love1109さんの映画レビュー・感想・評価 - 33ページ目

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ブロークン(2012年製作の映画)

3.1

虚言を繰り返す妹、性に依存する姉、暴力を我慢できない父親。その隣に住む、引きこもりの息子と過干渉の母親。そして、そのまた向かいに住む、糖尿病を患った11歳の少女。ある意味、唯一無垢なオン・ザ・眉毛の彼>>続きを読む

レクイエム 最後の銃弾(2013年製作の映画)

3.8

つ、つ、痛快! あの武論尊も真っ青の、幼馴染み3人の男の友情と、極限の愛と哀しみを描いた、正統なる香港ノワール。ノンストップで繰り広げられるド派手なアクション、カーチェイスや銃撃戦に、映画的興奮がさめ>>続きを読む

ミニー・ゲッツの秘密(2015年製作の映画)

3.5

さわりたい。さわられたい。まだ、何者でもない思春期の少女のカラダとココロのうずきを女性監督ならではの細やかな感性でリアルに描写し切りとった青春映画。女性は男性より精神年齢が高いというけれど、女の欲求に>>続きを読む

ほとりの朔子(2013年製作の映画)

3.6

100%正しいことなんてない。例え、絶対的にそう思えたとしても、もしかしたら間違ってるんじゃないか、という余地は持っていたい。この映画にでてくる人たちは、弱くて、ズルくて、ときに逃げたり、爆発したりも>>続きを読む

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

3.7

果たして人生のすべてと引き換えにできるものは存在するか。イタリアの巨匠ジュゼッペ・トルナトーレが描く、驚くほどサディスティックでミステリアスな物語。この映画を、あの「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督>>続きを読む

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)

4.1

オネスティ。アメリカ人にとって最も尊ばれる美徳「誠実さ」を、真正面から描いたガス・ヴァン・サントの良作。シェールガスの開発をめぐり、ある大企業に属しながら、自らの内なる声に揺れ動くマット・デイモンの、>>続きを読む

怒れ!憤れ!-ステファン・エセルの遺言-(2012年製作の映画)

3.2

ジガ・ヴェルトフ集団、いわゆる「政治の時代」のゴダールを彷彿とさせる、画面に映し出される強烈なメッセージ。93歳の元レジスタンス闘士、ステファン・エセルの言葉はどれも、しごくまっとうなものばかりだ。映>>続きを読む

フューリー(2014年製作の映画)

3.9

戦争。人を殺さなければ殺されてしまう最前線で理性を保つことなど到底できない。この映画の良さは、とにもかくにも殺し合いの描写に徹し、陳腐な善悪で戦争を語ろうとしていないところだ。極限状態に置かれた人間の>>続きを読む

ボーグマン(2013年製作の映画)

3.8

見た目は人間。敵とも、味方とも、正義とも、悪ともつかない謎の存在ボーグマン。そんな「得体の知れない者」たちが、あるブルジョアジーの家庭に侵入し、秩序を乱し、じりじり破滅へと導いていく。そこに、明らかな>>続きを読む

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.6

「ニキータ」を観たときの衝撃は忘れられない。アンヌ・パリローが演じた暗殺者ほど、孤独で、切なく、美しいヒロインは、これまでも、そして、これからもなかなか現れないはずだ。リュック・ベッソンが女性を主人公>>続きを読む

悪童日記(2013年製作の映画)

3.7

映画「フューリー」でブラピは「理想は平和だが、歴史は残酷だ」という台詞を吐いていた。戦争は、躊躇せず人を殺さねば生き抜けない過酷さの中にあり、そこでは、善も、悪も、まったく意味をなさない。子供はときに>>続きを読む

フットノート(2011年製作の映画)

3.2

プライドを捨てきれず、自分の息子に嫉妬する父親を描いた、笑うに笑えないイスラエルのコメディ。殻に閉じこもると本当に大事なものが見えなくなってしまう。自分とは異なる考えや意見を認め、受け入れることで、人>>続きを読む

