けんいちさんの映画レビュー・感想・評価 - 39ページ目

けんいち

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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.5

数学ひと筋で生きてきた予備校講師に、教え子が恋愛指南をする話。

途中で恋心が芽生えるというのはよくある展開だが、漫才を見ているかのような会話が、イチイチ面白い。

「普通ではなく、“正直”であろう」
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きまじめ楽隊のぼんやり戦争(2020年製作の映画)

4.0

川の向こう岸にある町と、目的も分からない戦争を何十年も続けている架空の町の話。

感情を排した話し方・動き方をする人物達が織り成す、シュールな会話の連続。

そして、その世界観を一掃してしまう終盤の“
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マンディンゴ デジタルリマスター版(1975年製作の映画)

4.5

南北戦争前のアメリカ南部を舞台に、奴隷牧場を営む父子を描いた話。

容赦無い暴力描写・性描写を絡めた“特異な”人間関係(主従関係)と物語は、今見ても衝撃的。

初公開時(46年前)に物議を醸したであろ
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少年と自転車(2011年製作の映画)

4.0

父親から育児放棄された孤独な少年の話。

父親を求めるあまり、善意ある大人を敬遠し、悪さをする大人達に加担してしまう。



年頃の少年の微妙な心境を、セリフではなく表情や態度で的確に表現。

安易な
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ROOM237(2012年製作の映画)

4.5

映画「シャイニング」を検証するドキュメンタリー。

ホロコーストを描いているとか、アポロ11号捏造を示唆している等、信憑性のあるものから、首を傾げたくなる珍説まで。

特筆すべきは、話者は声のみで、映
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寛解の連続(2019年製作の映画)

4.0

躁うつ病を患い寛解に至ったラッパー小林勝行を追ったドキュメンタリー。

病識があり、自分自身を客観的に語れるところを見る限り、“寛解”の状態にあることが窺える。

ラップを披露している時の豊かな表情が
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海辺の彼女たち(2020年製作の映画)

4.0

外国人技能実習生として来日した若いベトナム人女性たちを描いた話。

本作は、決して関係者を断罪するものではなく、ドキュメンタリータッチで現状を伝えるに留めている。

色々思う所はあるが、何より問題提起
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中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 花のこゝろ(2020年製作の映画)

5.0

2020年7月にオンラインで有料配信された公演の劇場公開版。

衣裳、音楽、カメラワークなど、全てが映像向けに分かりやすく派手で、個人的には眼福に値する。

作品は勿論のこと、作り手の心意気に“芸術の
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

5.0

都会に暮らす2人の女性が、人生を切り開いていく話。

シビアな女の世界を描いているのに、見ていて不快にならないのは、登場人物が皆真面目で自分に正直だから。

本作を観て思ったこと。
『個人のステータス
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

5.0

人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発を描いた話。

結局のところ、良くも悪くも、人は“自分が必要とされる場所”に行くということ。

世の中は見方次第。
酷い世界にも、素晴らしい世界にも見える
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罪の声(2020年製作の映画)

5.0

昭和の未解決事件をめぐる二人の男の運命を描いた話。

久し振りに、ストーリーそのもので楽しめた作品。

事件の真相に、デジタルとアナログの両面で迫る展開が面白い。

タイトルも気が利いていて、“罪の声
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.5

第2次世界大戦中のジャワにおける、日本軍人と西洋人捕虜との関係を描いた話。

異色のキャスティングや無国籍な音楽などにより独特のムードを作り、戦争映画というジャンルを超越している。

同性でも敵対関係
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愛のコリーダ 修復版(1976年製作の映画)

5.0

「阿部定事件」を題材に男女の愛を描いた話。

約20年前の再上映以来の劇場鑑賞。

感想を言葉で語ると陳腐になってしまうくらい、凄まじい作品。

強いて言うなら、“性”を強調することで“生”を浮き彫り
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.0

人気アニメの完全新作劇場版を、予備知識ほぼゼロで鑑賞。

格調高い世界名作劇場、もしくは大河ドラマという印象。

背景など立体感のあるアニメーションもさることながら、人物の心情に寄り添った脚本も素晴ら
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街の上で(2019年製作の映画)

4.5

下北沢を舞台に描かれる、男女の恋愛群像劇。

上質な4コマ漫画を見ているような会話の連続。

意外な小ネタで笑わせつつ、それを伏線として終盤で見事に回収。

街一つとっても、色々な男女がいて恋がある。
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.5

冬の間閉鎖されるホテルで、作家の一家が狂気に包まれていく話。

台詞による説明は最小限に止め、サブリミナルショットなどの映像表現と不協和音を駆使して、不条理な世界観を演出。

恐怖心は、見る者の想像力
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.5

英国貴族に成り上がっていくアイルランド青年の栄華と没落の半生を描いた歴史ロマン。

ストーリー展開や心情表現はナレーションに委ね、代わりに時代の再現性に腐心しているという印象。

見せ場になりそうなシ
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.5

戦争が世界の破滅を導くことをシニカルに描いたブラックコメディ。

呑気な会議の様子と、緊張感のある戦場を対比的に描くことで、その温度差を表現。

『事が起きても、我関せず』の姿勢は、現代にも通ずるもの
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ロリータ(1962年製作の映画)

