ゴートさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

マイ・インターン(2015年製作の映画)

4.3

こんな歳のとり方をしたい。
身をわきまえていて、人に優しく、紳士的で、実直。
それでいて、遊び心も忘れない。
友人が困っていたら、見返りなど求めず、まっすぐに手を差し伸べる。
生易しい言葉で取
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イノセント・ガーデン(2013年製作の映画)

3.3

自宅の庭でひとり遊びする根暗な女子の、性/生の覚醒。

18歳になったばかりの主人公・インディア。
親しかった父親の突然の死。その葬儀で、長年行方不明になっていたという、父の弟・チャーリーと出会う。
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ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)

3.5

若くしてドラッグの依存症になる青年・ニックと、それを献身的な努力で更生させようとする父親・デヴィッドの、父子の絆と再生をめぐる物語。

ニックは決して、薄暗い家庭で育ったわけではない。
両親が離婚
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さよならくちびる(2019年製作の映画)

2.9

「最後の歌を歌い終わったら、俺たち赤の他人だからな」

解散を決めた女性ギターデュオ「ハルレオ」。ハルとレオは、既にスケジュールの組まれていた全国ツアーを最後の仕事としてやり遂げるため、ローディ兼マ
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.2

「あなたは強いフリをしている」
「違う、私は強い」
「誰に対して? 私じゃないといいけど」

オートクチュールの仕立て屋・レイノルズは、完璧主義者で、確固たるポリシーと働くうえでのルールをもって
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メランコリック(2018年製作の映画)

4.8

正直な話、途中から姿勢を正して観ていた。
もしかして傑作……? と思ったら、本当にそうだった。

インディペンデント映画ということもあり、画づくりの安っぽさは多少ある。
しかし、それも気にならな
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荒野にて(2017年製作の映画)

4.0

思春期特有の、未来に対する漠然とした不安とか、寄る辺のない孤独感とか、そういうものを感じさせる作品。

一緒に暮らしていた父親を亡くし、身寄りのいなくなった16歳の主人公・チャーリーは、屠殺処分をさ
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.1

テルちゃん頑張れ。
テルちゃんを応援したくなる映画だ。

岸井ゆきの演じる主人公・テルコ(テルちゃん)の、好きな人は好き、そうじゃない人はどうでもいい、みたいなキャラクターがいい。

「幸せにな
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.4

特別な力(シャイニング)をもつ主人公・ダンは、子供達の生気を吸って生き延びるヴァンパイア集団のリーダー・ローズを退治すべく、同じく能力者の少女・アブラとともに、幼少期に過ごした呪われたホテルにやってく>>続きを読む

楽園(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

楽園にあらざる世界。

過酷な現実を受け止められず、誰かを疑い、責め立てることしか、生きるよすがのない人々。
作品の舞台となる地方都市は、誰かが罪人にならなければならない、閉鎖された空間として描か
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.1

「お前は何に泣く?」
「泣きすぎて自分が水滴になりそうだ」

学校では同級生にいじめられ、家ではドラッグのために売春をする母親のせいで居場所がない。
世界と一人敵対し、寡黙に生きる主人公・シャロン
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旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

3.1

相変わらずの黒沢節。
でも今回はちょっと間が抜けていると言うか、良く言えばファンタスティックだったかもしれない。

前田敦子演じる主人公の葉子は、バラエティ番組で海外ロケのレポーターの仕事をしてい
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サラブレッド(2017年製作の映画)

3.9

不穏で、スタイリッシュで、エロい作品。

主人公の一人、リリーを演じるアニャ・テイラー=ジョイが、とにかくエロい。
「私の生脚がここにあります」と言わんばかりに、美脚を見せつけてくる。
シーンご
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ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

4.8

最高すぎる。
ストーリーも映像も音楽も、全部が最高。

作品のモチーフのひとつとして「レトロゲーム」が使われているのだが、これが世代的にグッとくる。
全編にわたって「ティロティロ」みたいな電子的
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ベニスに死す(1971年製作の映画)

3.8

なんだか蜃気楼みたいな映画だった。

持病を抱えた老作曲家がベニスに静養に行った際、観光に来ていた美少年に心を奪われるという物語。
基本的にセリフは少なく、ゆったりとしたストーリー展開。
途中何
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断崖(1941年製作の映画)

3.6

資産家の娘・リナは、無一文のプレイボーイ・ジョニーと結婚。しかし、ジョニーの性格を知るにつれ、彼が保険金目当てで自分を殺そうとしているのでは、という疑念を持ち始める。

最後まで釈然としない映画だった
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ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

