深夜だからこそ見えてくる街の素顔
バス・ドゥヴォス監督作品は初。文脈的には、イスラム系の中年女性、清掃員でシングルマザーという設定が効いてるし、映像的には、夜の街で小柄な女性が白い服を纏って歩いてる>>続きを読む
眺めるドラマチックさ
劇的な物語だし音楽もパワフルだと思う。ただ差別や虐待からのさまざまな展開や歌が、どんどん並列に流れていく感じで、「心が動く」ではなく「眺める」になってしまった。元はいい舞台なん>>続きを読む
『王国(あるいはその家について)』初鑑賞。これは掟破りの凄い作品。映画の解体と創造が同時に頭を駆け巡る。最高に面白かった。
『王国(あるいはその家について)』話の内容も映画の作りも謎で冒頭から心を掴>>続きを読む
『MERU』、『フリーソロ』と対象者の功績以上にその心によりそったエリザベス・C・バサルヘリィ&ジミー・チン&監督ならではの作品。ドキュメンタリーのセンスを基盤に、挑戦した人たちの思いを見事にドラマに>>続きを読む
『昨日消えた男』(1941) 初鑑賞。高峰秀子特集 @シネ・ヌーヴォ。35mm 映像:普通/音声:普通。
監督マキノ正博、脚本小国英雄によるミステリー風の時代劇。冒頭長屋の面々の紹介があり犯人は誰で>>続きを読む
母は強し、山田五十鈴は凄し
『我が家は楽し』(1951) 初鑑賞。高峰秀子特集 @シネ・ヌーヴォ。16mm 映像:やや悪い/音声:悪い。
これぞ松竹大船調ホームドラマといった作品。それに加えてテン>>続きを読む
『争う美人姉妹(改題前:処女宝)』(1950)新東宝。初鑑賞。高峰秀子特集 @シネ・ヌーヴォ。映像:やや悪い/音声:やや悪い。
美貌の姉妹が作家の男を奪い合う。妹の高峰秀子は純粋で献身的。姉の高杉早>>続きを読む
『細雪(1950)』初鑑賞。高峰秀子特集 @ シネ・ヌーヴォ。映像:普通(一部悪し)/音声:普通。
その作家性と80年代の時代感で凝縮した市川崑版(1983)(傑作だと思う)しか知らなかったので原作>>続きを読む
『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』IMAXレーザーGT。全編観るのは確か初。カセットラジオからのセットアップや、そのスクエア感や照明など今も通じるようなステージセンス。そしてデヴィッド・バ>>続きを読む
有害な男性性への批評はエンタメでは飽きてきた感があったが、さすがエメラルド・フェネルとマーゴット・ロビー、それを飛び越えて、男の嗜好性の解体といった趣向に取り組んだ。もちろんある種ジャンル的な話しだが>>続きを読む
このヤクザの境遇、あの時の自分と一緒じゃんと引きつけられた。というのは若い頃勤めてた会社では、社長がいる飲み会で歌が上手いと出世すると言われていて、せっせと練習したことがあったから。実際、宴会で活躍し>>続きを読む
そもそもPR企画であり、行政や大手企業が絡んだ作品として見ると、清貧な清掃員を愛でる話なのはグロテスクな感じは否めない。実際のところ、ほぼ日本とオジサンについての無臭で漂白されたファンタジーといってい>>続きを読む
『召使』(1963) エメラルド・フェネルが『Saltburn』で参考にした作品ということだが、なるほど似た味わいがあったし、最後のワンカットまで目が離せない傑作だった。主従関係におけるサスペンスを軸>>続きを読む
可笑しくも物悲しい伝統芸能
いつものアレン映画だった。インテリ中年の悲哀も、夫婦の危機も、溢れる映画愛も、ここまでくるともはや伝統芸能。特に今回はスペインでの映画祭を舞台に、ヨーロッパの名作映画のオ>>続きを読む
『ゴールデンカムイ』を観たが、これ原作漫画が面白いんだろうなあと思わせる点では見事な映画だった。
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『ゴールデンカムイ』映画を見て面白そうだと、原作漫画を映画で描かれたとこまで読んだけど、予想以>>続きを読む
『コット、はじまりの夏』可愛いだけやお涙頂戴ものではなかった。冒頭から死の匂いがある中、実家でも親戚の家でも、大人の行いや環境が、少女の心にどう影響するのかだけを静かに静かに考えさせる。やがて喪失と希>>続きを読む
本物のドキュメンタリーの意義を再認識
企画したのも凄いし、撮ったのも凄いし、脱北の実態が凄いし、何よりこの牧師さんが凄い。本物の脱北を描いた内容が壮絶で、その家族へ密着した映像は見にくい部分もあるが>>続きを読む
『葬送のカーネーション』なんて素晴らしい映画の味わい。老人と少女と棺桶だけで豊かな映画ができることを監督は信じているのだろう。トルコ南東部荒野の旅だが映像が豊穣に語りかけてくる。キアロスタミ風味を隠さ>>続きを読む
