ヒラツカさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.2

『サマータイムマシン・ブルース』の原作を興行していた、劇団・ヨーロッパ企画の制作映画。もともと舞台だったわけでもなく、こんかい作ったオリジナル映画ということらしい。たしかに、2分間のループを永遠に繰り>>続きを読む

ミンナのウタ(2023年製作の映画)

3.6

GENERATIONSが本人役で出演する企画ホラー。清水崇作品はここ最近ぜんぶ観てて、「村」シリーズも『ホムンクルス』もまあまあ良かったが、『忌怪島』はそうでもなかった。その点、今回の作品は、それらの>>続きを読む

怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.0

なんでも引き受ける職人監督・三池崇史の最新作。
僕は邦画を観るとキャスティングや演技に注目してしまうところがあって、もっと映像やストーリーまで俯瞰して純粋に受容すればいいはずなんだけど、どうしてもメタ
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.5

人を撥ねて死体を隠しちゃってるので、『テルマ&ルイーズ』くらいにまっすぐ一直線に逃げ続けるのかと思ったら、のらりくらりと検問をかわしたり、翌日にはふつうに警察署に出勤したりして、なんとも奇妙でオフビー>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

2.7

申し訳ないが、リドリー・スコットの作家性が良くわかってない。この人の映画って、監督が誰なのか意識せずにとりあえず観て、あとから「そうか、これリドリー・スコットだったんだっけ」となることが多かったような>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

2.5

アントワーン・フークア監督がどうしても合わないのだ。いつか観た『トレーニング・デイ』は、堂々たる年間ワーストだった記憶がある。唯一面白かったのは『ホワイトハウス・ダウン』だったかなあ。そういう監督は他>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.2

北野武の映画は、別にそこまで好みではないというか、そもそも観てるものが少なくって、たぶん通ってきたのは、『キッズ・リターン』『HANA-BI』『座頭市』と、あとは『アウトレイジ』3部作だけな気がする。>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

3.8

ピクサーには毎回全幅の信頼をおいているのに、前回の『バズ・ライトイヤー』が僕はハマらなくって、とっても残念な気持ちになっていたが、そのショックが癒えきらないうちに新作が出た。『インサイド・ヘッド』や『>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.1

デヴィッド・フィンチャーは、『セブン』のころからずっとファンなので、絶対に新作を観ることになってるんだけれど、本作、日本ではNetflixでしか公開しないと思いこんでたんだよな。「11/10配信開始」>>続きを読む

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

3.0

ディズニーランドにはあんまり行かないため、「ホーンテッド・マンション」と「タワー・オブ・テラー」の区別があんまりついていないが、劇中の壁が伸びていくシーン、あれって「タワー」の方の仕掛けじゃなかったか>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.6

『アイアンマン』から15年間ずっとリアルタイムに追ってきたMCUだが、僕も大人になり、シリーズもすっかりディズニー資本でコマーシャライズされ、ここ最近はさすがに配信ドラマまでは観なくなってきた。ただ『>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.3

『シン・ゴジラ』から7年、庵野秀明に続いて実写新作を任されたのは山崎貴だ。この人はスタイルは、正攻法で教科書通りに扇情的なメロドラマを作り、観客の涙を誘うことをひとつの目的にしているわけで、つまり、ベ>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.9

漫画で音楽を扱うという無茶をしている原作は、ジャズの演奏によって巻き起こる人々の感情のほとばしりを至極上手に表現している傑作だ。漫画はそこまで趣味ではないものの、これはきちんと単行本を買ってる数少ない>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.8

現代のハリウッド映画界で、きちんと現役で多作で、興行も成功させ批評家も唸らせる巨匠監督といえば、もちろんマーティン・スコセッシとスティーヴン・スピルバーグの両名しかありえないでしょう。どちらにも共通す>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.6

聴覚障害の表現として、『Codaコーダあいのうた』では大胆な無音シーンを使ったが、本作では逆に、日常で流れる生活音を、実直に、丁寧に、とにかく流し続けることで、主人公の無音の世界が際立つようになってい>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.8

