love1109さんの映画レビュー・感想・評価 - 29ページ目

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きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

3.9

ボリウッド恐るべし! ザッツ・エンターテインメント! 恋あり、笑いあり、涙あり、怒りあり、アクションあり、スリルあり、サスペンスあり、強敵あり、そして、幸せな結末あり。(で、理屈なし!)「ナヴァ・ラサ>>続きを読む

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

3.5

母親の息子への愛情の深さは想像を絶する。鬼才キム・ギドクは、その激しさを、実に彼らしい、きりきりと魂を締めつける、まったく救いのない物語のフィルムに強烈に焼き付けた。さすがのヴェネツィア金獅子賞。映画>>続きを読む

(1990年製作の映画)

3.6

黒澤明の第28作。若き日に画家を志していた彼が映画という表現手段でその願望と欲求を存分に満たした8つの物語からなる短編集。人生の機微と人類への警告。それぞれ15分ほどの作品ながら、いずれも忘れがたい強>>続きを読む

終戦のエンペラー(2012年製作の映画)

3.5

いまの日本のありようを決定づけた10日間を「現人神」という欧米人には理解しがたいミステリアスな存在であった天皇を通じて描いた野心作。「無私の民」であるがゆえに、限りなく献身的にもなれ、残酷にもなった日>>続きを読む

トゥ・ザ・ワンダー(2012年製作の映画)

3.4

詩的な映像というものがあるならばテレンス・マリックの映像こそそれに相応しい。その圧倒的な美しさはときに神々しいほどだ。魂を救済するのは、他者でも、神でもない。「君は自分と闘うべきだ」という台詞がずどー>>続きを読む

八月の狂詩曲(ラプソディー)(1991年製作の映画)

3.6

黒澤明の第29作。二人の老婆が言葉を交わすことなく「会話」をする印象的なシーンがある。また、8月9日を前にしたある日、戦争の被害者である原爆被爆者たちは、ただひたすら黙々とモニュメントを掃除する。沈黙>>続きを読む

アンコール!!(2012年製作の映画)

3.8

誰かのために歌われる歌ほど胸を打つものはない。余命いくばくもない妻が夫に向けて命を削るように歌う「トゥルー・カラーズ」がほんとうに素晴らしかった。ヴァネッサ・レッドグレイヴの誠実でひたむきな歌声と、そ>>続きを読む

明日の空の向こうに(2010年製作の映画)

3.6

根拠のないルールに縛られている大人たちに比べて子供たちはどこまでも自由だ。物乞いや盗みをしながら逞しく生きる3人の孤児たち。どんな悲惨な状況に陥っても、笑うことをやめず、希望を失わない彼らに胸を締めつ>>続きを読む

まあだだよ(1993年製作の映画)

3.8

黒澤明の第30作。そして、遺作。「自分が本当に好きなものを見つけてください。自分にとって本当に大切なものを見つけるといい。見つかったらその大切なもののために努力しなさい」そして「きっとそれは君たちの心>>続きを読む

ビル・カニンガム&ニューヨーク(2010年製作の映画)

3.2

自分の為すことを「仕事ではなく喜びだ」と語る82歳の現役ファッション・フォトグラファー。お決まりのブルーの作業着姿でニューヨークの街角に立つこと50年。その日常は軽やかで気負いがなく実にシンプル。正真>>続きを読む

中学生円山(2013年製作の映画)

3.5

バカならバカなほどカッコいい世界がある。宮藤官九郎という人は、ありえないほどの真面目さで、命をかけてそのことを証明するクリエイターだ。14才の中学生に「妄想が現実を超えたときそれは真実になる」という言>>続きを読む

風にそよぐ草(2009年製作の映画)

3.4

もはや伝説ともいえる「去年マリエンバートで」を撮った監督が、今なお現役で映画を撮っていることに感謝! 86歳のおじいちゃんが、恋のドキドキを映像化する、まさかのラブコメってだけで痛快な作品だ。どこまで>>続きを読む

