SQURさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

人に寄り添った丁寧な語りの映画だった。
性的な暴行や精神疾患、黒人差別などが扱われているが、予告編ではそれらが一切映されないのはどういう意図なんだろうか。
意図がつかみきれてないので一応ネタバレレビュ
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カランコエの花(2016年製作の映画)

4.0

「考えて人を好きになる人はいないよね」というめっちゃくちゃグロテスクな「LGBT」についての授業から映画が始まり(いるだろうよ!)、知識もなく理解もない教師がそれでも指導することを求められる学校現場の>>続きを読む

気狂いピエロ 2Kレストア版(1965年製作の映画)

3.0

お、これ好きなやつだ、ってなったんだけど、描いている題材に対して尺があまりに長すぎ。体感3時間あった。半分で良かった。

内容としてはコールフィールドばりの主人公がゼロ年代セカイ系のノリで(どこか遠い
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勝手にしやがれ 4Kレストア版(1960年製作の映画)

3.0

寝ないように前日しっかり寝て鑑賞前にカフェインをとって臨んだけれどやっぱり前半の会話シーンで寝てしまった。
関係性のイマイチ分からない2人が、動きのない映像とともに会話を続けているだけでもやや眠くなる
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

2.0

ひとつひとつのシーンを取り出すと熱量のあるエモいシーンばかり。泣きそうになったシーンも多いけれど、1本の映画として見たときに何を描かんとしていたのか分からず焦点がぼやけている。
魅せ場だけで繋ぐいわゆ
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.0

「学校はセカイのすべてでした」という言葉を受けたときに感じるこのモヤモヤとした感情はいったいなんなんだろうなと思いながら観ていた。

"学校"を価値あるものとしているのは2つの要因だと思う。ひとつは構
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.0

私はあまり役者の演技の良し悪しがわかる方ではないのだけれど、この映画の岸井ゆきのの表現力はあまりにも明確に卓越している!
この映画は岸井ゆきのなしでは成立しえなかっただろう。

もちろんメイクも凝って
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

特別なドラマがあるわけではない。かと言って日常がなによりも尊いといったスタンスの映画でもない。
半透明なモヤついた世界をそのままに映したような映画。

愛、というよりは孤独の話。
孤独の先に他者を求め
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

とても良かった。
映画を通して信仰の本質に触れるのと同時に、信仰を通して映画の本質に触れることが出来た。

どういうことかというと、この映画は"偽装か奇跡か"といった軸で展開していくのだが、観客すらも
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

1.0

カニバリズムラブロマンスと言われて瞬時に思い浮かぶイメージを何一つ上回ることのない陳腐な映画だった。

半端にマイノリティの苦悩の文脈を引用しているが、物語として描ききれていない。しかし、半端に"カニ
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.0

韓国映画には「変な映画」と称したくなる映画が多いが、「変な映画」も続くと"定番"になる。
この映画も「変な映画」なのだが、作為的に「変な映像」を撮ろうとしているような印象を受ける。
しかし、その「作為
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

4.0

ようやくエンドゲーム以後に相応しい大きな"戦い"の話が動き始めたな!といった感じで、1本の映画ではなくMCUという唯一無二のストーリーテリングのメディアとして見たとき、かなり期待の高まる1本だった。>>続きを読む

エゴイスト(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

性的には少数派だが高収入で仲間もあり社会的地位が確立された主人公と、容姿は良いけれど経済的には恵まれていないゲイの間の恋愛の話が始まり、観ている観客側の方がむしろ「お金目的なのでは?」とか疑ってしまい>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.0

頭の中の考える部分と感じる部分のうち、感じる部分を刺激される映画が好きなので、会話劇ときくと基本期待値を2段階くらい下げて臨む。
最終的に、この映画はそういった悪い予想を裏切って、予想外に素晴らしい映
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

「舐めてた相手が元軍人でした」モノをサンタに設定することで「舐めてたサンタが元ウォリアーでした」にできるという発想に、感心した。
戦闘シーンもただ殴り合うだけではなくサンタならではの要素を取り入れてい
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バビロン(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画、完璧な映画からは程遠い。100点満点で30点くらいだろう。そして、その-70点の部分こそが私の好きな部分だ。

まず、冒頭1時間くらいはかなり完璧な映画に近い。30点の部分だ。自分の人生の価
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

1月からいきなり今年ベスト1でもおかしくないくらい最高の、最悪映画体験。

鬱映画といえば鬱映画なんだけど、そういうキャッチーなフレーズで消化できる代物ではない。
よく"救いがない話"と言われるが、こ
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.0

戦争は映画と相性が良くないと思った。
戦争のコンテクストは強力で、そこで描かれる全てのものを強引に善悪判断の言語的なプロトコルの上に引き出してしまう。そして、その倫理的判断は支配・被支配、強者・弱者と
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ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

