crnさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)

3.0

自身のデビュー作を20年後に別の役で再演することを通して、時間の経過や老いと向き合う40歳の女優。
女優と個人秘書との劇の練習のやりとりが見もの。現実と劇中劇が入れ子構造にはならず、侵食し合っているの
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セカンドベスト/父を探す旅(1994年製作の映画)

3.5

親との関係、特に幼少期のそれは、他者との関係づくりにおいて土台やフレームになりやすい。グラハムとジェイムズが関係を築く中で、それぞれ自分が父親からどのように愛されたか、愛されたかったかを、気づき消化し>>続きを読む

雨に唄えば(1952年製作の映画)

3.5

ジーン・ケリーの芸達者っぷりに感心してしまう。彼と親友のように踊って歌える役者は現代にいないのではと思うほど。映画としては芸を見せるためのシーンが若干長すぎる印象もあるけれど、見せたくなる・見たくなる>>続きを読む

女と男の観覧車(2017年製作の映画)

3.0

鮮やかな色彩と楽し気なムードのコニーアイランドに住み働く女性の人生の停滞と廃退。彼女を生々しく美しく演じるウィンスレットがこの映画の肝。感情のムラに引き付けられた後、狂気じみていく様に興ざめし、そして>>続きを読む

パディントン 2(2017年製作の映画)

3.5

1がよかったので、2も鑑賞。期待を裏切らなかった。

相変わらずクマの表情が可愛い、皆良い人、キャストも映像も豪華、飽きさせない展開、という浅い感想しか浮かばないけれど、観終わった時はポジティブな気分
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マダム(2019年製作の映画)

4.0

ゲイの青年のジェンダーについてのドキュメンタリーではなく、彼と祖母という二人のそれぞれの人生と関係性についての物語だった。

愛していない人と結婚し男社会の中で生きてきたおばあちゃんと、ゲイであること
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人生は小説よりも奇なり(2014年製作の映画)

3.0

ゲイカップル、それも熟年でセクシャルな雰囲気を感じにくいこの主人公ふたりは、精神的なつながりがとても強く見える(ように演出されている)。だから、小説のようなアンハッピーな展開が続けば気の毒になり、この>>続きを読む

チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜(2011年製作の映画)

3.0

童画のようなポップな世界観と画の中で暗さが効いた大人向けファンタジー。

葬儀シーンからの8日間がどう帰結するのかと思わせる始まり方に、子どもたちの冴えない人生や妻との確執エピソードが続き、その暗さに
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誘惑(1957年製作の映画)

3.5

誰が話の軸なのか分からないまま進み、最後にきゅっとピントがあうつくり。Wikipedia情報では監督の群像劇の考え方を表したものらしく、納得させられる。
朝食でご飯を食べる父とトーストを食べる娘から始
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ハローグッバイ(2016年製作の映画)

3.5

学校生活をおくる年代ならではの窮屈な世界観やその中での自己中心性が、学校外の世界で優しく中和されていく様子を見る作品。圧倒的な学校という世界が覆らなくても、それは仕方ない。外の世界や、別の価値体系を知>>続きを読む

オアシス(2002年製作の映画)

4.0

人や社会の美しいところと醜いところがない交ぜにされ詰まっている作品。見過ごしたり見ないようにしたりしていることに向き合う時間になり、とにかく重たかった。

ふたりの間の愛情や欲の純粋さと、彼らを排除/
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フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

3.5

最後のショーで満足して観終わる作品。テンション高い音楽と勢いあるダンスと、若くてかわいい女の子の屈託ない笑顔。こういうものを50年代に大衆が楽しめていたなんて、考えただけでわくわくする。

ストーリー
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.5

人生の中にいくつかある分岐点を遡ることで見えてくるその人をかたちづくるものたち。人は生まれる場所も生きる時代も選べない。暴力を孕んだ時を生きてしまった主人公が「帰りたい」先は、現在の彼になる前の過去で>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.5

映画を観ていたはずが、いつの間にか俳優を観ている気分になる。のんは、くるくる変わる表情だけでなくて、全体の雰囲気をつくり画面を支配してしまっていた。怪演と言いたくなるような、圧倒されてちょっと引いてし>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.0

村上春樹作品が、現代韓国の若者たちについての物語に転化されたというのか、昇華されたというのか。原作のモチーフと世界観を活用したミステリーとして、おもしろい。

「あると思う」のではなく「ないことを忘れ
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(2017年製作の映画)

3.0

ふたりの現在の生活という線から離れた点の時間。25分でちょうどよい。

昔と同じ暑い夏の日、相手の身体に触れて変化させる美容師の仕事、ぎこちない語りと語らないのに見えること、と全体の空気感が懐かしい気
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潮騒(1964年製作の映画)

3.0

ストーリーよりも、人を含めた島の魅力を観るロケ映画。そして陰が入る前のぷっくりとした吉永小百合を楽しむ作品。

軸となる障害のある初恋は古典的なもので、特に深く思うところはなかったけれど、小説や映画が
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愛の渇き(1967年製作の映画)

3.5

「利己主義」と書いた鏡越しに自分と相手を見る冷静さを持ちながら、無為に生き抜くために思い込みの世界に埋没していく女(救済を求めず幸福を追求する、ということらしい)。比喩的にも物理的にも相手に自分の爪痕>>続きを読む

