eigaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

アメリ(2001年製作の映画)

3.9

断片の連続。
大きな軸としてのボーイミーツガール。
脱線する主観性。

人物描写、すべてがきっと作者なんだろう。

簪(かんざし)(1941年製作の映画)

3.8

情緒が足に突き刺さった。

昔の夏休み、その情景を思い浮かべる。

人が休むために生きていた時代。

かんざしは、置いてきたのかもしれない。
東京に戻らない言い訳として。

情緒よりも実利を求める男。

さよなら子供たち(1987年製作の映画)

3.9

子どもの視点。
日常は一瞬で非日常に変わる。
救われない現実。

生きていることの再確認、
彼らのために作る映画。

花様年華(2000年製作の映画)

4.0

空が映らない。
壁と建築と顔を狙うアングル。
閉塞感の中でのシチュエーションコメディ。
映る人は最小限に。
2人の心情にフォーカスさせる。
プラトニックなのにエロス。

音楽のリフレインで構成されるス
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くじらびと(2021年製作の映画)

4.2

伝統の輪の中で生きる人々。
子どもはやがて大人になり銛師になる。

「夫婦喧嘩は漁の失敗につながる」
「船は生きている」
「くじらの目を見てはいけない」

くじらを銛で突く。その命がけの営み。

近代
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生きものの記録(1955年製作の映画)

4.0

「死ぬのはやむを得ん。
だが、殺されるのは嫌だ。」

全てを築いた家父長が、最後に守りたいもの。家族や子ども。
(従業員は含まれていない)
圧倒的な恐怖を前にした、人の弱さ。醜さ。

背中を映すカット
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リターン・トゥ・スペース(2022年製作の映画)

3.8

なぜ命をかけて宇宙に行くのか。
かつて、無人飛行は2回しかやらずに人を飛ばしていた。

命がかかること。
命を使うと書いて、使命。
圧倒的な使命がないと宇宙は目指せない。

「宇宙飛行士の子どもたちに
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おとうと(1960年製作の映画)

4.0

不条理な家族における、姉。
父母が機能しない中で、弟の母の代わりに。

ラストシーン。
無意識のうちに日常へとまた回帰しようとする切なさ。

宮川のカメラワーク。
顔にかかる暗闇。
目線にフォーカスす
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地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

4.4

ミシェルゴンドリーも、ジャンピエールジュネも、グリーンダカラちゃんも、みんなここを通ってきたんだろう。

「スラップスティック」と書いてあった。
ただかわいいだけじゃなく、諧謔的であること。哲学が入っ
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.5

ジェンダーの不条理を飲み込む。
そして排泄する。
けれど消化はしない、ただ傷つくだけ。

ルーツに向き合う勇気。
ジェンダーの話とトラウマの話が二重になっていてそれは映像美で昇華されている。

「私の
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ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

3.6

登場人物のフォルム。

人と森の共存。
「なってみないとわからない」

想像力。

二項対立を超えるもの。

都会のアリス(1973年製作の映画)

4.3


青年と少女のロードムービー。

「物語を書き上げるよ。君はどうする?」

インサートとしてのドキュメンタリー。

体操する二人。
証明写真を撮る二人。
自転車で追いかけてくる少年。
キッチンでバケツ
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椿の庭(2020年製作の映画)

4.0

フェティシズム。
着物の帯を締める母。
紐を加える。

ジルクレマンの「動いている庭」のような。

庭の落ち葉は、何故はかなければいけないか。

生きているということ。
敬意を払うこと。

庭は呼吸を
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エルヴィス(2022年製作の映画)

4.7


ショービジネスというドラッグ。
「金の檻」の中から出られない構造。
誰かのコンプレックスを肩代わり存在するとしてのアーティスト。

エルヴィスの本質がブラックミュージックとカントリーの融合だったとは
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.7

フェミニズムとは、自分を誰かに勝手に定義されないこと。(上野千鶴子)

定義することは、ときに暴力になりうる。
「言葉で分析するのが強いと思ってるの?」

変わり続けるという抵抗。
言葉による規定を拒
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OLD DAYS(2019年製作の映画)

3.7

ディテールの積み重ねがつくるリアリティ。

手ぬぐいをそうやって破るのか。
ラーメンはそう食うのか。
たばこはそう捧げるのか。

追いつけるかなぁ。
追いつくんだよ。


「アウトローはかっこいいのか
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つぐみ(1990年製作の映画)

