えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.3

本作の需要なモチーフでありながら、日常パートにおける「扉」の扱いに象徴性を持たせる気がない時点で、この人とは分かり合えない気がした。「閉める」という行為は全く変奏されること無く、只繰り返される。

線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.6

後に師となる三浦友和との出会いが「白いハンカチを差し出すこと」で始まるのが、水墨画という題材的にまず素晴らしい。事象に対する説明を追って行う軽妙な語り口で、スクリーンに相応しい大きな画仙紙への観客を前>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.1

コンサートでの唐突な断絶。その残酷とも言える視点転換を視覚からどうにか歌声を享受しようとする役者の姿によって、情緒的に見せているのが良かった。手話で締める簡潔なラストが爽やか。

真夏の方程式(2013年製作の映画)

3.6

前作より画面が充実してる。ハッとする傘の赤、駅の待合室に『浮草』を想起。緩やかな落下のイメージは杏の浮上を伴って見事な再生への放物線を描く。

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

4.0

傑作。空間的な隔たりや四色問題というモチーフによって、視覚的に表現される分断が素晴らしい。

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

2.4

新幹線という止まらない舞台装置に活劇性を期待するも、あまりに鈍重な語りで眠くなった。限定的な空間でのアクションは、その制約が十分に活かされていたかというと甚だ疑問だけど、真田広之のキメキメシーンで歌謡>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.7

役者の熱を帯びた眼差しがとても良い。クローズアップが極めてエモーショナル。位置関係が明瞭なドッグファイトで、この興奮は前作を遥かに凌駕する。何よりトニー・スコットの色彩が継承された空の画とラストの追悼>>続きを読む

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜(2011年製作の映画)

3.4

面白いストーキング映画。この不快さは『ハングマン』『アンナと過ごした4日間』のような純愛や不可解な行動原理では無いという点にある。血が噴き出る感じが生々しくて良かった。オチはちょっと弱い気も。

ツールボックス・マーダー(2003年製作の映画)

3.2

遮断された空間に少しずつ接続していく感じが面白い。そこに半透明のカーテンが黒沢映画のように機能する。廊下や螺旋階段の撮り方が印象的だった。恐怖演出もほんとに上品で、殺人鬼が意表を突く動きを見せる。

カイジ ファイナルゲーム(2020年製作の映画)

1.8

吉田鋼太郎と福士蒼汰に香川照之らの役割を担わせるのは酷だな。映画の推進力を欠くキャラばかり。まず今作のギャンブル自体がゲーム性に乏しいし、シリーズの中でも抜きん出て画面が退屈。

悪魔の沼(1976年製作の映画)

3.5

正しく悪魔的な照明、霧の濃さ、奇怪なキャラ造形、ノイジーな電子音、何もかも過剰で正気ではない。凶器がクソ取り回し悪そうな大鎌でカッコいい。ベッド上に拘束された女性と床下に監禁された子供が、脚本というよ>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

2.4

なんと解像度の低い脚本。取り敢えずJ・K・ローリングは制作から外れた方が良い。開心術の回避を理由に作戦の全体像が掴めないまま、2時間見させられるのは苦痛でしかない。そこにデヴィッド・イェーツの相変わら>>続きを読む

プロジェクト X(2012年製作の映画)

3.8

面白すぎてどうにかなる。ポリが去った後の静けさからの爆発が最高。スクールカースト下層主催のホームパーティが、理性喪失した者達によって、暴力蔓延るアナーキーな空間へと飛躍するありえなさにブチ上がる。火炎>>続きを読む

ダウンレンジ(2017年製作の映画)

3.5

シチュエーションを整える手際が良くて楽しめた。車体で人物を隔て、銃弾と転がるタイヤが一気にサスペンスを高める。カメラが人体をくぐり、最初の惨劇を見せていくのがクール。止血描写や、置物と化した死体の扱い>>続きを読む

マイアミ・バイス(2006年製作の映画)

4.1

最高のメロドラマ。去り行くコン・リーとそれを見送るコリン・ファレルの視線の交錯によってそれは始まり、完結する。夜の街に負けないくらいパワーボートが官能的で良かった。船内でハンドルを預けるなどして男女の>>続きを読む

クネクネ(2010年製作の映画)

1.7

首切断だけ妙に気合いが入ってた。終盤のチェイスがあまりにも滑稽でジワる。

光る眼(1995年製作の映画)

3.6

感情が欠落した子供達が組織的に動く無機質な不気味さ。個々の描写じゃなくて、校長が倒れた後の学校内のワンカットで集団気絶を提示するのが唐突で良かった。狙ってないだろうけど、墓地での光と心の動きがリンクす>>続きを読む

サベージ・キラー(2013年製作の映画)

2.6

圧倒的に『アイ・スピット〜』の方が好きかな。馬鹿設定なので、人体が破損してもテープで補修すれば良しみたいなスタンスなのは面白い。ただ95分でも長い。途中で飽きた。トラック荷台でのタイマンとかカット割り>>続きを読む

夜までドライブ(1940年製作の映画)

4.3

超絶面白い。トラック運転手のメロドラマがアイダ・ルピノの狂愛によって、ホラーのような様相を呈していく。改めて凄い女優だなと。理性と衝動の境界線を担う自動扉の光線センサーの使い方が素晴らしかった。ガレー>>続きを読む

ニコラス・ケイジの ウェザーマン(2005年製作の映画)

3.5

こんな映画も撮れるのか。受容し難い現実に直面した時にまた見返したい。

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

3.6

映画なんてこの程度でいいと言わんばかりの出鱈目さ。僅か10分足らずで離陸し、球型銃座に追いやられるクロエ。密室でほぼバストショット。その位置関係(ラストには逆転)、無線のやりとりなどからフェミニズム的>>続きを読む

特別な一日(1977年製作の映画)

3.2

浮遊感のあるカメラが窓をすり抜け、ワンカットで大家族を起こして回るソフィア・ローレンを捉える冒頭から凄い。長回しが多用される室内劇だが、豊かなカメラの動きが画面を活気付け、舞台が第2次世界大戦直前のロ>>続きを読む

カウチ・イン・ニューヨーク(1996年製作の映画)

3.0

2人を隔てるものが無くなる瞬間の多幸感。ビノシュの後を追うイッヌが健気で愛しさ満点。もう少し夜のシーン観たかったな。

廃墟の群盗(1948年製作の映画)

3.9

酒場でのグラスの受け渡しからキレッキレで面白い。振り返るアン・バクスターの逆光ショットはキマりすぎ、風が吹くタイミング神。勢力の変遷やクライマックスの間接的な銃撃描写とか凄くて、その後の死体の見せ方も>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.3

ジーナ・ローランズとピーター・フォーク、このベクトルが異なる2人の情動性に唖然とする。スクールバスを迎えるシーンの豹変っぷりとか。アップの多さ、各シークエンスの長さだったり、一見リアリズムに徹しながら>>続きを読む

脱出(1944年製作の映画)

3.1

マッチの扱い方や、幕引きの軽快さは当然魅力的だったんだけど、肝心の会話劇にあまりノレず。ラストのバコールの笑顔にヤられる。