2.0

延々とくっついたり離れたりの痴情のもつれが繰り返されるので眠くなった。恋愛ってめんどくさいなとしか思えず。そういったタイプの孤独に良さを見いだせない。
構図や演出も花様年華のような美しさを感じられなか
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恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

4.0

花様年華を観た直後に観たら全然テイストの違うノリに驚いた。
面白かった。面白かったんだけどね。ビビった。

前後半で大きく分かれていて、前半は愛が重い主人公ながら村上春樹風のクールさを装ったノリで、後
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

5.0

何かを物語るためにある映画ではなく、映画のために物語があるような、いつまでもこの空間に居続けたいと思ってしまうような、あらゆるカット、あらゆる色彩、あらゆる劇伴が美しい。映画でしかたどり着けない美。才>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

4.0

AロマやAセクを自認する人がどのくらいいるか知っていますか?100人中3、4人らしいです。今日の劇場には50人くらいいましたので1人か2人いるかどうかだったのだと思います。

笑える映画だったようで、
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

上映が終わったとき退屈な映画だったと思った。どこを味わえばいいのか分からなかった。
観終わってからそれが少しずつ変化して、良い映画だったようにも思えてきた。

とにかく、変わった映画だと思う。

被写
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ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版(1989年製作の映画)

1.0

前半と後半で別の人が撮ったんですか?
ってくらい後半が酷い。
前半が素晴らしかっただけにその落差による落胆は激しく、憤りすら感じる。
前半は、トトの成長と、劇場の上映形態の移り変わりと、劇場を訪れる街
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.0

映画を観ている最中にふと「でもこれは演技でこの人たちは役者なんだ」と考えてしまうことがよくあるが、この映画はそう思おうとしても思えないほど説得力があった。
しかし、その圧倒的な実在感の先に行き着くのは
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ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

3.0

魅せる映画であって、眠くなるような映画ではなかったことを先に言っておきたい。
フランス映画は、ゆったりとしたストーリー展開と要領を得ない会話で眠くなるため敷居が高いという偏見があると思うけれど、近年の
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エノーラ・ホームズの事件簿2(2022年製作の映画)

3.0

前半部の謎の散りばめ方が上手く、とてもワクワクした。また、ときに可愛くてときに綺麗なエノーラは魅力的だった。画面に向かって語りかける演出も自然に受け入れられるもので、ストーリーテリングにメリハリを与え>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

4.0

この映画のジャンルを一言で言い表す言葉を知っている気がするのですが、それを書くこと自体がネタバレのような気もするのでこの感想の最後に書きます。別にもったいぶることでもないのですが、ジャンル不明であるこ>>続きを読む

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

3.0

TV放送された13話、OVA、外伝と続く、ヴァイオレット・エヴァーガーデンの長い人生の物語がついに終わりを迎えた。
放送当時にはなかった、実際の大きな戦争や京都アニメーションの事件など、重なってほしく
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.0

最高だった。
追悼映画として、ブラックパンサーの続編として、サノス以降の混迷を極める正義に対する問い直し・人類が内包する存在の罪悪についての議論に続く映画として、そしてなにより1人の少女が王となる王位
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

今泉力哉監督の映画を観るのはこれで4作目で、毎回とても良い映画だと思う。観ていて気持ちがいいし、"豊か"だと思う。一方で、監督の映画が記憶の中で溶けていく速度はいつもとても早い。観終わったときはすごく>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

とこしえでの戦闘は一見の価値あり。
アクション自体はややもっさりしているのだが、白黒の画面の中で輝く閃光や、低重力下を漂う岩石などは非常に美しく、ただの殴り合いではない新しいアクションを見せてくれた。
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ストーリー面をとってみると上手い映画とはどうしても言えない。一目惚れ描写にプラスして今回は全体的に駆け足な印象で、主役二人の間に情緒的な結びつきを感じにくく、すずめにとって草太さんが大切な相手だとはと>>続きを読む

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(2019年製作の映画)

3.0

劇場版ということもあり、いつにも増して描き込みが丁寧。
特に女学校のいくつかの背景描写は、実写では描けない美しさを表現できていたと思う。一方で、作品のテイストはそういった雰囲気を重視したものではなく、
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

1.0

人生とは何かについてなにごとかを言いたかったのだろう雰囲気だけあり、その実何もない。見せかけだけの中身のない映画だった。
鳥の衝突のシーンがキーになっているが、物語全体の陽気なテンションとミスマッチで
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.0

劇中にワンフレーズだけ繰り返し流される音楽が、滅茶苦茶聞き覚えがあり(いつも聴いてる曲だ!)鑑賞中ずっと気になってたんだけど、途中で思い出せた。『リリイ・シュシュのすべて』の劇中歌だ。この曲をチョイス>>続きを読む