eulogist2001さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

eulogist2001

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関の彌太ッぺ(1963年製作の映画)

4.0

中村錦之助。文句なしにカッコいい。粋で武骨でやさしさが滲みでている男。

現代から見れば、ご都合的な繋ぎの場面が多いけれど、全体の流れとしては申し分ない。ラストシーンもカット割やショットが手前と奥で絶
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青べか物語(1962年製作の映画)

3.2

山本周五郎の原作はそのタイトルのユニークさとかわいい感じから気にはなっていたが、実際に手に取るまでにはいたっていなかった。今回、本作を通して間接的に味わうことができた。

浦安の60年代初頭の風俗が非
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剥き出しにっぽん(2005年製作の映画)

3.1

独特の間、リアル感はあるがぶっ飛んだ設定。セリフも予測不能。青春の奇妙な雑で乱暴で純粋な性欲と純情のようなもの。

作品の世界観をどう受け入れるのか、鑑賞の解釈の糸口を探してるうちに、青い粗野な激情と
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男はつらいよ 寅次郎春の夢(1979年製作の映画)

3.4

ひさしぶりに寅さんを観た。やや、落ち着くなぁ。ゆったりとした間とシンプルな構成とセリフ。そこに日本人的な型と人情味。

登場人物のキャラが分かってるので設定に気を使うことなく、寅さんをめぐる騒動を満喫
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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.2

Blu-ray
カーアクションの王道シリーズ。アクションの水戸黄門?派手なアクション好き、それと例えば週刊少年ジャンプ読者にありがちな?むずかしいことは良いから、友情・努力・勝利といった分かりやすく単
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満月の夜には思い出して(2018年製作の映画)

2.9

若書きに思えてしまうかも。自分の迷いや夢やカッコよさや言い訳や決心や信じてることを生焼けで出したみたいな。もちろん若いというのはそういう部分が多いのは理解している。ただもう一段踏み込んで考えたり、作品>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

1.9

手が混んでるのは理解できる。ただわたしにはまったく響くところがなかったかも。
久しぶりに寝落ちするのを止めるのに相当なエネルギーを要した。
※特定のアニメ作品は背景や作者について詳しいフリークの方が絶
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.6

叔父さんと姪の同居暮らし。昔ながらの酪農を二人で営む。姪のクリスには父の自殺という過去があり、叔父に引き取られたのだ。

クリスと叔父の緩やかで繊細な想いが胸を打つ。ただその後の彼らがどうなるのか。フ
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311(2011年製作の映画)

3.6

震災発生15日目に東京のジャーナリスト4名が現地に入る。

テレビや新聞報道では時間や場面を「意図的」に切り取ってるので、そこには現れずにこぼれ落ちてしまう臨場感があった。

つまり「結果や答え」が明
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あなたがここにいてほしい(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

純愛物語。シンプルであればあるほど、リアル感が薄れがちだが、中国のお話しということでどこかリアルに感じてしまう。

またハッピーエンドではないところも展開からいって良かった。

個人的にはツボでした。

渇水(2023年製作の映画)

3.6

淡々とした描写。ドキュメンタリー映画のような温度感が渇いた季節の背景に合う。

静かな崩壊への緊張と再生への希望。渇ききった空にもいつかは雨雲がやってくる。そんな希望がある作品だった。

それにしても
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.1

森達也氏のドキュメンタリー作品や著作はほとんどすべて鑑賞させてもらっていた身として、2つの点で驚いた。

まずは劇場用の映画作品としてみてもすばらしい。シナリオ、音響、音楽、カット割やテンポ、伏線の置
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燃えあがる女性記者たち(2021年製作の映画)

3.8

近年、特に躍進目覚ましいインド。とはいえ従来から課題でもある階級社会や女性差別の問題はまだまだ相当に遅れている事が描かれる。

その中で女性だけの地方の小さな新聞社の奮闘には目を見張る。新聞誌面だけで
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

シンプルな構成。支配者や敵、味方の友との関係。そこにいたって複雑なところはない。しかもウィックの台詞も脇役のそれも極端に少ない。とことんアクションと映像の流れだけで魅せる。

シリーズ4作目となる本作
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バンバン!(2014年製作の映画)

3.6

インド映画の王道の展開。ヒーローとヒロイン、そして悪党と正義感の関係性が典型的なのだが、それが細かなエピソードやアクションを絡めて丁寧に描かれる。独特の腰振りダンスも随所で句点を打つ。

どうしても展
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

こどもの頃、古本屋の店主になることをなんとなく夢見ていた。それは本に囲まれて生活する事と同時に、本を通して世界と優しく繋がることへの憧れでもあり淡い希望でもあったように思う。

本作はどこかそうした過
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.4

荒唐無稽な中で照れくさいほどの真っ直ぐを語る。いや、今やそうした設定においてしか「クサイ」マインドやテーマは語れないのかもしれない。

闘いの武器も「圧倒的な暴力(敵対者への肉体的な否定)に基づく正義
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その人は遠く(1963年製作の映画)

3.8

芦川いずみ主演の作品を初めて観た。美しくて可愛らしさがある素敵な女優で驚いた。しかも深窓の令嬢から大阪弁に染まり少しばかりハスッパな演技まで見事にこなしている。

昭和中期の恋愛ドラマだが、その当時の
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パプリカ(2006年製作の映画)

