eigaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.8

父を見つけた瞬間。
落語の手品とのカットバック。

女性との緊張のシーンで
くだらないテレビとのカットバック。 

両親の家はセットで作られている。
あせばむ日本の昔の夏。
おいしそうなビール。

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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

3.8

カトリックとプロテスタント。
ベルファストの小学校。

何が未来をつくるのか。
それは子供であり教育。

哲学をし続けなけれいけない。
争いを争いで解決しないために。

食生活だけ気になってしまった。

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

「ただの靴も、誰かが履けば意味が生まれる」
「自分だけではなく誰かのために履いて欲しい」

「走ればわかる」

フィルナイトの戦略的遅刻

毎試合罰金を払う。
赤を多めで。
白が多いなんてクソ喰らえ。
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.3

戦死に、尊さも名誉もない。
あるのは、惨めな死だけ。

わずか数百mの前線を伸ばすためだけに数十万の命が失われる。
何も変わらない。
「西部戦線異状なし」という名の皮肉。

終わったかと思いきや終わら
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.3

顔芸。
原作との差分が余白として表出する。

心理は空間や美術で描く。

無音でも楽しめるのだろう。

熊の着ぐるみを着た人、
謎のパンアップ、
子どもや黒人の顔のより。

おかしみの怖さの間にあると
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怪物(2023年製作の映画)

4.5

まず、子役を見つけてきたという奇跡。
脚本に命が吹き込むのはいつだってキャストである
という事実の再確認。

ラストシーンの救い。
暗闇を抜けた先にある一瞬の光。
それを希望と呼ぶのかもしれない。
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

音楽を知っている人だけわかるトークに、
不穏感を煽る小ネタ。

サスペンスかというとそうではなく、
結末があるかというとそうでもない。

客観的でユーモラスなな描写は、ミヒャエルハネケやリューベンオス
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オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

3.9

わかりやすい寓話か。

子どもがつくれない夫婦という社会問題があったのか。

魚のように水槽から水揚げされる赤ん坊。
性倒錯した老人。
最後に勇者として描かれる小作農。

木の枝のくねくねした有機的な
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.6

「リメイク」とは?

表面的な再現はできてもそれは「リメイク」なのか?

日本文化、その根源にある精神性、余韻、余白、切なさまでも再現できていたのか?

脚本に演出が負けている感。

文字として読むに
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愛なのに(2021年製作の映画)

4.1

全員片想い。
足りないものを補っている。
完璧はない、だから愛おしい。

逆上がりを子供に教える父自身が逆上がりできないように。

ヘンだと分かってても続ける。
純粋さがあるか。

小さなドラマ。
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.9

カット割りが早い。
故に感情移入しがたい。

自分の人生そのものが作品。
たとえ命を削ったとしても、
やりたいことをやって死ぬ。
その最後の瞬間の美しさ。

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.9

内臓をひっくり返すほどの表現を、自分はしているか。
死ぬほど悔しい想いをして這い上がっているか。
赤より青い炎になれているか。

一度しか来ないものを、なんとなくやり過ごしていないか。
人生もジャズも
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.0

何に感動しているんだろう感。
オナラで海に去っていくというラストシーン。

自信がないもの同士。
生きる意味とは?
誰かの役に立つこと?

冒頭のタイトルの入り方。
中盤のオムニバスシーン。
甘美なバ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.9

原体験の描き方。
いつだって、「子どもにはこう見えるかもしれない」が創作の原点。

鉄道が迫ってくるのを見つめる顔。
初めて見る映画のワンシーンへの羨望。
魔力への目覚め。

映画だけが拠りどころ。
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クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

3.9


壮大に一周まわって夫と子を理解できるようになった。
破壊の物語なのか、再生の物語なのか。

仕事か家庭か、女性の仕事と育児の両立は、など当時の時代を感じるテーマ。
それだけに、課題がやや古く見える。
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

親と子がわかりあう。
たったそれだけのことは、全宇宙より尊い。

ありうるすべての可能性を拒絶して生きるか、それでもすべてを受け入れるか。

指がソーセージ、石になる、頭の上にアライグマ。
尻に何かを
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

