暗い世俗の中で人生の輝きを知る物語
舞台となる60年代のイギリスは、人種や性別による差別に溢れており、集団心理で歯止めの効かない暴徒や外見に囚われた差別の連続は見るに耐えない。差別や暴力が今もなお残っていることを思うと、人間社会の醜さを実感させられた。特に、主人公ヒラリーがこれまでの想いや鬱憤を口にする場面では、社会に虐げられる苦しみと辛さが心に刺さる。しかし、そんな世界が詳細になる中で、誰かを想い愛することが淡く尊いものに感じられ、音楽や映画に日々の輝きを見つける瞬間は喜びや感動に満ちていた。詩で別れを告げるラストは、新たな一歩を祝福する爽やかな希望に溢れている。
息苦しい世界で人生を歩む希望を讃えた作品