このレビューはネタバレを含みます
ジャ・ジャンクー監督のドキュメンタリーは『四川のうた』以来の鑑賞です。『四川のうた』では工場労働者たちのインタビューのなかに、ジャ監督のミューズであり奥様のチャオ・タオさんの演技が混ざることでドキュフ>>続きを読む
唇フェティッシュ。鳥手羽をムッチャムッチャ食べる鈴木杏香を真正面から見る稀有な体験。
このリズムというか、ユリイカという作品の映画時間に体がノってきたあとは、なんかもう終わってほしくなかった…。なんだこの気分は?
地震…。大地の褶曲と反発と膣痙攣を重ね合わせるセンス。まったき偶然の自然現象で大切な人が突然いなくなってしまったり、膣に収まっていたチンポが抜けなくなったりして、うまく説明できないままに巡り巡って、オ>>続きを読む
いいもの見たなぁ。ゾンビ映画は精神衛生上いい。映画史上、色んなゾンビがいますけど本作のゾンビはすごく生命力が強く一体一体なかなか死なないのがね。モヒカンがキチって狂い笑いながらゾンビをミンチにしていく>>続きを読む
ヘップバーンは単純な美人ではなくて、特に鼻と唇のあたりには引っ掛かりを覚えさせるものがあると思います。愛嬌のある顔、ファニーな顔の持ち主ヘップバーン。アメリカ人の憧れ、花の都パリ。ダンスはキレキレです>>続きを読む
冒頭のペーパーを破り取って隙間にスタッフ名を並べていくクレジットが素敵。意味もなく紙を破ってケタケタ笑う子供の感性。スーツに身を包んだブロンドのイケメンが颯爽と家の中庭に入っていく。アメリカから渡英し>>続きを読む
「私がいなかったら、誰があなたと一緒にいるの?」
「なんの役に立つかはわからない、でも全てが何かの役に立っているんだ」
浜辺の掘っ建て小屋で暮らす貧しい一家のもとに、幌付き大型バイクにまたがりタバコ>>続きを読む
バーでひとり洋酒のグラスを傾ける男の背中、なんというか、昭和だなぁクサいなぁとニヤニヤものです。カサブランカのオマージュなのですね。バーにやってくる浅丘ルリ子さんが変にキラキラしすぎていて演出にしても>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
労働者家族における世代間の葛藤、共産党のエリートと実際に汗水垂らして煤まみれになる労働者たちの間の衝突、矛盾してぶつかり合いなかなか解決しない様々な問題を目撃する少年サンドリーニ。この少年を中心的な視>>続きを読む
ケン・ローチの怒りが映像を通じてみている私にも、血と共に全身をめぐる感覚として共有されていくような作品。彼は本当に怒っている。困窮にある人々を無益に辱めて憂鬱に追い込み、無力化させる福祉システム。ソー>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
計画はいつだって頓挫するものです。有刺鉄線を苦労して潜り抜けるJ・ハックマン=マックスの登場からダイナーでの朝食とバディ誕生のシーンまで、遠景と近景を駆使しながら長回しが続いていて好みでした。
このア>>続きを読む
ダスティン・ホフマンとエドワード・ノートン顔似てますね…というか確かデヴィッド・フィンチャーとノートンがファイト・クラブと本作が似てるかもねという話をしていて、その影響もありますね。主人公の青年ベンジ>>続きを読む
和室の壁にかかる制服、割烹着を着て甲斐甲斐しく下宿の住人たちの食事の用意をするうみさん。彼女は母親であり、朝鮮戦争で死んだ父に対する思慕の念を考えると妻でもあります。この点でトトロのさつきちゃんとリン>>続きを読む
久しぶりに見ました。さつきからお母さんに宛てて書かれた手紙には、メイの子どもらしい無邪気な夢の産物と思っていたトトロが実際に存在していた驚きと興奮が綴られています。そこでトトロの「不気味さ」にも言及さ>>続きを読む
アクションすごいです。ラプンツェルもフリンも激しく動きまわります。ラプンツェルのパパンとママンの記憶が蘇るところ、プルースト!笑 ラプンツェルの特殊能力発動に歌うことが条件となっているので、ディズニー>>続きを読む
1作目はウォン・カーウァイにチャン・チェン、グォン・リーとハードルのあがるキャストでしっかりと期待を裏切らない官能と純愛のドラマ。手の動きのエロスにカーウァイ印の階段のショット、ふりしきる雨と素晴らし>>続きを読む
