人を愛すること、人を信じることが真っ直ぐ画面に映っていて泣ける。カウリスマキ最高。理不尽な解雇、アルコール中毒、戦争、暗い現実から目を背けず、それでも寄り添う相手がいればまた生きていけるという力強い宣>>続きを読む
ほとんどのショットはルーブル美術館の所蔵品をフィックスで映すだけの割に、撮影監督はレナート・ベルタとウィリアム・ルプシャンスキの共同だそうでめっちゃ豪華。カメラも被写体も全く動かなくとも映像で撮ってい>>続きを読む
『放蕩息子の帰還/慰められた人々』の題で。『労働者たち、農民たち』の素材の再構成とその後日譚からなる二部構成。当然だがコンパクトになっていて、こちらの方がずっと見やすい。手を挙げては何度も無視されるお>>続きを読む
上映時間2時間の間、ほとんどずっと鳥の声が聞こえる。いつものように神様や古代ローマの人々ではなくて、ただの一般人(農民)が直立不動で棒読みのテキストを発声しているのも、また違った異様さがある。役者が喋>>続きを読む
相当好きじゃない。不条理な世界観で押し通してくれればよかったのに、「社会問題」「良識」「正確な統計」3人組が全て台詞で説明してしまうので白ける。意味にも無意味にも振り切らない、どっちつかずな表現。不条>>続きを読む
『エンペドクレスの死』の続編で、前作のエンドクレジットで流れていた飛行機のエンジン音(?)から始まる。急に始まって急に終わる。同じ原作の舞台脚色版が不満で撮ったとのことだが、それで山をバックに発声され>>続きを読む
アテネフランセ隣の女坂を爆走したせいで中盤で入眠したので要再見。ストローブ=ユイレ映画の登場人物は役者ではなく人間の形を持ったテキストそのもののように映る。静物のように動かない人物の周りで木々が、雲が>>続きを読む
前回上映時に面白かったのに寝てしまって後悔した記憶があったので再見した。2年前見たときよりもフランキーの絶叫はしんどくて、2年前見たときよりも三人の「His Eye Is on the Sparrow>>続きを読む
リンダ・ダーネルの役柄の多面性を表現したようなスマートな鏡の使い方とか、よいハリウッドのメロドラマではあったけど全体的にどことなく緩い印象があった。彼女の殺害が観客に知らされないまま、メイドが川に捨て>>続きを読む
誰もいない街路に響く住民の声、誰もいないサッカー場に響く観客の声。音よりも光の方が速いことを思い出す。1秒前に人類が突然姿を消した世界のようなモノクロの画面は終盤で唐突にカラーになる。コロナ禍を扱った>>続きを読む
デジタルリマスター版。語り自体は観念的で支離滅裂で大いに混乱するけど、印象的に繰り返す「冷笑的な僕らの時代にもロマンティックな衝動が必要」のフレーズの通り、根っこはストレートなメロドラマだったので楽し>>続きを読む
劇団員のプライベートの問題が劇団に波及して公演本番がめちゃくちゃになるこういうコメディ、大学生の頃付き合いで行った学生演劇で100回くらい見た気がする。笑えない三谷幸喜+毒のないブリュノ・デュモン÷2>>続きを読む
再見。徴兵を前にした青年の「色恋なんかしてる場合じゃないんだよ!」という正直すぎる台詞が好き。
カメラマンが毛布を被る理由、のくだりがなんだかグッときた。
編集で遊ぶ楽しい短編。「BBが撮れないよ〜!」というパパラッツィ達の嘆き、からのBBが振り向くクローズアップの怒涛の連打で爆笑した。
ヴァカンスなんて早く終わらねえかな、と心のどこかでは思い続けながら長い長い休暇を楽しむ、大好きな夏休みの映画だった。居心地の悪い異郷での時間をあまりに長々と写し続けた果ての、近くに見えるのにいつまでも>>続きを読む
大学の夏休み、気が大きくなって普段あまり遊ばない人達とわざわざ泊まりの予定を立てちゃった、みたいな気まずさに終始満ちていてほんとよかった。ほとんど遭難したみたいな山の中でつらい一晩を明かして、ようやく>>続きを読む
オカルトが見たい気分だったけど余りに安いVFXと演技で萎え萎え。家で見てたら馬鹿馬鹿しさも笑えたかもしれないけど、映画館で大きな音で驚かせるのは勘弁して。終わり方もなんなんだマジで……。不倫相手の女の>>続きを読む
