eigaさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.2

多面性がある。
どのキャラクター目線からも感情移入できる構造。

結婚する娘を持つ親の気持ち。
(結局「外国人」に娘を奪われる)

幼なじみを好きになる男の気持ち。

出世にのぼせる父(マネージャー)
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

3.9

生きる自由、
旅する自由、
死ぬ自由。

アメリカンニューシネマの女性版。


「奥さん、こっちの大瓶の方がお得だよ」
と言われていても、
小瓶で2人で飲みたいときもある。

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.9

悪のステレオタイプ。
中国的な美術。
CGと、ハンスジマーの重低音。

アフガンとアメリカの関係を文脈として見る。

決定論的な運命、を乗り越える話。

ティモシーシャラメの成長を楽しむ「北の国から」
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.6

緻密なアートディレクション。
生理的な嫌悪感をもたらす絵作り。

「わからなさ」を残すこと。
「あれなんかいたよね?!」と見返したくなる感じ。

力技だけでないホラー。

デヴィットリンチ的でもある。
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.8

距離と分断を生むウイルス(ナノロボット)。
愛せないことは死よりもつらい。

「決まりごと」を楽しむ劇。
エンターテイメント。

みんなが安心して熱狂できるから資本が集まる。

夢と狂気の王国(2013年製作の映画)

4.0

「遥か向こうまで行けそうな気がする」

狭い日常、同じことの繰り返し、
その中で世の中を見る。

縁とか運とか。わけわからないもの。

「自分が幸せになりたかったらこんな仕事はしてない」

誰かを幸せ
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.0

問いが大きすぎる。
投げっぱなしと取るか、
戦略的な余白と取るか。

理不尽の不気味さを回収されないままに。

仕事と生き方は同一直線上に置けるのか。
正義哲学は貫き通せるのか。

天秤で揺れるからこ
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マルコムX(1992年製作の映画)

3.7


逆手にとって武器にする。

白黒、以外もある。
マイノリティの問題ではない黒人問題。

敵を作る以外の解決はあったのか。

結局、暴力じゃん。

マルコメとマルコムX

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

3.8

事故よりも病院で感染症で亡くなる患者。

消毒液の基準。
「正しさ」はその根拠としての国家の存在を前提としており、そこが揺らいでいる限りは正しくない。

全部撮って全部見せる。
ジャーナリズム。

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ジプシーのとき(1989年製作の映画)

4.0

イメージの暴力。
ある意味中哲的。

人を信じられないことによる連鎖的な悲劇。
では、信じられたか?
「信じられない」という根源的な問題が
民族の分断の原因、か。

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”(2019年製作の映画)

4.2

ファッションの脱構築をしたのは川久保玲。
ただマルジェラは、考察的(?)だった。
医者のように本質を分解して、再構築した。
結果として洋服の本質に近づいていった。
ポジティブなアプローチ。

ネガティ
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わたしたち(2016年製作の映画)

4.0


「じゃあ、いつ遊ぶの?二人が争ったら、いつ遊ぶ時間があるの?」

子供や女の子の目線。
封建社会における弱者の眼差し。


余白がある。
少なくとも自分の弟や親を大切にしたくなった。

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)

3.8

メディアが大事、という「メディアのための広告映画」。
色んなディレクターによる寄せ集め的な印象も。

「パンケーキ」という「わかりやすく軽薄なもの」に踊らされる若者。
キャッチーさは思考停止を生む。
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.5

アルコールは、何のためにあるのか。
自信をつけるため?
だとしたら、自信を無くしてしまう社会を改善しないと依存は無くならない。

自制心と自尊心。

ラストはハッピーに見えてディストピア的でもある。
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.4

国体護持とい名の、未練。

亡くした友や
本気を出せてなかったストレスや
その他諸々のヒロイズム。

客観性の欠如は、恐ろしい。

シンゴジラや三谷幸喜作品にも通ずる人間劇。

終戦の裏側はドタバタド
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Summer of 85(2020年製作の映画)

3.8

その人自身ではなく「理想」を愛する。
それは美しくもあり脆くもある。

墓の上で踊る。
死者とのコミュニケーション。

ただ、モノローグが多すぎた、か。
やや説明的になっていたかも。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

コミュニケーションの話なんだなと。
分かり合えないことから始める。
溶け合うような部分を模索する。

その題材としての、チェーホフ。
言語も文化も多様な出自の人たちが、わからないことを前提に(多様性を
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

