マーティンルイスさんの映画レビュー・感想・評価

マーティンルイス

マーティンルイス

エスター(2009年製作の映画)

4.1

2000年代を代表するホラーの傑作

物語が進むごとに違和感や嫌悪感が増していき、エスターの正体が暴かれる瞬間は衝撃的。ジャンプスケアや有耶無耶な展開も少なく、恐怖心を煽るカメラワークと硬派な演出が見
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世界大洪水(1933年製作の映画)

3.8

大洪水が起きた世界で生きる人々の物語

約90年前の映画でありながら、世界が崩壊し大量の水に飲み込まれていく瞬間の迫力と絶望感は、昨今の作品に引けを取らないほど魅力的である。ストーリーはやや急足だが、
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.2

ジミー•ホッファ失踪事件の真相

事件の経緯を淡々と語るストーリーでは、残虐な裏社会のスリルや彼の苦悩をリアルなものにしつつ、金や権力を命より優先することが如何に醜悪かを実感した。ジミー、ラッセル、フ
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マネーボール(2011年製作の映画)

4.3

“人は野球に夢を見る”

紆余曲折を経て、感情論や偏見を理論で覆す展開がとにかく痛快。過去の選択に対する後悔をバネに、現状を打破することへ死力を尽くす主人公の姿は、共感と憧憬を抱かせる。また、人との関
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ソルト(2010年製作の映画)

3.7

謎に包まれた女諜報員に翻弄されるスパイアクション映画

アンジェリーナ•ジョリーのクールな美しさと逆境をバネにする主人公の姿が引き立て合い、物語を追うごとに心掴まれるキャラクターだった。真実を追うごと
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ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

3.8

Defying gravity

アリアナ•グランデとシンシア•エリヴォ、及び日本語吹替の清水美依紗と高畑充希の歌唱は今作最大の魅力であり、感情的な曲からポップに至るまで豊かに歌い分ける美声に終始圧
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ヒート(1995年製作の映画)

4.8

自らの信念を貫く男達にひたすら魅了される、至高のクライムアクション映画

最大の理解者が最大の敵という構図は胸を熱くさせ、緊張感溢れる重厚な物語に終始夢中だった。特に、「静」と「動」のメリハリのついた
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

格差社会の深淵を覗く映画

半地下に住む家族が富豪に寄生するまでのテンポ感と、人生のどん底を深掘りする展開が堪らなく恐ろしくて面白い。ラストは勿論、洪水のなかで帰宅する場面や半地下の匂いを描く場面が特
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憐れみの3章(2024年製作の映画)

4.0

3つの甘美な悪夢

作中で何度も流れる“Sweet dreams”の歌詞のように、他者を悪用したい者とされたい者を連続して描く物語はどれも衝撃的。洗脳や支配の恐怖が増す展開は緊張感があり、虚無感を残す
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トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(2024年製作の映画)

4.0

武の真髄と人情にひたすら痺れるアクション映画

キレのあるアクションとクールな構図に、始めから終わりまで目が釘付け!友情と義理人情に満ちたドラマにも胸が熱くなり、どの登場人物も魅力的すぎた。特に、過去
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.8

大富豪の推理ゲームを描くナイブズアウト第2作

前作同様、二転三転していく展開から目が離せない。それぞれの価値観や蟠りが交錯しながら、醜悪な欲深さを批判し、信念を貫く勇気を賞賛するテーマにも爽快感があ
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.8

ミステリー作家の死を名探偵が暴く物語

謎を秘めた登場人物と気品ある世界観に終始魅了された。事件の核心を突く証拠の発見と同時に、マルタの心象を描く物語にも引き込まれる。マイペースな名探偵と絶妙な進行テ
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.4

キャプテンマーベル続編

難民問題や戦争後の支援など国際問題をテーマにした描写もあるが、登場人物のノリの軽さが好きになれなかった。しかし、情が薄かったキャプテン•マーベルを、プライベートとヒーローの両
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アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

3.6

断ち切ることのない欲望の連鎖とその末路

周囲に対する敬意や気遣いもなく、借金だらけの主人公。正直観ていてイライラするが、命をも賭けて快楽を求める生き方には魅せられた。特に、情を抱かれるような愛嬌ある
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

3.9

星の彼方で父を探す物語

今作の壮大で美しい宇宙の映像には心底魅了され、利益を求めて資源を搾取する人類の醜さは対照的だった。人知の及ばない神秘や自然に対する敬愛を描きつつ、開拓を進める社会への批判が伝
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トランス(2013年製作の映画)

3.4

美術品の行方を催眠で追う物語

真相を催眠で徐々に暴いていく設定は斬新。夢と現実を混ぜ、錯綜する登場人物の精神を描く手法も目を惹く。しかし、物語のテンポが遅かったり、登場人物に共感出来なかったりと、作
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The Stunt Double(原題)(2020年製作の映画)

3.8

映画に携わる者達への敬意が籠ったショートフィルム

iPhone を使った作品で、縦画面ならではの魅せ方や撮影方法には驚かされた。今日まで多くのアクション映画が製作されてきたが、そこに携わる人々(特に
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バック・イン・アクション(2025年製作の映画)

3.5

キャメロン・ディアス復帰作

久々の作品とは思えないほどアクション全開で、終始飽きることなく楽しめた。登場人物の魅力はやや薄く感じたものの、親子関係をテーマにした物語では、普段気付くことが難しい愛情の
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キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(2024年製作の映画)

4.0

新生キャプテンアメリカのデビュー作

他作品と繋げつつ近年の世界情勢を意識した物語は、MCUの面白さを再起させてくれた。特に、相手の理解を優先し、不可能を努力の積み重ねで打破するサムの姿は、まさに人々
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カルキ 2898-AD(2024年製作の映画)

3.7

神話×近未来を交差させた破天荒な序章!

