QHEYさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.3

雑な一日はいつしかかけがえのない日々へと変化して、そのかけがえのない人との呼吸だけが自分と他者を繋げる唯一の命綱となる。
いろいろ考えた中で確かに知識の習得はタイムループと相性が良さそうで、運命を切り
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赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年製作の映画)

3.4

暖かいコートよりもパンを。
世界は何も変わっていないのか。
また繰り返すのだろうか。
それでも今はほんの少しでも前に進んでいると信じたい。
雪原で薄皮にくるまれた赤ちゃんが保護される世界であると信じた
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サスペリア(1977年製作の映画)

4.0

クラシックがクラシックである所以を画面から溢れる真っ赤な色彩で酩酊しながらも確かに感じとることができる。
次々と開かれる隠し扉が主人公自身の秘めた衝動を解き放つかのようで、何を見せられているかわからな
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いとみち(2020年製作の映画)

3.8

衝動的に飛び込む場所は実はどこだってよかったりする。
自分に合っているかどうかなどは二の次でそこにいる人が笑ってくれさえすればコンプレックスも浄化されていく不思議。
他者に悩み葛藤する反面、他者に救わ
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.5

最高の素材を塩だけで食すようなミニマルなアートフォームから繰り出される極上のパフォーマンス。
身体も洋服も照明も影も楽器も足音もそこにあるものは全てポジティブな要素を含む。
今、人生を肯定する幕が上が
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.7

満を持して削ぎ落とす側の松居大悟作品が観られるということで劇場鑑賞。
余白に重きが置かれ地に足のついた生活が確かにそこにある、連なりとして息づいている。
人は忘れていく生き物だけど思い出すこともできる
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.3

もみあげの無い鈴木亮平のバッキバキに仕上がったキャラ造形だけで本作は喝采を受ける権利がある。
成長した主人公がヤバい相手にどう立ち向かうのか、否が応でも盛り上がる展開!
…だけになってしまっていた。
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.2

24時間オンライン状態でSNSアーカイブが乱れ飛ぶ。
事件は子供部屋で起こっている。
ともあれ顔をしっかり出して主張する国民性ってこういう時捜査が進みそう。
Filmarksのレビューですらプロファイ
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事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

2.5

今もどこかのアパートで響いているであろう悲鳴は忙しい現代人にはほとんど届かないまま処理されていく。
ゆえに過去の当事者たちの苦しみが刻まれた間取りへの抵抗感はそれほど大きなものではなくなったのかもしれ
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

3.7

リアリティラインを設定せずファンタジーを限りなくボーダレスに描き切る。
詩的な背景も相まって常に儚さを漂わせながらハードコアな側面もきっちり調和させてくる絶妙なチューニング。
と思ったら吐きそうなくら
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かしこい狗は、吠えずに笑う(2013年製作の映画)

3.2

恐怖と利益が世の中には沢山潜んでいて、その法則に支配されて生きていることを実感。

さがす(2022年製作の映画)

4.1

大阪西成が纏う独特のヴァイブスがそうさせているのか起こっている内容の割には陰鬱になりすぎず、低み合戦から派生してくるユーモアと結論に向かっていく推進力を感じさせる。
寄る辺なかった人間がある出来事をき
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悪人伝(2018年製作の映画)

3.3

韓国サイコパス男子の層が厚すぎる件。
そこにマ・ドンソク掛け合わせてカッコつけずにしっかりエンタメに舵を切る潔さは流石の一言。

サイレント・ウォーター(2020年製作の映画)

3.4

目下のピンチを脱すると共に過去のトラウマも克服できるのかモノ。
海というだけで怖いのにさらにそこに極寒、落石、雪山クロカン、制限時間、倫理観が加わって地獄の北欧大自然ツアーをひたすら見せられる。
同時
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茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.2

主要キャラの濃密度に対してその他キャラが完全に置いてけぼりを食らっているように見えるほど描き分けに差がある作品。
称えるべきは沸き出るものを押し殺す葛藤のようなものかと思いきや意外にはっきりと感情を発
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.6

誰もが夢見るストーリーの中心に自分がいる時、その主人公は果たして本当の自分なのか問い直してみる。
誰かの敷いたレールに身を任せることは快適性がある一方で、次はどちらに曲がるのか?どこで止まるのか?どこ
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.7

人は大事なことを忘れていく生き物だとしたら、本作はそこに真の恐怖が眠っている。
主人公自身が忘れないための反芻かのように繰り返す制裁は不安定且つ粗略であり、自虐ともとれる。
ターゲットにしているのは裁
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ケンとカズ(2015年製作の映画)

3.3

この世界の片隅で繰り広げられる日本闇経済活動。
悪の法則などに見るカルテルのシステマチックな人員配置や物流とは正反対。
アナログでいつ切れてもおかしくない関係性の上で地元の治外法権に従うケンとカズ。
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オアシス(2002年製作の映画)