4.3

牧瀬里穂。
中嶋朋子。

「後味悪いぞ〜」

会話にならない言葉たち。
全員にドラマがある。
みんながポエムを吐露している。

ローアングル。
市川準。

潮風、夏の夜、寂しさ。

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

国を守る男の再生産システム。
意志を継ぐことのプライドと葛藤。

前作よりもエンターテイメント性は強い。
SFで目が肥えた時代に、
リアル性がものを言う。

リアルができる俳優は何より価値がある。

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

4.0

救われない感。
終わりがないから、問いになる。
そしてそれは現代にも続いている。
だから、古くならない。

三船敏郎のスーツメガネ姿。

時代劇のような顔芸、メイクをモノクロで。

ハムレットが原作。
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トップガン(1986年製作の映画)

3.4

上官、コーヒーを2回かぶる。

軍に入る人は、何を動機とするのか。
その全てを設計した映画。

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.8

主観で進むストーリー。
すべてが断片的、
つながりもない。

男も女も、どちらも同じ主人公。

すべてが、美しい瞬間のための前振り。

出会う。走る。気づく。キスをする。

犬王(2021年製作の映画)

2.5

舞台芸術をアニメで再解釈するという試みはわかる。

ただ、アニメの持つ熱量が希薄化されてしまっているのはリアルを追求しすぎたからか。

カットを割ったりカメラワークで暴力性を出すのが湯浅監督の特色だと
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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

3.8

ドレフュス事件。

スケープゴートの構造。

正義のために死ねる人生。

会社物語 MEMORIES OF YOU(1988年製作の映画)

3.9

会社というものがあった時代。
終身雇用が当たり前だった時代。

会社人生とは何だったのか、振り返るときがやってくる。

言いたいことが言えない総務課長としての一生。
誰かの役に立っていたかはわからない
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グレタ ひとりぼっちの挑戦(2020年製作の映画)

4.3

なぜ彼女は立ち向かうのか。
圧倒的使命感を感じられるというのは才能。

「気づかせる」ということしかできない。
けれどそれが一番大切。
触媒として。


スピーチのうまさ。

マイクは届いてますか?
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.8

マイノリティの自由。
黒人やアジア人の、リアリティある奔放さ。

リビドーの解放。
性欲の肯定。
フランスモノクロ映画なのに、香港映画のような湿度。

鏡像効果。
ポルノ女優を重ねてだんだん自分が変容
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.1

心身ともに、半分大人で半分子ども、な人がいたとして。
その人が、子どもを好きになることは許されないことなのか。

逆に、心が大人で身体が子どもな人の場合はどうか。

何が、年齢を超えられるのか。
欠損
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イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

3.8

内向的な主人公と、
快楽的でだが謎の多い相棒。
グレートギャツビー構造。

父と子のメタファーの古典的構造なのか。

明るいのに悲しい。
死の匂いがする感じ。

プロバイダー0のCMの元ネタな気がする
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.5

何を楽しむべき映画か。

キャラデザインか。
新旧の再解釈性か。
エヴァやゴジラとの比較か。

見るべきところが、
日本人のものづくりの矜持だとしたら。
特撮としてのアナログ性の気迫が、
CGによって
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.8

起きると思ってたことは大抵起きない。
思いもしないことが起きる。
だから、前に進むしかない。
前へ、前へ、前へ。

子どもは、子供じゃない。

声は未来に残せる財産になる。普通の人のなんでもない声を未
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ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス(2018年製作の映画)

3.7

教師が出自。
自分の中の真面目さを拒絶しようとするパンク。
虚飾に見えていた。

環境問題も、社会批判も、
ひとつのモードとして。

解決することに意味はない。
問いを投げ続けることに意味がある。
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アネット(2021年製作の映画)

4.1

愛されないことが一番不幸。

人よりも自分を愛するようになることの下り坂。

子供の演技がすごかった。

オープニングのメタな感じ。
最後の行進シーン。

ミュージカルは、暗い方が成立する。

メランコリア(2011年製作の映画)

3.9


冒頭シーン。

HSで落ちる鳥。
崩れ落ちる馬。

Heaven can waitのMVのような。

「メランコリア」という名の惑星。
近づくにつれて憂鬱が増していく。

鬱病の人の、人に読めない行
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