3.6

アニメの自在さをこれでもかとばかりに見た気がする。時間や空間。この中での奔放な変化。実写ではこうはいかないというのをまざまざと感じた。

シナリオや展開もそうした自在さを充分知り抜いたもの。スピード感
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.9

前作を上回るすばらしさ。ヤクザ側の人物の背景も丁寧に描かれていて、作品全体の深みがさらに強まっている。登場人物のそれぞれが明確な動機づけを持ってスクリーンの中で暴れていた。

警察とヤクザ社会の組織と
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孤狼の血(2018年製作の映画)

3.8

何の気なしにたまたま観てみたが、予想を越えてすばらしい。シナリオがまず秀逸。ストーリーの意外な展開、さりげない伏線とその感動的な回収、世界観を膨らませるキャラ設定など感心しきり。結果的にこれをしっかり>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.6

とめどなきタイムループから解き放たれた時のカタルシスはおおいにあった。こうした設定をこんなふうに展開していくのはわたしにはとても新鮮だった。

余計なお世話だとは思うけれど独善的で自己中心的な考え方し
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ロスト・バケーション(2016年製作の映画)

3.5

想定よりは楽しめた。緊迫感はそれなりにあった。カモメが非常に良い役割を果たしていた。いちばん想定外だったかもしれない。

袴田巖 夢の間の世の中(2016年製作の映画)

3.4

冤罪事件は警察=国家権力は過ちをしないという風潮と警察のメンツ重視の閉鎖的な昭和の半ば頃にあっては相当数が捏造されていたに違いない。特に殺人事件ともなれば、そうした圧力は相当なものだろう。

しかしな
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

すばらしい。黒澤明の原作のエッセンスをそのままに英国の戦後に置き換わっていた。お国柄や時代は違えど、本質的なところはいっしょなのだろうか。

改めて黒澤作品を見直したい。(高校時代からかれこれ5、6回
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破壊の自然史(2022年製作の映画)

3.8

1930年代のドイツの豊かさは想像を越えていた。都市部だけのことかもしれないが、建物や車のデザインなどを除けば、現代とあまり変わらないようにみえる。それが一転、連合国、特にアメリカの空爆によって完膚な>>続きを読む

ふたつの祖国、ひとつの愛 イ・ジュンソプの妻(2014年製作の映画)

3.8

淡々とした静かなドキュメンタリー。現在92歳となる画家の妻を映す。夫は北朝鮮の裕福な家の出身で日本の文化学院に絵を学びにきて、三井財閥系の役員を父に持つ山本方子と出会い、母国で結婚。その後第二次大戦や>>続きを読む

永遠の片想い(2003年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

王道の恋愛モノ。相手への敬意と思いやりに満ちたものがたり。そしてラストはけしてハッピーエンドではない。

完全にツボ。健気であることはもっとも好きな心情なのは小学生低学年からずっといい歳しても変わらな
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.8

じわりとくる佳作。理詰めではなく感情にまっすぐに向き合う。まさに言うは易く、行うは難し。とはいえほとんどの行動や習慣が過去の経験や学びから影響を受けているとしたら、若い時のトラウマに近いような強烈な体>>続きを読む

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)

3.5

ディベートで勝つにはなにが大事なのか?伝えるべきはなにか?アメリカでは銃器、アルコール、タバコは常に議論され、裁判沙汰にもなってきた。

そこには業界の擁護や宣伝を図るロビーイスト、それを批判する団体
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ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル(2019年製作の映画)

3.5

ゾウの演技もよかったw気楽に楽しめながらも自然保護活動や親子の情なども散りばめられていてシナリオの厚みを感じる。

密猟は買う者がいることで成立するのは言うまでもない。不買運動はまさにそういうところか
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劇場版 テレクラキャノンボール2013(2014年製作の映画)

3.4

やりたい放題といえばそうも見える。絶妙な抜き加減といえばそうかもしれない。

本作を観ていると、モラリティとか世間の常識とかってのとそれからはみ出すものも価値を付けてるのは自分なんだって分かる。少なく
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スイング・ステート(2020年製作の映画)

3.8

痛快。まったく持って愉快な話。そして観た後にそれ以上にこんな政治システムで良いのかという困惑と不安に陥る。

賢い人々にとっては分断化した社会のほうが管理しやすい。また分断化される市民も分かりやすく二
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金の亡者たち(2018年製作の映画)

3.6

なかなかおもしろい。主人公の金銭への渇望と友情やモラルとのせめぎ合いがリアル。
またラストシーンも凝っていてスカッとする。善悪がはっきりしていて分かりやすいのだが、悪の側の論理ももう少し絡ませられたら
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島にて(2019年製作の映画)

3.4

日本にはたくさんの離島があるけれど、多くの島々がこのように徐々に無人島化していくのだろうか。

若手のがんばりはすばらしいが、やはり資本の論理、効率化といった考え方の前では厳しいのは致し方ないのかもし
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.2

行為と感情が、殺害そのものと動機がわたしにはうまく結びつけることができない。本作もそんな作品世界。だからこそ、情念の不可解さや深さへの想像力は掻き立てられる。

とはいえ、想像力の斜め上を超えていて理
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