d3さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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特攻大作戦(1967年製作の映画)

4.0

50年以上前に製作されたことを感じさせないくらい色褪せすおもしろい。

軍規を守れないならず者たちが集められ、それぞれの刑に恩赦を与える条件で決死の特命任務に向かう。
身内からダメ集団だと思われていた
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ディパーテッド(2006年製作の映画)

4.0

この映画に影響を受けて作られた作品は多そう。そう感じるほどに、いま観ると潜入捜査ものの基本ラインが描かれているように見える。
裏切るものは裏切られるのだ。

ジャック・ニコルソンの顔芸を堪能できる名作
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AKA(2023年製作の映画)

3.8

過小評価されていると感じた作品。
なんとなくアクション映画が見たくなり予備情報のないまま見始めたが、序盤で「あ、これアタリのやつだ!」と小躍りした。

みんな大好き潜入捜査もの。しかしシンプルな勧善懲
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バレリーナ(2023年製作の映画)

3.6

何もないと思っていた人生にかけがえのない時間をくれた人のために復讐する。
しかし成就したあとでも達成感は得られない。バレリーナの彼女が舞う美しい姿を思い浮かべるだけである。

丁寧に仕上げられた色彩に
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

人は幸せを追及する生き物であるが、幸せの範囲は個体差がある。自分が考える幸せ以外に想像が及ばなければ、悪意のない悪行が行動規範になるだろう。
自分のしたことは悪いとは思っていない人は無邪気にも見え、他
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ワンス・アポン・ア・スター(2023年製作の映画)

3.8

70年代のタイ、移動映画館という日本ではあまり馴染みのない興行をモチーフにした作品。

製薬会社が薬を買ってもらうために各地で屋外上映をおこなう。作品はサイレント映画のため、薬の販売員と兼任した声優が
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.3

人は暗い物語を後回しにする。
まもなく命が尽きることを悟ったとき、主人公はこれまでの人生で残していた問題と向き合う覚悟を決める。
決して同情を誘うような卑怯な真似はせず、周囲の人間も死に際だからと容赦
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アナログ(2023年製作の映画)

3.8

人がわずかに共有できる価値観をきっかけに出会い、少しずつ少しずつ距離が近づいていく。

マッチングアプリのように、相手についての情報が提示されるわけではない。長い時間をかけてまだ何も知らない相手の輪郭
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ブラッド・アンド・ゴールド ~黄金の血戦場~(2023年製作の映画)

3.6

昨今、ナチス相手なら何をやってもよいといった風潮が映画界に見られる。
源流ははるか昔からあったが、ストリームを確立したのはタランティーノだろう。

気持ち良いくらいにタランティーノに影響されたと見える
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アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)

4.0

後半は過去と現在がつながっていく。
なぜ戦うのか。その根源的な理由に迫る。

人が生きてきた道はまっすぐではない。曲がりくねるのが当たり前であり、途中で落としてきたものもある。
過去と向き合うことは、
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アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

4.0

前後編にまだがる作品で、しかもそれぞれが長尺であることから長らく鑑賞を後回しにしていたが、配信ドラマ感覚で観ることにすると、まさかの配信ドラマからの劇場版作品だった。

無理やり劇的に展開するわけでも
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レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)

3.7

仲間だと信じていた気の良い友人たちが自分とは違う倫理で一致していたら、ためらいなく内部告発できるものだろうか。
正義のあり方、友情や信義の捉え方、そして勇気。さまざまな要素が影響される局面である。
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総長の首(1979年製作の映画)

3.7

中島貞夫監督追悼鑑賞。

中島貞夫と言えば東映やくざ映画のイメージが強いが、ご本人インタビューではたびたび「やくざ嫌い」を公言されている。
東映の職人監督であったために量産されたわけだが、作品を鑑賞し
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鉄砲玉の美学(1973年製作の映画)

4.0

中島貞夫監督追悼鑑賞。

ATGと東映の提携作品であり、従来の東映やくざ映画とは毛色が違う野心作。
やくざの上層部は声だけのボイスオーバー出演で姿を見せないなどの徹底した若者視点の演出により、時代に乗
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Winny(2023年製作の映画)

4.0

ナイフを使った殺人事件が起こった場合、ナイフの製造者は罪に問われるのか。そんな馬鹿な話はない。しかし、このようなことを最高裁まで争うことになったのが、日本のサイバー警察によるお粗末な取り締まりだった。>>続きを読む

人生劇場 続・飛車角(1963年製作の映画)

3.8

前回ラストの殴り込みによるお務めをはたし、シャバに戻ってきた飛車角。
待っていてくれると信じていた女が弟分と結ばれていた。
不器用な生き方を選ぶ漢たちの姿が、耐え忍ぶ美学を教えてくれる。

鶴田浩二、
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人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)

4.0

勘違いされがちだが、将棋の話ではない。尾崎士郎原作「人生劇場」の登場人物のひとりである飛車角こと小山角太郎を主人公にした物語である。いまで言うスピンオフ作品に近い形だろうか。
あまりの好評ぶりに東映は
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日本の首領(ドン) 完結篇(1978年製作の映画)

3.6

中島貞夫監督追悼鑑賞。

全国進出を狙った中島組の興亡を描いたシリーズ三部作の最終章。
東映の悪いクセで、シリーズが続くと同じ役者が違う役で出てきたり、同じ登場人物を違う役者が演じたりする。
前作では
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日本の首領 野望篇(1977年製作の映画)

