ヒラツカさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

激怒(2022年製作の映画)

3.2

高橋ヨシキの監督デビュー作。これでこの方には「商業映画を撮ったこと無いくせに、なにが映画評論家だよ」というカウンターパンチは効かなくなったのではないだろうか。『1984』とか『ブレードランナー』、『図>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.8

仲良しだったはずの友達から、ある日とつぜん一方的に「嫌いになった」と通知される。そんな展開に、まずは村上春樹の『色彩を持たない多崎つくる〜』を想起したが、舞台がアイルランドだし、つまりはサミュエル・ベ>>続きを読む

ブロンド(2022年製作の映画)

3.3

アナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンロー伝記。虐待、レイプ、DV、堕胎、流産、ドラッグ依存と精神病と、彼女の壮絶な一生を、痛々しいほどむき出しにした映画。父性の不在のトラウマが常に付きまとい、付き合>>続きを読む

ビースト(2022年製作の映画)

3.6

ライオンに襲われるので戦うという、ものすごくシンプルな映画で、登場人物も4人だし、時間も90分でさくっと終わるため、とっても喜ばしい。アクション映画というよりかは、どちらかというとナショナル・ジオグラ>>続きを読む

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

2.8

米倉涼子のドラマの決め台詞みたいな邦題を付けられた本作。低く唸るエンジン音と、ドリフトするタイヤがアスファルトをこする金切り声、それらをディスコ歌謡みたいなEDMに載せるという、とにかくご機嫌なカーチ>>続きを読む

ジャングル・クルーズ(2020年製作の映画)

3.6

ディズニーランドのアトラクション映画の新作。エディ・マーフィの『ホーンテッド・マンション』やジョニー・デップの『パイレーツ・オブ・カリビアン』みたいなやつだ。そもそも、ディズニーの乗り物や出し物に、ど>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.1

ミラマックスの創業者、ハーヴェイ・ワインスタインによる性加害事件のノンフィクションが原作の映画。聖職者の児童虐待を追ったマーク・ラファロの『スポットライト 世紀のスクープ』や、テレビ局CEOのセクハラ>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

一見すると、『美味しんぼ』とか『ミスター味っ子』みたいな話かと思ったら、実は『笑ゥせぇるすまん』みたいなサイコ・サスペンスだったという、巧妙なジャンルミスリード映画。なので、ディズニープラスで「+15>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.0

監督が『四畳半神話体系』『映像研には手を出すな』の湯浅政明。キャラクターに感情が乗ってくると、その勢いで作画が崩れるデフォルメができる人だ。その個性は、どちらかと言うと海外のカートゥーン・アニメーショ>>続きを読む

女神の継承(2021年製作の映画)

3.6

僕が2018年に観た映画のベストが『哭声/コクソン』だった。(ちなみにその年の2位はリュック・ベッソンの『ヴァレリアン』、3位は『インクレディブル・ファミリー』。)この映画はとにかくすごくて、オフビー>>続きを読む

ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界(2022年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

ハリウッドのアニメーションスタジオのうち、『シュレック』『カンフー・パンダ』のドリームワークスと、『ミニオンズ』『SING』のイルミネーションは、ちょっとシニカルでハートウォーミングなドタバタ活劇を安>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.2

前作の感想は「猫っぽいなあ、あと字幕が飛び出てるなあ」というもので、「身勝手な植民地主義ってひどいよね」という説教がましいメッセージは、いやにねちっこくて長ったらしく、(映画にこんな言い方をするのもお>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.9

『ハロウィン』や『13日の金曜日』などのスラッシャー映画には「処女が生き残るのだ」という謎のルールがあるけれど、本作の主人公、眉毛の無いしかめっ面が素敵なミア・ゴスは、一見すると、普通なら最初のほうに>>続きを読む

DC がんばれ!スーパーペット(2022年製作の映画)

2.7

DCEUの子供向けスピンオフアニメだけれど、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンを始め、アクアマンとフラッシュと、グリーンランタンとサイボーグ、全員出てきて大団円になるため、ザック・スナイダーが>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

2.8

ブロッキングやカメラワークが、不自然なほど都合よく戯画化される印象のデヴィッド・O・ラッセル監督の新作。湾岸戦争を真っ向から否定した『スリー・キングス』や、豪華キャストがノリノリで変人を演じた『ハッカ>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