ストラッター(2012年製作の映画)

3.5

ロックはどこか恥ずかしい。否、どうしようもなくダサいけれど、限りなくカッコいいのがロックなのだ。そして、いたたまれないカッコ悪さを、とことん愛おしむのが「ロック愛」ってやつだ。オープニングからロック魂>>続きを読む

一枚のハガキ(2010年製作の映画)

3.8

生前「闘いながら終わっていきたい」と語った新藤兼人監督が御年98歳で撮った遺作。生涯を通じて、体験したこと、感じたこと、考えたこと。そして、いちばん伝えたかったこと。これは、悲惨で、過酷で、理不尽で、>>続きを読む

チャールズ・スワン三世の頭ン中(2012年製作の映画)

3.6

いろんな意味で目が離せないチャーリー・シーンのハマりっぷりがハンパない、おふざけに過ぎる70年代テイスト全開のZ級コメディ。潔いほど何も残らない空っぽでハチャメチャな内容だけど、エンディングへと向かう>>続きを読む

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.6

ゴダールがそうであるように、カラックスはある世代にとって、とても特別な存在だ。およそ13年振りとは思えない瑞々しさ! 31年のキャリアでわずか6作品(うち1本はオムニバス)と寡作ながら、人生のすべてを>>続きを読む

サウンド・オブ・ノイズ(2010年製作の映画)

3.6

偉大な芸術家は偉大な思想家でもある。また、模倣できないもの、この世にないものを創りだすことが真の芸術であり、内から湧きでるように生まれた芸術ほど人を突き動かすものはない。6人の音楽テロリストによるあま>>続きを読む

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界(2012年製作の映画)

3.8

純粋無垢な魂のまま生きていくにはあまりに残酷なこの世界。恐怖や痛みに耐えながら、世界を愛すること、命を守ることを、たった独りで決断した少女の覚悟に強く胸を打たれる。にしても、姉ダコタを凌駕する天才エル>>続きを読む

共喰い(2013年製作の映画)

3.8

映画化されるにあたり、小説『共喰い』こそが一番であり、これは映画との「勝負」だと語った田中慎弥。鑑賞後、彼が寄せた「『共喰い』の絵空ごとの要素、神話性のようなものが、映画という美しい嘘と抱き合って強烈>>続きを読む

バーニー みんなが愛した殺人者(2011年製作の映画)

3.4

怖ろしいのは偏見そのものではなく、偏見を醸成する先入観や、先入観を植え付けるムードのようなものだ。誰からも愛されていた人間が誰からも嫌われていた人間を殺めた。そんな実話をベースに現実と虚構を織り交ぜて>>続きを読む

偽りの人生(2012年製作の映画)

3.1

自分を偽って欲しいものを手に入れたとしても、やがて、その嘘と向き合わねばならない瞬間が必ずやってくる。ハリウッドに背を向け、賞レースにまったく関心を示さないヴィゴ・モーテンセンの、ストイックな役者魂に>>続きを読む

クロワッサンで朝食を(2012年製作の映画)

3.5

ちょっとした老優フェチ。酸いも甘いも噛み分けてきた人間が発する、人生と釣り合った重みのある台詞に、いつも胸をグサリやられている。で、ジャンヌ・モロー。全身シャネルに身を包み、自由気まま、老いてなお恋に>>続きを読む

コンプライアンス 服従の心理(2012年製作の映画)

3.6

疑うことを禁じられた人間はやがて考えることをやめてしまう。ありえない惨劇のほとんどが、こうした思考停止の状態に陥った人間たちによって引き起こされたことは、実に多くの歴史的な事実が物語っている。詐欺師に>>続きを読む

散り行く花(1919年製作の映画)

3.7

サイレント映画の花といわれた女優リリアン・ギッシュ。虐待される父親に強いられるまま、指を広げて口角を上げ、無理矢理につくる少女の笑顔は、さすが映画史に刻まれるだけの哀しみと美しさに満ちている。クローズ>>続きを読む

キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)

3.6

悪を糾弾すること自体に大きな意味はない。悪が生まれる原因を究明すること、その背後にあるものを詳らかにすることの方が、よっぽど大きな意義がある。なぜソマリアに海賊が多いのか。乱獲によって漁民の暮らしを奪>>続きを読む

サイトシアーズ〜殺人者のための英国観光ガイド〜(2012年製作の映画)

3.5

変態度☆5つ。眉をひそめるどころか、顔をそむけたくなる、イギリスらしい(!?)ブラック・コメディが炸裂。歯止めのきかないタブーなき過激描写によって、観客は想像だにしなかった世界へと誘われる。これは人間>>続きを読む

R100(2013年製作の映画)

3.6

「今までにないもの」を追い求めるのが彼の生き方であり、そもそもメジャーではないマニアックな嗜好なのだ。「松っちゃん」という足枷をはめながら、映画監督として、あえて荒唐無稽にやりたい放題を貫く姿勢はとて>>続きを読む

サイド・エフェクト(2013年製作の映画)

3.6

かつて史上最年少でカンヌを制した天才監督が「最後の劇場作品」として残した作品。息もつかせぬとはこのことだ。何層にも重なったミステリアスな展開と、確かなキャリアを積み重ねた豪華なキャストによって、第一級>>続きを読む

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

3.9

「映画はつねにハッピーエンドでなければならない」とチャップリンは言った。幼い頃に両親が離婚。父が死に、母が発狂、救貧院や孤児院を転々としたからこそ描ける、人間の本当の「飢え」を喜劇で表現したのがこの映>>続きを読む

さよなら渓谷(2013年製作の映画)

3.6

人間は過去から逃れられない。忘れ去ることはできないし、ましてや、乗り越えることもできない。できるとすれば、過去を抱えながらともに生きていくことだけだ。悔やみきれない罪を犯した男と許しがたい罪を犯された>>続きを読む

ムード・インディゴ うたかたの日々(2013年製作の映画)

4.1

ボリス・ヴィアンの「日々の泡」をあのミシェル・ゴンドリーが映画化。「現代における最も悲痛な恋愛小説」と評された独創性溢れる原作を、これまた彼にしか描けない、凝りに凝った映像表現によって完成させた作品は>>続きを読む

そして父になる(2013年製作の映画)

4.5

すごい。身体を震わせ、ときに嗚咽しながら、ようやく最後まで観終えた。そして、息子をぎゅーっと抱きしめた。繊細な人間の心のひだを、映画や小説はどこまで表現することができるのか。是枝監督はそのレベルをどん>>続きを読む

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

4.0

国際宇宙ステーションで、まるで子宮の中の胎児のように体を丸めるサンドラ・ブロックが、とても神々しく、最高に美しかった。この映画が素晴らしいのは、莫大な予算と最新の技術を使って、つまるところ、人間のいの>>続きを読む

42〜世界を変えた男〜(2013年製作の映画)

3.5

チャンスを与え、鼓舞し続けて、最後まで信じぬく。大きな偉業を成し遂げた人間の傍には、必ずそれをサポートした人間がいる。メジャーリーグ初の黒人選手を生みだし、支えたのが、白人の球団GMだったという事実が>>続きを読む

悪の法則(2013年製作の映画)

3.6

悪事に手を染めるが最後、二度と後戻りはできない。因果応報。「犯した過ちを取り消そうとする世界は、過ちを犯した世界とはもはや違う」のだ。金と暴力と性にまみれた、善のかけらもない世界を、コーマック・マッカ>>続きを読む

わたしはロランス(2012年製作の映画)

4.5

尋常でない高揚感。節操なく映画を観ていると、ときに恐ろしいほどの才能に出会う。ひとりのトランスセクシャルの愛への渇望を、繊細でいて大胆に、やさしさと美しさに満ちた映像で撮りあげた壮大なラブストーリー。>>続きを読む