主要人物の衝動が玉突き事故をおこしてる物語。つまらないおじさんにはあちこちで巻き込み事故を起こす彼女らに乗れるわけがないのだが、令和の溝口と言われたら合点がいくのよ。監督の「わけのわからない苛立ちと不>>続きを読む
宗教っぽいタイトル、いつもより緩やかなパンニングとズーム、淡々と流れていく前半から何かある感じが後半、ホン・サンスで一番と言って良いほどのエモい展開になる。が、それでもいつものペースで流れていく時間が>>続きを読む
りょうの佇まいにティルダを感じ、彼女が叩く壁の音に『メモリア』の謎の轟音を感じ、車内の撮影に『風が吹くまま』を感じ、話が苦手な分、そういう見方でなんとかやり過ごした。でもここまで川の映画だと思わなんだ>>続きを読む
画面の外を意識させるかのように主人公と対話する人々を敢えてか写さない場面が多々あり、挙げ句一緒に来たスタッフは最後まで画面には出さず。一日の経過を髭を剃る事で表し、電話の為に電波のある所まで移動→穴堀>>続きを読む
記憶を音のみで再生するシークエンスでティルダがそっと置かれた手を外す動きが、ターンテーブルのアームを上げる動きに見えてちょっと唸った。が、それなら男の手の上にティルダの手を添えるのが正解じゃないか?と>>続きを読む
『オリーブの林をぬけて』→『そして人生はつづく』の順で観たら、散々NG出してた白い靴下を探す場面の本テイクがこれなのか!っていう作品を横断して別の感動を受けるという目にあった。監督の実体験の映画化では>>続きを読む
キアロスタミによる『アメリカの夜』ではあるが、中身はというと箸にも棒にもかからない告白を延々と見せつけられるというヤバい代物で、前作の白い靴下のくだりを撮影するってシーンで延々とNG出しまくって何度も>>続きを読む
モノクロの映像に夜の街とバス、チケットは買えるのか?というサスペンス、ラストの紙屑舞うスタジアムにノワール感すら感じさせる子供映画に面食らう。
オリジナル未見。色調や陰影のシャープさが素晴らしい画面設計。トランプ以後の世界だから意味をなすリメイク。出演のアンセルさんの顔が苦手だったが、色々やらかしているのをさっき知った。でなきゃメディアももう>>続きを読む
マルチスクリーンを使って、コンサートを止めようとする警官、聴衆、そして演奏にサスペンスの要素が加わるという荒業映画だった。
濱口監督さすがの短編お見事。幽霊と視線、可視化した媒体の扱いの素晴らしさ。コントにもある設定で涙を誘うという。
ここから話が広がるかと思うと想像しにくいというか、基本的に完結したような印象を受けた。この後はまったく別の世界が広がりそうだが興味はわかない。
ジェイソン・ライトマンはハリウッド界隈では信用に足る監督だが、過去作を知る人も知らない人も巻き込むにはこれしかないって作劇で、自らの出生にケリを着けるのはあまりにもカッコよくないか?そして何もしてない>>続きを読む
血糊が抑え目になったかと思ったら、乳母車が戦車化してガジェット感が増した。加藤剛とのやり取りが座頭市時代を思わす切れ者同士のシンパシーのつながりにグッときた。
オープニングの袈裟男によるジェットストリームアタックといい、黒い様相の三兄弟といい、正にガンダム、黒い三連星の元ネタ。ラストの砂丘での戦いもランバ・ラル隊とのやり合いを思い出させる。寒さをしのぐため、>>続きを読む
短編のほうが作家性がわかりやすく露呈した『偶然と想像』と同じ思いを。ここまでデザインされた画面を観ると、その労力を想像して感動するほかないが、冒頭のグラスを並べる場面に小津(多分禁句だろうな)の変態的>>続きを読む
三隅の画面設計は『斬る』時のクールな演出ありきと思っていたが、ここにきてマカロニ演出との食い合わせを問われ、悪くない印象を持った。ただ今回はやたら台詞が長い場面が多い上に時の言葉を使うもんだから、何言>>続きを読む
ファーストルックは過去の作品の再奏ながら、後半の疑似家族な展開の中にコミュニケーションの方法の齟齬(言語、聾唖、更に人と動物)を越えていく何かに気持ちが持っていかれる。そして何故だかラストの後味が『ミ>>続きを読む
勝を取り合う高峰秀子と新珠三千代という構図でスタートし、高峰の執念がゴリゴリと押していく前半からの佐藤慶登場で一転、佐藤vs高峰からの佐藤vs性欲を具現化した新珠でジ・エンド、勝が完全に置いてきぼりを>>続きを読む