ちょうど前の日にペドロ・コスタの『血』を見ていたので、そこに色々と引き寄せて考えながら見ていた。息を呑む白黒の(正式にはクロマチックB&Wと呼ぶらしい)画面、擬似家族、破壊と再生、血縁と土地の物語。同>>続きを読む
黒沢清「木霊」のみ。これも抜群に不穏で素晴らしい。いつから生えているのかわからない木。放課後の学校でひとりになるのが一番怖いこと思い出した。
再見。光と影がたまらない、最高。ほとんど真っ暗みたいな画面でも何が起きてるかわかってすごい。画面がキメキメすぎて見てるだけで緊張する。川に死体が上がるあたりまではちょっと眠いけど。ペドロ・コスタこの勢>>続きを読む
後景がモノクロで手前の人物だけカラーだったりする画面はかなり面白くて114分間楽しく見たけど性格が悪いので野心的というよりは気を衒っているだけに見えちゃった
ほとんどジャック・リヴェットみたいな映画で驚いた。世界の正体は説明されないまま東京から田舎へ、家の近くには塔があり、地下には海、インコの国からまた現実へと目まぐるしく場所が変わっていく。台詞も核心に触>>続きを読む
大昔、たぶん小学生の時に見て以来見た。ナウシカが死んで谷が滅んで終わる話だと思ってた。お母さんに金曜ロードショー途中で止められちゃったのかな。
自分の映画に選ばなかったフィルムを繋ぎ合わせて黙々と映写機を回し続けるメカスの姿は感動的だけど、そういうカットを集めてるからなのか肝心の映像は印象に残らない。『リトアニアへの旅の追憶』ほどの感動はなか>>続きを読む
再見。ようやく劇場で見られたのもあって昔家でブルーレイ見た時よりも相当ヤバかった。動物で溢れかえる家、BGMが中と外で入れ替わり、知らない人がソファに座っているラスト。台詞もずっと良すぎる。「俺は大人>>続きを読む
イメフォ地下の最前で見たら首ぶっ壊れた。スクリーンが近すぎると人の顔のクローズアップを人の顔としてすぐに認識できず、肌色の何かが蠢いているだけの画面に一瞬見えてしまうことがわかった。あの素晴らしい芝居>>続きを読む
人生ベスト級の素晴らしさ!陰惨な話を知らないふりして明るく映し、画面は遊び心に満ちている。馬は西部劇のごとく走り、動物は当たり前に空を飛ぶし、劇場で双眼鏡が必要になれば隣の人から奪えばいいし、乗り物が>>続きを読む
死に取り憑かれた孤独なロバート・ミッチャム。陰惨な話で、画面もずっと暗くて、フィルムノワールみたいな西部劇というよりは舞台を20世紀初頭のニューメキシコにしただけのフィルムノワールだと思う。
ミケーレ・ソアヴィはアルジェントの弟子らしいけど、どちらかといえば冒頭の劇中劇がアルジェントっぽくて、師匠を越えてやろうという野心を感じた。実際アルジェントより語りが丁寧で巧い。個人的には地方中規模ホ>>続きを読む
溺愛していたラブドールが壊れてしまい、廃番だったので何が何でも探しに行こう、という導入からもう最高。機械を本気で愛すのはどうなんだみたいな葛藤は全くなし。それでその型がある倉庫は悪の独裁者が支配してい>>続きを読む
工場主任の男が悪辣でホント嫌な奴なんだけど、終盤に登場する彼の親も相当ヤバくて、家庭環境を言い訳にできるようにしてるのは監督の優しさだと思った。この男を演じた俳優が後に監督と結婚してるのは笑える。
ロープウェイ曲芸映画。斜面を行き来するゴンドラを使ったアイデアの数々も良いけど、駅舎にあるロープウェイを動かすでっかい機械を使ったアクションはもっと嬉しかった。
やはり悪名高い、鼻にチューブを突っ込まれる男と死化粧を施される死体のモンタージュが悪趣味すぎて苦笑い。最後チューブ男が独房のような個室にぶち込まれるのと、死体が安置所にぶち込まれるのを繋いでいたのも本>>続きを読む
知恵遅れの監禁男と家庭に問題を抱える女の関係という設定はドワイヨンの『あばずれ女』を思い出す。とにもかくにも犯罪一家のマシンガン母ちゃんが最高。逃げ込んだ屋根裏部屋で呟く「死んではだめよ 私のためなら>>続きを読む
死ぬほど面白いし最後は泣いた。極限の状況でメア・ウィニンガムが「核爆弾が落ちた後、生き残った人類は地球を再建させられるだろうか?」とよくわからないことを言い出して、アンソニー・エドワーズが「昆虫の時代>>続きを読む