QHEYさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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スロータージャップ(2017年製作の映画)

3.3

社会の表裏関係なく必ずその瞬間は訪れる監督の作法は初期作であれ変わらない。
画面に映り込んでしまいさえすれば強制的に肉塊と化す実にフェアな世界観。
食物連鎖という極めてシンプルな題材がキャラクターとし
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

3.6

夢中は全てを凌駕する。
傾けられた情熱にやがて周囲は巻き込まれ、気づいたらクマ小僧の虜になっている。
たとえ仮初めだったとしても自分を形作ったセカイ観を否定などできるはずがなく、究極の一点集中は表面だ
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愛なのに(2021年製作の映画)

3.7

エンターテイメントとしても会話劇としても退屈させない、いい意味でリアリティラインの飛躍がベースにある為、遊びのない台詞回しがどれも核心を突いてくる展開として機能する。
その単純明快さ・軽さが作品の質を
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草の響き(2021年製作の映画)

3.9

繊細で敏感な人間の心は平穏を保つことが難しい。
メンタルの回復に特効薬があるなら誰も悩みやしないわけだけど、主人公のピッチが上がるに従って心身共に安定し出す過程に感動を覚えた。
優しく見守る人、一緒に
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.8

狂暴なストーリーテリング!
シアトル舞台のソリッドな画作りにバキバキの外連味をぶち込み、現代的なエンタメホラーに仕上げる職人芸。
覚醒のトリガーとして機能した女性監獄の阿鼻叫喚にスタンディングオベーシ
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[Focus](1996年製作の映画)

3.8

恐らく相当な低予算であろう見え掛かりから繰り出される狂気のポテンシャル。
膨張したものが破裂しなおドライブしていく一部始終は浅野ファンならずとも息を呑むであろうこと間違いなし。
地下の住人を公の場所に
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成れの果て(2021年製作の映画)

3.2

81分というコンパクトな尺ゆえ、必然性のない設定とオーバーアクトに頼らざるを得ない強引さに乗れない部分も多いが、萩原みのりさんはじめ熱のこもった役者陣の演技は素晴らしく、台詞・言動に一切の寄り道なくそ>>続きを読む

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

3.4

剥き出しの表情&音作りやステレオタイプの描き方がフィクショナルな展開になればなるほどいっそうリアルに感じられる絶妙な地方大会感が満載。
変に高尚に撮っていないことが不穏さの演出にも一役買っている。
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星の子(2020年製作の映画)

3.6

答えを出さない答えを次から次へと繰り出し、対岸の火事と傍観を決め込んでいたこちら側をも身動き取れなくする金星のパワーに圧倒される。
今生きている自身の足場さえグラグラにする無重力の闇が持つ恐ろしさ。
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彼女は夢で踊る(2019年製作の映画)

2.9

冒頭字幕にある通り、実話から着想を得たフィクションを95分そのままやったという感じ。
シーンごとの心情はナレーションや台詞でしっかりと説明してくれるので見やすい作りになっている。
愛おしかったあの時間
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.7

ハリボテで積み上げた浅い関係性をどこまでも深く掘り下げたらあながち胸糞ばかりでもない中国の故事成語のような味わいのある作品になっていた。
主人公のような善意や悪意は皆どちらも持ち合わせているし、それが
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RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.1

パリピ先輩のイタズラがいきすぎてて本題があまり入ってこないフレンチカルチャー。
最早主人公の目覚めですらイエローカード程度で済みそうな個の集合体。
ダイバーシティは新たなステージに突入したと捉えれば、
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.2

順風満帆からの挫折。
実は裏で既に何かが壊れていたように見せておいて、冷静になってみるとそれはどこかで修正できたようにもとれる。
原因をルーツに求めることは果たして是か。それより事が起きた時に何をする
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

3.5

「こうありたい」と「そうなればみんなが幸せになれる」
どちらも誰かを傷つけたいわけではないのに溶け合わない。
だからこそ幸福の在り方などフィックスすべきではない。
DXの浸透で社会との向き合い方は自由
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ズーム/見えない参加者(2020年製作の映画)

2.9

心霊スポットに行けないならリモートで単独になったところを狙え!
怖いは作れる!
ホラージャンルのライン際での粘りが生んだ内股透かしのような一本。
パンデミック禍、オンラインのラグという逆境にこそ最大の
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オールド(2021年製作の映画)

3.2

一生を1日に圧縮してしまうブラックホールのようなビーチで起こるリアルタイム走馬灯。
経験値は圧倒的に低いはずなのに数時間ですっかり悟ったような面構えで歳を重ねている姉弟は海に何かを教わったのだろうか。
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.3

いたずらに盛り上げたりわかりやすくする為の誇張演出は排され、複雑な状況下でサバイブするクルド難民の現在をスマート且つエッジーに切り取った今年の暫定ベスト作品。
周囲の我々日本人はサポートしているように
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.7

かなり好き。
正直ドンパチがなくても村人たちの生活だけずっと見てられる。
皆んなで笑って皆んなで悲しむ。
幼い子供たちは深夜まで外で遊び放題。
本当にドラクエの村を再現したかのようなスケール感といずれ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.4

