浦切三語さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ドッグヴィル(2003年製作の映画)

4.6

ここで彼らを赦してしまったら、自分で自分を擁護することも、彼らを非難することもできない。

地面に白線を引いただけの簡素なセットを用意したのは単に視覚的な面白さだとか映画を映画たらしめている要素を再構
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エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)

4.3

前回の感想が眠気に負けてあまりにも適当だったので書き直し。シネマート新宿で2回目の鑑賞をしてきて、やっとこの映画が伝えたいことがわかってきたような気がする。

本作「エピデミック~伝染病」がどういう作
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イディオッツ(1998年製作の映画)

4.3

知的障害者とは、ある意味現代における「特権階級」である。最近だと『RUN』でもほんの軽く描かれていたけど(あっちは身体障碍者だが、まあともかく)この社会というのは、知的障害者たちが私たち健常者たちと一>>続きを読む

ノクターン(1980年製作の映画)

3.8

決して同じ色調、同じリズムの映像が続くことはない。闇と光のコントラストが圧倒的映像センスの下に描き出される様に腰を抜かします。映像ひとつひとつが持つ「パワー」でいえば、同時上映された「エレメント・オブ>>続きを読む

エレメント・オブ・クライム(1984年製作の映画)

4.1

トリアーが描き出す「黄金の退廃都市」に酔いしれるための一本。これがあの伝説のデビュー作か~と微睡みながら観賞しましたが、いやもうすんごいですわ。火星の、未だ人には知られていない異星の遺跡を舞台に撮りま>>続きを読む

告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

「信頼できない語り手」を使った羅生門的視点切り替え式のミステリー映画です。勘の鋭い人は序盤のあるシーンでこの映画の大ネタがわかるかもですが、なかなか巧いことやってる映画です。クローズド・サークルに密室>>続きを読む

クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立(1970年製作の映画)

2.8

本気の本気で、超感覚な世界、形而上学的な世界を描こうとしたからこうなったのか、あるいは単に技術や予算の都合上やむ無くこういう映像を選択したのか、良く分かりません。「皮膚の館」と呼ばれる研究施設で働いて>>続きを読む

ステレオ/均衡の遺失(1969年製作の映画)

3.0

映画というより「映像的学術論文」とでも言うべき作品です。全編がモノクロ映像、登場人物の台詞一切無し、BGM一切ナシ。ひたすらひたすら疑似SFに出てくるような専門用語オンパレードなモノローグ(それも報告>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.2

AI搭載の子守り人形が過保護すぎてアレコレ騒動を起こす話です。見終わった直後は「(物理的な意味で)親権を巡る話だしロボ出てくるしで、なんだか"逆襲のロボとーちゃん"を薄めたような話だな」と感じたもので>>続きを読む

水のないプール(1982年製作の映画)

3.3

「水のないプール」という題名。なんとも意味深な題名。おそらくは「役立たず」「存在価値のないモノ」のメタファーであり、それはそっくり内田裕也演じる主人公のことを指しているのかなと感じた。やりたい仕事に就>>続きを読む

コミック雑誌なんかいらない!(1986年製作の映画)

4.0

恐らくこの日本において最も蛇蝎のごとく嫌われている職業上位に君臨する「芸能リポーター」なる仕事は、升田幸三風に言うなら「ゴミにたかるハエ」である。あくまでハエ止まりであり、決して自身はゴミになれない。>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

昨晩の飲み会の疲れが祟ったのか、1時間近く眠ってしまったので全くあてにならないレビューであることを前もって言っときますが、少なくとも「傲慢で独善的な男性気質を持つ女性指揮者が、過去のパワハラ的な行いが>>続きを読む

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

3.8

是枝裕和の映画はほとんど観たことがないんで系統立てたことはなにも言えないんですが、なんとも、サスペンスな映画でした。大量殺人事件を起こした宗教団体の「加害者遺族」たちが教団の元信者も交えて山奥のロッジ>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

2.1

「なぁ…知ってたか?プッチ。パリのルーヴル美術館の平均入場者数は1日で4万人だそうだ。この間、マイケル・ジャクソンのライブをTVで観たが、あれは毎日じゃあない。ルーヴルは何十年にもわたって毎日だ…。開>>続きを読む

少年と犬(1975年製作の映画)

3.3

原作者のハーラン・エリスンは米国SF界における"伝説的人物"と言われており、その奔放で過激な言動の数々でSF界隈の大御所たちやファンたちを「いろんな意味で」ざわつかせた怪奇人物である。ちなみにこの人は>>続きを読む

ケルベロス 地獄の番犬(1991年製作の映画)

3.9

「時代」という主人を失くした野良犬たちの物語。野良犬としてしか生きられない者たちの哀愁。それが画面から滲み出ているのだから興業収入とか関係なしに成功作だと思うし俺は好き。千葉繁が出てるシーンはタイミン>>続きを読む

世界の終わりから(2023年製作の映画)