4.0

大学教授が、下宿先の未亡人の娘に恋をする話。

前半は、女の嫉妬を。
後半は、男の独占欲を。

一見するとありがちなメロドラマだが、偏愛に取り憑かれた人間の狂気を見事に浮き彫りにしている。

キーパー
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現金に体を張れ(1956年製作の映画)

4.0

競馬場から200万ドルの強盗を企てる一味の話。

強盗が決行されるまでの過程を、一味の1人1人の行動に焦点を当て、多角的に描いていく構成が特徴的。

どんなに綿密に計画を立てても、予期せぬ事態は起こる
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デッドエンド(1937年製作の映画)

3.5

ニューヨークの貧民街で暮らす姉と弟、姉の恋人、かつて街にいたギャングが織りなす群像劇。

シーンの殆どが、スタジオに組まれた大きなセットの中だけで完結しているが、決して舞台的ではなく映画の体を成してい
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ステップ(2020年製作の映画)

4.5

妻に先立たれて、男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーの話。

漠然と大変な様を描くのではなく、具体的なエピソードと共にシングルファーザーの労苦に触れる脚本が秀逸。

派手な演出は無いけれど、10年
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フード・ラック!食運(2020年製作の映画)

4.0

下町の人気焼肉店を舞台に、「食」を通じて親子の愛情や人生の悲喜こもごもを描いた話。

焼肉をはじめ、出てくる料理全てが美味しそうに撮られている。

また、うんちくをテロップで見せたり、場面転換に肉を出
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閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー(2019年製作の映画)

5.0

長野県のとある精神科病院にいる患者達の話。

決して奇異の目を向けることなく、自然な感じで患者1人1人を描いているところに好感が持てる。

患者本人より、寧ろ周囲の環境が病んでいるのでは?、と。

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ありふれた事件(1992年製作の映画)

4.0

殺人鬼の姿をドキュメンタリー映画の撮影スタッフが追うというモノクロのモキュメンタリー。

無差別に殺人を犯したかと思えば、詩を口にしたりピアノを弾いたりと、知的な一面も見せる男。

時折吐く暴言の中に
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ミッドウェイ(2019年製作の映画)

4.0

太平洋戦争におけるミッドウェイ海戦を描いた戦争映画。

戦闘シーンは、CGを多用したアクション映画そのもの。

ただ、ドラマパートは日米軍双方の戦略を描くことに腐心していて、感傷的な要素はほぼ皆無。
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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

5.0

60年代後半から80年代までの、ブラジルのとあるスラム街の変貌を描いた話。

容赦無い暴力描写と巧みな映像表現で、若い(幼い)ギャング達を、ハイスピード・ハイテンション・ハイセンスに物語る。

人生は
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レディ・キラーズ(2004年製作の映画)

3.5

映画『マダムと泥棒』のリメイク作。

例えるならば、三流の『オーシャンズ11』。

ストーリー展開や台詞回しが冗長で、全体的にコーエン兄弟作品らしい“キレ”が無い。

ただ、悪役を嬉々として演じるハン
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アーティスト(2011年製作の映画)

4.5

白黒&サイレントのラブストーリー。

往年のハリウッド映画へのオマージュたっぷりに、栄光と挫折・世代交代などを描いている。

声は無くとも、伝わる感情。

最後まで残る者は、時代に適応できる者。

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砕け散るところを見せてあげる(2021年製作の映画)

4.5

平凡な男子高生と、学年一嫌われている女子高生の話。

イジメをテーマにした学園モノであり、ラブストーリーでもあり、サスペンスでもあり、SFでもあり、とジャンル不定な作品。

男女の会話(それもワンシー
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.0

タイムループ・ラブコメディ。

即ち、1人ではなく、男女2人が一緒にタイムループを繰り返す点が、本作の特徴。

無意に過ごす男に対して、物理学を学び脱出方法を模索する女。

同じ様な日々でも、自分の心
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

5.0

ボクシングに情熱を燃やす挑戦者たちの熱い生き様を描いたドラマ。

ボクシングを通して、人生に於ける“不可抗力”に触れている。

強さとは?
幸せとは?
鑑賞中、色々と思いを巡らせた。

心に秘めたる闘
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ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年製作の映画)

4.0

アーケードゲーム「RAMPAGE」をベースに描かれるパニックアクション。

巨大化したゴリラ、オオカミ、ワニが街で暴れ回るだけの映画。

中身スッカスカだけど、“怪獣(巨獣)プロレス”は見応えアリ。
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ドリームランド(2019年製作の映画)

4.0

美しき指名手配犯と17歳の少年のラブストーリー。

現代版『俺たちに明日はない』といった趣。

“嵐が来る”ことを、物語と映像をリンクさせて見せるシーンが印象的。

時折4:3のフレームで、過去と未来
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ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

4.5

ノルウェーのバンド「メイヘム」の狂乱の青春を描いた話。

・ハッタリをかます者。
・拗らせる者。
・病んでしまう者。

少なからず誰もが経験する、青年期に於ける特殊な心境を表現しているものと解釈。
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ひとくず(2019年製作の映画)

4.0

児童虐待や育児放棄をテーマに、空き巣を生業とする男と親の愛情を知らない少女との交流を描いた話。

どんな人にも必ず良いところがあって、それが誰かの支えになっている。
誰かの為に生きている人は、輝いて見
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