3.5

本気で意味がわからない。
時折、胸糞悪いシーンが出てきてつらい。
ずっと何してんねん、という感じ。
でも、なんか最後まで観れた。
頭ではまったく理解できなけど、五感ではそれなりに感じ取れる部分
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僕たちは希望という名の列車に乗った(2018年製作の映画)

4.0

純粋に自分の信じる正義を貫けるのは、若者だけの特権なんだろうか。

自分の政治的発言やふるまいが、即自分やその家族の運命をも変えてしまう時代。
学生たちの2分間の黙祷という些細な行為が、大きな事件へと
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生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

4.8

まぎれもなく名作。
最初から最後まで、ずっと観入ってしまった。
名シーンばかりでちょっと疲れた。

本谷有希子、すごいな。本物だ。
こんな作品、いい意味で狂ってなければ書けないと思う。

「なんで私、
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.1

真夏の夜の夢、という感じ。
10代の恋は無傷じゃいられない。
でもそれでいい。恋の敗北が、青春を青春たらしめる。

物語の舞台は、学生たちのスリープ・オーバー=お泊まり会。ほぼ1日だけの時間を切り取っ
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希望の灯り(2018年製作の映画)

4.3

1日1日を大切に生きたいと思わせてくれる映画。
同じような平坦な毎日の繰り返し。
でもその中に、ささやかな幸せはある。

主人公クリスティアンは、本当に無口。
はじめは得体の知れない、近寄りがたいキャ
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

人の心は汚染されてしまう。
どんなに敬虔な信仰をもっていても。

トラー牧師は、過去に従軍牧師として活動していた。
しかし息子を戦地で死なせたことで、罪の意識をもち絶望を抱えていた。

相談にのってい
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

真の悪の誕生に、どうしてここまで惹きつけられるのだろうか。

物語は主人公アーサーがジョーカーへと変貌するまでの過程を、観客にまざまざと見せつけていく。それは、まぎれもなく現実の世界で起こりうること。
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黙秘(1995年製作の映画)

3.6

20年前に起きた暴力夫の死を背景とした、母と娘の絆をめぐる物語。
主人公のドロレスは現在、別の殺人事件の被告として検挙されていた。数年ぶりに帰郷したドロレスの娘・セリーナは、母の証言の真偽を見極められ
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

3.8

新婚の岩男とアイリーンが、ラーメン屋で夕飯を食べた後、フィリピンパブやスナックが立ち並ぶ路地裏を通り抜けるシーン。つたない日本語で目に入る物や人を言葉にする、無邪気なアイリーン。寂れた田舎町に、性と金>>続きを読む

ドライヴ(2011年製作の映画)

3.8

オープニングシーンが最高にクール。ドライバーの主人公が行なっている裏家業(=逃走請負人)を現在進行形で見せつつ、冷徹なまでのプロ意識をもつキャラクター性や、作品の世界観を見事に表現している。都市を流れ>>続きを読む

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

妻・マーゴの浮気を知った夫・トニーは、前科持ちの知人・スワンを金で雇い、綿密に用意したシナリオをもとにマーゴの殺害を依頼する。しかし、想定外の事態でマーゴはすんでのところで生き残り、彼女の正当防衛によ>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

主人公・ジョンスが終盤で放ったセリフ ー 僕には世の中すべてが謎みたいで ー が、クライマックスからラストシーンにかけて、重々しくのしかかってくる。

果たしてこの物語の真実はなんだったのか。自分の中
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オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

4.5

離婚を機に東京から故郷の函館に戻り、失業手当をもらいながら職業訓練校の建築科に通う白岩。
キャバクラで働くホステス・聡と知り合い一夜を共にするが、行為の後「あなたは私を見下している」となじられる。さら
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バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.5

駆け出しのシナリオライター、バートン・フィンクス。演劇界で認められた彼は、新作映画のシナリオの執筆のために、ロサンゼルスへ赴く。
滞在先のホテルで、隣室に滞在する巨漢の保険営業マン、チャーリーと知り合
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運び屋(2018年製作の映画)

4.5

銃を向けられてもまったく怯まず、相手を睨み返せるクリント・イーストウッドの生き様よ。

終盤、ブラッドリー・クーパー演じる麻薬捜査官との会話のシーン。
彼がイーストウッドの言葉にしっかり耳を傾けている
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来る(2018年製作の映画)

3.0

キャラクターが活きてない。特に岡田くん演じるオカルトライター。キャラクターの感情に乗り込むことが難しく、派手に演出された映像のほうを追いかけるしかなかった。

全体的に要素を詰め込み過ぎていて、結果何
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サスペリア(2018年製作の映画)

4.0

難解過ぎた…けど、好きな作品だ。
クライマックスの赤いシーンは、なんと形容したらいいのか。とにかく醜悪で美しい。本物の地獄を見ているような感覚があった。
いつかもう一度観てみたい作品。