えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

えす

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拳銃貸します(1942年製作の映画)

3.8

アラン・ラッドの役柄が一瞬で分かる冒頭で、手首の怪我も一々台詞で説明しない。猫だけ愛する無愛想な男が、猫以外に初めて表情を緩める去り際のキスにグッと来る。終盤、ニトロ社での連なった扉が開閉してダッシュ>>続きを読む

らせん階段(1946年製作の映画)

3.2

ゴシックホラーの様な舞台美術に蝋燭やランプ、雷を使った陰影美。地下室を満たす黒や絞殺時の手元を写したショットが凄まじい。

戦火の馬(2011年製作の映画)

3.3

顔のクローズアップ→機関銃発砲で見せる間接的な死や、台詞だけで済ませる省略美。陰影に富んだカミンスキーの撮影は圧巻。
大隊旗を使ったやりとりには泣かされた。そして全てを包み込む夕焼け。

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

3.5

カラックスの創造性を肉体で体現する分身としてのドゥニ・ラヴァン。メルドの腋舐め健在でニヤついた。廃墟化したサマリテーヌと屋上からのポンヌフが至福。ビノシュで見たかったけども。

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.0

正直そんなに面白いとは思わんがヒューマニズム溢れるラストが全て持っていく。階段の装飾やズズの花弁など小物の使い方が映画を豊かにする。

過去を逃れて(1947年製作の映画)

3.7

入り組んだプロットを90分台に収める語りの妙。薄暗いカフェへと入店するシーンからファムファタールの妖気漂わせるジェーン・グリアの美しさは勿論のこと、少ない見せ場で強烈な印象を残す聾者の少年など脇キャラ>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

2.5

被写界深度浅めな寄りのショットと作中の余白が変に心地良くて途中寝てしまった。中国北部の乾いた土地のこの寂寥感は『薄氷の殺人』といい死の匂いがする作品によく似合う。

マリアンヌ(2016年製作の映画)

3.9

疑心暗鬼を鏡や空間の切り取り方によって見せる。グローブボックスに銃を入れる次のカットのコティヤールの視線によって考えられる結末は絞られる訳で、だからこそ空軍基地での彼女の葛藤がスリリング。分断するイメ>>続きを読む

ひかりのまち(1999年製作の映画)

3.5

人間達の営みに寄り添う映画だから、今観ると尚更愛しく感じるんじゃないだろうか。
シーンに関わらず無条件でグッとくるマイケル・ナイマンの旋律。

TENET テネット(2020年製作の映画)

3.2

冒頭からルドウィグ・ゴランソンのスコアで爆上がり。気持ち良い重低音。順行/逆行両視点でアクションを成立させている(ように見せる)のは凄いが、正直視覚的に物珍しいだけで普通のカーアクションの方が面白かっ>>続きを読む

復讐 THE REVENGE 運命の訪問者(1997年製作の映画)

3.5

画面に加えてオフスクリーンの音も相まりこの薄気味悪さ。何なんだあの工事音は。死体安置所のシーンが好き。

罪の手ざわり(2013年製作の映画)

3.1

大量のトマトに始まり、工場のロングショットや拳銃の花火とか鮮烈な部分はあったものの、暴力シーン以外たるかったのが本音。1話目の銃殺シーンのカット割りが好き。

ムカデ人間2(2011年製作の映画)

3.1

これを人生ベストに挙げていた知人とは少し距離を置こうと思う。

緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

4.6

人生ベスト級。肖像画が連なるかのような法廷シーンの省略美。針飛びレコード、ジョーン・ベネットの囁き、ネオンの明滅に戦慄する。もう完璧としか言いようが無い。「落下」という垂直運動の恐るべき反復変奏。決し>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

3.5

室内から覗き見る、盗み聞くという行為でここまでサスペンスを持続できるのは凄い。覗きを主観で見せるので能動的に楽しめる。そしてグレース・ケリーが眩しい程美しく撮られている。

突破口!(1973年製作の映画)

3.4

冒頭の銀行強盗シークエンスから余りに軽やかで驚いた。全く無駄が無くベッドに入るのも一瞬。あんなチェイスシーンありかよ!70年代アメリカ映画の良さが身に沁みる。

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇(1995年製作の映画)

3.8

ユペールのいい歳して赤いニット帽にあのスカートの丈で分かるヤバい奴感。無意識な悪意は恐ろしいね。完璧なラスト。

永遠の僕たち(2011年製作の映画)

3.8

基本的に淡くて暖色の多い画面で、夜の撮影が素晴らしい。ダーウィンや日本兵など生死を象徴的に用いながら、その狭間で受容を経て幸福を享受していく。瑞々しいショットの数々が儚い余韻を残す傑作。

Outer Space(原題)(1999年製作の映画)

3.5

10回くらい一時停止して眼球休ませながら観た。画面に吸い込まれそうになる。