4.0

中島貞夫監督追悼鑑賞。

全国進出を狙う中島組の興亡を描いたシリーズ三部作の第ニ弾。
前作に続いて、明らかに「ゴッドファーザー」からインスパイアされたであろうシーンが散見される。佐分利信はドン・コルレ
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やくざ戦争 日本の首領(ドン)(1977年製作の映画)

4.0

中島貞夫監督追悼鑑賞。

全国進出を狙う中島組の興亡を描いたシリーズ三部作の第一弾。「ゴッドファーザー」ファンならば、ぜひ観ておいてほしい一作。
ちなみに日本において「首領」を「ドン」と読ませるように
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実録外伝 大阪電撃作戦(1976年製作の映画)

4.3

中島貞夫監督追悼鑑賞。

実録ものと言えば深作欣二監督の仁義なき戦いシリーズだが、その陰に隠れた名作。
数々の作品で鉄砲玉的性格のチンピラを演じてきた渡瀬恒彦だが、この作品における三下ヤクザの苦悩の描
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日本暗殺秘録(1969年製作の映画)

3.8

中島貞夫監督追悼鑑賞。

暗殺には思想をともなう。突発的な殺人とは異なり、そこには実行側の葛藤や情念のようなものが持ち込まれるのかもしれない。

本作は桜田門外の変から二・二六事件まで、日本の近代にお
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ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020年製作の映画)

3.5

キアヌ・リーブス主演のコメディシリーズ第三弾。とはいえ、前作から約30年ぶりの新作。

パート2は未見だが、ストーリー的にはあまり支障はなかった。おそらく死神うんぬんのくだりがそうなのだろう。
本作で
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ビルとテッドの大冒険(1989年製作の映画)

3.6

ジョン・ウィックをシリーズ通して一気に堪能したので、キアヌの役者イメージをフラットに戻すため初期のおバカコメディを鑑賞。

ストーリーはお調子者の高校生コンビによるタイムトラベル冒険譚。明らかに同時代
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

いまさらと思われるかもしれないが、4作目にしてようやくジョン・ウィックシリーズの楽しみかたがわかった。
スタントマン出身の監督が率いる世界最高レベルのスタントチーム、彼らがそれぞれのシチュエーションで
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.0

内戦が勃発したソマリアで、対立する韓国と北朝鮮の大使館員たちが協力して国外脱出を目指す。

国としての立場など意味を持たない危険地帯で、同じ目的を持った人と人がともに行動するうちに芽生える感情。
それ
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

3.9

創作は多大なエネルギーを必要とする。
作者の手によって、もうひとつの世界を構築することだからだ。
特に難しいのが起点を探すことだろう。小説家志望の主人公は「何を書けばいいのかわからない」と言う。大学で
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ミュンヘン(2005年製作の映画)

3.8

ゲリラへの報復作戦を命じられた男は、リストアップされた人々を殺すうちに、「殺しても何も感じなくなる」とうそぶくが、表情は疲弊している。
自分たちが殺害してきたように、自分もいつか狙われるのではないかと
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

物語なかばで訪れる主人公の死という大胆な構成によって、その後の回想からテーマの輪郭がはっきりと提示される。

身体は動いているが、我々は本当に生きていると言えるのだろうか。
ましてや通勤電車に乗り、遠
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

音楽は時間の芸術だ。
音が奏でられる瞬間瞬間に聴衆は感情を湧き上がらせる。感情がどのようなものであったか言語化しようとしても、そのときには次の感情が被さってくる。感情の起伏を体感することこそ音楽の楽し
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.2

子どもの頃から憧れていたカーレーサーの夢をゲームで実現する。
ゲームの世界のなかではない。現実の世界でレーサーになるのだ。

意志の力は強い。家族や身近な人が過小評価しようとも、本人の気持ちが揺るがな
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楽園の夜(2019年製作の映画)

3.7

命を狙われるヤクザは逃亡先の済州島で暴力団を憎む余命いくばくもない女と出会う。
ともに過ごすうちに惹かれ合うも、表面には出さない。
それぞれが、その後の人生をともに歩むことができないことを知っているか
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次郎長三国志 甲州路殴り込み(1965年製作の映画)

3.6

シリーズ4部作の4作目。
この時代に作られたプログラムピクチャーをいまの映画と同じように見ることはできない。製作の起点がまったく別物だからだ。
前作からさらに配役変更しており、違ったマリアージュが楽し
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次郎長三国志 第三部(1964年製作の映画)

3.6

シリーズ第3弾。
東映作品あるあるで、シリーズものの同一キャラクターなのに3作目ともなると別の役者が演じだしている。
スケジュール調整を待つ猶予などないのがこの頃のスピード感だ。

「なあ、大政!」
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スイング・ステート(2020年製作の映画)

3.8

日本で選挙を題材に選ぶと類型的な展開になりがちだ。
義憤にかられた政治素人が立候補して…とか、鼻持ちならない二世議員が選挙活動を通して人として成長していくみたいな感じだろうか。

本作では最後まで展開
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続・次郎長三国志(1963年製作の映画)

3.7

シリーズ2作目。
博打で衣服を失った次郎長たちは、腰に刀だけを巻いた無課金ユーザーみたいな装備で街道を行く。
新たなキャラクターも増え、次郎長周りの人間関係はより立体的になる。

昨今のシリーズものは
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