『竜とそばかすの姫』のときにも書いたが、新海誠も細田守も、オリジナルの作家性を求めていろいろと頑張っているものの、結局のところ宮崎駿の怨念から抜け出せない。「地震の素」みたいなものをどこでもドアの向こ>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.7

キアヌ・リーヴスのスタントダブルだったチャド・スタエルスキ監督が手掛ける短距離実用殺戮アクションムービーの新作ということで、珍しく1〜3までを再鑑賞した上で観に行ったのだが、独立系シネコンなのでオリジ>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

ケネス・ブラナーのポアロシリーズ。1作目の『オリエント急行殺人事件』は、同じ映画を繰り返し鑑賞することがない僕としては珍しく、4・5回観てる気がする。というのも、ストーリーはもちろん承知だし、密室劇な>>続きを読む

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

3.0

近年精力的に映画を作り続ける清水崇の新作。僕はこの人の積極的なファンというわけではないのだけれど、けっきょく『こどもつかい』『犬鳴村』『樹海村』『ホムンクルス』『牛首村』と、近作はぜんぶ観てるようだ。>>続きを読む

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.4

『ジョーズ』以来、数えきれないくらい量産されてきたサメが出てくるパニック映画たちは、セルフパロディを繰り返すことでついにはひとつのジャンルを確立したが、その大半が低予算のカルト映画として、ニッチな愛好>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.2

『グランド・ブタペスト・ホテル』『フレンチ・ディスパッチ』と、近作が僕としてはずいぶん良いのが続いていたから、期待が膨らんじゃっていたところがあったのは否めないが、うーん、ウェス・アンダーソン、今回は>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.0

つまりは『チャイルド・プレイ』と同じであり、特筆するような新しい要素はなかったものの、人形が少しだけ大人になったことで、不気味の谷が助長されていたのがよかったですね。ケイディを演じた子役が、暗い目をし>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

ハリウッドの身勝手かつ利便性のあるルールとして、英語圏ではない国を舞台とするときには、最初のうちはその国の言葉を使うけれども、どこかのタイミングで、外国語を話している「てい」で英語を使って良い、という>>続きを読む

月の満ち欠け(2022年製作の映画)

2.5

1980年代から現在までのさまざまな時間を行き来するという構成なんだが、廣木監督のスタイルなのかな、あんまり時代設定のリアリティには気をかけない演出のようで、たとえば現代の三角や正木はもっとずっとおっ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

2.6

ハリウッドのアニメ制作会社の中で、いちばん信用しているのはもちろんピクサーだが、イルミネーションは2番目に好きだ。ディズニー本体のアニメ部門は、やや殿様商売感があって、キャラクター造形やストーリー展開>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

2.9

ジャッロの巨匠、ダリオ・アルジェントの作品は、僕は『サスペリア』と『フェノミナ』しか観てないため、あまりどうこう言えたクチではないが、彼の心意気を受け継ぎ進化させて、スプラッタやスラッシャーというジャ>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.2

スカイツリー級の高さの鉄塔から降りられないという、『127時間』とか『オープン・ウォーター』みたいな「取り残され映画」のジャンルなんだけど、それよりは、人間の生理に訴えかけるホラーだった。僕も平均的な>>続きを読む

ハート・オブ・ストーン(2023年製作の映画)

3.2

『ミッション・インポッシブル』を女性でやる、というコンセプトは意図通りに成功。トム・クルーズに代わるのは、強くて知的でありながら、適度にチャーミングで、少しばかりの節度ある色気を持つ人じゃないといけな>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.1

ぜんぜん先の展開を読むことができない、近年珍しい堂々たる怪作でした。『ロジャー・ラビット』や『魔法にかけられて』、はたまた『トイ・ストーリー』みたいな、「現実世界と人形の世界が交差するファンタジー」な>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.1

このシリーズには疎くて、もちろん76年の『ロッキー』は観ているけれども、それ以外はほぼ通ってない。いちおう、このリブート版のシリーズにも関連があるアポロ・クリードやイワン・ドラゴが何者かというのは教養>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.3

22年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール受賞作。格差社会を批判したシニカル・コメディということだが、『わたしはダニエル・ブレイク』『万引き家族』『パラサイト』と、さいきんはずっとそんな話ばかりが取って>>続きを読む