ゴートさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

3.8

原作が小説だからか、セリフを軸に映像が構成されている印象。所々のシーンで、演者の身体がセリフを補完するためだけに存在していて、浮ついているというか、実態を伴っていない感じがした。

しかし、人物たちは
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.1

本作でバットマンは、事件の真相を究明する「探偵」としての役割を与えられているが、ストーリーも、犯人に迫れば迫るほど、自身の抱える自己矛盾や闇が浮き彫りになるという、探偵モノの構造になっている。

バッ
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.7

マトリックスの三部作は鑑賞済みだが、ほぼ20年前のこと。どういう世界設定だったのか忘れてしまっていたので、本作では終盤まで何が起きているかほとんどわからず、置いてけぼり状態だった。

しかしなぜか「マ
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判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.0

途中から、これは誰のための裁判なのだろうと思った。

事件の当事者たちの起こした行為は、周囲の人間によって、レバノンにおける民族闘争の文脈に絡め取られて語られる。裁判後半の彼らの置いてけぼり感がなんと
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

4.6

大人になるということは、生が有限であると自覚すること。

19歳の主人公・ジェイは、最近できた彼氏と初めてのセックスをした後、大人として成熟しつつある自分に浸りながらも、「もうこれ以上はないかもしれな
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モービウス(2022年製作の映画)

3.9

バトルシーンのビジュアルがカッコよくて、好っきやなあ。衝突の瞬間のスローモーションとか、大好物だわ。

ジャレッド・レトーの闇属性感もよかった。

真実の行方(1996年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「存在してないのはアーロンの方なのさ」は、重たいけど、素晴らしいセリフだ。

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.0

異物を呑み込むという行為は率直にショッキングではあったが、物語に説得力があったので、そこまでフィクション性は感じなかった。

主人公・ハンターの人物造形が素晴らしい。どこか大人になりきれない幼さと、達
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

4.5

緊急通報センターを舞台に、ほとんど通話のみの限定されたシチュエーションで、ここまで緊迫感と奥行きのあるドラマを作り出せているのがすごい。

ブラインドを下ろした暗いオフィス内。通話が切断された状態で、
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.6

感動しすぎて、言葉が出てこない。

フィクションとは思えないストーリーで(おそらく本当のエピソードもあるのだろう)、特に佐々木の実家でのシーンは、どれも嗅覚にくるようなリアリティだった。

自分がどこ
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.3

違法外国人労働者の売人である父に盲従し、自らも罪の意識なく窃盗行為を働くイゴール。

しかし、ある外国人労働者と、死の間際に交わした約束が、イゴールの心を揺さぶり始める。

自身の心の内にある倫理観に
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さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

4.2

「楽に生きるなんてどうでもいい。楽しく生きたい」

生きるためではなく、人生を謳歌する(理想の自分に近づく)ために、銀行強盗を繰り返すフォレスト。

目的のためには手段を選ばない、といった強硬なスタン
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

多くの人は、いずれアンソニーと同じ運命を辿るのかもしれない。

人の人生は、何歳になっても、老いて死ぬその瞬間まで、過酷なものである。
それを教えてくれる映画だ。

人は、自分の生きている現実を、いつ
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

3.6

全編モノクロだが、ほとんど違和感がなく、冒頭から自然に観れた。

父親のウディの無謀で無意味な行動に、息子のディビットは辛抱強く付き合っている。意味がないことだと知りつつも、相手を尊重して、最後まで連
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.3

いずれ過ぎ去る時間だからこそ、輝かしいんだろうな。

少年時代は、全力で世界とぶつかって、全力で弾き返されて、それを繰り返す中で、自分が存在している場所を知っていくものなんだろう。

小学生の頃、友達
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台風家族(2019年製作の映画)

3.7

終盤からほぼファンタジーだし、最後幽白かよと突っ込みたくなったが、やりたいことは共感できるし、全体を通してみたらまあ普通に面白いと思った。
伏線回収が気持ち良く、演劇的なカタルシスを感じられた。
草彅
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ガール・オン・ザ・トレイン(2016年製作の映画)

3.6

電車を降りて、真実を見に行こうってこと?