2.8

2022年の締めくくりとして、全く事前情報なくジャケ観をしたけれど、うーん、そこまで刺さるものがなかった。サイコキラーに誘拐された主人公が、囚われた地下室から脱出をしようと奮闘するが、解決に導いた方法>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.6

冒頭にも「男か女かはどっちでもいい」という宣言があったが、女性である"のん"が男性役を演じるというのがトリッキーなやり口だ。ある程度のスター役者が、自らとは異なる性別のキャラクターを演じた映画を、ざっ>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.1

ライアン・ジョンソン監督によるクローズド・サークル・ミステリの第二弾。とは言っても、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティとか、そういった大家たちの小説が持つ特有の空気感の、うわずみをさらってはいるも>>続きを読む

ブラックアダム(2022年製作の映画)

2.8

DCエクステンデッド・ユニバースにはちゃんとハマってはいなくて、『ワンダーウーマン』、『アクアマン』、リブートの方の『スーサイド・スクワッド』は面白かったけど、ザック・スナイダーの『マン・オブ・スティ>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

初めて映画館に行ったのは、小学生のころに父親に連れて行ってもらった『メジャーリーグ2』だったけど、(2本立てのもう1本が、『氷の微笑』のパチモンみたいなB級エロティックサスペンスで、気まずかったのを覚>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

2.5

白石和彌監督の映画は『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』と『彼女がその名を知らない鳥たち』、『虎狼の血』の1を観た。僕は洋画鑑賞の割合の方が圧倒的に多いため、4本も観てるなんて、日本人監督としては馴染みが>>続きを読む

フォーエバー・パージ(2021年製作の映画)

2.8

この作品を観るため、馬鹿正直に、事前に1作目の『パージ』からすべて順々に観ることにした。このシリーズ、ホラーなのかな、でもスーパーナチュラルには飛ぶわけではなく、スラッシャーサスペンスと言えばいいんだ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.0

生意気で小便くさい高校生の少年には、20代の女性がとんでもなく大人に見えることがある。そんなあるあるを描くスタンダードなボーイ・ミーツ・ガール映画の体裁を装っているが、中盤の無言電話のシーンの長さに「>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

チャドウィック・ボーズマンが亡くなったことを受け、このシリーズは、作中でも初代ブラックパンサーを病死させるというストーリーを選択した。MCUのスタイルとしてはこれまで、ハルクやファルコンを(死別したわ>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ホラー制作者には、ジョン・カーペンターとかトビー・フーパーみたいな、取り憑かれたようにホラーを作り続ける人と、クローネンバーグやギレルモ・デル・トロみたいに、「もうちょっとそのへんはいいかな」と羽ばた>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

3.8

ザック・スナイダーとチャン・イーモウが、『ベン・ハー』を共同監督することになったので、ジェイソン・ステイサムとフレッド・アステアを主演にオファーした、みたいな、「なんそれ?」という、まったく支離滅裂な>>続きを読む

四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

3.1

もともと、ヨーロッパ企画の舞台『サマータイムマシンブルース』も、本広克行監督の映画版も観ていた。かなり巧みなタイムトラベルモノで、とくにリモコンの大移動は見事。一方で、森見登美彦もデビューからずっとフ>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.8

ダイアナ元妃ということで、下世話な王室スキャンダルメロドラマかと思いきや、全くそんなことはなくて、ずいぶんとパーソナルな「病み」を描いた映画だった。窮屈な伝統に盲目になった異様なコミュニティの中でなん>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

3.4

音楽聴くのにハマっていたとき、ロックの系譜の中でマイルストーンになってきたものを、きちんと体系的に聴いてた時期があった。チャック・ベリーに始まり、ビートルズとストーンズとビーチボーイズ、ザ・フーからド>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.6

過去の原田眞人の監督作で言うと、『クライマーズ・ハイ』の新聞社内の大乱闘シーンが楽しかったというのもあるが、なんと言っても『日本のいちばん長い日』のリメイクの、脇役俳優たちをかき集めてきて適材適所に配>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

今年観た映画の中でいちばん泣いたのが『codaあいのうた』だったが、こんかいその涙量を超えた。僕が「泣く」に至る映画のパターンにはいくつかあって、たとえば、アルバート・フィーニーの葬式に全員が集合する>>続きを読む