回想シーンでご飯3杯いけるさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

回想シーンでご飯3杯いける

回想シーンでご飯3杯いける

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

3.6

広大な砂漠から高く飛翔する冒頭のシーンは、手塚治虫のショートフィルム「ジャンピング」を彷彿とさせ、この時点で一気に作品の世界に吸い込まれる。

メキシコの著名なジャーナリスト兼ドキュメンタリー映画製作
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.3

クリストファー・ノーランが制作した「ダークナイト トリロジー」3部作の完成度が高かった為、非常にハードルが高い状態での公開になった新リブート作「THE BATMAN」だが、多くの方が言っている通り、予>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.8

本作の監督、ドミー・シーによる2018年の短編「バオ」を先に観ておくと、本作の理解が深まる(必須ではない)。共通するのは、人間の感情や成長を、人以外の形にして比喩的に見せる手法である。

「バオ」では
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.6

日本では「名探偵と刃の館の秘密」の副題で劇場公開されたミステリー「ナイブズ・アウト」の続編が、Netflixオリジナル作品として登場。

前作と共通するのは、探偵役のダニエル・クレイグが、密室を舞台に
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.0

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で開かれた“マルチバース”と呼ばれる無数のパラレルワールド。同作でその扉を開けたドクター・ストレンジを主人公に配した本作は、初期「スパイダーマン」3作を手掛けた>>続きを読む

マチルダ・ザ・ミュージカル(2022年製作の映画)

3.5

原作はイギリスのロアルド・ダールによる児童文学「マチルダは小さな大天才」で、1996年にはアメリカで映画化。2011年にはイギリスでミュージカルにもなっている。今回は、ミュージカル版の映画化という事に>>続きを読む

罪の後(2022年製作の映画)

3.7

韓国映画に通じるバイオレンス描写を持ちつつ、エンタメ性よりも辛辣な社会風刺を取り入れる事が多い台湾映画。元テレビのキャスターで現在は動画配信で報道に携わる男を主人公に据えた本作は、正にそのテイストがば>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.3

幼い頃に家族を亡くした女性と、叔父の2人暮らし。酪農を生業とする2人の静かな生活を淡々と描いたデンマーク映画である。

音楽が少ないだけじゃなく、前半は台詞自体も殆どなく、ちょっとびっくりしてしまった
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.8

第一次世界大戦で実際に西部戦線に参加して重傷を負った経験を持つドイツ人のエーリヒ・マリア・レマルクによる小説が原作。これまでに2回映像化されているが、どちらもアメリカ制作で、台詞も英語だった。Netf>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.3

太平洋岸の孤島にあるレストランでに招待された富裕層に提供される、カリスマ・シェフによる極上コース料理。

超お洒落な内装と、こだわりの食材で、合図とともに仰々しく登場する料理が、どれもこれも絶妙に不味
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.7

謎の若い男が仕掛ける航空機内でのウイルス・テロ。冒頭から展開がスピーディーで、どんどんストーリーに引き込まれる。

機内の密室で繰り広げられる感染の恐怖は、コロナ禍を経験している僕達にとっては非常にリ
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.8

「コメディ」と言うと、日本では「面白い」「笑える」様子を指す事が多いけど、言葉そのものの意味はもう少し範囲が広くて「滑稽」な様子全般を指していると思う。つまり、笑えない(あるいは、笑わせる事を主目的に>>続きを読む

神々の山嶺(2021年製作の映画)

2.5

宇宙や深海への調査が無人化する一方で、今も文字通り古風な「命懸け」を美徳とする登山の世界は、正直あまり好きになれない。先日鑑賞した韓国映画「ヒマラヤ」にもスコア1点を付けたし、本作も不安を感じたが、評>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.9

時間の進行が速く、1日で50年が経過するリゾートビーチの話。

舞台を限定招待制のプライベート・ビーチにする事から生まれる密室劇的な手法と、登場人物を3家族+αの11人に絞り込む事から生まれる、低予算
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靴ひも(2018年製作の映画)

3.5

イスラエルのアカデミー賞で助演男優賞を受賞しているほか、各国で様々な受賞/エントリーを果たしているイスラエル映画。

物語は、発達障害の青年が母親の葬式で死を受け入れられずに混乱しているシーンから始ま
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友情にSOS(2022年製作の映画)

3.0

卒業間際の大学生3人組が、たまたま出くわした昏睡状態の少女。普通であれば彼女のために救急車を呼ぶのが当たり前なのだが、3人組のうち2人が黒人という事で、自分達に何らかの罪を疑われる可能性が高い、、、、>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

4.0

東欧のどこか。ホローコストを逃れた少年が放浪する中で味わう差別と、人間の憎悪が生み出す地獄の数々。こんなテーマで3時間という事で、観る前には相当な思い切りが必要だった。

結論から言うと、描かれる光景
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光州5・18(2007年製作の映画)

3.3

韓国民主化運動の初期に起こった、軍事政権による市民虐殺「光州事件」を題材にした初の商業映画らしい。

同事件と言えば、後にソン・ガンホ主演による「タクシー運転手」も制作されたが、本作も同じくタクシー運
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