旅人は夢を奏でる(2012年製作の映画)

3.8

破天荒で刹那的。とても模範的とはいえない、ダメダメな父親だからこそ、息子にとって救いになることがある。大切なことは、成功することではなく、心の底から楽しむこと。そして、人生を豊かなものにしてくれるのは>>続きを読む

ローマ環状線、めぐりゆく人生たち(2013年製作の映画)

3.6

ヴェネチア国際映画祭史上初、金獅子賞を受賞したドキュメンタリー映画。害虫の大発生を食い止めようと孤軍奮闘する植物学者、ド派手な救急車とユニフォームで人命を救助する救急隊員、後継者がいないことを嘆きなが>>続きを読む

ドライブイン蒲生(2014年製作の映画)

3.9

理不尽でろくでなしの父親に育てられ、しっかりグレてヤンキーになったとしても、それが不幸であるとは限らない。運命を恨み、ときに嫌悪を抱いても、離れられない血のつながり。家族は相対的なものではなく絶対的な>>続きを読む

罪の手ざわり(2013年製作の映画)

3.9

急成長を続ける祖国への「自分たちの社会は果たして発展しているのだろうか」という真摯な問いかけ。その上で、状況を見かねたジャ・ジャンクー監督の「暴力に訴えることが弱者が失われた尊厳を取り戻すためにとる最>>続きを読む

シンプル・シモン(2010年製作の映画)

3.7

ある新書によれば「自分らしくあることの難しさ」が今の若者たちにとっての悩みらしい。自分らしくあろうとなかろうと、感情に敏感であっても、鈍感であっても、誰かを傷つけ、誰かに傷つけられることは避けられない>>続きを読む

オーバー・ザ・ブルー・スカイ(2012年製作の映画)

4.0

タトゥーデザイナーの女とバンジョーを演奏する男。二人で手にしたささやかな幸せを悲しみによって引き裂かれた小さな家族の物語。突然やってくる、耐えがたい試練に対して、人間はあまりにも無力だ。全編に流れるス>>続きを読む

グレート・ビューティー/追憶のローマ(2013年製作の映画)

3.2

「老いるというのは一大スペクタクルなのだ」とは江國香織さんのコメント。艶やかなイタリアンファッションに身を包んだ、すべてを手に入れたかのようにみえる作家の人生の黄昏時。日々の空虚な乱痴気騒ぎに飽き飽き>>続きを読む

イヴ・サンローラン(2014年製作の映画)

3.4

真のアーティストとは創造しなければ生きていけない人たちのことだ。華やかなファッション業界を描いた映画をみて、いつも思うのは、その壮絶なまでの厳しさであり、その頂点に君臨し続けたイヴ・サンローランの人生>>続きを読む

NO(2012年製作の映画)

3.3

ヒトラーは著作「わが闘争」の中で「大衆の圧倒的多数は、冷静な熟慮でなく、むしろ感情的な感覚で考えや行動を決める」と書いている。ナチス・ドイツがプロパガンダを巧みに用いて大衆を扇動したことはとても有名な>>続きを読む

レッド・ファミリー(2013年製作の映画)

3.8

世界でも指折りの過激さで、常に物議を醸しているキム・ギドク監督が、韓国人にとって避けることのできない南北問題と、家族とは何かという人間にとっての根源的な問いかけに、真正面から向き合ってシナリオを執筆。>>続きを読む

フィル・ザ・ヴォイド(2012年製作の映画)

3.3

黒い帽子、黒い服を着ているユダヤ教徒の中でも「超正統派」と呼ばれる人たち。彼らがどのように暮らし、どのように結婚を考え、どのように家族と接しているのかを克明に描いたイスラエル映画。映画はいつも知らない>>続きを読む

物語る私たち(2012年製作の映画)

