パングロス

映画 おいハンサム!!のパングロスのレビュー・感想・評価

映画 おいハンサム!!(2024年製作の映画)
4.0
◎令和パングロス?オフビートなピカレスク群衆劇

「行って京野菜」

「もし明日世界が滅亡すると言われても、一本の苗を今日植えるんだ」

何の事前情報も入れず、今日はちょっと軽いラブコメでも観るか、と選んだ作品。

はじめは、登場人物のセリフに何だか甲高いつぶやき声がかぶせられていて何なんだと思ってたら、美香(武田玲奈)が紙芝居式に宇宙人がどうこうと夢の話をしていたと明かされて‥‥

次々と出て来る人物全員が、どこかネジがはずれた可笑しな人ばかり。

【以下ネタバレ注意⚠️】







要は、オフビートなコメディ群衆劇って奴なのね、と何となく理解。

なかなか人間関係がつかめなかったけど、大家族「伊藤家」がメインのお話みたい。

とにかく、吉田鋼太郎が、シェークスピア劇を演じるのと同じテンションで喋るのが、それだけで可笑しい。

しかし、急に舞台は京都。
聚楽という和菓子を売ってる塩芳軒って実在の店やん。

www.kyogashi.com

だけど京都ど真ん中で、嵐電沿線、ましてや御室駅最寄りじゃないけど、映え優先って奴か。
六角、松下夫婦のニセ京都弁は許せないけど、六角精児姫路出身だからワザとやってんだな、こりゃ。

「行って京野菜」って言ったな、今。

‥‥
誰かと思ったら、久々の野村周平。
いつの間に、こんな汚くなっちゃったんだ?

登場人物、やたら多くて、何となくダイジェスト感満載なのは、やっぱり元は連ドラだったんかい。

まぁ、詳しくは、後ほど、時間のある折に、そちらでおさらいするとして。

でも、この皆んなが皆んな、アッチもコッチも脱臼してるようなオフビート感、嫌いじゃないな。

やたら御高説をぶち上げる伊藤源太郎先生、ヴォルテール原作、レナード・バーンスタイン作曲のピカレスク音楽劇『キャンディード』のパングロス博士のようではないか。

ゴルフクラブ掲げてステテコで、ハンナン系のパリピ御用達屋外ステーキ遊技場に闖入した源太郎先生、曰く、

「もし明日世界が滅亡すると言われても、一本の苗を今日植えるんだ」

って、まさしく『キャンディード』の感動的なラストソング “ Make our garden grow “ そのままぢゃないですか。

う、う、やっぱ感動します。涙が出ます。

やっぱり、アナタは、パングロス博士だったのですね。

“ Any questions ? “

ハイ、エンディングの「鉛筆が一本」でも、しっかり泣かせてもらいました。

《参考》
*1 「カンディード」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

*2 「キャンディード」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

*3 バーンスタインと『キャンディード』に
言及した、映画『マエストロ』レビュー
(2023.12.24 パングロスのFilmarks 初投稿)
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