このレビューはネタバレを含みます
少年がいろんな愛情のあり方を知る物語。
最後にストーリーが収斂し、急にさわやかに動き出すのがおもしろかった。結構なごたごたが作品としてまとめられていたのは、音楽や哲学的言葉がつくりだす雰囲気によるとこ>>続きを読む
ラストシーンに最初驚き、その後意外に好もしく思えた。Hereafterが、誰か(臨死体験をした女にとっては自分の)の過去である「来世」から、自分自身の「将来」に変わっていったお話なのだろうと理解。「生>>続きを読む
史実に基づく作品の難しさ。主題の設定とバランス感覚に不足がある。「史実を知る映画」としての高評価は妥当ではないと思う。
この映画は、ドイツ人記者個人の体験をもとにしたもので、主題はタイトル通りこの男>>続きを読む
一つ屋根の下とは思えない派手な洋間と質素な和室。「自分たちのような夫婦」と言われた妻の哀しさ。「まぁいいんだよ」という夫の懐の広さ。
転から結へ急展開。対照的な夫婦が再結合する中で、二人で台所に立っ>>続きを読む
専門知識のない現代人から見たら二大巨頭のフロイトとユングが、権威者と新しい方法を試そうとする革新者として描かれていた。
女の精神状態と行動(と演技)の激しさとは対照的に、静かな男二人が徐々に関係性を>>続きを読む
民族の差別や同化という問題を、当事者の目線で捉えた作品。政策の批判はできても、個人の選択には何も言えない気持ちになる。
研究対象にされ、差別され、将来の可能性を奪われたサーミ人の少女は、優性思想を内>>続きを読む
清貧を体現するような村の老人たちが、「美味しい」と言わずして美味しさに飲み込まれていくのが印象的。さらに、老姉妹がその生涯で恐らく唯一大切に思った相手と、もう一度出会える優しい展開。バベットの晩餐会に>>続きを読む
イメージしていた内容とは異なり、日本酒×外国に関わる3人の半生が深堀りされていた。人と人との関係性が、市場と酒造りの担い手を海外まで拡大させていったことが見えて面白い。伝統からはずれた人に焦点を当てた>>続きを読む
旅先で気になる人たちを見つけて、じっと見入っていたら数時間経っていた時のような感覚になる作品。
だれが何のために料理をして、だれがどうしてこの場で食べているのか知らなくても、圧巻の量のマンパワーと秩>>続きを読む
芸術家になりたかったヒトラーの物語かと思ったら、アート<政治なドキュメンタリーだった。
ナチスに押収されたあるいは失われた芸術品の多さは、強制収容所で殺された人々に絵画が重ねられるシーンの長さで表現>>続きを読む
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同じ経験を繰り返すことで、分かっていく周囲の視点と自分の愚かさ。冒頭で妻を救命する自信のない弱々しい男が、自殺により妻を救ったあとに見せる自信にあふれた歪んだ笑顔。審判者からの「準備ができた」の解釈が>>続きを読む
"of Human Bondage"は「絆」よりも業みたいなものかもしれない。
男は美術の才能はなく身体障がいを持っていること、女は浅はかな遊び人として世間から冷ややかに扱われていること、それぞれ自己>>続きを読む
オースティンのこの雰囲気が観たくて再生したのに、オースティンだからと割り切らないと最後は早送りしてしまいそうになる。
都合の良いというのか悪いというのかという話の進み方と、結構大変そうな散歩シーンの>>続きを読む
ダコタ・ファニングにやられる映画。瞬き少い目線のやり方や、言葉の発し方に、完全に意識がもっていかれる。あと、わんこにも。
ルーティンに従い狭い人生を混乱なく送ることで彼女が幸せにいられるようにと願う>>続きを読む
北欧らしい童話。日の光の下、明るい色味やガーリーな要素の組合せがずっと画面に続く。冷めた大人目線で見るとちょっと気持ち悪いものが含まれるのも、また良し。
ファンタジーはどこまでもファンタジー。でもそ>>続きを読む
マダムとメイド。持つ者と持たざる者というけれど、「メイドだって同じ人間」と言うマリアと、階級や役割の中で生きるアンは、それぞれ何を持っていて、何を持っていないのか。生き生きとしていくマリアに対比された>>続きを読む
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善人を讃える話でもいいと思って観ていたら、期待通りに善い人で、「この人が幸せになってほしい」と思う。するといつのまにか共依存を美化するようなストーリーに変化し、さらに結末でまた方向転換。これは、複雑。>>続きを読む
化粧して華やかに銀座にいる人たちの奥にある情の厚いこと。男女、同性、ご近所、商売関係と、どんな間柄でも人が人を気に掛けるから、複数の関係性がごちゃごちゃと絡んでいて生活感がある。