マゾヒズムの語源ともなった19世期オーストリア=ハンガリーの作家レオポルト・ザッヘル=マゾッホの傑作『毛皮のヴィーナス』の翻案作品。原作の小説を映画化し、さらに舞台の映画という捻りを加えてくることで、>>続きを読む
いきなり現代のシーンから始まったので一瞬面食らい…。最後の桜に埋もれきった、いや、幻想の果てに桜の花弁に戻った岩下志麻がとても美しい。安吾の原作では京都で首刈りをする山賊の生々しくもエロティックな描写>>続きを読む
谷崎の卍を読み終えてちょうどいいタイミングで、増村保造初体験です。
キモく美しくエロく…色々と不穏な映画です。同性愛、サドマゾ、有閑階級専業主婦の倦怠などが相まって男女(綿貫は男女とかいろいろ言われて>>続きを読む
いわゆる戦争映画的なカタルシスやスペクタクルを燃やして灰にしてしまいそうな映画です。
繰り返し現れる偵察機が不気味に少年を追いかけてきます。オーガズムに浸っているかのように恍惚としながら自分を抱くよう>>続きを読む
純白の民族衣装、フォトジェニックなフラワー・ドレス、死者たちの霊魂と渾然一体になるかのように踊り狂う円舞…。主人公ダニーの不安を追体験させるかのように輪郭が歪んでいく映像。祖先から命を与えられ、自らの>>続きを読む
白い液体が粘り気を感じさせる動きをしながら分離と接合を繰り返す不穏なオープニングに岡本太郎の鋭利な筆致で『性の起原』…。なにが起こるかと胸騒ぎがしましたが、蓋を開けてみると、「エロス!」というよりも(>>続きを読む
言いようのない狂気とキモさ。ハネケの映像にも吐き気を催させる寒々しさ、人間関係の居心地の悪さを感じさせられるわけですが、この映画の世界観はなんなのでしょう。哀れなマルクは穴に落ちるまでもなく、森の中に>>続きを読む
こんな時節なのに、いやこんな時節だからこそのウイルス感染爆発(パンデミック)ホラー。I・ロスの『グリーン・インフェルノ』よろしく、環境問題や動物愛護に熱を上げる意識他界系の人々がとんでもないことをやら>>続きを読む
丘の上の高級住宅には、いろんな媒体で飛んで来ると散々に言われまくってるのに、未だにソウルを火の海にすることのない北朝鮮の決戦兵器用のシェルターが備え付けられている。低地の吹き溜りではちょっと雨が降るだ>>続きを読む
グランドホテル形式への敬意。
でも、菜々緒さんのお芝居がお世辞にも…。
キッチュなレビュー風の寸劇、ユダ=クレジットカードという資本主義への嘲弄。サンタクロース、イメージとして簒奪され侵される聖母子たち、冒頭の夢のようなイメージ。キリストという人間が愛の具現化であるならば>>続きを読む
愛についてのジャーマンのパーソナルで詩的な告白。
あまりにパーソナルなので言葉でどうこう言えそうもありません。
詩は注釈不可能だ、というのがマラルメ以後の詩論のざっくりした要旨と言えますが、この映像に>>続きを読む
今度改めて見てちゃんとレビューしたいものですが、たまには自分の理解の地平をぶっちぎって行くような、とてつもないイメージに触れることは、とても重要だと思った次第です。炎に燃える世界、ユニオンジャックの上>>続きを読む
かの孫権も一大勢力を築いた富春川を舞台にして、集合離散を繰り返しながらお金、お金、お金…のハードな世の中を渡っていく家族の物語…と思ったらこれはほんの幕開けですか。
感動したのは、ジャン先生とグイシー>>続きを読む
タイトルにもなっている、ヴィタリナのとてつもない表情や身振りの強度が圧巻です。全編にわたり画面が仄暗く、多くの人物が顔で識別し難い状況なわけですがヴィタリナの顔のなんと美しく哀しいこと。自分が見ること>>続きを読む
黒澤明的なチャンバラ劇を知っている身からすると、キン・フーのアクションには独特のタメというか、まだ続くの?!という戸惑いに似た感覚を覚えることがよくあります。これは竜門客桟を見たときにも感じたこと。序>>続きを読む
ようやく見ることができました。
号泣はしなかったけど、優しい気持ちに満たされる映画でした。
作品を見終えた後で、ツァイ・ミンリャン監督の傑作『黒い眼のオペラ』のことが頭によぎりました。本作はミンリャン>>続きを読む
プレシネで撮りためていました。
スター俳優たちの共演、豪華なフランス絶対王政のセットなどまさに映画の贅沢てんこ盛り。王は二人いた?息子と父親、秘められた愛の物語… イケオジを見たい方々にもディカプリオ>>続きを読む