KYOさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.3

『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』『かぞくのくに』、そして本作。
日常の中に見え隠れする思想や価値観、たくさん考えさせられ毎回学びがある。
後半は涙が止まらなかった。
「済州4・3事件」に関しては映
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

アニメーションで個人や正確な時期が特定されない配慮がありながらも、a-haの「Take On Me」等の楽曲やモスクワにマクドナルド1号店がオープンするエピソードから、世界は地続きでアミンが同時代に生>>続きを読む

ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇(2018年製作の映画)

4.0

エビや魚の缶詰など原産国表示はほとんどタイ。水産大国という認識しかなかった。
拉致され何年も下船できず無給で働かされる「海の奴隷」の実情は、生き地獄で想像を絶する。
絶望しかない中で、パティマ・タンプ
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息子の面影(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

軽い気持ちで観たら、物凄い闇と苦しみ、秩序が崩壊した地獄のような現実に打ちのめされた。
荒涼とした大自然同様、もはや立ち向かうことすらできない状況への無力感、やり切れなさ、救いのなさが終始辛い。
淡々
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シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~(2019年製作の映画)

3.4

当初はバラバラだったのがぶつかり合ったり危機を乗り越えながら目標に向かって力を合わせる姿は素晴らしいけれども、目新しさはなかった。
従順でも謙虚でもなくより強く、とはいえ待つ妻たち。それに加えて、戦争
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ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

3.5

予告を観て「ニュー・シネマ・パラダイス」っぽいのかな、チャン・イーモウ初期の素朴な感じなのかなと少し期待した。
追う男と逃げる少女の繰り返しで単調というか、やや飽きてしまった。
2年後に釈放された際、
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メイド・イン・バングラデシュ(2019年製作の映画)

3.9

ドキュメンタリーを観ているかのような実話に基づくストーリー。
夫や工場幹部や労働局はもちろん、同性の大家や同僚からもわきまえろという圧力が終始辛い。女性であること、途上国の労働環境など主人公の境遇は厳
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教育と愛国(2022年製作の映画)

4.0

お辞儀の仕方やパン屋が和菓子屋に書き換えられたのも違和感を覚えるが、東大名誉教授伊藤隆(歴史学者)氏の「歴史から学ぶ必要はない」と言い切る姿勢にゾッとした。
教育に政治が介入してくる「見えない圧力」に
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オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)

4.0

出演作を数多く観て、写真集も持っていて、オードリー展なども行ったことがあり、晩年には人道支援に心血注いだことも含め半生は知っているつもりだった。
それでも映像で改めて観ると込み上げてくるものがあり泣き
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マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

3.3

予告編に惹かれたが、いまひとつ心に響かなかった。
自分の考えを持って生き生きとした主人公が魅力的なのに良さが活かされていない感じ。
ジガニー・ウィーバー久しぶり観れたのが唯一の収穫。

主戦場(2018年製作の映画)

4.2

出演した右派の論客らが敗訴したニュースで本作を知り、再上映中ということで滑り込みで観た。プロパガンダではなく、公正に描いていたと思う。
国同士の問題でもあるけれども、女性への人権意識の欠落が一番問題あ
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手紙と線路と小さな奇跡(2021年製作の映画)

3.6

実在した両元駅をモチーフにした心温まるストーリー。
ファンタジーを交えて前半ラブコメ、後半家族・親子愛で盛り込みすぎな印象。全体的にベタすぎた。
パク・ジョンミン✕ユナ、方言も可愛くてハマっていたけど
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パリ13区(2021年製作の映画)

3.8

簡単に人と繋がれても、自分が何者で相手に何を求めているのか分からない若者たち。
大胆なようでいじらしかったり、登場人物の長所短所がまるごと愛おしくなるほど魅力的だった。
ラスト、インターフォンのやり取
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.0

人間って面倒くさいけど愛おしい。
私は子育ても介護もしたことがないけれども、家族のあり方や女性の負担の大きさを考えさせられた。子供とか大人とかを抜きにした他者との関係の築き方も答えや正解なんてないから
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マリー・ミー(2022年製作の映画)

3.8

2000年前後はラブコメをよく観ていたけれど年齢も相まって遠ざかり、久々に王道のラブコメを観た気がする。
SNSの時代、主体性のあるヒロインなど今っぽさもちゃんとあり、ジェニファー・ロペス自身と重なる
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親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ソ連が崩壊するまで30年間隠蔽されていた「ノボチェルカッスク事件」。激動の3日間が共産党員で市政委員も務めるリューダを通して描かれている。
労働者を守るはずの共産党が抗議の声を上げた非武装労働者を虐殺
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連鎖(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

知的障害を持つ青年と義父から虐待を受けている少女ゆえ当事者置き去りでもどかしいし、周囲が憶測で声高に正義を主張し裁いてしまう怖さにゾッとした。
誤解や偏見が取り払われない結末はあまりにも辛すぎる。ソッ
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英雄の証明(2021年製作の映画)

