d3さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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波紋(2023年製作の映画)

3.7

人は人とのつながりを求める。彼女がつながりを求めたときに手を差し伸べたのが新興宗教だったのだろう。
家族の一人ひとりが、自分の行為は受け入れられて当然だと言わんばかりにさざ波を起こす。それら小さなさざ
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.3

生存競争を勝ち抜くため、排他的であることは本能であるのかもしれないが、それとは異質の気味悪さはどこから来るのか。
我々は現代でもなお群集心理に抗う術を知らない。

本作をエンタメと捉えて良いものか判断
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雪山の絆(2023年製作の映画)

3.8

「待っているだけでは何も起こらない」類の言葉を聞くことがあるが、それの究極系ではないだろうか。
生き抜くためには何をしなければならないか考えさせられる話だった。

行きたい場所へ出発する強い意志が運命
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グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

3.7

クズ同士の争いを描きながら、現代の日本が抱えている「それってどうなの?」的なトピックが内包されている。

少し前までなら邦画でこのような内容は「ありえんだろ」と感じていたものだが、近年では「あるかもし
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.8

愛には「こうあるべき」といった正解はない。
人の感情は一定ではないからこそ、そのときの環境やフィーリングを判断しながら表現を選んでいく。
唯一無二のマエストロであったバーンスタインは、個としての愛情深
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

4.0

軽い気持ちで始めたPS5「ホグワーツ・レガシー」にどっぷりハマってしまい、「タイトルは聞いたことある」程度だった本作をNetflixで発見して前のめり気味に鑑賞。

若者たちは「世界を変える」と高い志
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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(2018年製作の映画)

3.8

軽い気持ちで始めたPS5「ホグワーツ・レガシー」にどっぷりハマってしまい、「タイトルは聞いたことある」程度だった本シリーズをNetflixで発見して前のめり気味に鑑賞。

ずいぶん長いあいだ映画ファン
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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016年製作の映画)

3.8

軽い気持ちで始めたPS5「ホグワーツ・レガシー」にどっぷりハマってしまい、「タイトルは聞いたことある」程度だった本作をNetflixで発見して前のめり気味に鑑賞。

ハリー・ポッターたちの頃から70年
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.8

スター俳優勢揃いのため、さぞ大味でNetflixの悪いところが出た映画かと思いきや、見ごたえのある内容だった。

日常と非日常は対のものと考えがちだが、実は地続きなのかもしれない。見慣れた風景や見知っ
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ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

3.9

大正浪漫をベースに耽美的な世界観が描かれる。
昔の大人はどこかに狂気をはらんでいるに見えたものだったことを思い出した。
眼球舐めはたまげた。

アンビュランス(2022年製作の映画)

3.6

カーアクションを目一杯楽しむための作品。

人は理屈では説明できない行動を取ることがある。
生き物として合理的であることに徹底できないのだ。
目の前の人が苦しんでいれば助けたいと思う。たとえ原因が自分
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砂の器(1974年製作の映画)

4.0

脚本家橋本忍作品回顧鑑賞。

一般的に回想シーンを多用する作劇はよろしくないと言われるが本作は別物である。
緻密に構成されたストーリーテリングによって過去と現在が提示されることで、人物が立体的に浮かび
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.7

野心の強い人間はコンプレックスが強いのかもしれない。鬱屈した精神を昇華させるために目標を完遂するための努力を積み上げ、成果を築いていく。

ナポレオンの生涯はまさしくコンプレックスとともにあったと言え
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フェンス(2016年製作の映画)

3.7

人種差別によってメジャーリーガーになれなかった男は、家族を食べさせることと、子どもたちを自立させることこそ己に課せられた義務として仕事に従事している。
フットボール選手の次男が大学からスカウトを受ける
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マイティ・マイツ ~12人の屈強な戦士たち~(2021年製作の映画)

3.7

第二次世界大戦前のアメリカでは、孤児院が犯罪者予備軍の集まりのような目で見られていた。そこへ新たな教師が赴任して子どもたちにフットボールを教える。
バックボーンがない、まともな教育を受けてきていない、
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.9

つい先日韓国のオリジナル版を観たところで、「どんなものだろう?」とあまり期待しないまま再生してみたのだが、とても面白い作品だった。韓国版のポイントを外さず、かつわかりやすく、そしてバイオレンス性も失っ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.7

生命のはかなさを知る人が権力へ執着するとき、障壁となる人物への殺意が芽生えるのかもしれない。
標的を殺すことは、限りある自分の人生から相手へ退場通告を出す行為である。
だからこそ死んだ証明としての首を
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.8

生活の端々には不幸に陥るキッカケが潜んでいる。
不幸は連鎖するものだ。ひとつの不幸が引き金となり、潜んでいた別の不幸キッカケを発動させやすくするのかもしれない。
大きな人間愛ですら、不幸の起点になり得
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バービー(2023年製作の映画)

3.8

日常のなかでフとしたタイミングで浮かんだ疑問から、生き方が大きく変わることもある。
疑問が水平展開され、新しい時代が訪れるのだろう。

異文化からの来訪者の視点には、当たり前が当たり前ではなく、改善の
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死体の人(2022年製作の映画)

