせたり、身体的なカメラ表現は新鮮で何故か笑える。イタリア人ってみんなこんな感じなのか。続編がある事に驚く。恐らく見ないだろう。あ、>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

-

やはり静かというか静的に美しい画面、黒い死神のようにはっきりとした輪郭で描かれる私的宗教観、世界観。死とは手を繋ぐほど日常的で身近な関係なのに、神の奇跡や救済はこの世を何処を見渡しても見当たらない。一>>続きを読む

トータル・バラライカ・ショー(1994年製作の映画)

-

ロックスターと軍の音楽隊の契約署名の絵の滑稽さに吹き出し、映画が(物語が)始まると思い待つこと30分、諦める。これは映画なのか。映画と言っていいのか。面白いんですよ。音楽的にも視覚的にも、発想としてね>>続きを読む

太陽の墓場(1960年製作の映画)

-

「薄汚れた」では十分ではない、見たことないぐらい汚れていた大阪、日本、1960年。ぼくにとって最早史料的な価値を持つ映像の中に生きるのは、土埃のなか唾を吐き散らし汚い汗を流す輩たち。食う、生きることは>>続きを読む

夏の遊び(1951年製作の映画)

-

静止画のように明瞭で鮮やかな白黒映像で語るかつての夏。あいまいで感覚的な感情がくっきりと描かれる。レコードの落書きやつま先立ちとかお洒落で女子受けヨイ。こういう演出で5人もの妻を手に入れたのか。

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

-

アントワーヌ・ドワネルのポンコツドタバタ喜劇。人生を謳歌する優しい殺し屋とか、解体されたバーとか、キレて注文する酒とタバコだとか、結構オモロイ度高めのカウリスマキ。薔薇を売って生計を立てているという驚>>続きを読む

パッション(1982年製作の映画)

-

「映画と物語性」とか「映画自体とその製作段階」だとかを比較提示してくれていることはくどいぐらい、セリフや「物語」から明白なのだが、僕が気になったのは「美を作る工程」とでもいいますか、「目とかを楽しませ>>続きを読む

歌麿をめぐる五人の女(1946年製作の映画)

-

1946年終戦直後に製作された映画だが戦後の混乱は感じ取れず、最初の1コマから目を奪われる美しさ。錦絵師の話というより彼の周辺で起こるいざこざについて。「程よい恋なんてできやしないよ。歌さんの絵だって>>続きを読む

お茶漬の味(1952年製作の映画)

-

伝えようとするものが繊細なので、細かいところに目がいく。 セットであったり、台詞の一つ一つであったり、「甘辛人生教室パチンコ」とかね笑
そういった細かなものがこの映画の、ゆらゆらと灯る蝋燭のような感動
>>続きを読む

カティンの森(2007年製作の映画)

-

隠蔽された惨殺が60年以上の時を経て生々しく蘇る。政治色の強い歴史映画だが、背景の説明は冒頭の数十秒だけ。訳のわからないまま殺された人々、家族を失った人々には勿論当時も説明はなかっただろうし、語ること>>続きを読む

愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

-

ポーランドの小さな団地にて、青年、女性、ばあちゃんの3人の物語。たった3人で現代社会の中の孤独であったり、そこからくる歪んだ性愛を表現する簡素さが好き、理解しやすいしね。くだけ散る水晶、溢れる牛乳。牛>>続きを読む

ツバル(1999年製作の映画)

-

監督のファルト・ヘイマーさんによると「無国籍映画」となるべく意識されて本作は撮られたそうだが、台詞は名前と感嘆詞以外殆どないし、映像の質感とか退廃的な舞台とかを見ると、時代まで忘れてしまいそうだ。装置>>続きを読む

アルファヴィル(1965年製作の映画)

-

技術的な意味では殆ど感じない近未来感。取り上げられているのは未来の課題か、現代の課題なのか。超低音でお送りする空室案内はヤミツキ。
「時として現実が複雑すぎて言葉で伝達することができないことがある」
>>続きを読む

抱擁のかけら(2009年製作の映画)

-

大切な人を失い、視力も同時に失ったことで他者の援助が必要になり、それが世界との接点になっているという設定がとても効果的に生かされていて感心した。ペドロ・アルモドバール作品の独特なテンポ感がとても観やす>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

5.0

全てが映像によって暗喩的に美しく語られる。白馬の死をみて啜り泣く弟、姉弟の抱擁、青年との別れ。あらゆる場面で無垢な感情と映像の美しさに涙をこらえ切れなかった。
「ただ苦しみのみが人を成長させる」
姉弟
>>続きを読む

アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

-

アデル役を演じたイザベル・アジャーニー曰く「アデルはピンソン中尉ではなく、中尉への愛という概念に恋をしていた」そう。姉の死で確信した父親の愛の不在、そこにできた穴を埋めてくれるひとを見つけたと思った矢>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

-

正直言って何がすごいのか一ミリもわからなかった。映画の構成が。とか、技術的なところが革新的だ。とかよく聞く映画だったが、初めてそれをやったからすごい所謂「コロンブスのたまご」的な凄さだったし、21世紀>>続きを読む

私のように美しい娘(1972年製作の映画)

-

めっちゃ笑えるトリフォー。めっちゃ笑える二ンフォマニアック。犯罪心理学者のくせに犯罪者に手玉にとられる教授。
屋敷の中の長回しのカメラワークとか好き。というか普通にコメディとして好きだ。

地下室の怪(1966年製作の映画)

-

長編にこだわらず短編を作り続ける(むしろ短編に拘っているのか)姿勢と安定した質の高さに脱帽。シュヴァイクマイエル作品では健全な食事シーン、もちろん健全ではないのも。笑える恐さが面白い。あと音。ギーバタ>>続きを読む

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

4.0

フランスの本格派コメディ。コメディ純度200%。
超適当に、画用紙にお絵描きするぐらいのノリで。これ描いて、あれ描いて、やっぱ飽きたから丸めて捨てよう。潔いほど溌剌とした足取りでパリの街を駆け回るサジ
>>続きを読む

まぼろし(2001年製作の映画)

-

中年夫婦の恋愛という唯一苦手なジャンルだが主演のシャーロット・ランプリングが美しいかったのでなんとか見れたという感じだ。四六時中夫のことを考えて新しい男も受け入れられない彼女がとても痛々しくて見ていて>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

-

人生でセックスしかしてこなかったと言っても良い女の物語を全体を通してほぼ批判せずに描いてきたのでこの終わり方には驚かされるが、それはあくまでも彼女の考えとしてに留まる。
ロクでもない映画世界とそのオリ
>>続きを読む

ロルナの祈り(2008年製作の映画)

4.5

森だったり、部屋だったり、アレゴリーの使い方が精密に文学的なんだけれども、描かれた現在は透き通ってて儚い。しっとりとした静かな優しさに涙をこらえ微笑みたくなる。思わず目を覆いたくなるような理不尽と、愛>>続きを読む

バチ当たり修道院の最期(1983年製作の映画)

-

「キカ」と「トークテゥーハー」しか見たことないけど、ペドロ・アルモドバールめちゃくちゃだなw
めちゃくちゃなコメディ、脈略も適当でウマさも特にないけど、こういうのはスペイン人好きなのか。正直起承転結も
>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.0

宇宙の終わりでははく宇宙の神秘の恐怖を描く、今まで観た中で一番静かで繊細なSF作品。
宇宙空間では全てが遅くて退屈を誘うが、我々に感じる時間与える、それを支える素晴らしい雑音とカメラ。空白なのに濃密な
>>続きを読む

SHAME シェイム(2011年製作の映画)

-

あのエロ本捨てるときのhow to basic感好き。監督が現代アーティストとだけあってナウな映像の質感とか装飾とか、視覚的にも楽しい。ジャズのステージにて顔だけであれほど多くのことを悟らせる表現力に>>続きを読む

女の都(1980年製作の映画)

-

フェリーニという変態の見る明晰夢。
過激なフェミニスト達の会合で展開される男性優位社会での潜在的な女性の恐ろしさについて、そしてそれを上回る素晴らしさについてのプレゼンテーション。女と笑いが好きって、
>>続きを読む

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

-

森に始まり森に終わる。しかし最初と最後で印象には大きな隔たりが。
タイトル通りの「幸福」についての議論。本来ならドロドロになりそうだが可愛らしい映像背景のおかげで随分柔和な印象。しかし男に対する鋭い睨
>>続きを読む

明日の記憶(2005年製作の映画)

-

渡辺謙。「演技」って感じだ。
愛着もったものを忘却していくっていうことは悲しいし、恐ろしい。自分の今までの人生の意味とは?となる。
単純にアルツハイマー病の恐ろしさ、あっぱれ。

ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(1975年製作の映画)

-

底辺の身分にして美しすぎるジェーン・バーキン。
安っぽい画面の切り替えやアクションシーンなどに見られるB級感、しかし役者の気合はメチャメチャ入ってて好印象。とはいえアイドル映画の枠からは出れず。