えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.5

冒頭から寄り→引きのショットへの移行で一気に不穏が充満する。裁き直前に鏡面に反射する光の加減とタイミングが絶妙で、何か本当に啓示を「見てしまった」という感覚に。物語は黒沢清的な終末を仄めかしながら、シ>>続きを読む

ダイ・ハード(1988年製作の映画)

3.6

再見。銃撃戦、爆発共に景気良く無骨に面白い。舞台装置を活用した縦のアクションを繰り返し、各々の状況をしっかり画面で見せていくのが嬉しい。引き金を引く行為=トラウマからの解放なのが最高に映画。

ハロウィン(1978年製作の映画)

3.1

再見。観客が予期するような事象が起こらない随所のカットが違和を残し、暗闇の黒さが恐怖を醸成する。この静けさは美点だと思うが、終盤の畳み掛けがあまり好みではない。

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

2.2

狂騒感とやたら長いのが全く肌に合わなかった記憶。

トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

3.7

予感から苛烈な暴力が発動するまでのスピード。恐怖を助長する足音の重さ。ラストに響き渡る音が喉笛ではなく銃声であること、道に置かれた”目印“が幕引きとしてこの上なく美しい。

ロボコップ(1987年製作の映画)

3.4

とことん露悪的で良い。アイデンティティの再建が名を名乗ることで示されるのが痛快だし、あのピーター・ウェラーの微笑みが忘れ難い。

透明人間(1992年製作の映画)

4.0

傑作。一方的に「見る」ことの暴力性というより、「見てもらえない」透明であることの孤独を描いているのがカーペンターらしい。パソコンにコーヒーをこぼしただけで研究所が大事故になるという荒唐無稽さで物語を推>>続きを読む

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

4.0

心理的な画面にならないよう徹底された被写体との距離感。並の作家なら安直に回想など挿入してしまうだろうに。語りの速度に反して運び屋になる過程は大胆に省略したりと、その取捨選択や時間の使い方から見せたいも>>続きを読む

ターミナル(2004年製作の映画)

3.8

タクシー乗り場のロングショットで〆てくれたら…と思わずにはいられないが、とても良い映画。ただ階段を駆け上がるにしてもエスカーレーターに荷を放り投げたりと人物の動かし方が豊かだし、カミンスキーによるドラ>>続きを読む

ミュンヘン(2005年製作の映画)

3.7

無益な殺戮が連鎖する何とも血生臭い傑作。肉片が飛び散り、死体の映し方は極めて冷徹。電話機爆弾のシークエンスのように、殺し屋としての能力が欠如している、その危うさがサスペンスを生んでいく。らしくない頻出>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.9

虚構に対して自覚的な会話劇。ズームショットによる一瞬での日常からの飛躍、扉の開閉で生じるサスペンスとエロス、エスカレーターという装置の偶然性とその使い方の素晴らしさ。3→2→1の順で好き。

リトル・ニモ (パイロット/近藤喜文・友永和秀版)(1984年製作の映画)

3.9

圧倒される。アニメ表現における快楽性を3分半に凝縮したかのような。水面、風を凄まじい奥行きの中で切り裂いていく画面の躍動。作画そのものにこれ程驚嘆したのはいつ以来だろうか。

ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!(1993年製作の映画)

3.8

いや〜面白い。視線と照明によるサスペンスの生成。影の付け方がノワール的でカッコいい。列車チェイスでの豊かなアクションの連鎖とあの速度感には感動さえする。

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

3.2

村3部作に続き今作でも、平凡な画は撮らないという気概を随所に感じる。現実/仮想の境界が曖昧な前半部が特に良い。縦構図で幽霊が見切れる使い古された描写も、毎度役者のリアクションに託さずあのテンポでやって>>続きを読む

ブルー・ジーンズ(1958年製作の映画)

3.3

虚構と現実が溶け合う程の瑞々しい光をカメラに収めてきた作家だからこそ、その死が受け入れ難い。もうすぐ夏がやってくる。

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.2

竜巻の中ショッピングカートの群れが車の前を横切るシーンに興奮。こういう『宇宙戦争』みたいな画をもっと撮って欲しい。

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.7

上原ひろみの劇伴が良いに尽きる。音の波と呼応するように楽器、肉体は伸縮し、強烈な反射光を放つ。イメージが氾濫するこの画面の過剰さと幕切れの潔さには興奮。執拗に涙する観客を映し出すのは感傷的過ぎて如何な>>続きを読む

フラッグ・デイ 父を想う日(2021年製作の映画)

2.6

マリックじみた随所のパッとしないイメージショットには落胆したが、終盤のショーン・ペンと娘の切り返し、断片的な記憶と逃走劇の羅列は良かった。

飾窓の女(1944年製作の映画)

3.9

傑作。この虚実入り交じる物語に相応しい、ショーウィンドウの反射、透過を使った出会いに痺れる。『緋色の街』の方が悲惨で好みだけど、こちらのエドワード・G・ロビンソンの緩さもべらぼうに面白い。

レオパルドマン 豹男(1943年製作の映画)

3.5

いわゆる推理モノらしいサスペンスはほとんど発生しないが、随所の恐怖演出がかなり見応えある。殺人シーンは間接的で、あくまで描かれるのは風、光と影、音がもたらす”気配“なんだけど、それが相当スリリング。

いちごブロンド(1941年製作の映画)

3.6

キャグニーが目に痣を作るなら、ハヴィランドはウィンクで応える。あのラストは『夜までドライブ』に続いて最高だった。散々不器用を露呈していただけに、連行される際に見せる粋な優しさにはグッとくる。あー、幸せ>>続きを読む

スリーピー・ホロウ(1999年製作の映画)

3.0

話自体にあまり興味を持てなかったが、撮影ルベツキだけあって品のある画面で美しかった。斬首、生首の扱いに一切妥協が無くて良い。

その男を逃すな(1951年製作の映画)

3.7

籠城に至るまでの速度は圧巻。男女が出会う場がプールというのが異色で良かった。階段を下り破滅へと向かうラスト、僅かな救済の光が男を照らす。

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.0

原作未読。試合が楽しすぎるだけに、度重なる回想による停滞が息苦しかった。ドラマを削っても十分成立するクオリティなのに。ゴールネットやバッシュの擦れる音、ボールの弾む音等、丁寧な音の設計が没入感を高める>>続きを読む

ヘルハウス(1973年製作の映画)

3.6

プロットの割に少し長い気がするけど面白かった。主要人物が屋敷に集うオープニングの簡潔さが素晴らしい。無機質な電子音の劇伴+仰角ショットの高揚感たるや。そんな訳あるか!と言いたくなるマシンの登場や、罵倒>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.1

大傑作。情報の取捨選択があまりにも見事。時として字幕を排し、手話の運動そのものに注視させるという真摯な向き合い方。廊下奥の光へと車椅子を前進させる三浦友和、それを見送りながら後退していくカメラに泣く。>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.2

ヘッドライトによる過剰な赤、殺人ワニなど直球で『悪魔の沼』やってて中々楽しかった。ただカットバック多用し過ぎてサスペンスを削いでない?

On Your Mark(1995年製作の映画)

3.7

『すずめの戸締まり』のオープンカーでふと思い起こして再見。最高。

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.3

本作の需要なモチーフでありながら、日常パートにおける「扉」の扱いに象徴性を持たせる気がない時点で、この人とは分かり合えない気がした。「閉める」という行為は全く変奏されること無く、只繰り返される。