寛容な母が女になっ>>続きを読む
フランス映画になっても、是枝作品だった。ちょっと複雑な家族の中の関係性と、分かりやすい描写。それを、このキャストで見られるのだから面白い。
記憶は曖昧なものだし、大切な人の不在は存在以上に大きく影響>>続きを読む
どうやって実写化されるのかと思ったら、上手にできていた。CGでここまで表情を作れるようになったのかと感心してしまう。
パディントンの物語を読んだ者からすると別のストーリーに感じるけれど、これはこれで>>続きを読む
人の本質は、年齢を重ねても変わらないのかもしれない。おじいちゃんおばあちゃんの恋愛ものと思ってみていたのに、だんだん年齢を忘れていく。主役の二人が若いころに出ていた恋愛映画に比べて、世界は圧倒的に小さ>>続きを読む
過去の思い出が人生で、最期を意識してそれにもう一度向かい合ったときに自分と他者が何を得るのかがその人が大切にしてきたものや、大切にしたかったものを現すのだろう。
この人だからこそ見せられた話。遺作に>>続きを読む
自己中無職の男性、シングルの母親に放置されている少年、収監された薬中?の息子を持つ移民の女性。それぞれの孤独に、団地の外からやってきたり、外にいる存在が偶然にも自然に寄り添う。そういうものがある場所と>>続きを読む
公務員という身分にすがりつく自分を、しっかり意識して肯定して生きている男性。まったくほめられたことじゃないのに、完全に開き直った清々しさみたいなものがあるから、環境や文化、制度や政治の不十分さへの批判>>続きを読む
「恋愛をしていただけ」と思い込んだり、記憶を消したりすることで自分を守ってきた性的虐待の被害者。今と過去が行き交うストーリーの中で、徐々に被害の輪郭がはっきりしていく。
アメリカでは小児性愛者への処罰>>続きを読む
この作品よりもうちょっとふざけた、品のない下ネタもちょこちょこでてくるようなコメディを10₋15年前くらいに観ていた30代向けの映画、のイメージ。
ハッピーエンドに向かっていく安定感がつづくお話。
キ>>続きを読む
里親制度や養子というもについて、どれだけ単純化されているのかはわからない。この映画で描かれた難しさや大変さは、現実より不足しているのかもしれない。でも、ならば同様に、単純で強烈な喜びや愛情もこの映画で>>続きを読む
スールキートス作品と知らずに視聴。らしさを保ちつつ、社会問題を真正面に扱っていてびっくり。
性的マイノリティや貧困層のシングルマザーに寄り添った「優しい映画」だそう。その優しさは、もっとも弱い存在の>>続きを読む
2人と1匹の7日間。何か起きないのかなと期待していたのが、次第に何も起きないでと思いながら見るようになる。
路線バスドライバーとして仕事も生活もパターンを生きる夫と、日々新しいものを創作していつか世>>続きを読む
内戦とか空爆とかいう言葉は、意味としては理解されても、実際に人が人を殺している様子やその状況下に暮らす人まで思い浮かべさせる力を持たない。ニュース映像も、更新されていく被害数値も然り。同じ時代に世界で>>続きを読む
革命に傾くフランス社会の中で商業映画から離れたゴダール、の隣にいた若い妻を中心にした話。この切り口も、オマージュ的な表現を採り入れたのも良かった。
ただし、ちょっとストーリーが緩んでしまうのは、ゴダー>>続きを読む
インドのスラムに住む子どもたちの日々の断面や、彼らの富める人への視線を描く映画としては面白い。
ただ、貧富の差を含む映画としては、終わり方が上手くない。兄弟が見つけた小さな夢への頑張りとして好もしく見>>続きを読む
原題の直訳「オーヴェという男」というタイトルがとてもしっくりくる。おじいさんの自分勝手さや偏屈さに見えたものが、彼が大切にするものへのひたむきさだったのだと分かっていく映画。
正直であれと教えた父と>>続きを読む
登場人物全員も、阿曽という場所も、フラメンコの音楽も、全部がストーリーに密に絡んでいる。この時代のロケの多い作品は、その風景の力をうまく借りていて良い。
何年も前の記憶から「永遠の人」となっている存在>>続きを読む
笑えるところが多くておもしろかった。
そしてプロット勝ち。異世界感と現実のあるある話がうまく融合していて感心。関東圏に住んだことがある人は、各県や各地域の絶妙な扱いに共感してしまう。
ディスりながら愛>>続きを読む
アマゾンに薦められて斜め鑑賞。
大人がつくる青春映画。ちょっと言わされている感のある登場人物たちによって、寓話っぽい雰囲気になっている。
片思いや孤独を自分なりに解釈していくとき、これだけ周りにやさし>>続きを読む