紅茶さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

紅茶

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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

3.8

ニコラス・ケイジとローラ・ダーン、二人の愛の逃避行というシンプルな物語が貫かれているのだが、その周辺を取り巻くキャラクターや事件がいっそう映画全体に狂気を醸し出している。ジャック・ナンスやジョン・ルー>>続きを読む

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

4.9

現代ロードムービーの傑作!
父子のたわいもない会話や過去の話から蘇る家族の原風景など、子どもが成人して巣立ってから向き合う家族というテーマは新たな発見がある。
父子も良い役柄なのですが、ジェーン・スキ
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L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ロサンゼルス街、公権力の腐敗を通じて明かされるアメリカという国の暗部。
エド、ジャック、バドの3人の刑事がメインキャラクターとして据えられるが、彼らが事件を調査する方向はバラバラ。だけども、時に彼らが
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

70年代後半、ポルノ映画の黄金期から徐々に廃れていく様子が人間関係の瓦解を通じて連鎖的に描かれる。ポルノに対する偏見を目の当たりにする当事者たちの姿も後半部分では描かれており、栄枯盛衰なる物語が展開さ>>続きを読む

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.0

これは動物も俳優としてクレジットすべきでは?と思わせるほど動物がたくさん出演しているドタバタコメディです。映画から批判精神を汲み取る事もできるが、やはりコメディ作品としては秀逸だと思います。
特にドタ
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ライブテープ(2009年製作の映画)

3.8

2009年元旦、武蔵野八幡宮から井の頭公園まで前野健太氏が弾き語りしながら歩く様子をワンカットに収めたドキュメンタリー作品。至る所に待ち構える二胡奏者やサックス奏者とのセッションが成り行き的に始まる感>>続きを読む

バートン・フィンク(1991年製作の映画)

4.0

かなりの難解映画にして、パルムドール受賞というお墨付きのコーエン兄弟の作品。
途中から登場人物のキャラクターが真逆に変わるから、『マルホランドドライヴ』の世界なのかと思いきやそうでもなく…そしてこの陰
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ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

この作品含め、ジャームッシュ監督の初期三作はやはりモノクロの良さが際立っている。本作はジョン・ルーリー、トム・ウェイツ、ロベルト・ベニーニという凹凸だらけのトリオの脱走劇が描かれている。脱獄するプロセ>>続きを読む

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)

4.3

隠れた日本映画の名作!素晴らしい活劇!これほどまでに暴力的な描写を収めつつ、孤立した人間とその界隈の生き様も描かれていて、映画的な魅力がいっぱい詰まってる。荒廃した街並みが若き暴走族を前景化するための>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

4.0

鈴木清順作品を初鑑賞。夢と現実が錯綜している世界観。蟹、血、湿疹、口紅など赤色という鮮烈な色彩が徐々に映画を支配しつつある。あの切り通しが重要なモチーフになっているのかわからんが、青地があそこを行き来>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.9

何世紀も生き続けるヴァンパイアの物語。トム・ヒドルストンとティルダ・スウィントンの風格が仄暗い美しさを纏っていて、絵画のように映えている。隠遁生活を送っているので、人間の世界では控えめな彼らが上物の血>>続きを読む

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

3.8

フォークシーン前夜、60年代前半のNY、グリニッジ・ヴィレッジが舞台。オスカー・アイザック演じるフォークシンガーは宿無しで転々としているが、妥協せずに自分のスタイルを貫いている。起伏のない彼の一週間だ>>続きを読む

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.8

ノーマルとアブノーマルの世界がうまいバランスで撮られた作品。リンチ作品の中でも、物語の構成はしっかりとして、展開の仕方も納得がいく。しかし、ボビー・ヴィントンの同タイトル曲から着想を得て、このようなカ>>続きを読む

ロッキー・ホラー・ショー(1975年製作の映画)

3.8

70年代イギリスのカルト的ミュージカル作品を鑑賞。謎のミュージカルが行われる城が舞台。そこはモラルやルールが崩壊したような場所。その城に迷い込んだカップルはあらゆるボーダー(あらゆる線引き)が取っ払わ>>続きを読む

マグノリア(1999年製作の映画)

4.0

過去に悩める者たちの壮大な群像劇。過去は捨てても追ってくる。まさに一生付き纏う呪いのようなもの。最後の「For FA and EA」(ちなみにFAは以前ニュースにもなってたので誰だかわかった)からポー>>続きを読む

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジム・ジャームッシュの代表作品を鑑賞。やっぱり彼の作品は自分の趣向に合っていると感じられます。特に放浪する3人の関係性が謎に満ちたまま結末を迎えるところが好き。一般的に男女がメインキャラクターとして登>>続きを読む

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.0

ポン・ジュノ監督の劇場デビュー作を鑑賞、そして彼の作品をようやくコンプリートしました。全作品に言えることは雨のシーンが必ずあるというところで、彼のこだわりは20年通して変わらない。この作品の内容は犬が>>続きを読む

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

テレンス・マリックの自伝的作品。パルムドール受賞作にも関わらず評価が二分化された難解でパーソナルで詩的な映画。
予めテレンス・マリックの幼少期を知ってから鑑賞すると、世俗から袂を分かち、何事に対しても
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ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