ビッグバジェットのヨルゴス・ランティモスも良い!
相変わらず人間の特異性を誇張する演出で唯一無二のスタイルを貫きながらスター級の役者の魅力を損なわない手腕に息を呑む。
ミカンを投げつけられる全裸のおっ
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先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

4.0

社会的に強い妻が主体性を持つとこうなります風の不倫ドラマとは一線を画す、静的な男女の対比をベースに豊かな作家性が溢れている傑作。
ネーム、車、食事シーンに至るまで無駄ゴマがなく、はじめはためらい線のよ
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黄龍の村(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

目的の為に入念な準備をしてきたものへの報酬とそうでないものの末路を視点を反転させて鮮やかに描く。
世界は全ての人々に舞台が用意されており、搾取されない為の抵抗もまた自由なのである。
大義があるとはいえ
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ファミリー☆ウォーズ(2018年製作の映画)

3.0

世の中に蔓延る悩みや葛藤を唯一解決に導けるとしたらこんな顛末かもしれない。
阪元監督のバイオレンスへのアプローチはある種ブラックホール的役割を担っており、大量の血糊に人間の感情を飲み込ませ無を創り出し
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ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

3.3

最凶爺に襲われる前作から一転、味方にしてもやっぱり殺人マシーンでした。
話の流れ的にターミネーター1・2を彷彿とさせるが似て非なるもの。
視点を変えたところで結局敵の頭蓋骨はしっかり砕いて我が子にマー
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.3

まるで女子高生がスマホを扱うかのような卓越した銃捌きがしばしば作品のファンタジー要素を強くしすぎてしまうことがある。
ところが彼女たちは今作をファンタジーに埋没させるどころか、流れるようなリロードを当
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ある用務員(2020年製作の映画)

4.0

男ならば一度はこんな俺だったらいいのにと夢想する主人公が映像化される。
トラウマ級の過去を持ちながらもしっかりと実力は身につけて最終的には美女を守って血だらけで倒れる人生…鼻血が止まらない。
低予算と
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Daughters(2020年製作の映画)

3.1

東京を乗りこなし、業界の最前線で日々研鑽を積む二人。
昨今でありがちなSNS描写を一切排除し、生身のライフスタイルをプロモーションしてくるあたりに現代の価値観に対する自信が伺える。その自分たちで敷いた
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メリちん(2006年製作の映画)

3.7

不味そうな焼肉に始まり、来ない電車、そして消えない過去。
どこを切り取っても噛み合わない攻防が仮初めの関係性を炙り出す。
溜め込んだ思いを吐き出す為にも日記は必須。
そもそも直のコミュニケーションなん
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さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)

2.6

岡田将生の事務所の感じがすごく好みだった。
ある一定の層を射程にしたようなので、自分はそこに入っていなかったというだけ。

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.1

悪夢的な要素が詰め込まれているにも関わらずどこかスペクタクルな感覚も味わえる為、そこはしっかり巨匠の刻印が刻まれていると言える。
ゆえに好みではない作風であっても何かを持ち帰らねばというバイアスがかか
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ファーザー(2020年製作の映画)

3.6

なんともサスペンスフルなある男性の日常。
流れ込んでくる情報は時系列とは限らない。POV映像でやがて訪れる混沌をシンメトリーなインテリアの中でかろうじて主体化して見せる。
否が応でも意識が宙に浮いてし
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.3

オタクの盗撮魔でも成立するヒーローとしてバットマンが降臨。
さほど喧嘩が強そうに見えない主人公だが変身すれば人間相手ならフィジカル負けすることもなく、もはや敵はスキャンダルを突いて自滅を狙うしかない。
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おじいちゃん、死んじゃったって。(2017年製作の映画)

3.5

一見身近だが、実はいちばん絡むのが面倒くさい親戚という存在。
ダルそうにしてみたり、タバコとか吸ってみたりひとまず膜を張ってみることでなんとなく近況報告するきっかけを探る。
たまに会う従兄弟ほど最初の
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15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.6

いざという時に躊躇なく身を投げ出していく裏付けを彼らの生い立ちと何気ない日常から説得力を持たせる構成。
光だけでなく劣等感をもアイデンティティとして醸成させる素材の活かし方が秀逸すぎる。

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.8

肉体の進化?それとも退化?
トラウマとカタルシスの狭間で蠢めく男の叫びがこだまする。
耳を塞ぎ目を覆い、とにかく頭を冷やしたくなるスーパー鉄アレルギー体質になりたくなければ安易な鑑賞は控えるべき。

積むさおり(2019年製作の映画)

2.8

家の中でよく食べ、よく笑い、のびのびと過ごしている一方、自身の行動が誰かのストレスになる恐怖。その逆も然り。
でも人間て迷惑をかけ合いながら生きていくしかないじゃない!

樹海村(2021年製作の映画)

2.7

怨念が込められたキューブにまつわる流血だらけの2時間弱。
人間であろうが、植物であろうが、木箱であろうがとにかく血が噴き出し、樹海にまた戻っていくサステナブルな一本。