タイトルは好きなんだが、ストーリーにいまいちハマらなかった。

車窓から見える風景って、妄想を掻き立てるんだろうな。

ライトハウス(2019年製作の映画)

4.1

嵐とか、孤島とか、灯台とか、人魚とか、幻覚とか、謎解きとか、神話っぽい筋とか、ことさらなメタファーとか、ほぼ全部好きなんだが、結局わからない。

昔、夢で見た気がしないでもない。

友罪(2017年製作の映画)

4.0

瑛太の演技に唸らされた。
カラオケで楽しそうに歌うシーン、感情がねじれて切れてしまいそうになった。
ラストが不完全だと思った。だけど、この作品の正しい終わり方がとても想像できない。

黒い罠(1958年製作の映画)

3.0

オーソン・ウェルズが主演・監督で、映画史に残るカルト映画ということなのだが、驚くほど話がつまらない。まったく人物に感情がノレない。
縦横無尽に動くカメラワークが、場違いにすら思える。
酒場の女主人の顔
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キャンディマン(2021年製作の映画)

3.9

BLMというものについての理解が浅いので、この作品の真意というか、根元にもつ「怖さ」を語ることは難しい。

ただ、このキャンディマンというモンスターを構成しているのが、「呪い」というより、「怒り」だと
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

4.3

普通に最高な夜(シーンの連なり)だったよ。
忘れられない光景って誰にでもあるよね。
森山未來、大人になったなあ。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

「素晴らしいと思います。加速も減速もとても滑らかで、ほとんど重力を感じません。車に乗っているのを忘れることもある。いろんな人の運転する車に乗ったけど、こんなに心地いいのは初めてです」

数年前に原作を
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

これ映画館で観てたら、劇場出たとき放心状態だったろうな。
「振り返ってみれば、最初からそれは現実でしかなかった」というメッセージが耳にこだましている。
隕石衝突映画といえば、『アルマゲドン』を真っ先に
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.3

作戦の内容を知らされない、あるいは全てを把握できないまま、現場への突入を余儀なくされる時の緊迫感。
主人公を演じるエミリー・ブラントは、終始アウェイな状況に置かれ、混乱をきたしている。

ベニチオ・デ
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真夜中のゆりかご(2014年製作の映画)

4.0

過酷な現実。同僚であり友人の刑事が心の支えとなる。北欧の海に吹き荒ぶ冷たい風。波間に浮かんでいた廃油のようなものは、海洋汚染を意味しているのだろうか。

ファーストラヴ(2021年製作の映画)

3.2

原作と演出、どちらの問題かわからないが、登場人物の全員が器。まったく感情に響いてこない。
物語の必要上、芳根京子演じる被告人は多少人物造形に奥行きを感じるが、やはり作りもの感が否めない。

窪塚洋介演
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.5

弁護士は、依頼人のよき代弁者であるべきだと思う。
ニコールとチャーリーのそれぞれが雇った弁護士は、2人を自分の主義主張、面子のための手段として扱っているように見えた。

弁護士に振り回され、置いてけぼ
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ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)

4.0

この2人の旅がこれから先、ずっと続くことを願ってやまない。

蛇イチゴ(2003年製作の映画)

4.1

家族の人間の表と裏が、見事にストーリー上に織り込まれている。
さらにそこに家族間の複雑な関係性が加わるのだから、本来なら破綻なく物語るのが難しいはずだが、デビュー作でなんなくそれをできている西川美和。
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ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

3.4

ギャグとサイコ。
土気色の森田剛はなかなか味がある。不穏なムロツヨシは新鮮。
森田の無敵暴走ぶりはリアリティに欠け、ご都合主義にも感じる。
この時代に、この漫画原作を映画化する意味がよくわからなかった
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MOTHERS(2020年製作の映画)

4.1

ひょんなことから友達の家に行くことになって、家に上がったら友達の家族は好意的な素振りをしてくれるんだけど、同時にそこに見えない壁も存在していて、だんだんとそこにいる自分が場違いに思えてきて、なんだか胸>>続きを読む

犬猿(2017年製作の映画)

4.0

憎みきれない兄役として、新井浩文は適役だった。

空白(2021年製作の映画)

5.0

真実が死ぬこと。
心の穴はずっと埋まらない。
人はひとりでは立てない。

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.3

無言の意味を伝える映画である。
人物の心の機微が丁寧に描かれているからこそ、会話の谷間に生まれる無言にも感情移入できる。

台風の日の公園のシーンは、それまでのすべての伏線が解き放たれていて、ただそれ
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二重生活(2016年製作の映画)

4.5

観終わった後、しばらく何も言葉が出てこなかった。
ここまで、生きることの深奥に接近しようとする作品だとは思わなかった。
無論、接近するだけで深奥に到達できるわけではないが、到達しようとするその過程がま
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