3.9

夢を持っていても理想通りにいかないもどかしさを描いた物語は多くあるが、死体役俳優と風俗嬢が心を通わせていく様は強く印象に残った。

うまくいかないことをつい環境のせいにしがちだが、叶えたい夢を本当に実
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.7

任務遂行を失敗した殺し屋が、自身の哲学に基づいて整合性を回復させる。

未来を予測することは不可能であり、だからこそいま取り組んでいることで何が得られるか意識して行動する。
その連続こそが、理想の自分
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ジェロニモ(1993年製作の映画)

3.7

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観てから、ネイティブアメリカンが登場する作品が目に留まるようになった。本作では伝説のネイティブアメリカンであるジェロニモが騎兵隊と戦い、投降するまでを描く。>>続きを読む

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)

3.7

貧困のシングルマザーが製薬会社のセールスレディとして台頭し、悪しき慣習の残る業界ノリと、本当に必要な患者へ効き目のある薬を届けられているという大義のあいだて悩む。

構図は典型的なアメリカンサクセスス
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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.0

10年以上ぶりではあるもののいちど観ていて免疫はあるから大丈夫かと思いきや
、やはり凄惨だった。

家族に不協和音を感じる主人公が犯罪に巻き込まれたことで、目の前にあることと向き合わなければなにも進展
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.8

ファッションデザイナーを夢見て、田舎町からロンドンへ出てきた女性の精神世界を描く。

いつの時代も若者の夢は大きい。しかし、夢をかなえるために行動するほどに現実を知ることになる。これは通過儀礼のような
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ノーウェア:漂流(2023年製作の映画)

3.7

最小限の必需品にすら到底足りない環境下で出産し、生き抜く。
生き物としての人間の尊さと叡智を感じた。
ものがないことを嘆くのではなく、あるもので世代をつなごうとする強さは生命の根源である。

母が我が
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.2

何年かごとに見返したくなる映画がある。本作もそのひとつ。
そして、毎回違った印象を与えてくれている気がする。

「むかしむかし、円が世界で一番強かった頃…」
まだ製作された当時は残り香があったのだろう
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

3.8

ダニエル・クレイグの007フィルモグラフィーとしては「慰めの報酬」と「スカイフォール」のあいだに位置する作品。
ボンドとは違ったタイプの雑誌記者を演じる。

名誉毀損の判決を受けた記者と精神障害と判断
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唐人街探偵 東京 MISSION(2020年製作の映画)

3.8

コメディの好みは、あくまで現実に即して人間のおかしみを描くところにあり、本作は枠から外れる。しかし、撮影がかなり大変だったと思われる気合が入ったシーンの連続で楽しめた。

海外のフィルターを通して見る
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アメリカン・アンダードッグ(2021年製作の映画)

4.0

「潜水艦映画にハズレなし」とは、映画ファンのなかで言われることだが、アメフト映画にもハズレは少ないのではないかと思っている。
カレッジスポーツとして競技人口が多く、とんでもない狭き門をくぐり抜けてきた
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最後まで行く(2014年製作の映画)

3.7

人身事故を起こした刑事が事故を隠蔽し、被害者を密かに埋める。しかし、その死体には秘密が隠されていた。
日本でもリメイクされた韓国オリジナル版。

隠そうとするものが大きければ大きいほど、多大な労力を要
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懲役太郎 まむしの兄弟(1971年製作の映画)

3.7

中島貞夫監督追悼鑑賞。

当時の東映映画ファンを熱狂させた「まむしの兄弟」シリーズ第一弾。
組織に属さないチンピラ2人のクズっぷりが凄まじい。しかし、彼らには彼らの信じる男の道があるのだろう。
雨で流
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フレッチ/死体のいる迷路(2022年製作の映画)

3.2

日本で言うところの2時間サスペンスドラマみたいな作りの作品。
ただ王道路線の2時間サスペンスではなく、「今作ではミステリー要素に力を入れてみました」と番宣で紹介しそうな内容。

中盤からはジョン・ハム
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サウンド・オブ・007(2022年製作の映画)

4.0

007の歴史を音楽の観点からひもとくドキュメンタリー。

驚かされるのが、プロデューサー陣の音楽への意識の高さだ。音楽が印象的なシリーズなので当然とも言えるが、アーティストのインタビューから、彼らが最
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遊撃 映画監督 中島貞夫/遊撃〜「多十郎殉愛記」外伝〜(2021年製作の映画)

3.8

今年6月に亡くなられた中島貞夫監督。本作は監督の遺作となった高良健吾主演「多十郎殉愛記」のメイキングドキュメンタリーだ。

東映の屋台骨を支えた巨匠の作品であっても、予算の制限から撮影日数を削ることを
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.6

理不尽な社会から虐げられた女たちが組織へ立ち向かう#metooアクションムービー。

勝手に決められたルールで「お前らは弱者だ」と侮られるなら、こちらのルールで「お前らは助けられているだけ」という真実
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