3.6

一見社会から弾き出された人の慎ましい物語ととってしまいそうだが、必要以上に世間を露悪的に描きすぎないタッチが心地よい。
自分が見えているものは確かに澱んでいるがあの汚いネオンが優しく照らしてくれる時も
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DEATH DAYS(2021年製作の映画)

4.2

死んでないことが奇跡なのか生きていることは当たり前なのかもうよくわからない。
思いもかけない視点から自分を見つめ返すと概念は簡単に覆る。
森田剛の顔面に滲み出る虚ろいはやがて人生賛歌のそれと化す。
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.5

シンプルにこの生き方最強。
タコとの交流を支点にしながらも、自然環境と自分の間に流れる時間がとにかく澄み渡っている。
何かを所有するだとか支配だとか運用だとか、それに類する事柄に辟易した現代人が夢見る
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.8

現代から想いを馳せる60年代ソーホーの街がただただ美しい。そしてその美しさを支えていた陰に気づいた時、主人公自身が苛まれる不安の根源が炙り出されていく。
夢を喰らう妖怪たちと踊る契約で繋がれる現実をた
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キャラクター(2021年製作の映画)

3.6

商業映画の枠を外さずに文字通りキャラクターのディテールにこだわりエグみを出していくハイブリッドな作品。
半地下の家族よろしく包丁×血糊×豪邸のテッパンMIXは揺るがない。
日本が誇る漫画文化の描き方に
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街の上で(2019年製作の映画)

3.7

波長が噛み合う心地よさは時間の概念を忘れさせる。
基本的に受けを型とし、決して気取らず今自分の正直な気持ちを返していくまるで合気道のようなコミュニケーションは登場する女性たちをことごとく魅力的に引き立
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ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.9

標高と人口が反比例する現代人にとっては罰ゲームでしかない環境下でも自分を待っている人たちがいる。
この土地で人に必要とされるというのは即ち決断を迫られていることを意味する。
自身の未来を村の未来と重ね
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鈴木家の嘘(2018年製作の映画)

3.5

2階の窓から差し込む光は兄をどう照らしていたのだろう。
残された者は明確な回答が得られないまま各々の苦悩を展開するが、もはや想像の範疇を越えることはない。
しかしながらその内面を言葉にできた時ほんの少
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静かな雨(2020年製作の映画)

3.5

互いに欠落したものを繕い合うような静かでゆっくりとした時間の流れはやがてやってくるタイムリミットまでのタイトなストーリーズのように刹那的にクローズしていく。
しかしこれから過ごしていくありふれた二人の
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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.1

口癖のように仕事を与えたとかチャンスを与えたとかある一面的な視点で全ての人間が従う構造がまかり通る時代は終焉を迎えた。
欲望に忠実な者が力を得るのか、力があるから欲望に忠実になれるのか。
当然ながら声
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ブラックフット クマ地獄(2014年製作の映画)

3.3

女性の底力モノとしてはゼロ・グラビティを思い出す。原題も説得力あり。
ミスリードを誘発させる冒頭の展開も嫌いじゃない。
クレイジージャーニーは皆リスクマネジメントができる人たち。バックカントリーへのリ
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とんかつDJアゲ太郎(2020年製作の映画)

2.6

DJプレイが上手くなりたくて観たがあまり参考にならなかった。
しかし、とんかつの揚げ方は上達しそうな気がした。

ゾンビの中心で、愛をさけぶ(2018年製作の映画)

3.6

倦怠期だとかマンネリだとか世の中が正常に機能しているからこその症状。
ややもすると緊急事態下ではなぜパートナーを好きになったかを再確認できる瞬間があるのかも。

ハニーボーイ(2019年製作の映画)

3.3

否が応でも成長する子供の拠り所は良くも悪くも身近にいる人たち。

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.7

アメリカにおけるスケボーというカルチャーが社会的にどのような立ち位置なのか。それに付随してパンクロックやヒップホップなどにも安易に結びつけがちだが、スケボーには特殊な家庭環境下だったとしてもアイデンテ>>続きを読む

アオラレ(2020年製作の映画)

3.4

様々な選択肢がある中でことごとく事態が悪化する方に進む旧式のボルボ。
急いでいる時の運転はろくなことがない!
スピードを出してみたり、普段使わない道に出たり。何より運転とスマホの組み合わせから生まれる
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.7

クレイジーな取り調べ。
ハナからぶん殴る。
責任者は更迭。
昭和の捜査はなんでもあり。
現代の物差しでは測れやしない。
空白の真実をなりふり構わず埋めようとする男たちの物語。

父の秘密(2012年製作の映画)

3.7

必要最低限の情報とセリフ、動画の内容は役者のリアクションのみ。
それだけで十分に一連の流れをわかりやすく伝えられる見事なカット割り。
制御できないものが発動し、気付けば事態は完全に意図しない所までいっ
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