寓話。
戦争の縮図。

争いはなぜ起こるのか、
どう向き合うべきか。

愛が争いを生むとしたら。
無関心でいることだけが解決なのか?
無関心は歯車を狂わせることもある。
互いの痛みを知ることで始まる。
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英雄の証明(2021年製作の映画)

3.9

自分の名誉よりも富よりも、子の未来。

結局また刑務所に帰っていく。

寓話的。

バビロン(2021年製作の映画)

4.2

オンリーを録るときの緊張感。
朝のドタバタ感。
テイクを重ねる涙の演技。

つくり手が楽しみながらつくっている感。
古き良き、効率とは真逆のものづくり。

トーキーという発明。
いつの時代もテクノロジ
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

3.9

ストップモーションだというのを差し引いてしまうほどの完成度。
良くも悪くも。

15年という歳月が一番のナラティブ。
ウクライナ戦争の前に作られたもの。


蝋のようなピノキオの質感。
アナログとデジ
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太陽がいっぱい(1960年製作の映画)

3.9

気分はどう?
太陽がいっぱいだ。

格差からくる嫉妬。

「異邦人」のような明るさ。

殺すことで成長していく。
成り上がっていく。

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

3.4

逃避する場所としての映画。
三谷幸喜的。

アイデアに持って行かれてる気がして、今見るとその脚本は古びて見えるのが難点。

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.9

線が生きている。

歴史を耐え抜いてきた輪郭、セリフ、展開、キャラクター。

みんなが育ててきたものが、迷いない線として立ち現れる。

「あの頃」には生まれなかったもの。
今だから生まれたもの。

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アテナ(2022年製作の映画)

4.0

「私たちと彼らを分けていることが、そもそも疑問だ」

分断をつなぎ合わせられるのは兄弟の絆、
というのは定番の話。

けれどそんな綺麗事では済まされない。

美しい結末ではないのは問題提起だから。 今
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そばかす(2022年製作の映画)

3.8

トム・クルーズの宇宙戦争。
立ち向かっていくのではなく、逃げていく。
その全力さにこそ人間性が表れる。

ネガティブに生きることのポジティブさ。

お見合いを知らなかったはずなのに服がよそいきなところ
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残菊物語(1939年製作の映画)

4.1

ワンシーンワンカット。
飽きさせない工夫としてのカメラワーク。
科学的なのか、経験的なのか。

女は男に尽くして死んでいく。
そのやるせ無さ。

日本映画の終わり方の哀しみ。

梨園は歴史の連綿の中に
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ブラックパンサー(2018年製作の映画)

3.6

アメリカから見たアフリカ性のステレオタイプ。
それが気になったのは、普段日本もそういう矮小化をされているから?

テクノロジーな未来だけが正義じゃないことのこたえを、アフリカやアジアには見出したい。(
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RRR(2022年製作の映画)

4.8


清く正しいプロパガンダ映画。

ナートゥ
装填
懸垂
肩車
提督

久しぶりの没入感。
ストーリーもおおよそ読めるのに。
なぜだろう。

「結果ではなく過程にこそ意味がある」

一生懸命な生き様。
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天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)

4.4

予定調和でいいじゃない。
歌の強さはそこにある。

老人、黒人、ユダヤ人。
マフィアもイタリア人。
全員弱者。

だからこそ輝ける。

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

3.8

「なぜ僕なの?」
「どこにも行かないから」

街を出られない。
母親と家と弟のせい。
そこからの卒業。

燃える家。
ポジティブな。

「僕はどこにだって行ける」

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.2

もう戻れない時間。
母との思い出。
やさしさに素直に応えられれない気持ち。

自然に対する畏怖、みみずという可視化。

カオナシ的なダイジン。

過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道(2020年製作の映画)

4.1

on the road
路上の上こそが目的地。

ゴールがない。
ただ撮り続ける美学。

「写真なんてこんなもんよ」

その人は、優しかった。

なんであんなにサインを書くんだろう。
なんで握手に応じ
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.8

リリィ・シュシュに、ふいに記憶を揺さぶられた。