不道徳教育講座(1959年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

三島の作品が知りたくて鑑賞したら、まさかの本人登場。それも良い演出で、思わずセリフをメモしたくなる。テーマの提示の仕方としても、映像の展開や音楽を含む作品としても、両方が良い。

「道徳とは、檻なんだ
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11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち(2011年製作の映画)

3.0

美意識を煎じ詰めて論理を排した三島は、美意識にそぐわない現実を力で改変することで認知的不協和を解消しようとする。かいつまむとそれだけなのかもしれない。

どの時点まで遡れば文学者のままでいられたのか、
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私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

4.0

「ニガー」をなぜ白人が作り出したか。恐れる白人と怒れる黒人の間で、暴力、流血、殺人が止まらない世界一豊かな国。「黒人差別でも選挙権でもない、この国そのものが問題」というボールドウィンの訴えは、その国で>>続きを読む

ぼくと魔法の言葉たち(2016年製作の映画)

4.0

言葉を失った少年に、ディズニーの脇役たちが魔法の言葉を届け、それを家族が理解したという奇跡のような実話。親と兄の愛情が、深いだけでなく理性的であることが印象的だった。

不変的な何かを言葉の中に預けて
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コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)

4.0

大切な人から行きずりの人までの様々なイベントに巻き込まれる忙しい一日は、何もないようで何もかもが起きていて、何もかもが起きているのに結局何もない。一杯のコーヒーにもありつけないほどついていない主人公が>>続きを読む

泥棒役者(2017年製作の映画)

3.0

舞台かシットコムのよう。期待通りに次々笑わせてくれて、予想通りにちょっといい話を盛り込みつつ大団円。キャストがはまっていて安定感もあり、軽く見るのにぴったり。

映画としては、シチュエーションはおもし
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顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

4.0

”Visages Villages "の通り、たくさんの顔と場所。映画を見てはじめて、JRの作品となった顔だけでなく、それができるときの顔も見られた。モデルもその周りも、明るい表情ばかりだった。

J
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これが私の人生設計(2014年製作の映画)

3.0

詰め込み型がイタリア映画らしい。人生設計というほどの計画性はなくて、原題のScusate se esisto!は「申し訳ないけどあるがままで行かせてね」的な意味合いのよう。

明確な役割を持ったキャラ
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劇場(2020年製作の映画)

3.5

小劇場に行くと、舞台と観客に一体感が生じると同時に、両者の間に境界線が見える時がある。それを思い出した。

ヘアモデルの件の繰り返しと髪の長さの変化で示される時間経過。その中で一緒に変化/成長できない
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彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

3.5

普遍的な思春期の変化と、まだ当たり前ではない新しい人間関係の両方の描き方があたたかかった。
主人公の男の子がとても自然体で瑞々しい。過保護になってしまう親の気持ちに共感したり、やさしい友達二人の気持ち
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

4.0

時間を前後させながら一つの事件を厚く描いた作品。
別視点から同じ場面を繰り返し見せられ、高められる恐怖感。事件だけを切り取って不条理さや悲しさを高めたところで終わらせず、観る人によって解釈や共感度合い
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ぼくを探しに(2013年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ウェス・アンダーソン映画のフランス版の雰囲気。それが最後にフランスからすっきり離れるのはおもしろい。
伏線になりそうな要素が沢山あったマダム・プルーストの役柄にもうひとひねりあるのかと思ったら、そこは
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

3.0

3回離脱しながらの鑑賞。
自分の存在の根底に関わることは、大切な人には言えないのに、友達には甘えて自虐的に伝えられたり、見ず知らずの人だからこそ客観的な視点から話せるというのはよく分かる。自分の周りに
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モネ・ゲーム(2012年製作の映画)

3.0

コーエン兄弟の脚本だから、もっとひねりがあったりブラックだったりするのかと思いきや、ちょっと期待外れ。米英日の国別のキャラクタ設定ががシニカルと言えなくはないけれど、今の時代にあらためておもしろいと思>>続きを読む

リンカーン弁護士(2011年製作の映画)

3.5

拝金主義で狡猾に見えた弁護士が、無実の人を弁護することに信念を持っていたと分かるまでの流れでまず引き込まれる。その後の展開もテンポよく、はじめの勢いが2時間続くのがすごい。
事件の真相が明らかになって
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モリのいる場所(2018年製作の映画)

3.5

熊谷守一という人の生き方がまず並外れている。その彼と妻を演じる2人が常人ではない雰囲気を纏っていて、家と庭は乱雑なようで穏やかに整えられていて、この映画の独特な世界ができあがっていた。苦手な虫が可愛く>>続きを読む

29歳問題(2017年製作の映画)

3.5

エネルギーと前向きさを感じさせ、でも少し刹那的でもあるお話。RENTを思い出していたら、エンドロールで舞台版が出てきて納得。きっと等身大に見せる舞台ではさらに感情に訴えたんだろう。

原題は「29+1
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惹かれあいの法則/恋の法律(2004年製作の映画)

3.0

アマゾンの無料視聴終了間近作品から、久しぶりにラブコメを見る。想像通りの展開と軽いキャラクタたちで、細かいところを忘れてこの時間を楽しめばよいのだと思い出す。法廷シーンとママが良い。
ながら観向きで、
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