荒廃した世界は過酷な環境にあるものの、日常の幸せを噛み締めて生きる姿には、彼らの持つ心の豊かさが窺える。また、女性や子供を消耗品同様に扱う支配者の邪悪さには虫
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.2

映画史にも記憶にも残る傑作

見知らぬ田舎町の不気味さと人間の持つ狂気が漂い、逃げ場のない地獄が連続して訪れる展開に惹きつけられる。緊張が張り詰めていく中で、鮮烈に登場するレザーフェイスの姿は観る者に
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カレとカノジョの確率/一目で恋に落ちる確率(2023年製作の映画)

4.0

確率を超えた出会いと愛を実現する難しさを描く物語

恋人に出会う巡り合わせについて冗談を交えて語りつつ、主人公2人がそれぞれの蟠りを解消する姿に心温まる。特に、家族との関係や問題が違っても大切な人を愛
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.8

神秘を感じる異質さに溢れた作品

賛否分かれる意見が見受けられるものの、穏やかさ緊迫感のメリハリが付いた物語展開は、シャマラン監督ならではの手法であり、観ていて退屈しない。連続する不可思議な出来事や常
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グレイテスト・ヒッツ(2024年製作の映画)

3.7

80年代の数々の名曲でタイムスリップ!

音楽を聞いて当時の感情や場面を連想させる愛おしさが鮮烈に伝わった。どんなに些細なことであったとしても、多くの瞬間の連続が、大切な思い出や人生を形成するというメ
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野生の島のロズ(2024年製作の映画)

4.1

愛に気付くロボットと動物たちの物語

美麗な映像と繊細なタッチに魅せられながら、奥深いメッセージが心に響く。冒頭の周囲に溶け込めないロズの姿は無機質なロボットをイメージさせるが、年月を懸けて動物の言語
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アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024年製作の映画)

3.9

大統領が上映阻止に動いた問題作

仕草や話し方までも完璧に再現し、本人を彷彿とさせるセバスチャン•スタンの演技には鳥肌が立つ。名優たちの演技により描かれるドナルド•トランプの半生と周囲に及ぼす影響を色
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ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.3

🤖“My thoughts are with you
Holdin' hands with your heart to see you”🐕

September とともに振り返る思い出や夢は、友達の温
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ビーキーパー(2024年製作の映画)

4.2

もはや怪獣映画

ひたすら敵を薙ぎ倒す姿は爽快感があり、文字通り国家に戦いを挑む展開は見応え十分。個性豊かなキャラも数多く登場し、カラフルな世界観も魅力的だった。本作は脚本家の家族が実際に詐欺にあった
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呪詛(2022年製作の映画)

3.8

邪教の凄惨さに身の毛もよだつ作品

久々に怖いホラー映画だった。特に、POV撮影や観る者に語りかける手法は映画との一体感を演出し、朱印や呪文が脳裏に刷り込まれるような映像は、他作とは一味違った恐怖を味
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.1

暗い世俗の中で人生の輝きを知る物語

舞台となる60年代のイギリスは、人種や性別による差別に溢れており、集団心理で歯止めの効かない暴徒や外見に囚われた差別の連続は見るに耐えない。差別や暴力が今もなお残
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ザ・バイクライダーズ(2023年製作の映画)

4.0

駆け抜ける古き良き時代

遅れましたがあけおめことよろです。
新年初鑑賞はこの作品!実在したバイク乗り達の栄枯衰退を描いた物語で、彼らが抱いていた想いや変化する人々と時代の変化に、刺激と哀愁を感じる。
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ホーム・アローン2(1992年製作の映画)

4.0

“第二次クリスマス大戦開幕だ!”
クリスマス留守番した1年後は、ニューヨークで迷子に!

クリスマス映画の定番シリーズであり、コメディや人間ドラマなどの魅力も前作同等の面白さ。冒頭でしっかりバズに苛立
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はたらく細胞(2024年製作の映画)

3.4

実写版『はたらく細胞』
良くも悪くもこれに尽きる。クオリティも感動も予想内だが、原作未読なだけに物語は楽しめた。芦田愛菜×阿部サダヲという久々の共演や、多くの俳優が細胞たちになりきって演じる姿などもあ
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アメリ(2001年製作の映画)

4.4

人間の美しさが溢れ出す不思議な日常

少女時代の思い出とトラウマを綴るアメリの紹介シーンは、珍妙さに溢れながら数々の偶然上で生きる私達に運命めいた物を感じさせる。誰かを喜ばせたり幸せにしたりする瞬間の
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

盲目なエゴに忍び寄る恐怖と失墜

リディア•ターの目線で描かれる失墜までの日々は、常に不穏さが纏わりついている。特に、誰かの世話になって朽ち果てる老婆や、誰もいない暗闇で助けを求めるシーンなどは、生き
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笑ふ男/笑う男(1928年製作の映画)

4.3

笑顔を貼り付けた男の悲喜劇

“ジョーカーのモデル”という肩書きとは裏腹に、盲目のデアと笑顔が貼り付けたグウィンプレインの純粋な愛を説く物語が心に沁みる。ルッキズムの批判と欲に囚われる愚かさは、約10
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