1.0

辛気臭い。辛気臭くて幼稚な映画。肥大化して止まらない被害者意識は「傲慢さ」の現れだ。この映画は極めて傲慢だ。この世界を本気で憂いているのは人類史上でこの俺ただひとりだとでも紀里谷和明は思ってんだろーか>>続きを読む

GOEMON(2008年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

なんだかよく分からないんだよなぁ……別に才蔵の家族が死んだのは五右衛門のせいじゃないのに、なんで「これがお前の求めた自由の代償だぁぁぁ!」って五右衛門に向かってキレるんでしょう。いや、まぁわかりますよ>>続きを読む

CASSHERN(2004年製作の映画)

2.7

シネマンションで知ったんですが、紀里谷和明はこの映画のほとんどを『シン・レッド・ライン』の影響を受けて製作したらしい。すごくね?『シン・レッド・ライン』だぜ?テレンス・マリックの復帰作だぜ?あの壮絶映>>続きを読む

成れの果て(2021年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

レイプが絡んでる話なのでそういう重いテーマについて監督なりの答えを掲示する話なのかと思いきや、あくまでそれは物語をサスペンス的に駆動させるためのエッセンスに過ぎず、では何の話なのかというと「どっちが上>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.2

「有害な男らしさ」と、その犠牲となる売春婦たちを描いたサスペンス作品……と各所メディアは宣伝してるように思いますが、果たしてそんなに単純な映画でしょうかこれ。

連続殺人鬼サイードの犯行動機は極めて複
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.9

スクリプトドクターの三宅隆太さんが脚本協力に関わっているだけあって、主人公3人のうちあえてドラマを省いた大以外、つまり玉田と雪祈のドラマの設定が巧く、また主人公たちが結成したジャズバンド「JASS」の>>続きを読む

独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

3.6

亡霊映画。

登場人物も、台詞も、およそ映画を構成する諸要素を過去からの援用「だけ」で成立させようとする試みと、デジタル加工により虚実皮膜な雰囲気を匂わせる冥界の描写。さながら『イノセンス』と『アヴァ
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.4

アメリカ映画っつーか、ハリウッド映画って本当にこういう話好きですね~。「愛する娘のためならパパ頑張る」系映画には「娘を助けるためなら、あとは何してもオーケー」って作劇上の暗黙の了解があるので、まーわか>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

君は信じるか?未だ見ぬ「神」の実在を。

結論から言うなら、本作も数あるお仕事系映画に連なる「波及」を軸に描いた作品です。つまり、主人公であるソニーの行動に最初は辟易していた多くのナイキ社員が次第に次
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オオカミ狩り(2022年製作の映画)

3.9

いや「狼」ってレベルじゃねーぞ!

個人的にスラッシャー・ムービーって子供の遊びに似てると感じる。子供が悪戯心を働かせて積み木をガラガラ崩したり、丁寧に固めて作った泥団子をメタメタに破壊したりするのに
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劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ(2023年製作の映画)

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見なくてもわかる。自分の人生を自分の責任の下で引き取るという選択から逃げた人たちのお話だってことくらいは。

黄龍の村(2021年製作の映画)

2.9

低予算で作った「フロム・ダスク・ティル・ドーン "in JAPAN"」ってな感じの映画。アクション自体はこれまで観てきた坂元作品の中では一番良かった。あくまでも「坂元作品の中では」の話だけど。

しか
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ある用務員(2020年製作の映画)

2.9

前野朋哉のサラリーマン風情な裏社会人間役がハマっていて面白いけど、正直いって褒めるところがそれくらいしかない。主人公が育ての親に向ける恩義と恨みの板挟みにあって葛藤するシーンを序盤~中盤の頭に持ってく>>続きを読む

最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

2.5

「スロータージャップ」「ハングマンズ・ノット」と立て続けに観てきましたが、やはり「悪い意味で漫画的なキャラクターしか創造できない」人に、リアルでプロフェッショナルなキャラクターを演出することは無理だっ>>続きを読む

ハングマンズ・ノット(2017年製作の映画)

3.3

「スロータージャップ」では銃殺シーンの血糊が安っぽいCGだけで構築されていてチト萎えましたが、本作は昔ながらの血糊ベースでそこにCGを足すことで質感の向上に繋げるなど、特に血糊の描写が良かった(個人的>>続きを読む

スロータージャップ(2017年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

バイオレンスアクションかと思ったら「食育映画」だったでござる。

面白いっちゃ面白いんだけど、その面白さというのが展開の意外性という部分だけに偏っているのは、どうなんだろう。意外な展開「でしかない」映
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わたしの幸せな結婚(2023年製作の映画)

4.1

舐めてました。美術、メイク、プロップの完成度の高さ。VFXの使い方の巧さ。それにより小規模な戦闘シーンは見応えあり。さらには「テンプレ」でなく「王道」を往く構成のシンデレラストーリーで面白くないわけが>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.0

「浜辺美波はカワイイ」

浜辺美波はカワイイ。それも、ただ「カワイイ」のではなく「超絶」という枕詞がつく。これはもう、日本人つーか全人類共通の常識である。確定的に明らかというヤツである。d払いのCMで
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