4.3

「私は見た」の「私」は誰か。

それは神ではない気がする。
三体の智子を思い出した。

地球だけに生命があると考えるのが驕りである。

それぞれの状況で想像を促す。
余白。

ボレマンス的な不条理さと
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デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

3.5

東洋性と西洋性の出会い。

大きな文脈と舞台の中で、
悠々と時間が流れる。

新しさはそんなにないようにも思えた。

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.3

この映画を、
あの人も
見てるのかな

と、思った。

あの人に、
偶然街で会うことばかり
考えてしまう。



「僕の人生の目標は、きぬちゃんとの現状維持です」

「じゃあの数が多いんだよ最近」
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あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

3.4

感情移入できなかったのはなぜだろう。

人間のおかしみを客観的に切り取るカメラワーク。コント的。

何かがうまくいきすぎているからか。

それは聾唖であることを原初的悲劇として奉り過ぎているからか。
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男と女(1966年製作の映画)

4.0

目の寄りからの夫の爆死シーン。

通底するテーマ曲。

レーサーを女衒と誤解する
妄想インサートはこれが元祖では。

実験的なカット割。

カラーとモノクロ。

ズームバック。

たたみかけと顔に寄っ
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

1.9

すべてが段取りのための展開。

間がないことか。
脚本に問題があるのか。

感情を喋りすぎてはいけない。
謎を明かしすぎてはいけない。

想像力を信じた方がいい。

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.2

ホモソーシャルに、何でなら抗えるか。

章立ては、そのままミソジニーに加担する人々の類型化。

それはわかる。

ただ、物語として優れていたのは、
彼女が最後まで暴力(搾取)に訴えなかったこと。

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紙の月(2014年製作の映画)

3.3

説明的かつオマージュ多し。

話としてはシンプルなのに演出が過多に思える。

ただ、人としての微細な心理や共感を宮沢さんが担保していた気もする。


小林聡子。

少年の君(2019年製作の映画)

3.6

前半はサスペンスとラブロマンス。

後半が人間心理。

何が正義かわからない世の中で。
二人だけの間の約束こそが真実。

受験というシステムや、
社会権力にどう戦い、
どう乗り越えるか。

いじめは社
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スパイの妻(2020年製作の映画)

3.7

「お見事です」

正義はどうなし得るか。

犠牲を払ってまで、
人を欺いてまで、貫くこと。
コスモポリタン?

妻より、男への愛として、
も見れる。

痴情で歴史が動く、
という見方もできるし、
生活
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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

3.7

車の生産工場みたいにアーティストを育てる。
けれど彼らは車じゃない、人間だ。

可能性を引き出すというリーダーの資質。

「組み立て」ではなく「磨き上げ」に近い。

マイケルジャクソンの幼少期の卓越性
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.3

作品をwebに放つときの心理描写。
すべての人がクリエイターである時代の、
内面と背景に光を当てる。

駅のシーンで顔を押さえて赤面し続けて止まるカットがなんかよかった。

役所広司の声ですでに泣ける
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泥の河(1981年製作の映画)

3.9

余白があるからポエジーがある。

最近の映画はうるさすぎる、
セリフで心情を共感させすぎる、
というのはあるかもしれない。

橋の上で銀子とすれ違うシーン。
あの世とこの世の境目のような。

カニに火
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.3

タコを「彼女」と呼ぶ。
タコに泣く。
こんなに人懐っこいのか。

タコって宇宙人なんじゃないか、
と本気で思える映像と詩のような彼のことば。

逃げるのは、人が追うから。

仏教にも通じるような一体感
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.9

あらゆる景色の中で人間が一番面白い。

だからか、
グレーを基調とした世界観は
見た目、というより内面が表出するように。

アメリカは、移民の国。
「アメリカらしさ」なんてない、
みんな寄せ集め、そこ
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.2

タイムリープの意味ある使い方。

ハッピーエンドではなく「続き」をつくる。

どうしようもない世界において問題提起を投げかけつつ鼓舞する。

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

3.8

溜め込む女性。

吐き出す場所としての、詩。

表現することで救われることもある。

his(2020年製作の映画)

3.8

ゲイ映画は抽象絵画。

松本穂香が長いホースを持って「出ましたー」と言うシーン。
二人の距離の暗喩。

宮沢氷魚のゲイっぽさ。
身体性。

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

4.0

黒人は怒り。
白人は恐怖。
が、原動力。

理想郷を語る白人、
白人に迎合する黒人。
ジャンゴで描かれた構造。

黒人を椅子にしてる白人、という衝撃写真。