倒幕派の若者達のやり取りが学生運動のそれと被るのも時代の影響なのだろう(脚本は新藤兼人)、津川雅彦のモノローグも正にそれなんだが、三隅にしては珍しい演出なのが引っかかる。そんな中、流れる話がうぶな男女>>続きを読む
前作で若柳菊を裏切り続けた藤村志保が今作でみごとにその贖罪を成し遂げるという感動的な作品。明るく天然な役回りをかわいく強く見事にやりきる上に、ラストで『斬る』の冒頭さながらの緊張感を備えた藤村のスペッ>>続きを読む
'70大阪万博の工事やその頃の大阪を観れるっていうドキュメントの側面にも価値のある貴重な現代劇。葬儀業界を皮肉るコメディが今の葬儀会館メインの業界を先読みしてるのには驚く。宮川一夫って現代劇撮ってもい>>続きを読む
三隅版『近松物語』。山本富士子の浮世離れした美しさが物語をファンタジー化させる力を持ってて恐ろしいばかり。日本家屋を美しい構図で収める三隅が十分に楽しめるのも今井のカメラと内藤の美術のおかげか。
またまた子供を送り届ける話。勝vs近衛の殺陣が見所であるのは間違いないが、ラストは殺陣師を入れずに二人で組んだという最高にクールなやり合いを観れて興奮した。
成田三樹夫という一作目での天地茂ばりの敵役を登場させただけでもう勝利確定。その勝-成田の間に将棋を置いたり、襖を挟んで刀に手をやりながら相手の動きを息を潜めて探り合う場面の緊張感は相当なものだった。
市と赤ん坊の旅路。娼婦にお守りをさせる場面や赤ん坊との別れの場面、市の赤ん坊に対する気持ちの機微を現す演出が、三隅にしては珍しくカメラを低く置き比較的長回すスタイルを取っている。『斬る』で死臭漂うデザ>>続きを読む
男をめぐる姉妹喧嘩が徐々に様子が変わり、結果、三隅版『美味しんぼ』のワンエピソードに収まる荒業に翻弄された。船越=山岡、八千草=栗田で落ち着く上に、主役である姉妹より魅力的な八千草=栗田の暴力的なかわ>>続きを読む
78分、それも歌のコーナーを存分に入れての78分。物語のリズム、編集のリズムが無駄なく途切れないのは気持ちいい。やたらオーバーアクトな船越英二の八五郎を観れたのには感動した。
まぁ遠山の金さん的な物語で、女、酒、煙草をやりながらも仕事を全うしていくスーパーマンを勝が演じて、やたら魅力的なキャラ造形の上に無敵感が増している。冒頭の松の廊下や後半のベランダでのチャンバラのカメラ>>続きを読む
三隅では珍しい現代劇。船越英二をめぐり3人の女優がオムニバス的に絡むわけだが、山本富士子の着物姿の堂々としたクラシカルなビジュアルと野添、叶のモダンな雰囲気の対比は見ていて楽しい。増村的雰囲気も持ちな>>続きを読む
プロダクション、CGも使ってるんだろうけど、舞台的でシンプル、ミニマルなセットが贅沢にみえる。それを活かすライティングの光源がわかる感じもまたよい。まぁ無骨にシェークスピアを観たって感じだけど、ラスト>>続きを読む
主人公の回りがクソ過ぎて目立たないが、長谷川一夫も浮気亭主というクソの癖に女房思いという絶妙に憎めないキャラで観客側に着地させるわけで、それはほぼ「長谷川一夫」というキャラに頼りきるというか、俳優側の>>続きを読む
三隅の監督処女作。久々に王道マクガフィンをめぐる映画を観た。三隅的決め画もちらほら散見されるが、意外に横移動のカメラを多様しているのに驚く。殺陣は雑だが大河内のキャラが確立しているので問題はないのか。>>続きを読む
ロケ地探訪したくなるような美しい画と当時の大映の狂気の沙汰レベルのスタジオセットが堪能できるのに感動。三隅作品にしては珍しく女優(香川)が美しく撮られてる事にも驚く(これは香川の力か)。話は『街の灯』>>続きを読む
これが今の日本映画のスタンダードならかなりキツい。ヤスケンのモノローグとフラッシュバックが延々続くだけの代物。制作陣は俳優をもっと信じてもよいのでは?沖縄のタクシーのシークエンスをすかさなかったのがせ>>続きを読む
自分の趣味を脚本に落とし込んでPVみたいな映画にしてしまうエドガー・ライトって中々判断に困る人なんだけど、今回は凝った事してるのに苦戦してるなぁという印象を受けた。主人公が過去に侵食されていく部分が妙>>続きを読む