DKさんの映画レビュー・感想・評価

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ルトヴィッヒ2世のためのレクイエム(1973年製作の映画)

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オペラ映画のような。場面は主に横断幕と少数の家具セット、絵画の背景の一部と化す宮廷の男女(とよく動く写真家)で構成される。綿密に計算された?人々の立ち位置が奥行きと荘厳さを与えてくれる。城を背に焚き火>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

4.0

アケルマンが子供、彼、彼女を見つめる視線が美しすぎる。ラストの行為に至るまでのカメラワークで初めて生を感じた。

アルテミス、移り気なこころ(2013年製作の映画)

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近代文学を専攻する学生アルテミス、内向的な彼女が正反対な性格のカーリィと出会い、世界が開けていく。
メタ的撮影構造、夢幻的な空気感と神話、瑞々しさを際立たせる音楽もたまらなく素晴らしく、(アデュー・フ
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訪問、あるいは記憶、そして告白(1993年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

無人の邸宅を訪問する男女の影、オリヴェイラ自身の語り、映写機から映す幼少期の思い出。どうやら40年間住み続けた邸宅を手放すらしい。家族について話すオリヴェイラ。妻への感謝と邸宅での思い出を語る。自身の>>続きを読む

バリエラ(1966年製作の映画)

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共産主義ポーランドつかの間の春、すべてを捨てて旅に出た医学生はある若い女と出会う。
非常に難解超現実的でありながら、男女の話は簡潔で興味深く軽やかなタッチで描かれ、映像の美しさと巧みさも感じられてさす
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感傷的な運命(2000年製作の映画)

3.5

シネマヴェーラ渋谷の特集”愛の力学”にて。
プロテスタント牧師のジャンは妻との離婚を経てポーリーヌとの田舎的な穏やかな生活を手にしたかのように見えたが、製陶所を経営する父の死により、その穏やかな生活は
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令嬢ターニャ(1989年製作の映画)

4.0

ペテルブルクに住むターニャは明るい未来を求め、様々な障害を乗り越えて国際結婚を果たすが、孤独な異国の地で新たな困難に直面する。
ソ連本国では大ヒットしたらしい本作、失って気づく故郷への複雑な感情を爆発
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世界の始まりへの旅(1997年製作の映画)

4.5

映画監督と俳優の4人組が、監督のゆかりある土地土地を回り、彼の思い出話を聞きながら北ポルトガルを旅する。映画監督の観念的懐古的な回顧から次第にアフォンソの父親の過去へ話が移り、現代的な世界への同化に抵>>続きを読む

映画というささやかな商売の栄華と衰退(1986年製作の映画)

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映画監督、プロデューサー、女優を目指すプロデューサーの妻を軸に映画製作における困難さを描いた物語。JPLの演技はもちろん、カメラ・照明配置など画面の使い方が常に印象深く、オーバーラップの多用、カラーバ>>続きを読む

レット・ザ・サンシャイン・イン(2017年製作の映画)

3.0

画家イザベルの奔放な恋愛をノンストップで描いたコメディ。セリフ中心喜劇の本作はビノシュらの演技によるところが大きく、彼女の生活を覗き見したような気分で何だか落ち着かない。
ドゥニらしくないとの評判で覚
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5月の後(2012年製作の映画)

4.0

若者たちの強すぎる青春感。革命を夢見た時代を経て、さまざまな世界を知った若者がそれぞれの歩みを始める。こういう青春ものは無償に観たくなってしまうことがある+BGMが良すぎたため無限にスクリーンに流して>>続きを読む

あなたの微笑みはどこに隠れたの?(2001年製作の映画)

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孤高の夫婦映画監督による、母と息子の奇妙な対話が印象的な映画『シチリア!』の編集光景をペドロ・コスタと共に眺める映画。
「あなたの微笑みはどこに隠れたの?」とある一場面の一節が問いかけているように見続
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騎士の名誉(2006年製作の映画)

3.0

セルバンテスの小説に着想を得てドン・キホーテと相棒サンチョが2時間カタルーニャの大地を彷徨い歩くさまを描く。2人のやり取りが完全に映画の中心なのだけど、それとなくユーモアのあるやり取りは緩慢な構成の中>>続きを読む

SHOAH ショア(1985年製作の映画)

4.5

デプレシャンがランズマンを当代最も偉大なフランス人映画監督と言及していたため、意を決して。
ナチスによるユダヤ人迫害・ホロコーストを関係者の証言から記録したとてつもないドキュメンタリー。当時の光景がフ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

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デザイナーの主人公が妖艶で打算的な若い女性の裏切りに合い悲劇的な結末を迎える一部始終を描いた室内戯曲映画。
どうしても助手マレーネに目がいってしまう。彼女の見つめる視線、タイプライターのタッチ音、さも
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私は20歳(1965年製作の映画)

3.5

舞台はモスクワ、セルゲイを中心に青年3人の苦悩や葛藤、恋愛を描く。
意味深なオープニングとは打って変わり友人3人の再開という開放的な雰囲気で始まるこの映画は、資本主義的な音楽も相まってスターリン後の時
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私の緩やかな人生(2001年製作の映画)