『彼方のうた』杉田協士ワールドのひとつの到達点のよう。余白も多いが様々な人生が交錯していき、何があったかを思うこと以上に、この人と人との間に醸し出されるものがすべてではないかという気分にもなっていく。>>続きを読む
CG頼みのアメコミヒーロー映画の終焉
個人的に駄目だった『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の海版のようで、新鮮味がないスターウォーズを大味なCG三昧で見せられた感覚。こういうCGありきの世界でや>>続きを読む
『哀れなるものたち』ランティモスがこんな人間讃歌を撮るとは思っていなかったので驚いた。やはり製作も兼ねたエマ・ストーンの映画という感じも強く、エログロコメディとフェミニズムの邂逅から生まれた独特の味わ>>続きを読む
『千年女優』最高だ。映画と女優へのロマンの塊のよう。昔の日本映画を見てきて、好きな女優を追ってきた僕にとってご褒美のような作品だった。さまざまなショット、語る視点に覚えがあって頭がクラクラし、ずっと涙>>続きを読む
イ・ビョンホンの顔力はいよいよ凄い
災害時の群衆心理ものでは目新しさはないが、韓国の住宅事情や格差、キリスト教の精神、北朝鮮の暗喩などを含めて、瓦礫の山を超えるほどの人間のエゴを、陳腐になるのもかま>>続きを読む
希望と信頼溢れる絶望の地
1972年のウルグアイ空軍機遭難事故の何度目かの映画化。救助の顛末を知らなかったこともあり、緊張感をもって見られた。また映像、音とも迫力があり劇場で見られて幸運だった。>>続きを読む
長距離走者ののんびり狂気
~キング・オブ・カルトは見応えたっぷり~
ようやく、それも映画館で観られた。名脚本家であり一時期の日本映画を支えた大家が、ウケを狙ったわけではなく真面目に撮った大作だけあっ>>続きを読む
大地なる母も社会では一人の女性
「A24の知られざる映画たち」@シネ・リーブル梅田
母なる大地という言葉があるが、まさに生命の源である母親をイメージさせる幻想的なショットが引きの画で入る。と同時に>>続きを読む
自滅していくポール・メスカルは今美味しい
「A24の知られざる映画たち」@シネ・リーブル梅田
アイルランドのひなびた漁村での人間模様。厳しい自然や営みの中で培われてきた男社会とそんな中で生きる女性>>続きを読む
台湾のエブエブは怖いものなし
ジャンルミックスというよりジャンルジャンク的なハチャメチャムービー。基本は幽霊と生きてる人とのラブストーリーだけど、台湾の伝統的な神様の役割と、輪廻転生をモチーフに遊び>>続きを読む
急がず怒らず羽ばたけアート
「A24の知られざる映画たち」@シネ・リーブル梅田
『ファースト・カウ』に続き、ケリー・ライカート監督の作品を見るのは2本目で、彼女の最新作。オレゴンでアートに生きる中>>続きを読む
『枯れ葉』なんて華がない(犬まで笑)のにここまで美しいのだろう。ラストですべてが繋がって涙が。ありがとう、カウリスマキ。最高の映画納めでした。
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『枯れ葉』前作『希望のかなた』ではカウリスマキが>>続きを読む
『ブラックベリー』評判どおりの面白さ。当時の社内にカメラが入り面白がって撮ってる感じで、ドキュメント&コミカルなタッチの携帯端末狂想曲。気ままな技術者とシビアなビジネスマンのタッグによるワクワクするア>>続きを読む
『野球どアホウ未亡人』小津の奥行き和室ショットやエイゼンシュテインのモンタージュを迂闊に使いながら、野球狂の詩や昭和エロをネタに、あまりにくだらなくて楽しくなってくるスポ根ドラマを展開。水島新司先生に>>続きを読む
『ポトフ 美食家と料理人』冒頭の厨房シーンに魅せられる。料理は会話であり、信頼であり、生き様であり、何より映画的には動きの面白さに満ちた活劇である。それを下地に夫婦の物語で味付けされ、豊饒な人生のため>>続きを読む
『市子』凄まじい半生、凄まじい演技だった。杉咲花。喜怒哀楽を大袈裟でなく死んだ心と冷たい関西弁の上に微妙に乗せてきて、社会問題や倫理観よりも作品の肝のずばり「人間ドラマ」をどんどん作りあげていく。没入>>続きを読む
明日に向って揚げろ!
西部劇は何度も解体され更新されてきたと思うが、『明日に向って撃て!』もそのひとつで、アメリカンニューシネマの波にのり強盗団の二人の生き様を青春ものとして捉えなおした面白さがあっ>>続きを読む
『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』お見事。ワンアイデアの青春ホラーだと舐めてたら(良く出来てて)痛い目にあうやつでした。
若者の遊びの適当なルールの危うさに覚えがあって上手いと思った。監督>>続きを読む