2.8

突然自殺した親友マリコの遺骨と共に旅に出るシイノ。冒頭からテンポも良く、勢いのあるシイノの行動力そのままに、どんどん話が進んでいく。無駄な説明を省いた90分を切る構成は、漫画原作の映画では珍しく、遺骨>>続きを読む

スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)

3.3

音楽が大好きなので、音楽は、まず音楽として接するようにしている。俳優が演じた実話映画やドキュメンタリーの類はあくまで副読本であり、積極的に観る事は殆どない。

さて、スパークス。昨年のサマーソニックで
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サイゴン・クチュール(2017年製作の映画)

3.2

1969年のサイゴン(ベトナム)から物語は始まる。老舗のアオザイ(ベトナムの民族服)仕立て屋の娘が、2017年にタイムスリップし、家業が経営難で既に倒産している事を知る。

'60年代のファッションと
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13人の命(2022年製作の映画)

4.5

2018年にタイで実際に起こったタムルアン洞窟の遭難事故を題材にした実話ベースの映画。当時これが映画化されるというニュースを聞き、実話映画があまり好きではない僕は、興味本位的な内容になるのではないかと>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.7

生まれつきの聴覚障害でありながらプロボクサーとして活動するケイコ。試合観戦に来ていた母親が撮った写真は、娘が殴られる恐怖から手が震え、どれも手振れが酷い。そんな写真を苦笑いしながら見ているケイコの表情>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.7

映画監督であり、俳優としてクリストファー・ノーランの作品等に出演しているケネス・ブラナーの半自伝的作品。アイルランド出身のU2による「ブラディ・サンデー」の題材にもなった北アイルランド紛争当時の様子を>>続きを読む

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

2.7

漫画家夫婦で、最近はどういうわけか殆どペンを持っていない夫(柄本佑)は、雑誌編集部の担当(奈緒)と不倫関係にある。夫の不倫を確信した妻(黒木華)が、現実とそっくりの新作を書き始め、それをたまたま見かけ>>続きを読む

キッズ・オールライト(2010年製作の映画)

3.5

2人の母親と、2人の子供(姉弟)という家族構成。どういう事かというと、2人の母親はレズビアンのカップルで、1人の男から精子提供を受けて、女児と男児を出産した。つまり、姉妹は文字通りの異母姉弟という事に>>続きを読む

エンドレス 繰り返される悪夢(2017年製作の映画)

3.7

そしてこちらは、タイムリープではなく、厳密にはタイムループもの。交通事故で娘が死んでしまう場面に出くわした外科医の男が、同じ時間帯を何度も繰り返すループに入り込み、彼女の命を救うべく何度も挑戦する様子>>続きを読む

君のためのタイムリープ/私を月に連れてって(2017年製作の映画)

3.5

日本ではアニメ版「時をかける少女」辺りから浸透した「タイムリープ」という言葉は、それまで親しまれていた「タイムスリップ」や「タイムトラベル」と違い、自分の意識だけが時間移動する行為として映画等で人気の>>続きを読む

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)

3.9

コロナ禍以降、会う機会がめっきり減っている母の事を考えながら、本作をチョイス、、、というセンチメンタルな気分を吹き飛ばす「おらだばおめだ」ダンスから幕を開ける。監督は「さかなのこ」が素晴らしかった沖田>>続きを読む

或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.2

2023年最初のレビューは、世界初のロマコメ映画とも言われる1938年の作品。監督は「素晴らしき哉、人生!」のフランク・キャプラだ。(パケ写はカラーだけど、映像はモノクロです)

タイトルから甘々なラ
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

5.0

30~40代が20代を振り返る恋愛映画は、ここ数年の邦画でいくつも制作されている。「花束みたいな恋をした」に始まり「劇場」「明け方の若者たち」そして「ボクたちはみんな大人になれなかった」に至っては、ヒ>>続きを読む

君が描く光/ケチュンばあちゃん(2016年製作の映画)

4.2

今やオスカー女優となったユン・ヨジョンが、漁村で孫娘と暮らす海女を好演。2016年の映画らしいけど、どうやら日本未公開だったらしく、たまたまamazonプライムで見つけたのだが、とんでもなく素晴らしい>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

1.5

「シン・ゴジラ」の時は、日本を代表する特撮映画久々の国内制作というお祭り要素もあったし、手掛けた庵野秀明と樋口真嗣もそれを踏まえた映画を作っていたので、まだ楽しめたのだが、、、、「ウルトラマン」は元々>>続きを読む

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

3.0

何ともレビューが難しいリメイクである。

まず、フランスの巨匠ミシェル・アザナヴィシウスが監督してるという事実が凄い。彼はアカデミー受賞作「アーティスト」でも同じく映画作りを題材にしているし、今回もリ
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観察者(2021年製作の映画)

3.3

配信開始から1年経っているのに、例に漏れずあまり盛り上がっていないamazonプライム・オリジナル映画(僕は年1回ペースでやってくる体験期間をフル活用して鑑賞しています)。

台詞で「モントリオール」
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さがす(2022年製作の映画)

4.0

日雇い労働者が集まる場所として知られる大阪西成区のありん地区を、少女が疾走する冒頭のシーンが素晴らしい。この町の雑踏には、逞しくて賢い少女が良く似合う。

演じるのは「空白」や「湯を沸かすほどの熱い愛
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