3.5

心地よい緩やかなショットの連続。色々大変なことがあっても、皆頑張って行きている。

二十歳の死(1991年製作の映画)

3.0

ある青年の死に際して集まった親戚、友人一同の群像会話劇。皆が喚く、主張する、聖書を語る、冗談を言い合う、詩を読む。
流れのトーンが劇的に不意に変わり続けるのもデプレシャンぽい。50分しかないのに登場人
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シングル・ガール(1995年製作の映画)

4.0

若いパリジャンヌヴァレリーの、妊娠、転職、出産という一局面における苦労を淡々と同時体験的に描く。とにかく歩き続ける。
美人なゆえ苦労も多い彼女だが、振り切って強く闊歩する姿は非常に格好良い。時折に見せ
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昼下がり(2007年製作の映画)

3.0

ベルリン郊外、シャーネレク監督演じるイレネの家族を中心に夏の数日間を描く。
切り返しを排した長回しの会話、足元の印象的な接写、上下が切り取られた固定ショットからシャーネレクらしさが強く感じられるし、余
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ゴダールの映画史 第6章 新たな波(1995年製作の映画)

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私的で自伝的、縦横に引用されるモンタージュ構成から、ヌーヴェルヴァーグの革新性とその意義が垣間見れる。

侵入者(2004年製作の映画)

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謎めいた年老いた男がフランス・スイス国境から韓国、タヒチと息子を探しながら旅をする物語。
唐突なほど移り変わる場所と時間、不安げにさせる音楽とともに多用される水辺の描写、全ては”侵入”を際立たせつつ移
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アブラハム渓谷(1993年製作の映画)

3.5

ポルト近郊アブラハム渓谷を舞台に、容姿端麗な主人公エマが、その美貌ゆえに男性に対する複雑で鬱屈した感情が蓄積し悲劇的な結末を迎える。
3時間もの長さを感じさせない演技・映像美・構成の素晴らしさ、文学的
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そして僕は恋をする(1996年製作の映画)

4.5

大学講師ポールとその友人男女の遅れた青春恋愛会話群像劇映画。
3時間に及ぶ会話劇の中でも、シルヴィアとポールが電話越しに会話するカット群、全てを振り切ったエステルの力強い眼差しは特に印象的。
(『イス
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不運(1960年製作の映画)

3.5

誠実なのか不誠実なのかわからない少しアホな主人公に、自身の性格・行動(と時代性)から様々な「不運」が降りかかる物語。
主人公の生き様はまさに激動に振り回され続けたポーランド史を写す鏡であるように感じ、
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35杯のラムショット(2008年製作の映画)

5.0

ある父娘の人生における重大な一場面を暖かに美しく切り取った映画。どことなく日本を思わせる既視感がある。じんわり。ラスト10分は5回再生した。

影の列車(1997年製作の映画)

3.0

美しくノスタルジックな映像、際どいショット・構図の数々、実験的で興味深いシークエンス構成。音楽と時計の音と光と。映写機の音が死ぬほど怖すぎて泣いた。一点、話としては面白く、夕方の微睡みの中で美しいもの>>続きを読む

アレクサンドルの墓/最後のボルシェヴィキ(1993年製作の映画)

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クリス・マルケルとアレクサンドル・メドヴェトキンに対する興味が深まるばかりで、とてももやもやする。

美しき仕事(1999年製作の映画)

4.0

何かと話題になっていたようなそうでないような本作を、遂に鑑賞。輸入。ジプチに駐在するフランス外人部隊の訓練模様をアフリカの無味な大自然の風景とともに回想の視点で描く。
素晴らしかった。美しかった。本当
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聖なるパン助に注意(1970年製作の映画)

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ファスビンダー自身の自作ベスト1と知り鑑賞。自省的な映画?面白い!とはならなかったけど、全体的に独特の雰囲気を醸し出していて、人生を映画化しようとしたファスビンダーらしい順位付けだった。
グラス投げ捨
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愛は死より冷酷(1969年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

音楽がなんとも……なんで”エリカ・ロメール”を殺させたのだろう…笑

エクスキューズ・マイ・フレンチ(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

イスラーム映画祭3にて。コプト教徒のエジプト少年が突然転校することになった公立学校でのセンシティブな苦労を描いた作品。とてもとても好きな類の映画だった。 編成担当の方に感謝。ユーモアは偏見に打ち勝って>>続きを読む

ノン、あるいは支配の空しい栄光(1990年製作の映画)

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念願の00年代以前のオリヴェイラ。監督曰く「敗北」という「男性固有のテーマ」の映画らしい。敗北の歴史で言うと、ファスビンダーの『ヴェロニカ・フォスのあこがれ』などの作品群を思い出してしまうけども、過去>>続きを読む

ショコラ(1988年製作の映画)

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クレール・ドゥニの処女作。植民地監察官の家で起こる一見すると単なる日々を、入植者・現地人の関係性やフランス人少女の視点も交えつつ回想という形で描く。
全体として荒削りの印象を受けたが、文脈から醸し出す
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.0

個人的なことだが、本作を観る前に『I don’t Belong Anywhere』を観てしまったことが本当に悔やまれる(ネタバレあり)。
映画としてはとても面白い、というかあまり観察者として映画を観る
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