涙目で切り付けてくるの怖すぎ。敢えてジャンル映画から逸脱していくようなシーンの挿入が、異様な緩急を生んでいる。
写真の現像液を思わせる水のモチーフが随所に施され、恐怖が実体化していく。湿度の高い画面が素晴らしいのだが、起源に迫っていくにつれ興を削がれてしまった。心霊写真を題材にする上でセーフライトやポラロイドを>>続きを読む
予兆としての黒カビや、遮蔽物、カメラ映像越しの怪異など丁寧に演出を積み重ねて『回路』等のJホラーに接近しつつ、空間そのものが変質するような力技も有り。全体的に撮影が良い。堅実だけど、ちょっと劇伴を信頼>>続きを読む
不良少年のエスターばりの非行に笑う。10分近くも回想に使ってしまう酷い停滞具合。ラストの対決もあまりに貧弱な物理的アイデア。同じシリーズでもアルジェントの方と特殊メイクの気合いの入れようがまるで違うな>>続きを読む
本当に奇妙な傑作。あれだけ白昼堂々銃撃を繰り広げておきながら、次のカットで何事も無かったように捜査は継続され、ロマンスは唐突に始まる。座礁船での陰影に富んだ撮影に瞠目。冒頭から光に照らされ続けるイース>>続きを読む
巧い脚本だとは思えないけど、あんなオーバーラップの後に小粋な切り返しを堂々とやってのけるのだから堪らない。牢屋での対面で印象的だった格子から流入する煙草の煙が、このシーンではイーストウッドの画面にのみ>>続きを読む
冒頭から巧すぎる面白すぎる。刑事を捉えた俯瞰からカメラがパンすると、それを見下ろすジョセフ・コットン。このシームレスな繋ぎにまず興奮。「見下ろす」ショットが頻出するが、白眉はやはり階段のシーン。視線の>>続きを読む
階段のワンカットは不規則な明滅による溜めと画面の黒さが絶妙。総じて良かったのは第9話。窓付きドア、点灯、着信音とあの僅かな尺に室内でやれる演出が上手い事纏まっている。遡る構成は何のツイストも無くイマイ>>続きを読む
『こんにちは、マリア』が最高。意外にも端的なメタファーに溢れていて驚いた。中でも分娩を思わせる除雪車が無機的で異質な感触。ゴダールの撮る女優は皆美しいけど、ミリアム・ルーセルの被写体としての強度は圧倒>>続きを読む
Vシネ時代を想起させるこの陰惨な空気感は紛れもなく高橋洋との脚本で、本編より遥かに楽しんだ。冒頭から空間を分断するカーテンが揺れまくる高揚。フレームに収まりきらないその佇まいから『地獄の警備員』におけ>>続きを読む
木々を揺らす為の野外採寸。白昼夢のような的当てゲーム。暗闇から現れる亡霊のような哀川翔は目的を失ったまま車を走らせる。
あの着地点へ向けて説明的な台詞が多くなってしまうのは致し方ないのだろうけど、憂鬱になる。垣松祐里のフロントガラスを突き破るアクションの一手間は最高。やはり銃は発砲する為に手にしなければならない。
再見。シーン単位の怖さなら新作の方に軍配だが、何といっても終盤の多視点を交錯させる力技。そこで過去が8mmフィルムを介して語られる不気味さが素晴らしい。復讐までもが映画内映画を「見る」ことによって果た>>続きを読む
このレベルで『呪怨』への回帰を見せつけられたら流石に楽しむ。中盤のとあるループが崩れる瞬間の違和が、人物の動きと禍々しい音によって一瞬で恐怖に飛躍する。それが後に予期しない場所で半透明のカーテン越しに>>続きを読む
初期フライシャーの経済的な語りは絶品。少ないカットで必要な情報を提示してみせる手際に加え、中盤の銃殺に代表されるようなウィリアム・タルマンの冷徹な判断力がこの凄まじい速度に寄与している。現金輸送車襲撃>>続きを読む
鉄扉や地下室など明確に『悪魔のいけにえ』であり、後年のフーパー作品との共鳴も。警備員が故のビル自体の私物化により、境界が崩れゆく。室内にも関わらず不穏を煽る為に、起因を示さずして草木を小刻みに揺らす感>>続きを読む
鋭利な演出は影を潜め、自伝を美化しないその実直さが沁みる。祖父との面会を車内から見届けるアン・ハサウェイのショットが良い。空虚なインサートと列車音が響き渡るラストの余韻。
とにかく走り回る映画。停車するパトカーを起点に人々が広場に集い出す俯瞰ショットの気味悪さときたら。「別人」であることを提示する切り返しの説得力!
環境音を残しブラックアウトで国境を跨いでいく簡素な編集。構図に注力した厳格な画というよりは、人工的な施し無しに狙った(水、風、光、生物が呼応した)画が撮れていて、それが次々映し出されていく感覚が気持ち>>続きを読む
冒頭の銃撃から速すぎて理解が追いつかない。全てが計画的では無く唐突な暴力!カーチェイスでの実景とスクリーンプロセスを交えたカットの連なりはもう職人技。しっかり落下を見せ、尚且つ巻き添えまで用意してるの>>続きを読む
蒸気船レースから幕引きまでのテンションと速度にシビれる。船を停滞させない為なら如何なる暴力・破壊も許容される活劇っぷり。何よりアン・シャーリーの可愛さが最強。
伊藤高志のベストはこれかな。時空を歪める悪夢的なタイムラプス。技巧を駆使し、団地の一室がホラーの様相に。
全編に満ちた悲哀を優しさに変換するラスト。居場所を見つけた男が靴を脱ぎ、赤のイメージから脱却する姿に感動。
洪水という後の宮崎駿作品における重要なモチーフが登場する。荒唐無稽な世界の中に描かれる、ドラム缶風呂の水位の変化などの現実的なディティールに心弾む。
ミミ子が母親になるという歪な擬似家族の形成。登場人物が皆、喜びを身体で表現する気持ちよさ。子パンダ飼いたい超可愛い〜。
あまりにも過剰な雷光と曇天がムードを形成する。無慈悲な死体の扱いと即席逆刺が発明すぎて最高。終盤あそこまでやってくれたら文句ない。
ロケーションが良い。こういう観光パートが充実したPOVをVRで観てみたい。思ってたよりスマートグラスならではなギミックに乏しくて残念。