3.9

人は愚かだけど複雑で多面性に富んだ存在なのだと主人公ラヒムの姿に色々と思いを馳せた。
拾った金貨を持ち主に返すことはささやかな善行。でも、ラヒムは囚人ゆえに英雄として持ち上げられ、刑務所側は美談として
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アネット(2021年製作の映画)

3.4

レオス・カラックス9年ぶりの新作、ダークファンタジー・ロック・オペラ、アダム・ドライバーとマリオン・コティヤール。傑作との声もあったしミュージカルも好きだから少し期待して観に行った。
オープニングはワ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

3.9

暴力によって区切られたバリケード内での悲喜こもごも、家族、初恋…故郷への愛着が優しく丁寧に描かれていた。
ノスタルジックなモノクロ映像の中に差し込まれた冒頭の現在のベルファストや映画館のスクリーンなど
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.2

基になったポート・アーサー事件の犯人マーティン・ブライアントを逆さ読みして『NITRAM』。
事件に至るまでの経緯を淡々と積み重ねていくことによって、何がニトラムを安定させ苛立たせるのかが伝わってきた
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.5

原作、旧作ともに未見。ギレルモ・デル・トロ監督の世界観が好きかどうかに尽きる気がする。
欲に溺れた男の愚かな末路。ラスト宿命だと…心が痛む。
誰もが抱えている心の奥に潜む怪物性。長尺ながらも美しく巧み
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牛久(2021年製作の映画)

4.1

観るのに相当な気力が必要と躊躇していたが、行って良かった。鑑賞後に監督のトークショーもあった。
作中では制度や政府が悪いと言っていたが、それらを作っているのは人。現状を変えられるのは日本国民だけ。自分
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.8

意味があるのか分からない治療のための回復プログラムを淡々とこなしていく主人公。
傍から見ると滑稽だが、逆らわず体制に身を委ねれば余計なことを考えたりしなくていいし楽。
親しくなった女性との距離が縮まっ
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ライフ・ウィズ・ミュージック(2021年製作の映画)

3.9

アルコール依存症、自閉症…重くならない?音楽でどう表現するのか関心を持ち、シーアを全く知らないまま観た。彼女の頭の中を覗けたような、世界観ものすごく好き。
障害や虐待、孤独を抱えていても、ミュージック
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チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

4.1

チェチェン共和国について何の知識もなく鑑賞。イスラム教なんだ、と。
プーチンもカディロフも「有害な男らしさ」を体現したような、本来なら絶対に権力を握らせてはいけない存在だと思った。「血の浄化」政策を推
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

3.3

音に関する内容なら映画館で、と鑑賞。
自宅で観たら途中で脱落してしまいそう。眠くはならなかったけど、やたら長く感じて辛かった。何を見せられているんだろうとずっと考えていた。
物語性が乏しいので、あまり
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ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)

3.7

実話に基づく60年前のストーリー。
派手さはないものの、優しさと寛容さにほっこりした。
サッチャー政権以降はなんとなく分かるけど、イギリス病と言われた頃の停滞している60年代の雰囲気が分かればもっと楽
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GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.8

壊れゆく団地に、夢幻の宇宙を見た。
映画館で見かけた推薦コメントが秀逸。
2024年パリ五輪開催のため、老朽化した低所得者用集合住宅・ガガーリン団地は2019年に解体されたらしい。
宇宙飛行士を夢見な
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白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

冤罪で夫が死刑になったミナと聾唖の娘ビタ。
判事だったレザは職を辞して罪を償おうとしたが、拒まれたくないからかミナに事実を告げなかった。謝罪もしなかった。
同様にミナもレザに直接何も尋ねることなく、殺
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.7

原作未読、過去に映像化されたものも未見なので、何も考えることなく純粋に楽しめた。
殺人事件が起きるまでが長く感じた。
エジプトの景色に旅行したいな、と。
ラスト、髭を剃ったのはどういう意味が込められて
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ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

3.9

アメリカにおける国際養子縁組、移民政策の法律の隙間での悲劇が韓国系アメリカ人ジャスティン・チョン(監督・脚本・主演)ならではの視点で描かれていて、幻想的な映像も良かった。
1993年にハーグ国際私法会
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ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ(2021年製作の映画)

3.9

昨年の夏『ビリー』を観たことが理解にだいぶ役立った。
アンドラ・デイの熱演が素晴らしい。
キング牧師やマルコムXよりも前、今から100年以上前に生まれたアメリカの公民権運動の先駆者ビリー・ホリデイ。政
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.8

"Tonight""America"など名曲揃いで知ってるし、61年版『ウエスト・サイド物語』観たことあるはずに、あまり記憶に残っていなかった。
「ロミオとジュリエット」をモチーフにしたベタなストーリ
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