4.3

ウェス・アンダーソン監督の中でもとりわけ彼の世界観を表す美術的な側面で光る作品。海洋生物に用いられたストップモーションと基調となる実写の融合で見せる映像表現はファンタジーに満ちていて、そこが個人的には>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.3

ヴィム・ヴェンダースの代表作品を鑑賞。さまざまな角度から捉えた俯瞰のショットが天使の目線として、生きたカメラワークだと感じる。天使を演じたブルーノ・ガンツが人間となって以降、何事に対しても腕白な面持ち>>続きを読む

そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

3.7

埼玉県狭山市を舞台にした変革を求めた女子中学生たちの物語。作品内で自虐的に描かれた狭山市で生きる、普通に飽きた彼女たちの心情が短編ながらもよく描かれている。これ実話の話だったらしいけども、当時同じく中>>続きを読む

エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.0

40周年記念の4Kレストア版を映画館で見逃したので配信で。ジョン・メリックとトリーヴス医師の関係性が素晴らしい。トリーヴスは、ジョンを興行師と同じく、見世物として扱っているのではないかという疑いの心を>>続きを読む

さらば青春の光(1979年製作の映画)

4.0

ポール・ウェラーに想いを馳せます。
モッズとロッカーズの対立を描いた作品。主人公ジミーのいるモッズ族はモッズコートやモッズスーツでビシッと決め、髪は固めず、拠り所はThe WhoとThe Kinks。
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魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

4.1

ゼメキス監督の最新作を鑑賞。キム・ジヨン以来の劇場鑑賞。これは私の中では大魔女とネズミたちの対立をアクション映画として仕上げているという印象を持ちました。これほどの活劇を観ると、"やはり映画館で観る映>>続きを読む

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

所々難解な話でしたが、大枠は2部構成。夢と現実。鳴かず飛ばずの女優ダイアン(ナオミ・ワッツ)が恨みと羨望、横柄さが混じった明晰夢で自分の都合の良いように自分の願望を操っている。夢の中で愛し合う二人の関>>続きを読む

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

3.9

びっくりするぐらいリンチ作品の趣とは異なった、ヒューマンドラマ系ロードムービー。長く絶縁状態だった兄が倒れ、弟が長い距離を芝刈り機に乗って会いに行くストーリー。芝刈り機でおよそ東京から大阪まで会いにく>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

3.9

オカルトブームの真骨頂。悪魔祓い(エクソシズム)が成功したのが唯一の幸い。その悪魔に取り憑かれた少女の強烈なビジュアルや飛び散る血、口から吐き出す緑の液体も怖いのだけども、最も怖いのは激しく揺れるベッ>>続きを読む

パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

4.1

ジャームッシュ作品などを観るために1ヶ月だけU-NEXT始めました。

世間が思うジャームッシュの作風とは違う彼の卒業制作。急にポケットからヨーヨーを出す主人公クリス・パーカー。彼の当て所もない旅のな
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Playback(2012年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

過去と現在の往来シーンを、モノクロ映像がシームレスにかつ自然に紡いでいる。同じ場面が何度か繰り返されるが、そこで交わされる会話の発言者はその都度違う人になっていたり、曖昧な記憶を演出しているように感じ>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

何も前情報無しに鑑賞したのだが、ちょうど今日の夕方観ていた『オーメン』と同じ"悪魔"が主題の映画だったとは偶然。
クァク・ドウォン演じる主人公は何かと惑わされやすく、吹聴に踊らせられる性格で、それと同
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ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)

3.9

過度な資本主義社会への痛烈に批判することが重要な意味をなす現代。こんな社会性に満ち、ユーモアに溢れた映画が日本では劇場未公開だとは悲しくなりますが。奴隷を馬と見立てたり、詐欺師全開のアーミー・ハマーが>>続きを読む

オーメン(1976年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

70年代のオカルト系ホラーの名作を鑑賞。アンチ・キリストという主題。悪魔の行為が幾多の兆し(オーメン)から自明となっており、特に写真に映るネガ傷のようなものから予想される悪魔が手に染める殺傷手段は、わ>>続きを読む

ポセイドン・アドベンチャー(1972年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

パニック映画の金字塔なる作品を鑑賞。転覆した豪華客船にて、自力で脱出せざるを得ない状況下で牧師を筆頭に時には揉め、時には助け合いながら出口を見つけ出す。何もかもが逆さまのセットでカメラの動きも船の揺れ>>続きを読む

蜜の味(1961年製作の映画)

4.0

イギリスフリーシネマの名作を鑑賞。怒れる若者たちという言葉を聞くとポール・ウェラーを思い出します。ドキュメンタリータッチで怒れる若者たちを捉えるのがこのブリティッシュニューウェイヴの特徴らしい。年端も>>続きを読む

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

金曜ロードショーで鑑賞。ルパン以外のキャラクターを知らないほど、ルパンシリーズには馴染みが無かったのですが、この作品は評判通り素晴らしい映画でした。それぞれのキャラクターに「いのち」が宿っていると思わ>>続きを読む

マーウェン(2018年製作の映画)

4.0

あまり評価されてる印象は無いのですが、個人的にはグッときた。箱庭療法みたいものなのかわからないが、G.I.ジョーのフィギュアで見せるマークの心情表現は風変わりでファンタジーに満ちている。ゼメキス監督は>>続きを読む