4.2

なぜ書くのか、なぜ撮るのか、なぜ表すのか。そんなことを考えさせられる私小説ならぬ私映画。幼い頃に亡くした自由奔放な母親と、避けては通れなかった自らの出生の秘密を、家族を巻き込み、さまざまな視点から描い>>続きを読む

舞妓はレディ(2014年製作の映画)

3.9

そのデビュー作、全編のカットを小津安二郎へのオマージュとして捧げた、大胆不敵なピンク映画「変態家族・兄貴の嫁さん」から、周防監督作品はすべて観ているけれど(握手もしてもらいました!)、いつも感銘を受け>>続きを読む

海を感じる時(2014年製作の映画)

3.4

1978年、あの吉行淳之介が激賞した小説がついに映画化。深いつながりを求めれば求めるほど孤独はさらに強まっていく。そうした孤独に、観念はなす術もなく、身体は正直かつ敏感に反応する。安藤監督の「これは観>>続きを読む

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

3.4

虚像が、どのようにしてつくられ、その虚像と実像の狭間で、いかに人間の精神が蝕まれていくのかを、一級のエンタテインメントに仕上げたデヴィッド・フィンチャー監督の手腕はさすが。夫婦、家族、メディア、経済、>>続きを読む

カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

3.6

今年一月の直木賞の受賞式にて、作家の西加奈子さんは、いかにプロレスから勇気をもらっているかについて熱っぽく語っていた。倒されても、やられても、立ち上がる。リングにあがるファイターに、自らを重ね合せたり>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

3.9

「ゼロ・グラビティ」から「インターステラ―」へ。観客のイマジネーションを超えることで映画はさらに進化する。満ち足りた映画体験とは、未知なるものに遭遇すること。想像だにしなかった世界に、興奮し、驚愕し、>>続きを読む

パラダイス 愛(2012年製作の映画)

3.8

ピエル・パオロ・パゾリーニ、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ルイス・ブニュエル、ジャン・ユスターシュ、ジョン・カサべテス・・・。この映画を撮ったウルリヒ・ザイドルが愛した映画監督を並べるだけで、いか>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

3.7

人生と折り合いがつかず、なかなか他人と馴染めないながらも、七転び八起きの非モテ女子、フランシスちゃんが実にキュート。彼女がとても素敵なのは、つまらない自尊心に縛られることなく、自分に正直に、あらゆるし>>続きを読む

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)

3.9

映画「カポーティ」を観たときの衝撃は忘れられない。俳優が、実在の人物の、その本人よりもリアルにスクリーンに存在することがあるなんて、心底びっくりした。そんな、10年、否、100年に1人の天才、フィリッ>>続きを読む

シャトーブリアンからの手紙(2012年製作の映画)

3.3

伝説化された戦争の犠牲者たちの物語を、なるべく脚色をせず、改めて史実を丹念に調べ、淡々と描くことで浮き彫りになる悲しみや恐ろしさがある。善と悪。二元論で語られる、薄っぺらいフィクションは、人間の想像力>>続きを読む

ローマの教室で 我らの佳き日々(2012年製作の映画)

3.8

現実の中で起こる問題のほとんどは解決されることがない。解決されることはないけれど、人と人が交わり合い、やがて、時間が積み重なって、それが人生の豊かさとなっていく。教師と生徒。年齢や立場が違っても、同じ>>続きを読む

祝宴!シェフ(2013年製作の映画)

3.4

忘れえぬ大傑作「熱帯魚」から18年。抱腹絶倒のコメディをひっさげてチェン・ユーシュン監督が帰ってきた。結婚式などのお祝いごとがあると、青空の下、いくつもの円卓を並べ、ゲストを招いて大宴会を開く台湾の食>>続きを読む

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

3.9

もはや誰もが次回作を待ちわびる存在となったグザヴィエ・ドランが新境地を切り開いたサイコ・サスペンス。ワンシーンの抜かりもない、完璧なまでの「美しさ」に貫かれた、その天才っぷりは健在。自らの映画について>>続きを読む